【時事抄】 睨みを効かせる政府、キャッシュレス社会への環境整備へ強権発動
夕食で立ち寄った某ファミレスチェーン店で、食後の精算は店員を介さずに済ませて店を後にしました。近くにいた店員からの「ありがとうございました!」は、支払いしないまま店を出て行かないか見てます、という婉曲表現なのかも。トラブルに巻き込まれぬようレシートは必ず貰っておきます。
キャッシュレス経済の推進を念頭に、各店舗がクレジットカード大手に支払う手数料率について、政府が再調査に乗り出すようです。ポイ活インセンティブが豊富なクレカは、キャッシュレス決済の主役のひとつであり続ける。それだけに、公正な競争を促す政府の対応を支持しますね。
少々時間が経過しましたが、日本経済新聞の記事の要約です。
<要約>
クレジットカードの手数料率をめぐり、公正取引委員会は近く追加調査を行う。米欧に比べて日本の手数料率は割高と言われ、特に飲食業界の両立が割高だと言われる。
取引に関連する会社には、(1)米ビザなどの国際ブランド(2)消費者にカードを出す発行会社(3)カードを使える店を管理する加盟店管理会社、この3つがある。(2)-(3)の会社間の標準料率は(1)の国際ブランドが決め、加盟店が(3)に払う手数料は交渉次第だ。
公取委は2019年から手数料率の調査を複数回実施し、ビザ、マスターカード、中国銀聯(ユニオンペイ)が22年11月に公表した。この3社が日本国内の取扱高で7割のシェアを持つ。ビザは通常カードの一般利用で2.28%で、加盟店が払う手数料は、これに加盟店管理会社への手数料が上乗せされる。
経済産業省の22年公表資料によれば、クレカ決済で加盟店が払う平均手数料率は欧州で1%台、米国は2%台が多い一方で、日本は3%を超えていた。この公表後も一部の例外を除いて手数料は変わっていない。
クレジットカードに比べて決済手数料の低いコード決済の普及が進むなか、公取委は手数料率引き下げの現状を調査する必要があると判断した。22年の調査で加盟店手数料が全業種平均を0.7ポイント上回る3.3%だった飲食業界を対象とする。
1万件規模で手数料率の推移、交渉の有無を調べて24年度中に結果をまとめる。標準料率の公表の周知が交渉を促し、手数料率の引き下げにつながるとの期待がある。また公取委は電子マネーやQRコード決済の手数料率を含めた取引状況も調べる。キャッシュレス決済全体の現況を把握し、決済手段の自由な競争環境を整える政策につなげることを企図している。
(原文1275文字→717文字)
地元スーパーやコンビニ各店舗、ユニクロを代表とする衣料小売店、マクドナルド等の飲食店で、無人レジ(セルフレジ)の普及が急速に進んでいます。人手不足の逆境を逆手にとって、生産性向上に結びつけようという企業努力が花開きつつあるとの感があります。
サービス産業の生産性の低さが古くからの日本経済の課題でした。それが、人口減少と人手不足による将来不安が囁かれるなか、自動化の進展と通信技術の発達で、むしろ生産性は大幅に向上して往年の”壁”を克服するかのようです。大手から中小へ波及を狙い、政府も補助金で支援しています。
危機を前にした時の日本人の底力と民度の高さ、不合理な旧態依然たる仕組みや海外大手の横暴には政府が公権力の強権発動して是正を促し、一方で予算化を通じた多くのインセンティブを与えて普及を後押しする。自由放任と技術革新。適切な政府の介入。キャッシュレス化・セルフレジの普及には官民(ホントは民官といいたい)の割と理想的な補完関係を見てました。
農産物、エネルギー、教育、医療、福祉産業といった現代日本が抱える他の悩ましき課題への解決にも、この好ましき補完関係の好例が波及していくといい。どちらが欠けてもダメ。そんな思いを抱きましたね。