「親孝行とは?」対話カフェそもそも レポート#06
【開催日時】
2023年1月28日(土)
13:10~14:45
@池袋会場
第6回のテーマは「親孝行とは?」です。
親孝行、していますか?
就職して初任給で親にプレゼント……などは、定番の親孝行エピソードとして聞きますね。
親が喜ぶ贈り物をするのは、迷わず親孝行と言えそうです。
では、【親の期待に応える】のはどうでしょうか?
応えられなかったら親不孝でしょうか?
親の期待と、自分の目標が必ずしも一致するとは限りません。
○○という仕事に就いてほしい、同居していてほしい、などなど。
子にとっては
「そう言われてもなあ……」
と思うこともあるのではないでしょうか。
「結婚してほしい」に至っては、ますます難しい問題です。
親の期待には、応えるべき?
親の意向など考えず、自由に生きても良いのでしょうか?
そもそも、親孝行って何?
今回の対話のレポートをまとめました。
親孝行ってどんなこと?
まずは、親孝行と聞いて具体的にどんな行為を想像するか、皆さんに聞いてみました。
「親にプレゼントを贈る」
「母の日、父の日にお祝いする」
「結婚・出産して、親に孫を会わせる」
親から「結婚して」圧力、感じた?
参加者から、
「親から『いつかは結婚してほしい、孫の顔を見せてほしい』と言われたこと、実際にありましたか?」
との質問が出ました。
「はっきりと言われたことはないけど、やんわりと言われたことはあるかな」
「自分は3人きょうだいですが、3人とも誰も結婚せず、親に孫を見せられなかったら、さすがにヤバいのかな?と思う」
「親からはないけど、祖母からはそういったことを言われたことあります」
「上の世代になればなるほど、直接的に「結婚しないの?」と圧をかけてきそう」
上の世代ほど、そういった圧をストレートに言ってくる印象はありますね……。
再び、親孝行とはどんなこと?
「定義として、子供自身が【能動的】に親を喜ばせること。また、子供自身がしあわせであること。この2種類の親孝行があると思う」
確かに、親の指示で行うことは親孝行とは言いづらいですね。
子供が【自らの意思で、親を喜ばせる】ことはポイントのようです。
「子供がしあわせでいてくれたら、それが親孝行」というのも、よく聞きますね。
具体例は続きます。
「親元から離れて暮らしているのですが、父親が仕事で東京に来たとき、父親と飲みに行くことは親孝行になっているのかな、と」
「かなり先の話ではあるけど、高齢の親を介護することも親孝行にあたると思う」
「親の期待に応えること。家業を継ぐとか」
「社会的に立派になるというか、出世するとかも」
「親が喜ぶという点で、親がこうしてほしいとはっきりわかっていることをしてあげる場合と、特に親がしてほしいと思ってなくても、子どもがしてあげたら喜ぶのではと思ってやってあげる場合がある。顕在化しているニーズに応える親孝行と、潜在化したニーズに応える親孝行がある」
「プレゼントを贈るときに、欲しいものを聞いて贈るか、喜びそうなものをサプライズで贈るか、みたいなのに似てますね」
顕在化と、潜在化。
親の期待に応えることは、顕在化の親孝行にあたりそうですね。
「映画のチケットを予約して、親にプレゼントしたことがあるのですが、これはさきほどの潜在化の親孝行になるな、と」
その結果、親が喜んでいたなら、親孝行と言えそうです。
そして、少し先を見据えた話題に……。
「親が元気なうちに、先のことをきちんと聞いておくのも、親孝行に繋がるんじゃないかな。例えば、ちょっと冗談まじりにでも、『どんな墓に入りたい?』『どんなお葬式がいい?』とか聞いてみる」
「確かに、聞けなくなってからではニーズに応えられない」
と、ここで、
「子供にしてほしいことって、親に聞いておいたほうがいいのかな?」
という質問が挙がりました。
親がしてほしいこと、事前に聞いた方がいい?
「そもそも聞けるのか、とまず思ってしまいました」
「聞けるかは、トピックによるかな……」
「たとえば、『孫の顔見たい?』って聞いたとして……。本当は孫がほしいと思っていても、うちの親は気を遣って言わないんじゃないかな、って」
「そうなると、聞いても本音がわからないから、意味がないときもあるかも」
「プレゼントのサプライズと同じで、聞かずにやってあげたい、かな」
さらに疑問が浮かびます。
「親孝行は子供がする行為だけど、実質の主導権、主体性は、親にあるのでは?」
親孝行とは、実質は親が中心になっている?
結局、親孝行って親が主体?
「確かにそうかもしれない」
「子供がすべて主導権を握れるのは、親の葬儀くらいかも。ニーズがわからないまま亡くなったなら、もう子供が勝手にやるしかない」
「親の目線と、子供の目線、両方あると思う」
「子どもが喜びたくてやる、自己満足の親孝行というのも、実際にはあると思う。喜ぶだろうと思ってやったけど、特に親は喜ぶことではなかったりとか」
「となると、子が喜びたいだけの孝行は【ありがた迷惑】にもなりえますね」
「それでも、贈ったモノ自体は特に喜ばしいものでなくても、「親のことを思いやって贈り物をしてくれたんだ』、と結果的に親が喜ぶケースもあるんじゃないかな」
なるほど、親にとってモノ自体は迷惑に感じるプレゼントだとしても、親が感動する場合はありえますね。
親の期待と、子供のやりたいことが相反する場合は?
たとえば、医者に子供がいて、医者の親は子供も医者になってほしいけど、子供は違う職業に就こうとする、など……。
「反発したときは、親も納得できないかもしれないけど、将来的に親が納得していれば良いと思う」
「親をがっかりさせてしまうけど、その代わりにしあわせである姿を見せて、補完、挽回できればそれで良い」
「医者の例えを膨らませて、親が大きな病院を経営していて、後継を断る場合とかはどうだろう」
「会社や店の後を継ぐか、とかも同じですね。代々続いてきた老舗とか」
「それでも同じく、話し合って、親が納得するならいい」
そのときはぶつかるかもしれないけれど、子の姿を見て、いつか親が納得できれば……。
納得できるかどうかも、これまた親に主体がありますね。
親の期待に添えない子の気持ち
前出の、「孫の顔を見せられなかったらヤバいと思う」という意見に対して、このような質問が出ました。
「もしこの先、孫の顔を見せられないとしても、平気でいられますか? それとも、何かマイナスの感情は沸きそうですか?」
この質問に対して……。
「負い目というか、引け目みたいな気持ちは感じると思います。これまで育ててもらったことに、何かを返さなくてはいけないという思いがどこかにあって。親子って、最初は親がずっと子に与えている関係だから、子供が大きくなったら恩返しをしなくてはと思う」
育ててくれたことへの、恩返し。
これは、親孝行の根底にある思想のひとつのようです。
また、上の世代であればあるほど、この思いは強く抱いている印象もあります。
【育ててもらったことに恩返しするべき】の考え、なぜここまで浸透したのだろう?
「恩返ししろ、と強要するのは違うと思う」
「頼まれて生まれてきたわけじゃない、親たちの勝手で生んだんだろ、という思ったこともあるから、そのことに恩返しすべきと言われてもしっくりこない」
「なぜか、という点では、それが【社会を安定させる仕組み】として役立ってきたからだと思う。あったほうが社会にとって有利な考えだから、ここまで広まって、受け継がれてきた」
なるほど、その仕組みがあるから、家族、そして社会というコミュニティが安定しやすい、と。
「年長者を敬う、とかも根っこは同じですよね。能力とかではなく、年上というだけで立場関係が決まる。先輩に敬語は絶対、とか」
「こう考えると、親孝行って、日本の家督文化とか村社会文化に、すごくマッチする【仕組み】だなと思います」
では、2023年現在の日本の社会にも、うまくハマっているのでしょうか?
親孝行、今の日本にフィットしてる?
「ちょっとずれてきている感じはする」
「地方というか、田舎ではまだまだ根強いんじゃないかな」
「今って、生活に必要なコミュニティは家族だけではなく、家族とは違うコミュニティに依存できるようになったと思う。ただ、どのコミュニティでも、与えられた分はきちんと返す、ということは大切」
「どのコミュニティであっても、ギブアンドテイクというか、もらった分はいつか還元するのが基本構造であると思う」
「必ずしも与えてくれた人に還元するのではなく、下の世代にまた与えていく、というのもあるかな、と」
ここで少し話題が戻り……。
親の期待に応えられず、ずっとそのことを嘆いている人のエピソードが語られた上で、新たな問いが。
親孝行の思想って、子供の負い目を増やしてない?
「確かに、その側面はある」
「さっきの、コミュニティを安定させるメリットはあるけど、必要以上の負い目や引け目を与えているデメリットもあると思う」
「さっきのエピソードだと、親のしあわせと、子供のしあわせが天秤にかかっているような状態というか……難しい」
「より、しあわせを目指すなら、その子供は親の期待に応えることを諦めたほうがいい。さっきのエピソードだと、子供に不満を持つ両親二人、そして期待に応えられない子供一人、合計三人が不幸になっている。親の期待に応えるのが相当難しいなら、子供が諦めてしまえば、子供は不幸から解放されるので、不幸の人数が減る。人数的にはこちらのほうが良い……でも難しい問題だ」
「親孝行をあきらめて、【自分孝行】に努めたほうが、しあわせになれるんじゃないかな」
【自分孝行】という考え方、素敵ですね!
対話はまだまだ盛り上がっていましたが、このあたりで時間いっぱいとなり、今回はここまでとなりました。
ファシリテーターの思うこと
親孝行。
なんとなく、ぼんやりと素敵なイメージがありましたが、少し印象が変わったように感じます。
子供がやる行為ではあるのですが、実は親に主体がある場合も多いこと。
また、親孝行できない自分を責めてしまい、苦しんでいる子供もいること。
win-winの親孝行なら大歓迎です。
しかし、そうならないケースもあるわけで。
親子で対話すべきですが、そんな簡単に対話できたら苦労しません。
親子関係って、ポジティブな諦めも大切だよね、と改めて思い知らされました。
参加してくださった皆様、ありがとうございました!
次回の開催案内
次回は2023年2月11日(土祝)開催。
テーマは「自然な恋愛とは?」です!
http://peatix.com/event/3462539
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