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「"嫌"って言える?」対話カフェそもそも レポート#50

【開催日時】
2024年12月21日(土)
12:00~14:00

あなたは「嫌だ」と言えますか?
平気で言える?
いつも言いづらい?

状況によるなら、どんな状況なら言いやすい?
相手だ誰だと言いづらい?
断ることにまつわるモヤモヤ。
10代20代で対話したレポートです。

はじめの問い、テーマに思うこと

テーマについて抱いている問いや、思うことを挙げていきます。

「なんで嫌って言えないんだろう?」

「断ることとお願いすることは同じ感じがする。断るときとお願いするときの心理的な負荷の違いは?」

「断りづらい人でも、さすがに断るときがある。断れるときと断れないときの境界線ってなんだろう?」

これらの問い、思うことが挙がりました。

断れる、断れないの境界線は?

具体的な例を挙げていくところから。

「これ断りづらいけど断っちゃったとか、断りたいけど言えなかったとか、微妙なケースって何かありますか?」

「仕事の話なんですけど、顧客から明らかな無理難題を求められたとき。例としては、法律違反になることを強要されたとか。自分に明らかな損が発生するときは、断れます」
「逆に許容できるのは、法に触れないけど、ちょっと無理するくらいのこと。自分にプラスになることもあるので」
「一度だけ、断ると面倒だなと思って軽い違反行為をしたことがあるんですけど……次からはもうやらないと決めて、それからはしてないです」

「大学の頃の仲間から飲み会をしようと誘われたんですけど、どう考えても男性の比率のほうが高くて、楽しく過ごせなさそうだったので、「ごめん仕事忙しいから」って嘘ついて断りました」

「私も仕事で、「誰か、お客さんにドリンク出せますか?」ってインカムで指示があったとき、自分はお金を扱う立場だったので「ちょっと私無理です」って断りました」
「このテーマを考えたとき、相手との信頼関係によって、同じことでも断る断らないがあるなって思いました」
「でも、今のケースについては、相手は誰であっても、仕事の優先順位的に自分はお金の担当だったからはっきりと断れた」

「そのケースについて、断ることについて何か気持ちのひっかかりはあったんですか?」

「いや、全然なかったです。お金の管理が第一なので。相手もそれを理解してくれるだろう、と」
「相手との信頼関係があればあるほど断りやすいのかな」
「信頼関係がないほど断りにくい?……比例はしないのかもしれないですけど」

「飲み会を嘘ついて断ったのも、ひっかかりなくと断れました?」

「はい、スッパリと」

「その人達との関係性は、定期的に会うくらいの?」

「以前は仲良いグループだったんですけど、コロナ禍で会えない時期が増えてとか、ここ数年はあった」

心苦しいながら断ったこと、嫌々ながら引き受けたこと

エピソードを集めてみます。

「心苦しいながら断った、みたいなケースはありますか?」
「心理的負荷がかかりながら断った、または、心理的負荷がかかりながらしぶしぶ受け入れた、みたいな」

「しぶしぶ受け入れたのは……数年前に遠くに住む友人から買い物代行を頼まれたとき。東京のイベント会場でしか買えないグッズを買ってきてほしい、と」
「結構な労力はかかるから正直面倒だなと思ったんですけど、友人はかなり遠方に住んでいるので、天秤にかけてしぶしぶ受けました」

「このパターン、他の方は引き受けますか?」

「私は断っちゃうかも」

「私は、相手との付き合いの長さとかになっちゃうんですけど、受け入れちゃうかもしれない」

「10代のころからの友人だったし、そのグッズをすごく好きなのもわかっていたから引き受けたんですけど……逆に、家族だったら断ってたと思います」

「それはなぜですか?」

「家族はまだ東京に近いので。がんばれば行けるから」

「私だったら断ってしまう。ちょっと面倒だったら「ごめんけど……」って」

「小学校からつきあいがある友達がいて……大人になるにつれてちょっと価値観がずれてきて、その子からご飯行こうって誘われたときに「ごめん仕事忙しいから」って断っちゃった」

「それはさっきと違って、なんで断ったんですか?」

「苦手意識というか……一回合わないなって思っちゃったら心の距離が自分の中でできちゃって。ごはん言っても純粋に楽しめなさそうだな、と」
「心苦しい部分もあったんですけど、それっぽい理由をつけて断りました」

「どんな心苦しさだったんですか?」

「あっちは何もそんなこと思ってなくて、こっちが一方的に距離を離したいと感じてる状況だから、ですかね」
「向こうは今までと変わらない気持ちでいるのに……」

「つきあいの長さも10代からで、直近の会ってる頻度はどんな感じだったんですか?」

「ちょっとずつフェードアウトしてる感じでした。頻度も減って」
「自分で今気づいたんですけど、信頼関係とか付き合いの長さがあるほど断りやすいんじゃ?ってさっき言ったんですけど、そうとは限らないのかも」

「確かに。そのケースは長い付き合いがあるから、心苦しいわけですものね」
「掘り下げてすみません、心苦しいのは、断ったことや嘘をついたこと、具体的には何が……?」

「断ったこと自体に、です」

「断ったことそのものに負荷がかかるわけですね」

「相手がガッカリするだろうな、って」

「負荷の正体は、相手をガッカリさせることを自分が想像しちゃうことなのかな」

「仕事の話なんですが、お客さんからのツケ払いを受け入れたんですけど、なあなあになり、結局売上から引くかたちになってしまって」
「微妙な金額だから余計に流しちゃうんですよね」

「相手も少額だから余計に、あるんでしょうね」

「追求しづらいとか、そこまで労力かけないだろうとかのあたりを突いてますね……」

「追いかけづらさにつけこんでる軽犯罪ってたちが悪いですね」

「話を戻しまして……渋々受け入れたこと、嫌々引き受けたこと、他にありますか?」

「みんなでごはんに行って、「これあんまり自分は好きじゃないメニューなんだけどな」って」

「それは受け入れますか? 我慢する?」

「受け入れます」
「あと、このあいだスポーツを見に行って。帰りの電車をどっちに乗るか、友人と意見がぶつかったんですけど、結局友人の意見を受け入れた」

「それは、友人との関係性で言いづらかった?」

「いや、結構自分の意見を押したんですですけど、そういう結果になったんで、まあいいかなと」
「いい意味で冗談言える関係でもあるので、自分の意見は通らなかったんですけど、言いたいことは言ったからいいかなってなりました」

「最終的に譲ったわけですね」

「飲み会のメニューは難しいですね。「これ頼むけど苦手な人いますか?」って言われて、手を挙げられるかどうか」
「人数多ければ、あえて黙っていて、料理に手を付けなきゃいいんですけど」

「明らかに海鮮がダメって人は海鮮居酒屋とか避けるけど、嫌いでもないけどそこまで好きでもないなってお店だと、より断りづらいというか」

「飲み会の最初の「みんな生でいい?」ってやつ、生の気分じゃないけど「あ、はい」って言っちゃいます」

「とりあえず全員生でしょ?ってやつ、ありますね」

「あれはなんで言えないんですかね?」

飲み会の「とりあえず生でいい?」、なぜ断りづらい?

飲みたいものを頼めばいい……はずなのですが。

「「私はハイボールで」って言ったら別に通りますよね。ダメだよ、とは言われない」

「流れを止めたくない、とか」

「みんなが生のほうがとりあえずすぐ始まるし、みたいな」

「雰囲気を壊したくない?」

「私は結構言っちゃう。自分の中で信念があって、お酒は飲めるんですけど飲まないようにしているので、自分は烏龍茶かノンアルのドリンクを言います」

「飲めない人は「飲めないので」って言いやすいですよね」

「ソフトドリンクなら言いやすい」

「飲めない人は飲まなくて大丈夫と同じくらい、「飲める人は生だよな?」感もかなり強い」

「あー、なるほど」

「酒飲みはとりあえず生だよな、って感じはめちゃくちゃある」

「1杯目はビールじゃないんだよな……と思っていても、断りづらい」

「たしかに……自分が飲む側だったら、そこで一人「梅酒で」とか「ハイボールで」とかは言えないかも」
「とりあえずビール飲んで、それから頼もう、ってなりそう」

「2杯めから自由に頼めるから、なおのこと我慢しちゃう」

「そういう場って、親睦を深めるってテーマがありますよね。それで、一体感を作りたいから、その雰囲気を崩すのに抵抗あるのかな、と」
「みんなで同じもの頼んで、みんなで揃って乾杯するまでが儀式的になってる?」
「一人だけハイボールで、ってなると一体感が崩れるような」

「一体感が出ないわけじゃないけど、全員ビールで揃ったときより評価は下がりそう」

「あと、違うものを頼むと「マイペースな人だな」って評価がついちゃいますよね。良くも悪くも」

「学生の文化祭とかでクラスTシャツとかを着なくてジャージでいる人みたいな」
「飲み会は仲間であることを確認する儀式ですものね」

「私はシンプルに、そうじゃないと店員さん大変そうって思っちゃいました」

「お店側への気遣い、なるほど」

「12人で12種類あったらシンプルに大変」

「みんな違うと「これ誰の?」って手間が発生しちゃうし」

「それを発生させてるのが申し訳ないってのはありそう。「早く始めようよ……とりあえず生にしとけばいいのに」って思ってる人もいるだろうし」
「でも、それって個人の好みを犠牲にしてますよね」

「ビールだって好き嫌いありますからね」

「私はビールそんなに好きじゃないので……」

「まとめると、言えない理由は、雰囲気や流れを壊したくない、その原因に自分がなりたくない。あとはお店側への配慮」
「他人が違う注文してる場合は許容できますか? 自分は我慢して生にしたのに、誰かが「ハイボールで」って言った場合」

「私は何も思わない」

「私もそこまで思わないかな……」

「じゃあ、私たちも言っていいんじゃ?」

(一同笑)

「でも、幹事とか、まとめる側だとちょっと思っちゃうかもしれない」
「言いはしないですけど、ちょっと思っちゃう」

「確かに、まとめる側だと「ちょっとめんどくさいな」って思っちゃいそう」

「生11でハイボール1とか。2種類くらいにまとまっていたら、まあ良いかも」

「私は、悪い印象は持たないですけど、今後の仕事の面でその人に気をつけるかも……。みんなで合わせようって場で合わせないんだ、と」
「仕事でどうなの?って。自分はそういうふうに見られたくないなってあります」
「悪い印象ではないし、好きなものを頼んでいいと思うけど、仕事においては「この人は自分を優先するかも?」と気になるかも」

「仕事で協調性が低い人って認定されそうだから、その評価をもらわないために「とりあえず生」に乗っかる、と」

「悪い人だとは思わないけど、どこまでマイペースなのかな?って気にはなる」

「会社のイベントそのものに、若い人は参加しない問題はありますよね。忘年会行くか行かないか、とか」

「他はいかがですか? 「とりあえず生」問題がすごく盛り上がりましたが」

一人目が参加と答えた二次会アンケート、不参加って答えられる?

誰々さんが行くなら……などと心理戦になりがち?

「皆さんがどう思うか気になることが……。忘年会の二次会参加がアンケートになっていて。私だけが最初に参加と答えたんですけど、そのあと他の人は全員不参加で回答してて」
「私が最初に参加にしたから、他の人は不参加にしづらかったのかな、とか」

「ああ、一人目が参加だと……」

「忘年会の二次会で、一人目が参加にマルつけたあと、バツをつけられるか、ってことですね」

「自分は飲み会が好きなのでマルですね」

「私も飲むのは好きなので、一人目がマルならラッキーって感じでマルつけます」

「そのケースって、なんでその他が不参加だったんですか?」

「私が一番古株だったのと、他の人達はそんなに飲むタイプではなかったみたいです」

「そうすると、その人達は、そもそも忘年会の一次会を不参加ってのも言いづらかったのかも」

「会社との関係性、職場の人たちとの関係性が絡んできそうですね」

「でも、これまでの話をまとめると、信頼関係が深いから断れるとか、つきあいが長いから断れるとか、そういうことでもなさそう」

「さっきの、心理的負荷との折り合いが大きそう。信頼関係をいくら築いていても、負荷が強ければ苦痛になる。それは信頼関係が崩れてると言えるかもしれないけど……」

「思い出に残る、今まででいちばんつらい断った断った経験とか、逆に嫌々ながら引き受けたこと、他にありますか?」

心苦しいながら断ったこと、嫌々ながら引き受けたこと 2

再び思い出してみます。

「自分で言うのもあれなんですが……学生のころ、「好きです」って告白を断ったとき」

「うらやましい断りですね」

「あなたのことよく知らないのに「好き」って言われても……断ったら相手が傷つくのわかってるし……ごめんなさい、って」

「そっち関係だと、私も、一回会ってみて「あれ……なんかなあ……」って」

「ありますよね、そういうの」

「ただその場合は、断りもせず、そのままでしたけど」

「マッチングアプリとかお見合いアプリとかだと断る側には負荷かかりそう」

「相手は自分を気に入ってくれてるけど、自分はいまいちだな、ってパターン、大変そうだなって思います」

「リアルのコミュニティだともっと負荷がかかりそうですよね」

「友達の紹介とかたいへんそう」

「今日は若い人だけで対話してますけど、人数とか年齢層が違ったら「私は嫌々結婚したんです」って意見が出そう」

「離婚も嫌々引き受けたとかありそう」

「女性は手続き関係、名義変更とかすごい大変ですよね」

「あんまりいいと思ってなかったけどとりあえず結婚した、って人は上の世代になるほど多いと思うんですよね」

「その判断ができるのはすごいなと思います」

「幸せな結婚生活が遅れるかよりも、とりあえず結婚のチャンスが来たから結婚した、って知人もいます」

1対1と、大勢の場合、どっちが断りづらい?

違いはあるのでしょうか。

「いろいろなケースが出てきましたけど、1対1の場合と、大勢の場合は、どっちが断りづらいですか?」

「状況や関係性による、ってこともあるとは思いますけど、圧力が違うのはわかります」

「親友からのめんどくさいお願いと、「とりあえず生」と、どっちが嫌ですか?」

「「とりあえず生」のほうが負荷が軽いですね」

「自分も、同じです」

「負荷が軽いから受け入れられる、ってところはありますよね」

「なるほど、ストレスの尺度は人によって違うけど、負荷が軽いことは渋々受け入れられるわけですね」

「ほんとにビールな嫌いな人にとっては、「とりあえず生」は苦痛ですよね」
「そんな嫌いじゃないから「まあいいかな」ってなる」

「上下関係がある場合はもっとめんどくさい」
「上司が「これ食べる?」って言ってきたら「お腹いっぱいなんだけどな」と思いながらも「食べます」って言っちゃいます」

お願いするときのほうが負荷がかかる?

断るときの負荷とどれくらい違う?

「仕事で、シフト交換をお願いするとき、すごい負荷がかかります」
「逆に交換をお願いされたときは「すみませんちょっと難しくて」ってまだ言いやすい」
「自分からお願いするほうが言いづらいです」

「シフト交換の例、わかりやすいですね」

「私も同じです」

「私もです」

「ああ、これは結構共通なんですね。なぜなんでしょう。イーブンでもよさそうな?」

「理屈上はイーブンだと思うんですけど、心理的にははっきりと違う」
「自分を通すっていう作業だから? でも断るのも自分を通す作業だし」

「受動的か、能動的か、ってところ?」
「自分から率先してわがままを通すか、言われてから自分のわがままを通すか、みたいな」
「ワンクッションあるかの違い」

「負荷の内容を掘り下げたほうがいいかもしれない」
「お願いするときって、何が嫌なんでしょうか? 負荷の正体は?」

「相手に嫌だと思われたくないのがあると思います」
「相手「いや、マジかよ……」って思われたくない」

「お願いは、主導権が相手にいくんですよね。断るのは、主導権が自分になる」

「私はお願いする場合、相手の反応がわからなくて怖い。どう返ってくるかがわからないのが怖い」
「相手を知らないと、このお願いはきついかな、とかもわからない」
「自分がお願いするときに、相手の様子をすごく伺ってるなと思いました」

「仕事で、自分が誰かに作業を指示することがあるんですけど、「お願いします」って言うのが最初しんどくて……今は慣れましたけど」
「相手との関係が築けて、こう言えば大丈夫、この内容なら大丈夫って見通しが立つようになった」
「そうじゃないときは、どうしたらいいだろう、って。自分だったら「はい、わかりました」って簡単に引き受けることでも、人にお願いするのって難しい」

「相手を知っていく上で、変わった?」

「変わりました。心理的負荷が減りました。でも、慣れたとはいえ、お願いするより、お願いされて「やります」って自分でやるほうが心理的に楽です」

「そうすると、一般論ですけど、人に何かを頼むとか依頼することって心理的負荷がかかることなんですかね?」

「聞いていて、相手に主導権が移ることは、こっちに負荷がかかるんだなって思いました」
「断るのは自分に主導権があるから、お願いは主導権を相手に委ねるので、そこに負荷の差がある」

「結果どうするか、の主導権がどちらにあるか、ですね」

「世の中の管理職はみんな負荷かかってるんですかね……」

「お願い」と「指示」、どう違う?

どんな差があるのか?

「お願いと指示ってどう違うんでしょうか?」

「ああ、いい問いですね」

「指示だと「やってね」ってなるし、お願いだと「やってくれるかな……?」ってなるから、どう違うのかなあ、って」

「チーム全体に「誰か手伝える人いますか」って聞く場合と、「◯◯さん手伝ってください」と直接言う場合は違いますよね」

「指示とお願い、確かに言われると違いますね」

「ディレクションをやりたい人は、指示は抵抗ないんだと思います」

「相手に断る余地があるかどうか?」
「お願いは断られてもしようがない、指示は基本断れない」

「相手に断る余地を与えないのが指示、ちょっと余地を与えるのがお願い」

「飲み会の幹事やってくれる?とかはお願いになりますね」

「お願いっていうふわっとした状態にすると、頭を使うというか、それでストレスがかかる」
「指示はもう従うだけだから。お願いだと、いろいろと頭で考えてしまう」

「断れるかも……でも断ったら誰々さんに行くよな……そしたらどう思われるかな……とか」

「指示的な感覚でお願いができれば無双できますね」

「そんな感じで、仕事でお願いされることもあります」

「頼み上手な人はうまく指示っぽくやってるんでしょうね」

「これこれこうだから、あなたにやっていただけると助かるんですけど……やっていただけますか?……みたいな。お願いだけど、ほぼほぼ指示」

「うまいですね」

「あなたじゃなきゃいけない理由をちゃんと言うんですね」

「誰でもいいんだけど君がやっておいてくれないかな?って言われるのと、この件に関しては君が一番詳しくて適任だと思うのでやってもらえるとうれしいんだけど、って言われるのとでは、全然気持ちが違いますね」

「そうですね、きっとそれは相手の方もわかって使ってる。頼み上手なんです」

「これは良いライフハック」

「お互いにwin-winになるからいいですね」
「ポイントとしては、あなたじゃなきゃだめとか、あなたが適任だ、みたいな理由が含まれてる?」

「そうですね、それだと受け入れやすい……逆に断りづらいのかもしれないけど」

「確かに……」

「飲み会の幹事とかも、うまい言い方で頼んでくれれば気分良く引き受けられるのかも」

「みんなに好かれてるし、とか」

「お店詳しそうだし、とかね」

「一番人望が厚いのは君だから、とか」

「それはもうやらざるを得ないですね」

(一同笑)

「でもまあ確かに、とりあえずやっておいてよ、よりは気分いいのは間違いないですね」

「ただ、指示寄りになるから、逃げ場がない感じはします」
「でも、逃げ場がない方がぐるぐる迷わなくていいから、楽な側面もある、と」

なぜ「嫌」って言えないのか?

改めて考えてみます。

「改めて、なぜ「嫌」って言えないのかを考えてみましょう」

「断られた相手の気持ちを想像しちゃうから」

「えっと、相手がマイナスの気持ちになることを想像しちゃうとして……それの何が嫌ですか? 相手の気持ちのことだから、と切り捨てられないですか?」

「罪悪感……かな。相手をそういう気持ちにさせてしまったことへの罪悪感」

「私も、罪悪感を感じちゃうと思います。できれば感じたくない」

「自分が嫌っていうと、相手にマイナスを与えて、自分もマイナスの気持ちになる」
「となると、この場合、相手もマイナス、自分もマイナスの結果になる。嫌々OKした場合は……」

「相手はちょっとプラスになりますよね」

「そうですよね、相手はプラス、自分はマイナス。断ったほうが二人ともマイナスになる。自分が断った方が総合的には損失が大きい」

「お互いにプラスになる状況ができれば一番いいんですけど……」

「嫌と言えない理由、罪悪感以外にもありますか?」

「場の空気を壊すのはあります」
「友達の気持ちに水を差すのが嫌で断ったり」

「関係が変化するのが怖い? 関係は変わらない?」

「正直、断ったらめんどくさそうってのが大きかったです」
「でも、最終的にその関係は終わってしまったんですけど……」

「嫌々引き受けたことに対して、相応の感謝があったら違ったかもしれないですね」

「自分と相手をプラスとプラスにする方法は、マイナスになっている方になんらかのメリットを与えてプラスにするしかないと思います」

「根本的な問題が気になっているんですけど……嫌々引き受けるときって、「嫌々です」って言いますか?」

「言わないですね……」

「出せないです」

「それを向こう側が感じていて、何かしらこちらにメリットがあるようなことがあれば、プラスとプラスにできるかなと思いつつ……でもそれって相手側の価値観にもよるから難しい」
「こちらから能動的にその方向に持っていくのも……それができたらすごいハックになるんですけど」

「すごい嫌で、これだけの手間がかかるけど、でもやりますってことを伝えて、相手から自分に補填する何かがあれば……プラマイゼロくらいにはなるかも?」

「私の場合、友人に結構労力がかかることを伝えたんですけど、それは友人には負荷だと伝わってなかったみたいで」

「なるほど」

「嫌ですけどやります、とはやっぱり言えないですね」

「それが言える関係性ってありますか?」

「家族なら言えます。しょうがないなあ、って」

「しょうがないな、って言える関係性ならいけそう」

「ちゃんと相応のお礼してよ、とかも言えますもんね」

「ちゃんとプラスにしてねって」

「でも仕事の場では言えないですね」

「嫌々やるんで、なにかくださいとは……」

(一同笑)

「でも、エンジニアさんはわりと多いかも。技術系の人は言う人は言いますね」
「そうじゃないと、仕事としてやってられないところもあると思います」
「納期厳しいけどやりますよ、みたいな」

「これまであがった嫌と言えない理由は、罪悪感、空気を壊すのが嫌、気持ちに水を差したくない」
「自分だけ我慢しておけば、相手はマイナスにならないから、そっちのほうが総合的には幸せだからと思ってしまう」

「我慢する人って、「自分さえ我慢すれば」って言うのをよく聞きますね」

「聞きますね、でもそれってあんまり良いことじゃなさそう」
「その角度から言われると、そういう生き方やめたほうがいいんじゃない?って簡単に言いたくなるんですけど、これまでの、嫌って言えますか?って角度からだと「言えないですよねえ」と言いたくなるから……悩ましい」

「当事者になるとそんな簡単に嫌とは言えない」

「嫌って言えたほうがいいのかな」

「はっきり言ったほうが相手がわかってくれるから、というのはあるのかな」
「あいまいにすると相手にも微妙な伝わり方になってしまう」

「業務上、嫌なことは嫌と言ったほうがいいんでしょうけど、そんな職場あるのか?っていう」

「さっきのエンジニア系の人たちも嫌って言えない状況があって、仕事を頼む窓口用のチャットを作ってここから依頼をまとめるようにしてました」
「たぶん、頼まれたら断りづらい人に仕事が集中しちゃって、支障が出たんだと思います」

嫌って言いづらいランキング

関係別に評価して並べてみます。

「ちょっと一度整理をします。これまで、仕事、友人関係、家族での話が続いていたと思うんですが、他の人間関係はどうでしょうか」

「恋人とか」

「知り合いとかも」

「じゃあ、仕事、知人、友人、恋人、家族の5種類で、ちょっと考えてみたいんです」
「10段階評価で、嫌って言いづらいが10。言いやすいが1にしましょうか。さっきの5種類の人間関係に、それぞれ評価をつけるとどうなりますか?」

「おもしろそう」

「では、ちょっと考えてみてください」

結果はこうなりました。

嫌と言いづらい  10    >>> 1   嫌と言いやすい

「結構違いますね」

「仕事の形態もあるかもしれない」

「恋人と家族は同じくらい言いやすいですか?」

「それくらいじゃないと、って気持ちがあります。それが言えなかったらはたして?って」

「恋人と家族は、皆さん家族のほうが嫌と言いやすい」

「私が差をつけたのは、今までおつきあいした人がみんな嫌って言いづらい人だったので、理想としては恋人は家族と同じくらいです」

「大別すると、家族と恋人は比較的嫌と言いやすい。仕事・友人・知人は言いづらさがある」
「でもちょっと、みなさんそれぞれで違いますね」

「ここから、「何が嫌なのか」を足していくと、もっとよく見えてくるような気がするんです」

「社会的な部分が強まってしまうと、断りづらさが生まれてくるのかなと思います」

「社会性が増えるにつれて、断りづらくなる」

「知人に言いづらいということは、知人に嫌と言うと罪悪感を感じる?」

「得体が知れないってことが怖いのかもしれない。だから、関係性がわからない人からのお願いって、わからないから怖い。断ったときにどう反応するかわからないから、みたいな」

「どう出てくるかわからない怖さ、ですかね」
「じゃあ、微妙な距離感の人からのお誘いってストレスですか?」

「ストレスですね」

「なるほど」

「だから、LINEで友達になってそれっきりとかすごい嫌です」

「友達追加してから1年後にいきなり飲みに誘われたりとか」

「すごい嫌です」

「同じケース、他の方はどうですか?」

「自分はそうでもないです。せっかくなら、って感じです。印象が悪くなければ」

「罪悪感よりも、自分がわからない、怖いのが嫌、ですね」

「仕事が言いづらいお二人は、それは罪悪感から?」

「いや……罪悪感ではない気がします」
「その後の関係を気にしてしまう」

「罪悪感というよりかは、その後のメリット・デメリットを考えてしまう」

「メリット・デメリットは、何のメリット・デメリットですか?」

「仕事全体での、です。穏便に働くために、自分の意見も通りやすくなるし」

「じゃあ、罪悪感だけだと説明がつかない感じですね」

「罪悪感を感じるのは、プライベート色が強い方ですね。友達とか」

「仕事の場合はメリット・デメリット、今後の関係性を考えて、ですね」

「言い換えるとそれは、さっき出ていた他人がマイナスな気持ちになることより、自分の快適さを重視してってことかな」

「なぜそうなるのか考えると、結局はお金が発生することだからかなって」
「簡潔に言うとそこで、お金が関係しないならそこまでは……」

「気持ちよく働くために、とりあえず我慢、乗っかっておく?」

「仕事って、簡単に関係を切れない。転職も簡単にできない。関係が切れない以上、うまくやっていくしかない」
「友人とかなら最悪切れるけど、仕事の関係はそうもいかない」
「だから、割り切ってしまう」

「だから「とりあえず生」に乗っかるわけですね」

対話を振り返って、ひとこと感想

簡単な感想をいただきました。

「今日はライフハック的な要素が強かったな、と。一番意識したいなと思ったのは、自分と相手がマイナス・マイナスじゃなくて、プラス・プラスになるよう、自分がプラス側になるようにやればいいんじゃないのかなと。意識していきたいなと思いました」
「お願いっぽくする指示も勉強になりました。言い方次第で変わるんだな、と」

「改めて、たくさん話してみて、自分はこう思っていたんだなって発見がありました。勉強になったって感じがありました」

「こういう対話が初めてだったので、すごく新鮮で楽しかったです。また別の開催してるところも行きたいなと思いました。いろいろな人の価値観を聞いてみたいです」

ここで時間いっぱいとなりました。

ファシリテーターの思うこと

何を気にして嫌と言えないのか?
関係性によってその理由はどうやら違うようです。

仕事のつきあいなら、今後の関係や、自分の居心地。
友人なら、相手の気持ち、罪悪感。

ただ、興味深かったのは、人によって言いづらさの度合いがかなり違ったこと。
嫌と言えるかどうかは個々の性格、強みや弱みにつながっていて、深く理解することで少し生きやすくなるのでは……?と思えました。

参加してくださった皆様、ありがとうございました。

次回の開催案内

次回は2025年1月11日(土)開催。
テーマは「コミュ力とは?」です。
詳細はこちら

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