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【時事抄】 日英親善、公式訪英に漂う特別感の不思議

今週は月曜日から所用のため香港を訪れていました。連日雨天との予報でしたが、この時期は予報がよく外れるらしく、滞在中は蒸し暑くも青空が広がる好天に恵まれ、楽しい滞在でした。

香港の伝説、ブルース・リーの像
「be water!」

英国統治下にあった香港は、1984年12月に英国から中華人民共和国への主権返還に両国が合意、1997年7月に返還・移譲されました。合意当時、中国トップ鄧小平氏は50年間社会主義政策を香港に実施せずと「一国二制度」を約束していましたが、事実上すでに棚上げされています。

21~22年の激しい民主化デモが記憶に新しい香港ですが、表向きは落ち着きを取り戻したかに見えます。数日の滞在だけでは中国本土の影は感じられませんでした。中国本土とは異なり、日本と同じ左側通行の右ハンドルなのも相変わらずです(英国由来ですね)。

英国つながりで、彼の地のニュースで目にしていた天皇陛下の英国公式訪問を取り上げます。公式晩餐会の様子を報じる日本経済新聞の記事からです。

<要約>
国賓として英国訪問中の天皇、皇后両陛下は25日夜、英チャールズ国王夫妻主催の晩餐会に臨まれた。天皇が主賓として招かれるのは昭和天皇、上皇さまに続き、26年ぶり3回目。陛下は授与されたばかりの英最高位「ガーター勲章」を付けて出席された。

陛下は1983年から2年間、英オックスフォード大に留学された経験を持つ。大学の研究仲間との親交はその後の人生に大きく影響を与えたと著書などでも回想し、国王との関係は留学時代を発端に40年の長きに及ぶ。

晩餐会のスピーチで、天皇陛下はご自身も取り組む環境保全や水資源の保護について言及し、英国王が気候変動や生物多様性などの問題に取り組む姿勢に敬意を表した。

過去2回の晩餐会では、戦果を交えた日英両国の融和が最優先課題だった。71年、昭和天皇が国賓として訪英した際、天皇が乗車する馬車に上着が投げつけられる等の厳しい雰囲気だった。エリザベス女王は「両国の関係が常に平和で友好的だったとは言えません」とあえて言及。一方で、戦前に一度授与し、大戦時に剝奪したガーター勲章を再び授与する異例の措置をとった。

98年に上皇さまが訪英した際、晩餐会で天皇として英国で大戦について言及、「人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」とスピーチされた。英国内で好意的に迎えられた。

そして戦後生まれの陛下と国王が即位した。陛下はスピーチの中で「友好関係が損なわれた悲しむべき時期がありました」と過去の歴史を踏まえつつ、若い世代の交流促進、環境保護を強調。未来志向の姿勢で、新たな日英の友好親善のありようを示された。

(原文1423文字→674文字)


国際社会における英国の存在感は「日の沈まない国」と評されたかつての面影は影を潜めているものの、広いネットワークと老大国としての見識は健在です。英国との仲を違えるとき、日本は不幸な道を辿るという歴史の推移は、決して偶然ではない気がします。

長い歴史を持ち、大国でありながら、島国・海洋国家という似た境遇にある両国。その皇族が手を取り合う好ましくも不思議な特別感は、境遇と伝統によるものかなと感じましたが、どうでしょう。

戦後3度目となる天皇陛下の公式訪英は、英国に浅からぬ縁を持つ両陛下であるだけに、現地は一層の歓迎ムードだそうです。知性に秀で人柄は穏やか、英語にも堪能な天皇・皇后両陛下をもつ今の日本は、政治経済いろいろ多難続きのなかでの幸運な一面と言えそうです。

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