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「さみしさとは?」対話カフェそもそも レポート#28

【開催日時】
2023年12月23日(土)
13:00~15:00

第28回のテーマは「さみしさとは?」です。

なんだかよくわからないけど、さみしい。
そんな気持ちになったことはありますか?

人の感情は喜怒哀楽があると言われますが、
さみしさと哀しさは少し違う感情のようです。

よく使われるわりに、よくわからない感情、さみしさ。
そんなさみしさについて対話したレポートです。


はじめの問い

まずはテーマについて抱いている問いや、思うこと挙げていきます。

「どんなときにさみしさを感じるのか」

「さみしいと心細いの違いは?」

「さみしいと孤独感の違いは?」

「さみしさはマイナスのこと? 悪いことなのか? ないほうがいいのか?」

「どうしてさみしさを感じるのか?」

「さみしさは感情か? 認識か?」

「自分が思う主観的なさみしさと、他人がさみしそうだと決める客観的なさみしさがある?」

「いいさみしさと悪いさみしさがあるなら、その違うは?」

これらの問いが挙がりました。

まず、さみしさを感じる状況をたくさん挙げたほうが良さそうなので、こちらの問いから始めます。

どんなときにさみしさを感じるのか?

実際にさみしさを感じたのは、どんなとき?

「私は小学生の頃カギっ子でした。学校から帰ってくると家に誰もいなかったとき。誰も『おかえりなさい』と言ってくれないことがさみしかった」

「映画や本、物語を見終わったとき。特に、長編シリーズの小説を完結まで読み終えたときに、さみしく感じる」

「私は同じようなことを、『進撃の巨人』の最終回で感じました。もう読めないんだ、って」

「大学の講義で、周りの人たちはグループで固まっているのに、自分はひとりぼっちのとき」

「一人で『セーラームーン展』に行ったときに、周りで見ている人たちが『懐かしいね』と言い合っているのが聞こえてきた。自分は誰ともそういう話ができなかったとき、さみしかった」

「質問です。それはどの展示会でも同じなんですか?」

「ゴッホ展を見に行ったときは、そんなにゴッホについて語れないし、周りもそんなに盛り上がってなかったから、そうは思わなかった。セーラームーンは、自分にとって懐かしいものだから、誰かと『懐かしいね』って言い合いたかった」

「懐かしいね、と言えなくてさみしかったのは、感情の共有ができなかったから、と言えそう」

「同じような感想を言いそうな人が、自分の人脈にいなかったら、それは最初からさみしいと感じないかも」

「ゴッホ展は、誰かと共有できるとは最初から思ってなかったから、さみしいとは思わなかったのかもしれない」

「もうこの作品の続きはないんだ、というさみしさの話が出ましたが、それって『○○ロス』って言ったりしますよね。○○ロスとさみしさは同じことでしょうか?」

「○○ロス」とさみしさは同じこと?

例えば、人気ドラマなどが最終回を迎えた後、SNSなどでよく使われる「〇〇ロス」。これとさみしさは同じ?

「近いことだとは思う。地続きではあるけど、〇〇ロスは引きずっている感じが強い。作品が終わった直後に認識するさみしさ」

「〇〇ロスは、さみしいなあという気持ちが長く続く感じ。誰かが亡くなったときに近い感覚。先行きの無さが強い。

「亡くなったときの感覚という表現が出ましたが、そういうのをよく『喪失感』と言ったりします。さみしさと喪失感の違いは何なのでしょうか?」

さみしさと喪失感の違いは?

似ているようで、どう違うのでしょうか。

「喪失感は誰でも感じるもので、さみしさは個人が抱く特別な喪失感みたいなもの」

「さみしさのほうがちょっと特別なんですね」

「喪失感は、客観的にもはっきりしていること。さみしさは、その人の主観、個人が感じていること」

「『私、〇〇ロスなんだよね」とは言うけど、『喪失感があるんだよね』とは言わない。『さみしい』は言う。〇〇ロスが一番カジュアルな表現」

〇〇ロスはカジュアルな寂しさ?

さみしい、心細い、孤独感、〇〇ロス、喪失感の違いは?

「作品が終わったさみしさと、感情が共有できないさみしさ、『おかえり』がないさみしさは、それぞれ違うように思います」

「それぞれについて思う印象を挙げてみましょうか」

「さっきもありましたが、〇〇ロスが一番カジュアルで言いやすい」

「一番深刻なのは孤独感だと思います」

「孤独感と喪失感は近いように思う。それらを埋めてくれるものの大きさも違う」

「心細いは、孤独感よりも孤独の度合いが低い」

「心細いには、不安の要素が含まれている感じ」

「それぞれ、いいものか悪いものかを振り分けるとどんな感じでしょうか?

5つとも、いい面も悪い面も持ち合わせている、という結果になりました。

「完全に悪いさみしさとかはなくて、状況によるのかも」

「〇〇ロスは、SNSでよく見る。これは感情の共有に使うのに便利だからかも。ドラマが終わってさみしい、という感情を誰かと共有するとき〇〇ロスっていうのは便利」

「喪失感は、自分自身についても感じるときがあります。過去の自分、成長する前の自分を思い返して、あのときの自分はもういないんだ、という喪失感」

ニュアンスの違いだけでなく、使いどころの違いもありそう。

どうしてさみしさを感じるのか?

「さきほど挙がったように、感情の共有をしたいから」

「先行きがないから」

「起きたことに対して、もうどうしようもないから」

もう自分には何もできないという状況まで達すると、さみしい?

「クリスマスに一人だとさみしい」のはなぜ?

「クリスマスに一人で過ごすのはさみしいという話をよく聞きます。自分はそう感じたことがないのでわからないのですが、あれはなぜさみしいのでしょうか?」

「周りの人は誰かと過ごしているのに、自分は違うから?」

「クリスマスは実は関係なくて、一人でいることそのものがさみしいんでしょうか?」

「SNSとか見ていると思うのは、『クリスマスに恋人がいないのはさみしい』という価値観の人の声が大きくなる」

「それは、『クリスマスに一人はさみしいよね?』という他者への決めつけになりますね」

「この価値観は、とくに女性にありがちだと思います」

「クリスマスになると、家族団らんの夕食とか、カップルでイルミネーションを見ているとか、そういったイメージのテレビCMが増える。そういうことができない人は、家族や恋人をすごせないことをメディアからつきつけられているのかもしれない」

「平成初期くらいまで、『女はクリスマスケーキ、25すぎたら売れ残り』という言い回しがあったらしくて。女性は選ばれるもので、男性は選ぶ側、という社会の空気が濃かったんだと思う。それは今でも残っていて、クリスマスになると、誰からも選ばれなかった私が強調され、さみしさを周りからをつきつけられているのかもしれない」

「だから、女性のほうが強く感じて、男性はあまり気にしていないのも、そういう理由だからかも?」

「男性は冗談でクリぼっちというけど、女性同士だとあまり冗談にできる言葉ではないように感じる」

「クリスマスのさみしさは、恋人がいないことへの劣等感ってことでしょうか」

「それって特殊なさみしさですよね」

「選ばれない女性はみじめである、という価値観が前提になってますね」

「こういったことは、女性同士だけで語られることが多い。だから、男性からは『クリスマスのさみしさ』が見えづらいのかもしれない」

このあたりで時間いっぱいとなりました。

ファシリテーターの思うこと

さみしさに近い言葉はたくさんあって、それぞれがちょっとずつ意味が違う。
逆に言えば、心細さ、孤独感、喪失感、劣等感など、様々な感情を大きく包んでいるのが「さみしさ」なのかもしれません。

ただ、それらも悪いことばかりではない……というお話に、少し救いを感じました。

参加してくださった皆様、ありがとうございました。

次回の開催案内

次回は2024年1月13日(土)開催。
テーマは「自分らしさとは?」です。
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