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【短文・⚠️ネタバレあり】『地面師たち』が誠実だなと思うところ


『地面師たち』が個人的に誠実だなと思うのは、
最後まで見ると
「地面師になりたい!」
とは全く思わせないつくりになってることです。


【以下、ネタバレ注意】



地面師グループ側の人間は揃って大体ひどい死に方をするし、

唯一生き残った辻元は新人刑事に
「お仕事じゃなくてただの犯罪ですよ」とたしなめられるし、
(その時の辻元は白髪混じりの髪で、視覚的にもまるでおじいちゃんが介護されてるような雰囲気)


もっと直接的な描写として、「地面師になりたい!」と言ってたやつは、人に利用されて、アッサリ殺される。


どうやっても「地面師」に「憧れない」つくりになってると思うんですよね。


唯一の例外が、「悪のカリスマ」として一番憧れられるであろうハリソン山中。


コイツの数々の名シーンはほとんど地面師詐欺と関係がなく、
徹頭徹尾、己の殺人衝動を満たしてるだけの変態なので、

ハリソンを見て生まれるのは
紳士的なルー語で話す、なんともかわいらしい厨二病の子くらいのもの。
せいぜいペットボトルを潰すときにプリミティブなやり方でいかせていただくだけでしょう。


ハリソンは「地面師」という大枠に収まらない規格外の存在すぎて、
こいつに憧れたとしても、それが「地面師になりたい」に結びつかないんですよね。
ハリソンにとっては地面師たちもそれ以外の人々と同様に、自分のコンゲームと殺人ゲームのコマでしかない。


「カッコいい犯罪モノのドラマ(ただし犯罪を啓蒙するような内容であってはいけない」という難しいラインを、
カッコ良さをハリソン山中というイレギュラー的存在に集約させ、地面師犯罪は(チームが上手く機能しないという嫌な部分まで)リアルに描くというやり方で見事に実現しているのが、
このドラマの結構すごいところだと思っています。


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