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「恋愛したい?」対話カフェそもそも レポート#46

【開催日時】
2024年10月26日(土)
12:00~14:00

恋愛したほうが人生が充実する。
恋愛はできるならしたほうがいい。
……そんな「恋愛せよ!」という社会の空気は強いようです。

一方、恋愛の悩みはよく耳にします。
恋愛をしたらしたで、なんだかつらそう。

恋愛したいですか?
それとも恋愛したくない?

恋愛のあれこれについて、
10代20代で対話したレポートです。

はじめの問い、テーマに思うこと

まずはテーマについて抱いている問いや、思うことを挙げていきます。

「恋愛しないで生きたほうが絶対に効率的なので、正直、恋愛せずに生きていきたい。でも、周りの圧もあるし、寂しさでどうしても大事にしてくれる人が欲しいと思うこともあって」
「そう本能的に思ってしまう自分に腹が立ちます。それがしばらくの悩みです」
「不合理とわかっているのに、なぜ恋愛したくなるのか?」

「恋愛という定義がわかってないんですけど……人を好きになることと、恋愛の違いは?」

「私はまだ結婚する年齢でもないですけど、同世代でつきあっている子はいる。結婚はしないだろう人とつきあう理由ってなんだろう、って」
「ゴールが結婚じゃない恋愛を、なんでするんだろう」

「恋愛しないほうが効率的だけど、本能的にしたくなる、という話を聞いて……私の友達が、恋愛よりも、一緒に人生を歩んでいくパートナーが欲しいと言ってた。恋愛と結婚はまた違うのかもと思いました」
「パートナーにならない人となぜつきあうのか疑問」

「なぜ嫉妬するのか、それについての皆さんの意見を聞いてみたいです」
「それがあるので恋愛したくないな、というのもありつつ、さきほどの話のように本能的に求める部分があるとも思う」

「周りの圧について……下敷きに「恋愛したほうがいい」というのがある思うんですけど、それって本当なのかな?って気になります」

「その、恋愛したほうがいいの圧はどういったところから感じるのかな?って。自分はあまり感じたことがないので……」

「恋愛したいと思った瞬間、逆に恋愛したくないと思った瞬間を聞いてみたいです」

「アプリとか、出会いの場で恋愛しようとしてるじゃないですか。そういうの出会いの場を作ってまで恋愛したいのか?」

「出会いの場って、アプリだとなんか微妙で、学校とか会社だとまあ良い、みたいな……出会いの場について皆さんどう思っているか」
「正攻法っていうか、学生時代からのが一番いいというのがあるとは思う。社会人になると難しくなる。どこで出会いを作っていくかとなると、結局動かないと出会いの場が得られない」

「自然な出会いと不自然な出会いがあって、社会人になると不自然な方を選ぶしかなくなる、みたいな」

「仕事にもよるとは思うんですけど、自分の場合はほぼないので……そういう場合はどうしていったらいいんだろう、と」
「社会人になったらどうやって出会いを作ったらいいのか?」

「恋愛に貴賤ってあるのか? いい恋愛悪い恋愛とかってあるのか? 子どもの頃の恋愛と、年取ってからの恋愛って同じ価値に置いてはいけないような気がする」
「子どものときは純粋なもので、年を取るといろいろな思惑が絡み合ってくる。年齢によって恋愛の価値観が変わってくる」
「問いとしては、いい恋愛、悪い恋愛があるのか?」

「さっきの、社会人になるとどうしても不自然な出会いになる、という話を聞いて……恋愛しないの?の圧があるという話があったんですけど、例えば職場で恋愛したとしても周りからの圧があると思う」
「してもしなくても圧があるなら、自然な出会いである意味ってあるのかな?って思いました」

これらの問い、思うことをあげていただきました。

恋愛したい?

対話に入る前に、恋愛したいかどうか、皆さんに聞いてみました。

積極的に恋愛したい……0名
どちらかといえば恋愛したい……2名
どちらでもない……1名
どちらかといえば恋愛したくない……2名
恋愛したくない……0名

全員のスタンスを確認できたところで、最初の問いに向かいます。

好きになることと、恋愛の違いは?

どのような違いがあるのでしょうか?

「年齢を重ねていくと、人を好きになることが増えたんですが、それが恋愛かどうかわからない。単純にその人の魅力にひかれてるんですけど、どこから恋愛なのかわからなくて。その線決めができたらいいなと思って」
「自分は、人のことを瞬間瞬間で見ちゃう。この瞬間は好き、この瞬間は嫌いってことがあって、同じ人でも一定の評価で判断していない」
「恋愛って、それをどうやって扱っていけばいいのか……嫌いなことも受け入れられるのが恋愛なのかな」

「人を好きになっているときは一方的に思っていればいいけど、つきあうとなったら、告白して「いいよ」って言われる、相手とのラリーが必要になる」
「相手からも何かを求め始めると恋愛になるのかな、って感じです」

「往復的な何か、ってことですね」
「一方的に、好き好き!ってボールを投げてるのは違う?」

「それって片思いになるのかなって思う。恋愛は相手から何かしら返ってくるもの」

「今の世の中って、片思いすごく多くないですか? 趣味とか片思いな気がする」

「例えば、推し活とかですか?」

「そうです。そのほうが恋愛よりもコスパいいし、自分の中で終わらせられるから安心感もある」

「恋愛の代わりに推し活で満たされてる?」

「かもしれない……それ、いいのかなあ?」

「自分は推し活は恋愛と思えなくて、野球が好きとかと同じ感覚。お笑い芸人が好き、アイドルが好きだったり、みたいな感じなのかな」

「そういうものの延長なんじゃないか、ってことですね」

「ラリーを求めるのが恋愛で、何も求めず自分の感情だけで動くのが推し活だとしたら、その間の友達って関係が一番健全な気がする」
「暑苦しくないし、求め合うこともしない。でも相手とのラリーはする」
「友達を増やすのがいいんじゃないか」

「そうなると「健全な恋愛」はない、ってことになる?」

「うーん」

「健全な恋愛って言葉は矛盾してるように思いますか? 恋愛していくと健全性が失われるというお話でもあったから……」

「その健全さって、最初に出てきた合理性とかと近いものですかね? コスパとか」

「合理性と健全さの違いは……感覚があるかないか……?」
「でも合理性も感覚なので、自分のなかでどう合理性と言えるかは、感覚による気がする」
「完璧に同じものかと言われたら違う」

「好きと恋愛の違い、私の中では恋愛という大きな枠があって、その中の一部に「好き」「片思い」がある。恋愛の中にいろんなパーツが入っていて、その中に「つきあう」もある」

「「好き」のほうが恋愛より小さいってことですか?」

「そうです。中に入っている」

「私は逆で、好き同士になったら恋愛になる、みたいな」

「好きと好きの矢印が向き合ったら、恋愛に進化するみたいな」

「ふと思ったのは、つきあっている二人で、そんなにお互い好きじゃない場合もあるんじゃないかな?って」
「例えば、お互い結婚適齢期で出会ったから、とりあえずつきあってみるとか」
「じゃあ、それって恋愛なのか、どうなんだろうって思いました」

「私は、相手とのラリーが返ってくるものが恋愛という話をそうだなと思いました。好きって一方的に思うのはコスパはいいけど、相手から返ってくるのが楽しいのが恋愛と思って」
「でも、本当に好き同士なの?とか、相手を好きだと思ってる自分が好きなんじゃ? 恋をしている自分が好きっていうのもあるなと思いました」

「恋愛に恋してるのはありますよね。でもそれって外からはわからない」

「恋愛してないのにつきあってる人は、実際いると思いますか?」

「本人たちは恋愛だと思ってるけど、客観的に見るとそうじゃない二人はいるかも」

「客観的な恋愛関係ってあるんでしょうか。私たちが違うと思っていて、当人同士が恋愛してると思ってた場合、それはどうなるんだろう」
「客観的に恋愛してるしてないって決められるんですか?」

「まあ、推測でしかないですね」

「居酒屋で男女を見たらカップルだとわかるときもあります」

「イチャイチャしてるなとか、よく目を合わせてるなとか」

「そこを恋愛に結びつけるのってなかなか飛躍してますよね。すごい仲良い友達同士ってこともありますよね」

「たしかに。偏見でしかないですね」

「女子高生同士が手を繋いでいたのを見たとき、今の時代それが多様な恋愛のかたちなのかと思ったりする」
「恋愛と友達のあいまいさって、多様性が広まっていくとどんどんわかりにくくなっていく」

良い出会い、悪い出会いってあるの?

自然不自然、良い悪い、上品下品……恋愛や出会いにそういう区分けはあるのか?

「感覚的にはあるんじゃないかと思っていて。でもその価値観をどこから持ってきたかと思うとわからなくて。誰かから言われたわけじゃないですし……いつのまにか、みたいな感じ」

「そもそも上品下品って、人間が勝手に作り出している。その社会で生まれた決まりのようなもの。それが形を変えて恋愛にもつながっている」
「私は、出会いに上品下品って無いと思う。ただ、社会で作られているドラマやアニメで、学校で出会うことの偶然性を重視してる。それが、たぶん上品下品の正体かなと思ってる」
「本質的には、出会いには等しく同じ価値があると思う。みんながそう思えたらいいなと思っていて、それをどうやったらいいのかな?って考えてます」

「なぜマッチングアプリが上品ではないとみなされるのかを考えたんですが、「恋愛にすごくがっついているのカッコ悪い」みたいな風潮があるのかな、と」
「「がっついてるのカッコ悪いけど恋愛してないのもダメ」ってなんかおかしいじゃないですか」
「そうなると、普段いるコミュニティの中で相手を見つけられることが、社会的に「この人は大丈夫」「しっかりした人だ」という証明になってるんじゃないのかな」
「マッチングアプリはその証明にならない、って人がいるんじゃないか、と思いました」

「社会的な評価が関わってくるんじゃないか、と」

「結婚式で、馴れ初めを紹介するとき、合コンとかナンパだったとは絶対言わないですものね。友人の紹介、と言い換える」
「それも社会的な評価を気にして、ってことでしょうね」

「そういうところから、上品下品みたいな感覚を人を持ってしまうのかも」
「言われてみると不思議ですよね。ナンパでも、学校で会ったとしても、出会いは出会いなのに」

「ナンパはダメなのに、何かの拍子に偶然出会いましたは許されますよね」

「飲食店でたまたま隣のカウンターでした、とか」

「偶然性が高いと素敵なエピソードに変わるの不思議ですね」

「社会的価値、なるほど。自然な出会いをゲットできるのはまともな人の証明になっている、と」

「そういう証明書になっているんじゃないか、と」

「それすごく不健全な気がします」

「現実、まともとは限らないのにな、って」

(一同笑)

「ちょっと話がずれるんですが……どういった要因で、自分の好みが形成されたのか、皆さんに聞いてみたいです」
「例で言うと、ガッキーが好きな人、佐々木希が好きな人、どうやって分かれたのか」

「ではそちらは後で問いとして考えましょう」

恋愛したほうがいい、というのは本当?

恋愛したほうが充実してるという価値観や圧力、どう思う?

「したほうがいいというより、本能的にせざるを得ないと思っていて。寂しくて本能的に人を求めている面が少なからずあると思う」
「より深い人間関係を築きたいと考えると、現実的にはパートナーを作るしかない。友達と四六時中一緒にいるわけにもいかない」
「本能的に作らざるを得ないんじゃないかなと感じてます」

「具体的に、恋愛したほうがいいという圧力を感じたエピソードがある方がいたらそれも教えてください」

「私は女友達から「マッチングアプリ入れたら?」とか「彼氏作らないの?」とかは言われます。なんでだろう?って思います」

「これってもしかしたら女子コミュニティに多い話なのかな?」

「男性と女性は違うかもしれない」

「私は、「今まで何人とつきあったことある?」みたいな話とかって、いや、ちょっと言いにくいな……って」

「友達が結婚したときに「置いてかれてる」みたいな感覚はあります。友達が恋人を作ったときも、そういう気持ちを感じた自分がいたかも」
「同じコミュニティの人が結婚していくと、置いていかれてるな、と」

「年齢とかではなくて、コミュニティ内の近い人が結婚すると、「結婚しなきゃ」の圧が発生するわけですね」

「じゃあ、すごい田舎で、みんな20歳くらいでどんどん結婚するようなコミュニティにいたら、20歳すぎでも「やばい」ってなったりするかも」

「結局、周りとの比較ですね」

「しかも、近い人との比較なんでしょうね」

「私はオタ活にハマってるんですが、オタ活のイベント後に友達と会ってイベントのことを話したら、「新しい出会いがあるといいね」って言われたんです」
「自分としては、そのイベントとまったく恋愛を繋げてない。出会いを求めてやってない」
「「ファンが集まる場所だから出会いがあるだろう、出会って恋愛したらいいんじゃない?」という圧を、まったく恋愛を想定してないところで言われて……そういう価値観があるんだってびっくりしました」

「なんでも出会いと繋げようとする人はいますね」

「いつも恋愛を頭に置いてるか、置いてないかの価値観の違いはありそう」

「すぐ恋愛を持ち出すという話でいうと、すごく仲が良い男女がいたとしたら、「なんでつきあわないの?」って言うの、あれも圧のような気がします」
「お互い友達で、恋愛を求めてなくても「えー、つきあいなよ」って感じになっちゃうじゃないですか」

「こういった圧は、なんであるんでしょうか?」

「恋愛関係が一番上だから、ですかね」
「友達よりも上にあるように見えてるから」

「親や家族はどうですか?」

「家族との比較は難しいですね……」

「あと、パートナーは人生で一番一緒にいる時間が長いから。親よりも長い」

「仲良いのになんでつきあわないの?って言う人たちの頭の中に、こういう人たちはカップルだ、ってイメージいう固定概念があって、それにこんなにハマってるのにつきあっってないのはおかしい、みたいな」
「でも本人たちはこの関係が心地良いからそうしているだけだけど、見てる人からすると「なんでつきあってないんだろう?」と思えて、「つきあいなよ」が生まれてるのかなと思います」

「それって、自分の中の想像と違ったら嫌だってことですよね。僕はあまり得意じゃない」

「人の恋愛をエンタメみたいに見てる人っていますよね」
「恋愛マンガとかアニメとかを見てる感覚で、「つきあいなよ、それを見てる私はそのほうが楽しいから」みたいな感じ」
「もしかしたら、自分が恋愛するのは不合理でめんどくさいがゆえに、人のを見て楽しむ人もいるのかな」

「恋愛もひとつのコンテンツですよね。他人が絡むとコンテンツとして弱くなるから、だったら自分の好きな作品を追っかけてたほうが恋愛よりも安定して楽しめる」
「かつ、人のことをコンテンツにしてはいけないという風潮があるから、より恋愛がどんどんマイナスなイメージになっていく」

不合理だとわかっているのになぜ恋愛するの?

「ゴールが結婚じゃない恋愛をなんでするの?」の問いも並行して扱います。

「承認欲求を満たすのもあるのかも。SNSで幸せアピールしてるとか、マウントまではいかないけどそういうのもあるのかな」

「そこもさっきの社会的評価とつながってますね」

「結婚しない恋愛に意味があるのかという話について、恋愛関係ってじゃないとできないことがある。関係を近くするからこそ見えてくることもある」
「友達ではできないけど、恋人だったらできる。そこを深堀りできたらいいな、と」
「結婚だとできないけど恋愛だとできることもありそう。恋愛の距離感だからできること」

「嫉妬の話とも繋がるんですけど、恋愛することで相手を独占する権利が生まれるからするのかな、って」
「昔、好きだった人とつきあいたかったときを思うと「私以外の人と仲良くしないで」って気持ちで、独占する権利が欲しかったんだと思います」

「彼氏彼女は他の人と仲良くしないって契約」
「その契約が破られそうになると、不安と嫉妬が生まれるのかな」

「好きって気持ちがあったら、嫉妬が発生しないほうがおかしいんじゃないかな」
「自分の仲良い友達が、他の人と仲良くしているのを見ると、少し心の中でおもしろくない部分もあって。それが恋愛になるとより多くなる」

「恋愛したら、不安も生まれて、嫉妬は必ず発生する?」

「その、脅かされているものが何なのか。食べ物みたいに減るわけじゃない。けど、好きな人が他の人と仲良くしていたら、自分の中で減る何かがある」
「何が減ってるんだろう?」

「何が怖いか、ってことですよね」

「自分がいずれ独占できなくなるんじゃないか?と思って怖くなるからじゃないか、と思いました」

「つきあうって口約束の契約を交わすじゃないですか。愛しますよ、愛されますよ、というのがあって」
「友達でも同じかもしれないけどちょっと曖昧。告白してつきあった、という契約によって、愛情が確約されてるみたいな安心感がある」
「そこで、他の人に愛を向けられたら、自分への愛がなくなるんじゃ?という……依存というか……確定ルートだったのにそれが無くなったら何を頼りにしたらいいのか、って状態になるから、嫉妬が生まれるのかな、と」

「嫉妬の話を聞いていて、最初に出てきた恋愛は相手とのラリーという話と外れている気がする」
「嫉妬って相手のこと見えてない気がするし、人として見てるのかな?って」

「愛情が確約されてる安心感って、具体的に言うと、来年も再来年も一緒にいるよね、って約束ですよね。で、結婚は、一生一緒にいます、って契約」
「それによって得られる安心感はある、という建前にはなっている」
「そこが脅かされる不安が嫉妬なのかなと思いました」

「恋人は結婚に比べて軽い契約。だから不安になりやすいし、嫉妬も起きる。契約なんだけど、つきあって別れてを簡単にできるから、結婚じゃない恋愛、恋人状態のメリットなのかなって」
「すぐに離れられる関係だからこそ嫉妬が起きる」

「恋人は簡単に別れられるけど、嫉妬も起きやすい。結婚は簡単に別れられないけど、嫉妬は起きづらい。トレードオフの関係になってる」

「恋人は簡単に乗り換えOKのメリットがある」

「結婚とか恋愛とかって状態にしたら確約されるって、本当か?って思っちゃう」

「独占欲とか束縛って、逆にそれが原因でダメになるものありますよね」

「改めて、デメリットが多そうなのに恋愛するのはなぜなんでしょうか」
「デメリットを乗り越える何かがある?」

「比較じゃないですけど、近い人が恋愛してると、いいなって思います」

「メリットとして……入院するときの保証人になる」
「世の中って結構、誰か身近な家族がいる前提で成り立っているじゃないですか。家を借りるってなっても保証人がいる。入院や手術もそう」
「社会がそもそも一人で生きるように設定されてないと思うときがあります」

「たしかに、独居の人は何か会ったときにすごく困るんですよね」

「真逆の話なんですが……私が思う恋愛のメリットって、同棲を想定すると、その人の寝ぐせとか、寝ぼけた声とか、すっぴんとか見られるってめちゃくちゃいいなって思う」
「私的な部分を知れるのは恋愛っていいんじゃないかなって思う」

「いま、「恋愛したいと思う瞬間、したくないと思う瞬間」の問いも同時に進んでいるように思います」
「入院のときとか、そうですよね」
「恋愛したくない!と思った瞬間はあがってないので、何かありますか?」

「私は、恋人と別れたときです。これを最後にしよう、もう恋愛しなくていいや、って思いました」
「でも、恋愛したいって思う瞬間も今はあります」

「私の友達は恋多き人が多いんですけど、その人達の愚痴を2時間くらい聞かされるとかあって、日常的に聞かされていると「そこまでして恋愛したくないな……」ってなっちゃってます」
「デメリットを聞かされる機会が日常的に多い」

「聞かされるエピソードは何が多いですか?」

「振り向いてほしいのにうまくいかない、とか」
「一人に執着してる感じが、自分にはできないな、って。そこまで熱量持てない」

「恋愛したいなーって思った瞬間、他にあったりしますか?」

「病気で右腕が上がらなくなったときに、一人暮らしだとコップにお茶を注ぐことすらできなくて。一人って大変だなって」

「実際に一人で暮らす苦労を体験すると、そう思いますよね」
「コロナで重症になったとき、一人で不安だったって人は多かったと思います」

「でもこれは消極的な理由ですね」

「そうですね、マイナスを埋めるような理由」

「結婚したい人も、将来の不安を埋めにいくって気持ちが強い」

好きなタイプはどうやってできあがった?

どのような体験から形成されたのか?

「問いに進む前に、皆さんに聞きます。明確に、好きな異性のタイプがある方は?」

「同性だったら、私より仕事ができる人。異性だったら、私の趣味を愛してくれる人。そうじゃないと嫌なんですが、なんで性別によって違うかは自分でもよくわからないです」

「私は、こういうのをしない人がいいなっていうのが強い。怒鳴ってる人の声を聞くのが苦手なので、怒ったときに大声で解決しない人。ちゃんと話し合える人」
「私の父がちょっとそうなんですけど……クチャラーじゃない人」
「生活で1対1になったときに不快感を与えないでくれれば、って条件がある感じ」

「私は、ありがちで難しいんですけど、一緒にいて落ち着く人」

「では、問いとしては、これがどうして生まれてきたか、ってことですね」
「クチャラーは父親が……ってお話でした」

「家族ならいいけど恋人だったらしんどいな、って思って」

「明確に父親がモデルだったんですね。怒鳴るのも父親ですか?」

「いえ、まったく。学校の先生がそうでした。まわりで見てきた人で、ここ嫌だぞって思ったポイントが集まっていて、そうじゃない人とつきあいたい、みたいな」

「私は、学歴的に私より下の人とつきあったときに、マウントがすごかったんです。「おまえは勉強ができるけど、それ以外はアホだ」みたいなことをずっと言われて」
「そんなこと言われるくらいだったら、最初から私より上の人とつきあったほうが楽だなって思っちゃったんですよね」

「やっぱり、近い人の価値観が、自分の価値観を形成していく上で大きいのかなって思いました」
「自分は頭がいい人が好きで……それは自分に無い部分なので、いいな、頭いいのすごいなっていう尊敬がある」
「自分に無い部分を求めているのかなって」

「私は好きなタイプとかあまり決めなくて……好きになったときは直感的に好きになってて、その人の悪い部分とかを帳消しになるくらいの好きなんです」
「そこに、こういうタイプは嫌いって概念を持ちこんじゃったら、もったいないし、好きなタイプをしぼるのももったいないなって思う」
「嫌いな部分も好きになるかもしれない。だから決めないようにしてます」

マッチングアプリを使う理由、使わない理由は?

アプリはフィルタリングできて便利、合理的なはず……?

「まず使ったことある人から、使った理由を聞かせてください」

「使う理由は……現実的な問題、男女で恋愛の構造は違うと思っていて。男性は自分からアタックしてかないと現実難しい。そうなると、能動的にいかないといけないなと思って使いました」

「使わない理由は、単純にエネルギーがいるから? 知らない人と会ったり会話するの大変だし、そこまでする熱量もないです」

「自分が使ったひとつの理由として、ずっと一人暮らしが続いていて、寂しさが募りに募ってそうなったのかな、って。会社や学校での出会いがいいなとは思いつつも、しかたないなってところも正直ありました」
「使っていてフィルタリングはしてなくて。数撃ちゃあたるじゃないですけど、そうしないとどうしても難しい」
「今の仕事も数撃たないと成果が出なくて、恋愛でもそれは同じだなと思って使ってました」

「広告見てると「条件合う人から選べる!」って言ってますけどそうでもないんですね」

「たぶん男性は構造的に……男性は月額利用料は払わないといけないし、女性は無料だし」

「システムがそもそも違いますよね」

「そうなると、女性側もはたしてどうなんだろう?って思ったり」

「合理性だったら、アプリよりもさらに上位に、レンタル彼氏彼女があるんじゃないかと思って。ただ単に寂しいだけだったら、それでいいはずだと思うけど、私はたぶん使わなくて……」
「恋人と、合理的なレンタルの差ってなんだろう?って思いました」

「キャバクラやホストも同じだな、と思って。お金を払って短い時間だけでは埋まらないんじゃないかな……って」

「自分がマッチングアプリ使わない理由がわかったんですが、キャバクラと同じで、自分が選んでる。偶然じゃなくないですか?」
「自分が上で、相手をモノとして消費してる感じがあって、あんまり好きじゃないのかも」
「あと、人と話したいだけだったら哲学対話で満足できちゃう。自分でコミュニティを運営もしていて、いろんな人に会えることも確約されてて、いろんな価値観を知れる。それで恋愛の醍醐味を補えている」

「人と話したいって言う欲求も、恋愛につながってる部分はある」
「それが普段の会社とかコミュニティで満たされるなら、恋愛はひとつのオプションとして、重要視しなくてもいいじゃないかと思いました」

「恋人とレンタル彼氏の違いって、レンタルだと独占できないんじゃなかな、って。そこは満たせない。アプリはまだそれが成立させられる」
「独占を満たすなら、どっちかっていうと好きとか推し活のほうが近いと思いました」

社会人になったらどうやって出会えばいいの?

偶然、ばったり……な出会いを待つしかないのでしょうか。

「いつも恋愛を念頭に置いてる人とかは出会いやすいとかはあるのかも」

「自分の仕事柄もありますけど、その中では無いかな、って。普通の会社員は時間を共有してる人がいるから恋愛に至りやすそう」
「男女比がある職場とか、異性が多くても年齢が上の方が多かったりすると、構造的に厳しい」
「そうなると、普通に暮らしててもなかなか難しいと思います」

「そもそも出会いようがない、って感じですね」

「仕事によって全然違うのかな、って思いますね」

「結婚相手にどこで出会ったか、という統計で、9割を占めるのが「学生時代、仕事、友人の紹介」の3パターンだそうで。その3つで厳しいとなると本当に厳しいと思います」

「そうなるとアプリが一番手頃? 社会人になったら出会いの場はもうないですか?」

「友達は、哲学カフェで出会いがありました」

「同じような価値観の人が集まるわけだから、出会いやすそうではありますよね。こういう場が好き、なわけですから」

「あと、自分は趣味でつながって仲良くなった人が多い。日本酒が好きで、みんなでよくお酒を飲みに行っていて、そのお店の店長さんと友達が結婚したりとか」
「趣味というか、そういうのもあるのかな」

「私は、単純に人と仲良くなりたいとか、この人おもしろそうだなっていうのを掘り下げていきたいと思うし、どんな人でもおもしろい部分ってあると思って人と接したい」
「そのほうが楽だし、恋愛となるとハードルがあがっちゃうから、それくらいの感覚で人と接したり、出会いたいと思ってますね」

「そのスタンスのデメリットってあったりしますか?」

「恋愛に発展しづらいんです。特定の誰かより、いろんな人のおもしろい知りたいになっちゃうんで」

「広がるけど、深まらない、ってことですね」

結婚につながらない恋愛に意味はあるのか?

もう一度、考えてみます。

「合理性、健全性、安定感、あたりのキーワードにモヤモヤしていて……安定を求めて恋愛するって話もあれば、恋愛って不安定さがいいよね、っていう話もあって。なんか相反している」
「恋愛したい派の人はメリットを見つめていて、恋愛したくない派の人はデメリットを見つめているのかな?って思いました」

「結婚を目的としない恋愛に意味はあるのか?をもう少し掘り下げてもいいですか?」

「意味というか……承認欲求とか、性欲とか、一緒にいたいとか、そういう部分を発散するためだけに恋愛って口実を使ってる人もいるんじゃないかな」
「長期的な関係を築かないと意味がないとまでは言わないけど、それだったら風俗でいいんじゃないか、ってところにつながってしまう」
「そうなると、結婚を前提としない恋愛はどうなんだろう?と思う」

「人のことを結婚する相手とか、恋人として見たりとかって、人にラベルを貼ってますよね。それって人をモノとして消費してる感じがあって」
「単純に、その人と仲良くなる過程で、この人は近い距離でいてくれるから彼女になってくれる、結婚するんだ、とか」
「人を人として見る結果、恋人になった、結婚したというのが、自然だと思う。結婚する相手として人間関係を始めるのは、なんか嫌だなって思うんですよ」

「感覚として、自然な成り行き、不自然な成り行きが、はっきりあるって感じですか?」

「そういうわけではなくて……不自然って感覚がわからなくて、全部が自然だと思ってる。マッチングアプリであってもそれは自然だと思うんですよ。それは自分がそう望んでたわけだから」
「ただ、人をモノとして扱うのは違うよね、人のことを人として見たいんだったら、その人のことを知っていくうちに結婚することになった、とか。物事の順番が逆な気がする」

「男性がアタックしなきゃいけない構造がある、って話がありました。それって、マッチングアプリ限定の話だと思いますか? 普通の社会の中でも、告白は男性からだよね、みたいな構造が残ってると思いますか?」

「まだあると思います。男性が女性に声をかけるのはナンパというけど、女性からだと「逆ナン」になる。そういう言葉からも、まだあるかなって思いました」

「私も残ってると思っていて。途中の社会的評価の話ともかぶるんですけど、誰かから選ばれるってことが、女子コミュニティの中でひとつのステータスになってる気がします」

「なるほど。選ばれることがステータス」

「男性は選ばれることでステータスになるんでしょうか」

「選ばれることがないです。たぶん構造としてそうなってる」
「唯一感じたのは小学生のときのバレンタインのチョコくらい」
「それこそ逆ナンとかもないですし……」

「2024年の今でも、男が選び、女が選ばれる構造は残ってる感じがする」
「女性としてはどうですか? それは居心地がいいですか? それとも無くなってほしいですか?」

「自分の感覚だと、男側が選ばれると思っていて」
「男性がアタックするけど、最後は女子が選ぶとか」

「昔のお見合いイベントとかは、男性が「お願いします」って頭下げて、女性が選ぶ仕組みでしたね」
「マッチングアプリも同じで、何らかのセッティングがされると女性が有利になる。不思議」
「でも社会全体としては、男性が選び、女性が選ばれる空気なんですよね」

「男性も女性もどっちも選ばれる側なんじゃないかな。アプリは構造上、女性側が有利で、男性が選ばれる側なんですよ。でも、能動的に選んでるって感覚がない気がしていて」
「本当にこの人と一緒にいたいと思って選んでる人は少ないんじゃないかな。セッティング内で選び合ってるだけ」

「大きく言うと、恋愛社会、恋愛しなきゃいけない社会にセッティングされてる」

恋愛してたほうが充実してる?

なんやかんやで恋愛してるほうが充実する?

「改めてなんですが、恋愛してたほうが充実してるんでしょうか?」

「充実というより、非日常を体験できるというか。好きな人がいると、景色が変わって見えるとか」
「社会的地位もあるけど、いつもと違う刺激で非日常を得られるってメリットがあると思います」

「恋に恋してる、みたいな人たちを見ていると、恋愛している最中は楽しそうというか、恋愛モードで麻痺してるみたいな感覚に見えてて、そのときは楽しいんじゃないかなと思う」
「別れたりはつらいんだけど、そういう楽しさが欲しくて、また恋愛したいと思うのかも」

「世界が広がるのはメリットだと思っていて。友達から「ライブ行こうよ」言われても、そのライブが興味なかったら興味ないって断る。好きな人からだったら、たぶん行っちゃうと思うんです」
「それがきっかけでバンドが気に入るかもしれないし……自分以外の誰かの目線になってみる、他者視点を手に入れるための手段なのかなって気はしました」

対話を終えてのひとこと感想

残り時間わずかだったので、一言ずつ感想をいただきました。

「普段あまり話すことが少ないので、今回に限らず、他のところも参加してみたいって思いました」

「話してみて、自分は恋愛したいんじゃないんだな、って。人と話す楽しさを得たいってのが強くて。それを満たせれば……だけどそれにも限界があって、ただの友達だったら踏み込めないところがある」
「その人自身をどう深堀りしていくかが課題だなと思いました」

「自分が恋愛したいかしたくないか、わからなくて来てみて、今もわからないんですけど……自分で言葉を発することで、社会的地位とかの理由があるからとか、自分のしたいこと、したくないことの答えがつかめた」
「はじめてだったけど、楽しかったです。参加してよかったです」

「最初、恋愛をあまりしたくないに手をあげたんですけど……どっちかきっぱり決められるというより、私の中に「したい」と「したくない」が両立してて、こいつらが戦っているんだな、ってのが気づいたことです」

「普段恋愛について考えることから目をそむけて生きてきたのですごく貴重な時間だった」
「自分がまだ社会人を経験してなくて、見ている社会が狭いからっていうのもあると思うんですけど、「難しいなこれ、ぜんぜんわかんない」って瞬間もちょこちょこあって」
「知らない世界もこうなんじゃないか、って思考を巡らせてるのが楽しかったです」

このあたりで時間いっぱいとなりました。

ファシリテーターの思うこと

恋愛は面倒。
でも、やっぱり一人は寂しい。
寂しさと、恋愛への欲求は相関がありそうです。

対話に出てきたキーワードも幅広く、
健全、自然、安定、不安、社会的評価、構造、現実などなど。
恋愛というテーマの複雑さを示していたと思います。

「社会がそもそも一人で生きるように設定されていない」という話題も興味深かったです。

いざ恋愛するときは、相手との対話を大切にしてほしいな……
と、ささやかな祈りをこめて。

参加してくださった皆様、ありがとうございました。

次回の開催案内

次回は2024年11月9日(土)開催。
テーマは「信頼できる友人、いる?」です。
詳細はこちら

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