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「女性の生きづらさとは?」対話カフェそもそも レポート#45

【開催日時】
2024年10月12日(土)
13:30~15:30

女性として生まれて、
女性が体験する苦しみとは?
女性が受ける理不尽とは?

女性の生きづらさについて、
10代20代で対話したレポートです。

はじめの問い、テーマに思うこと

まずはテーマについて抱いている問いや、思うことを挙げていきます。

「女の人は外れ値が少ないと思う。男性は人格とか多様性で許されている範囲が結構広い。女性はそれが狭いとずっと思っている」
「具体例でいうと、テレビに出ている男性はバリエーションがあるけど、女性はパターンが少ないと思っていて。テレビだけがすべてではないんですけど、変わっている女性って、しょこたんが限界みたいなところないですか?」
「男性はいろいろな人が出ている。変わっている人、外れ値、みたいな」

「以前、女性のIQと男性のIQの違いを示したデータを見たことがあって。女性は平均に近い人が多くて、男性は高い低いまんべんなくいるそうで、生物学的に変わった人が男性は生まれやすいのかもしれない」
「女性のバリエーションが少ないのは前から気になってる」

「たしかに、アイドルとかだとわかりやすい。年齢幅は男性アイドルと女性アイドルですごい差がある」
「男性はアラフォーでもアイドルでいられるのに、同じことを女性はできない」
「芸人さんとかは男性社会だと思うし、そういう意味でも変わった男性のほうが多いというのはすごくわかります」

「変わった女性は許容される範囲がすごく少ない。例えば、男性は毎日同じ服を着ていてもまあまあ許される。女の人だったら間違いなくいじめられる」

「そうですね……。
スティーブ・ジョブズと同じことを女性はできない」

「私も毎日同じ服着たいですもん。でもそれはなかなか難しいじゃないですか」

「男性の科学者とかも、変わってる人とかよくいらっしゃるじゃないですか。哲学カフェでも「変わってる人なんだ、でも受け入れられてるな」というが結構ある。女性でそういう人は会ったことないです」

「変わっている人の比率は、男性のほうが多いと思いますか? 男性と女性で同じだと思いますか?」

「私は体感として、女性の方が変わっている人は少ないと思います。お風呂に入らない女性って少なくないですか? 男性だとたまにいるらしいですけど……。少ないというか、そういう女性は見たことがない」

「女性のほうが、社会的に受容される範囲が狭くなっている、ということですね」

「テレビも旧時代的なところはありますけど、象徴的だなと思います」

「同じ服を着られないとか、男性なら許されるけど、女性だと許されないことは結構ある」

「結構多いですよね」

「許されているわけではないけど、男性なら笑って流してもらえるというか」

「女性の生きづらさについては、経済的に自立しているかが大きいと思う。東京でも、自分の収入だけで一人暮らしできている人は結構少ない」
「夫婦でも、女性は非正規で、男性の収入に頼るかたちが多い」
「女性が働く社会になっても、女性が男性に経済的に頼ることは思いのほか残っている」

「自立したいけどできない女性も生きづらい。自立している女性も少数派だから、仲間が少ない孤独感はあると思う」

「経済的な理由での生きづらさは、男性より女性の方があると思います」

「欧米のほうは女性の社会進出が進んでいるって聞くじゃないですか。あれって、単に欧米のほうが男女格差が大きくて、女性の立場がすごく低かったから女性が反発して自立していった、という話があるらしくて」
「欧米のほうが、女性が男性の立場に寄ろうとしているように見える。ズボンを履く、とかが象徴的ですけど」
「日本は家庭内の女性の立場はそこまで低くない。夫がお小遣い制になっているとか。女性が家庭に入っていてもそこまで苦労がないから、経済的に自立が進まないのかも」

「確かに、男性の生活様式に女性が合わせに行く、ってことが多いですよね」
「そもそも男性のほうが社会的に権利が強かった。参政権とか女性は遅かったわけだし」

「平安時代とかは女性が高い地位にいることもあったわけで、ずっとそうだったわけではないですよね」

「男性は、就ける職に幅がありますよね。力仕事とか男性は引く手数多じゃないですか。女性は水商売か事務仕事か接客業か、他の仕事はがんばって見つけてね、みたいな」

「水商売はお金を稼げる方の部類だと思うんですけど、男性に比べると「がんばれば稼げる仕事」の幅が狭いと思います」
「女性でたくさん稼ぐとなると、水商売のイメージが強い」

「貧しい人と「水商売やれば?」って簡単に言う人いるじゃないですか、そういう風土があるんだったら水商売をもっと合法的な雰囲気にするというか、教科書とか学校で水商売のやり方教えたらいいと思う」
「極端ですけど、水商売にもっとクリーンなイメージを持たせてから「水商売やれば?」って言ってほしいと思う。でもそうはならない」

「すごく不器用でバイトができない、接客業とかもできない場合、ほんとにどうすればいいのか?ってなる」

「同じ仕事でも男女で給与が違いますよね。新卒では同じでも、その後はやっぱり差があるし」

「キャリアアップを目指す女性が少ないっていう事実もありますよね」

「大学も合格率の男女差が大きかったり。院になるともっと差が出る」

「アート系だと、日本では女性作家は美人じゃないと難しいところがあります。男性作家はそうでもない」
「コンテスト系もそうです。応募しているのは女性が多いのに、金賞は男性が多くて、銀賞は女性が多い」

「作家でも、作品じゃない部分で売れるかどうかが決まったりするわけですね」

「SNSだと女性作家のほうがアイコンで顔出ししてる人多い」

「ルッキズムとか言われてますけど、女性は容姿が生きづらさに直結してるなと思います」
「男性より女性の方が「見た目に気を使え」の圧が強い。服とか、お風呂とかも含めて、女性は許されないことが多い」
「露骨に容姿で差別されますよね。あと愛嬌だったり」

「たしかに、愛想が悪いのは本当にたいへんですよね」

「それって、愛想が良い人が得してるのか、愛想が悪い人が損してるのか。それとも両方か。どれなんでしょうか」

「どちらかというと愛想が悪いことによって、損まではいかないけど、何かあるな、と」
「具体的に言えば、人が寄ってこない。でも、これって男性なら許されているよな、と」
「悪口とか言わないし、意地悪もしないけど、愛想がないと人が寄ってこない。これは男女一緒かもしれないですけど」

「当たり前のことかもしれないんですが……この短い間でも、女性の生きづらさについて話すと「男性に比べると」っていう比較の話になりますね」

「逆に男性だと困ることを考えてみます?」
「男性は稼ぎを要求されるので、病気とかで働けなくなった場合にたいへん困るだろうなと思います」

「さっきの、女性が経済的に自立しづらいという話、そのぶんの責任は男性にいっているってことですよね」
「そこは表裏一体というか、体が弱かったりとかで働けない男性ってめちゃくちゃ生きづらいだろうなって感じます」

「人間関係とか、恋愛関係にも支障が出そうですよね」

「恋愛は確かに……女性は稼げなくても。経済的なことはあまり求められない。男性はそこが絶対だったりしますね」

「ダメな男性とダメな女性がいたとして、ダメな男性のほうがたぶん社会的に救いが多い気がします。職業選択も有利だし、面倒を見てもらいやすい」

「パチンコすぎてお金をせびる人がいたとして、男性なら許されるけど女性は許されない、とは思います」

「確かに、お金をせびるのは男性のイメージ」

「女性もせびってもいいのに、女性側にせびられると嫌な人が多いのかな。個人の人間関係によるのかもしれないけど」
「女性もお金に困っている率は高いってことを考えると、せびる女性がいてもいいはずなんですけど、全然見ない」

ここから問いとしてピックアップしてみます。

男性は許されているけど、女性は許されていないことは?

どんどん列挙してみます。

「お風呂に入らないこと、同じ服を着ること、がさっきありました」

「あと、お金の無心もありました」

「愛想の有無」

「怒ること。女性が怒るって避けられますよね」

「ヒステリー、って言葉は女性にしか使われないですよね」

「頭の良さとか。許されてないわけではないですけど……」

「大学の合格率の問題とか、女性が頭良いことを許容しない空気はあると思います」

「合コンみたいな場だと頭良い女性は避けられるから、高学歴な人がわざと下のランクの大学の話をするとか聞きますね」

「カプセルホテルとか」

「吉野家は一人で行けますか?」

「大きい街ならギリギリなんとか。私はそういうところ行けちゃうほうではあるんですけど」

「哲学カフェは男性多いイメージありますか?」

「ちょっとだけあります。6:4で男性が多いイメージ」

「マクドナルドは?」

「平気です」

「ラーメン屋さんは?」

「行けるお店と行けないお店があります」

「ラーメン屋に一人で行けないって、何なんですかね?」

「好きに食べればいいのに、ってのはありますよね」

「お店の人も女性一人が来ても全然受け入れてくれるはずですよね」

「何を気にして入れないんでしょうか?」

「カードゲーム系の大会とかも女性一人は行きづらいって聞きます」

「趣味とかでも、実質女性お断りみたいなのってありますよね」

「歴史とかそうですね。私は歴史が好きなんですけど、同好会とかは行きづらい。そういうコミュニティにアクセスしづらいのかもしれないけど、女性大歓迎って感じはしない」

「リケジョみたいに、「◯◯女子」って言われるものって、元々それは男性のものだったってことですよね」
「その界隈では女性がレアで、その女性は変わってますよ、ってことですよね」

「山ガールとかもありましたね」

「政治は露骨にそうかもしれない。政治が好きな女性、あんまり聞いたこと無いなあ」
「でも活動家は美人のほうが多い」

「ここまでは生活様式のことが多いかな?」

「職業選択もそうですね」

「学者の世界とかもあると思います」

「学究関係と、医療関係はキャリアになると男性社会ですね」

「力仕事とかは肉体的にしかたないところがありますね」

「あと社長ですかね」

「経営者とかですよね。個人の小さいお店は全然ありですけど、ある程度大きな企業になると少ない」

「男性しかいなかった職種に、だんだん女性が増えたケースもありますよね。タクシー運転手、警備員、宅配のドライバー、車掌」

「確かに。前まではいなかったですね」

「バスの運転手も増えましたね。都内でよく見ます」

「女性が進出してきた仕事とそうならない仕事、その差は何なんでしょうね?」

「ドライバーの場合、男性のほうが運転得意かもしれないですけど、大きな差はないはずですよね」

「他に、女性だけ許されないことはありますか?」

「お酒の粗相」
「男性だと武勇伝くらいに語るじゃないですか。女性で同じ内容語ると引かれる」

「ちょっとヤンチャなことって、男性は許されるけど、女性は絶対に言わないとかありますよね」
「異性遊びとか」

「確かに、女遊びが激しいって男性は大っぴらに言いますけど、その逆は言わないし言ってもマイナスな意味で言われますよね」

「たくさん出てきたものを整理してみると、2つに大別できると思いました。ひとつは……選ぶ側がいて、男性か女性かを選ぶとなったときに、男性が選ばれやすいこと。誰かからの判断の話」
「もうひとつは、女性自身が何かの空気を読んで、そもそも自重しているパターン。お店とかもたぶんそう」
「女性自身が自重しているパターンの場合、誰の目を気にしているのか? 何を意識して自重しているのか?」

女性は何を気にして自重しているのか?

いったい何を気にしているのでしょうか?

「ここでキーワードになるのが「女社会」」
「他の女性からの視線かと」

「男性ではなく?」

「女性です」

「うん、その場合は女性ですよね。なんとなく」

「身だしなみの部分とかも、他の女性になんて言われるか?が強いかなと思う」

「仮説なんですけど、特異分子は男性のほうが生まれやすく、女性は平均的な性質のほうが多いという話があって。そういう平均的な考えを持った人が女性に多い場合、女性社会の平均から女性は抜け出すことができなくなっていく」
「男性の場合はいろいろいるから、社会が適応せざると得なかった部分があるのかな、と」
「女性は個体差が生まれにくい性別なら、そこで飛び抜ける人は少なくなる」

「マイノリティの度合いが、女性の場合は男性よりももっとマイノリティになるわけですね」

「平均から外れることの抵抗感が、そもそもあるってことなんでしょうか?」

「女性社会のカーストみたいなのがあるじゃないですか。あれは3つに分けられるみたいな話を聞いたことがあって。女としての強さ、家庭としての強さ、社会的な強さのそれぞれで分けられる」
「例えば、美人とか、服がかわいいとか。家庭の場合は夫が稼げるとか子どもがすごい賢いとか。仕事については仕事ができるとか。それが3すくみになるって話があって、私はなるほどなと思う」

「女性は本当にカースト制度が強いなと思っていて。女社会は学校のカースト制度をいまだに引きずってるみたいなところないですか?」

「ありますね」

「じゃあ、カースト制度の中に常識的であることが含まれているのかな、って。含まれていると私は思っています」

「所属しているカーストによって、行動や生活がある程度範囲を決められてるみたいなことですかね」

「男性社会でも上下関係はあると思うんですけど、どの力でもいいですよね。仕事でもいろんな方向性がある」
「女性の場合は評価の値が一定な部分がちょっとだけある」
「美人で、愛嬌があって、常識的ってところだけが基準になってて。そこから上か下かだけでカーストが決まる」

「さっきの3すくみからすると、女社会って、相互監視社会みたいになってるってことですかね?」

「なってますね」

「そうなってると思います」

「お互いに、見て、見られあってる」

「そこに、日本の社会自体が持っているところで助長されている」

「田舎のムラ社会って相互監視がベースになってるけども、それが都会だったとしても、どこかから監視されている感じがするんですね」

「ラーメン屋さんに入るときは監視されてないはずなのに監視されてる気がする、ということですよね?」

「そうなりますね」

「そのあたりを通る人の視線、しかも男性ではなくて女性」

「あとまあ、ラーメンに行く行かないとかだと、女性はグループで行動するのが基本みたいな概念があるから、一人で行動することがすごいマイノリティに思われるのもあるのかな」

「学生のときもグループありましたものね」

「朝から放課後まで一人で過ごしてるのは浮いた感じになる?」

「男性でも浮きそうな気がしますけど、どうなんでしょう」

「男性でもいるけど、後ろ指さされてヒソヒソ何か言われることはないと思います」

「女性は後ろ指さされますね」

「そもそも女性は一人を避けるって考えの人がすごく多いってイメージ」
「男性は、まあ一人でもいいや、って開き直れる人の率が高い」

「10代のときからなんでそんなマインドに仕上がってしまうんだろう」

「小学生のときからそうですよね」

「一人でいるのが平気な子は、異端でしたね。おかしい子、みたいな」

「あれは不思議ですよね」

「「え? トイレに一人で行けるの?」って驚く女子いますよね」

「食事を一人で食べられないって人もいますしね」

「10代のころから相互監視みたいなのが発生するんですね」

「ちょっと問いに立ち返ると、自重しているのは、同じ女性からの視線を気にしているというのが要因として強い。あと、一人行動する人はマイノリティだ、っていう常識がある、と」

「一人で旅行行ってきたと言うと、びっくりされたりします」

「ラーメンもそれの延長線上な気がします。「一人で行かないものだ」と思われてる」
「ラーメン屋がダメとかではなく、一人で行くことがダメなのかもしれない」

「コンサートとか舞台とかは?」

「それもやっぱり一人で行く人は少ないと思います」

「美術館に一人で来てる人、見ますか?」

「見ますね、一番見るかもしれない」
「美術館はおしゃべりがしづらいからかも」

「水族館はまったく見ないですね。ファミリーかカップルか」

「経済的自立については、選ばれてるわけでもないし、相互監視も邪魔してないような気がするんですけど、どうでしょうか」

「住む地域によっては、女性の生きるルートがある程度決まっている。この年で結婚してこの年で子どもを産むのが普通だよねってなると、経済的に自立してない側を選ばざるをえない」
「ムラ社会に生きてたら、その生き方を選びづらいのはあると思います」

「田舎だと、家族がいない女性が一人暮らししていると異様な目で見られるとかありますね」

「地方はほんとそうですよね」

「男性もそうなのかもしれないですけど、結婚しないロールモデルにハマってない人は、住んでるだけで異様な目で見られる」
「わかりやすい理由があるならいいんですけど、そんな理由はあんまりないですから」
「例えば外国人の画家で、わかりやすい絵を描いてて、田舎が好きだから引っ越してきたとかだと許されたりしますね」

「来たときから異物、ってハッキリしてたら逆に許される」

「国が違うレベルだとどういう立ち位置でも大丈夫そう」

「だから日本人の異端に厳しいですよね、日本社会は」

許す・許さないを決めているのは誰?

一旦、整理し直してみます。

「許す、許さないをジャッジしてるのが誰なのか?は大事なような気がします」
「例えばさきほどの芸能人とか、しょこたんは誰がジャッジしているのか」

「許す、許さないという話であれば、必ず主語がある」
「でも、社会が、では主語が大きすぎる」

「誰の考え? 誰の基準? 誰の視点? と考えたときになんだかふわふわしています」

「芸能人の許す範囲は誰なんでしょうか」

「ファン?」

「でも、ファンだったら、許してるからファンなんじゃないでしょうか」

「確かに」

「ネットとかでも芸能人って叩かれやすい。叩かれやすいかどうか、嫌われやすいかどうかは、誰の基準なのか」

「中距離の人、ですよね。全然興味がないんじゃなくて、中距離の人」

「アイドルだったら、その人がどうなろうと応援するんですけど、別のアイドルのファンとかが30過ぎてもアイドルやってる人に「いつまでやってるんだよ」とか言ってる。他のファンのイメージ」

「自分が誰を気にして毎日同じ服を着ないのかって考えたときに、中距離ですね。親から言われてもどうでもいいし、恋人とかでもそこまでどうだろう……」
「ほんとにピンポイントで気にするのは職場の人とか。友人はまた別ですね」

「友人の場合、それぞれの距離感によりますよね」

「そうか、なるほど」

「だから、中距離って表現になります」

「職場の人って考えたとき、性別は関係ありますか?」

「私はあんまりないような気がします……」

「同じ服を着続けたとしたら、男性の視線も気になる?」

「比重としては男性のほうが低めではあるんですけど、言われそうって意味では女性ですね」

「性別よりも、距離ってことですね」

「女性の場合は同性だから、ちょっとだけ差があってもわかりやすいというか。差を認識しやすい」
「例えば、同性の同年代はどんな人が一般的だってわかるじゃないですか、だからちょっと違うとわかる」

「自分がどういう人間かわかってくれてる人、それは家族だったり仲の良い友人だったり兄弟だったり、そのへんの人たちの視線はそこまで気にならない」
「自分を認識してるけど、どういう人かそこまで知っていない、くらいの距離感の人……の目線が気になるのかな、って」

「そこの差って、選んで自分と一緒にいる、選んで仲良くしてるとか、そういう部分ですよね」
「職場の場合、自分が選んで一緒にいるわけじゃない」
「ただなんとなく集められてる」

「電車の車両でたまたま一緒になったレベルで、でも毎日顔を合わせるし、挨拶くらいはするし、という距離」

「あと、距離感としては、大学の人とかもそれに含まれますね」

「仲良くしてる人以外でも、同じ授業とってたりしたら毎日見ますもんね」

「で、その人達が気になって、同じ服を着れない?」

「そこまで具体的に考えてないんですよね」

「そう、その人達が怖いからっていうのではない」

「中距離のボヤッとした範囲があって、ドーナツ型になっている」

「個々というより、もやもやした範囲、「このへんの人たち」みたいなのが、ってことですね」

「同じマンションの住人とか、そういう」

「特定の誰かから何か言われそうってことではないわけですね」

「そうです」

「それが、相互監視社会の機能の仕方なのかもしれない」
「誰が誰を監視してるってことではなく、監視されてるという事実が残ってて、それによって制限されるのが相互監視社会なので」

「個じゃなくて、ある意味概念的なものが監視してるわけですね」

「でも、自分の感覚だと、そうやって監視してる存在のイメージの元になっているのは、親とかの言葉かなって思ってて」
「親がこうあるべきとか、こうしたほうがいいとか」

「価値観の形成段階で言われたことですね」

「もやもやしたドーナツに価値観の基準がある、その基準はどこから生成されてきたのかと言うと、まず親じゃないか、と」

「あるとすれば、人生の初期ですよね。学校とかも」

「「親がそう言ってるんだったら、周りもそう思ってる」みたいな感じで、周りの目を感じるみたいな」

「さっきギャンブルの話があったじゃないですか。ギャンブルは女の人はできない、やりづらい。女の人はギャンブルなんてするもんじゃない、とか」
「でも、ギャンブル一家みたいなところで育った女性は、中距離のドーナツの中に「女性もギャンブルしてOK」って概念があるので、その人はギャンブルに抵抗ないだろうし、パチンコとかも抵抗ないかもしれない」

「藤田ニコルちゃんが、お母さんがパチンコやってるから自分もやり始めました、とか言ってました。あっけらかんと」

「てことは、彼女には女性がパチンコやるものじゃないとか、恥ずかしいとかはなさそうですね」

「むしろお母さんとコミュニケーションが増えたって言ってました」

「じゃあ、価値観形成の段階で、親から影響受けて……それは相互監視というよりは、親からの監視?」

「行動規範は親の価値観?」

「結局それって親の目をうかがってるよね、って女性は多いと思います」

「それって家長制度とか、社会制度でそうなってるのか、生物的にそうなってるのかどっちなんででしょう?」

「難しいですね……。でも、娘の場合、父親からどうこうより、母親からどうこう言われて、のほうが多い気がします」
「同性の親子のほうが価値観に与える影響は大きいと思います」

「女性として生まれて、最初に出会う女性のロールモデルは、母親であることは間違いないですものね」
「だから、最初に出会う基準はたぶん母親」

「確かに人間関係の基準も、だいたい家族からできているものが多いですよね」

「さっきの中距離ドーナツ型の中を掘っていくと、親の基準、とくに母親の基準が出てくることが多いのかな」

「中距離から監視されてると思っている男性は、女性に比べると少なそうな気がする」

「そういうイメージありますね」

「男性はもうちょっと遠距離を気にしているイメージですね」
「法律とか、規範とか」

「それか、もっと近距離かもしれない。普段つるんでる仲間とか」

「女性よりもぎゅっと近い」

「いつも集まる3人、とかですね」

「男性は中距離よりもそっちかな」

「それも規範、基準ですものね」

「どれだけ年をとっても、いわゆるホモソーシャルの中で生きている人はいるので……」

「人間関係については、男性のほうが濃いところはめちゃくちゃ濃いイメージ」

「それと合わせて、遠距離の行動規範もあると思います。社会通念的な、男とはこうあるべき、ずっと言われてる男らしさみたいな」
「例えば、男は泣いてはいけない、とか」

「モテたい、っていう男性の願望も、遠距離的ですよね。モテたい自分になりたい、みたいな。遠距離から見て、偉い自分になりたい、とか」
「男性は中距離を気にしてることはなさそうですね」

「女性の中距離のドーナツを掘っていくと、母親の基準がある……でも母親だけではないですよね」

「学校とかになるんですかね」

「あと姉妹とか。年の近い姉妹とかだと割とズバズバと言ってくる」

中距離のドーナツとどうつきあっていくか?

どうやって暮らしていくのが良いのか?

「中距離のドーナツがあるのはわかってきたんですが、それが監視していて、生きづらさを感じているとして。そこをブレイクしていけるのか、ブレイクできないのか」
「生きづらさを減らしていけるのか、あきらめなきゃいけないのか」
「気持ちひとつでブレイクできちゃうものなのか」

「例えば、仕事とかだとなかなかブレイクしづらいですよね」
「自分の特性とかでバイトとか落ちまくる場合って、どうしようもなくないですか? 特性は簡単には直せない」

「友人関係とかもそう。相手が発生するものってどうしようもないものが多い」

「確かに、多いですね」

「さっきの話で言うと、相手にジャッジが委ねられてるものはどうしようもないってことですね」

「相手は変えられない、自分を変えるほうが早い」
「ラーメン屋に行くのは変えられそうですけど」

「地元ではその生きづらさが強くて、東京に出てきてからだいぶ生きやすくなったって感覚があるので……自分に合った環境に身を置くってのは大事なのかなと思います」

「いま地方に引っ越したらきつそうですか?」

「かなり苦労すると思います。いろいろな面で。まず仕事が見つけづらい」

「じゃあ、東京のほうが行きやすいのは間違いないですか?」

「はい、私はそうです」

「環境を変えるってのは、そうですよね。私は、海外行ったほうがマシか?って思われてます。それって環境を変えるってことじゃないですか」
「生きやすくなるには、自分に合っている環境を探すしかないというか……そういうレベルまで来ているなとは思っています」
「自分が変わることでなんとかなるレベルのものって、少ない」

「ただ環境を変えるんじゃなくて、より自分に合った環境に移動することが大切ってことですね」

「自分をすごく改善することで生きやすさを改善する人もいるとは思います」

「それって、どういうモデルがあるんでしょうか。ラーメン屋は思いきって行くだけだけど」

「私の友人だと、すごく人に依存されやすいことに悩んで……いろんな対策をやったらしいんです」
「その人は、依存される件数が減ったって言ってました」
「ちょっとでも変だと思ったらすぐに離れるとか、しゃべり方を変えるとか、毛づくろい的コミュニケーションをしないとか」

「私も依存されがちだったので、その人の気持ちわかります」
「私は仲良くする人を減らしたんですね。出会った人みんな仲良くしようとしてた時期もあったんですけどそういうのはやめて、この人合わないなって人は距離を置いた」
「合いそうな人とだけ距離を詰めるくらいにしたら、だいぶ改善しました」

「男性とはまた違うのかもしれないけど、自分のために自分を工夫して改善していくんだな、って」

「わかりやすい例だとダイエットですかね。自分を変えて、自分を向上させていく」

「見た目の部分を悪く言われなくなるのは、人によってはできる努力ですよね」

化粧くらいしなよ、と圧をかけるのは誰?

言っているのは誰なのか?

「問い出しのときに、「見た目に気を使えの圧力がある」という話があったんですけど、その圧力をかけてるのは誰ですか?」

「やっぱりそれも中距離だと思います」

「むしろ男性だと、化粧してるかどうか認知してなかったりする人は結構いらっしゃる」

「化粧くらいしなよっていう圧力は、中距離にいる女性からってことですね」

「国によってはメイクしないのが普通のところもあるから、そこも価値観ですよね」

「容姿の良し悪しで生きづらさは変わると感じますか?」

「だいぶ変わります、女性は。美人すぎると逆に生きづらいと思います」

「目立つくらいの美人さんだと逆に大変ですよね」

「私は、生まれ変わるならイケメンの方がマシだと思ってます。美人じゃなくて」

「すごくわかります」

美人のデメリットは?

美人特有の生きづらさはあるのか。

「美人であることのデメリットって何がありますか?」

「あらゆる人から、気を持ってるんじゃないか?みたいな思い込みが発生する」

「好きじゃない人や、距離を詰めたくない人にも好かれてしまう」
「そういうことが起こる確率が一気に上がるイメージ」

「前に聞いた話だと、美人で田舎に住んでるとあらゆる誘惑が襲ってきて、かなり自己防衛しないと反社会的なことに落とされる」
「美人の方が明らかに誘惑が多い。利用されやすい、というのはあるだろうなと思いました」
「お金持ちじゃないとかなり危ないとか、なるほどなと思いました」

「トロフィーワイフにされがちなのかもしれない」

「たぶん若いときは無敵状態なので、年を重ねた時に何も残ってない、っていうのもあるのかな」

「例として、金持ちと結婚したことは良かったけど、そのあとの目標が何もない、人生のゴールが先に来ちゃってるから、あと何するの?みたいな感じになりそう」

「だから教育ママになっちゃったり、とか」

「容姿も飛び抜けると生きづらい、と」

「でも、なんでもそうですね、飛び抜けると生きづらい。頭脳もそうだし」

「振り返ってみてなんですが、許される許されないという話で、主体は誰かなのか?という話が興味深かったです」

「それも男女ですごい違いそうですよね。男性は「そこ気にしなくてよくない?」って言うけど、女性は「いや気にするよ」みたいなことがたくさんある」

「誰かの目を気にするってなったとき、それが誰の目なのかは思っているより細分化されていて、かつ男女差がある……というのは発見でした」

「そりゃ男女で食い違うよね、と思いました」

「そうそう、そうなんですよね」

「女性は中距離の人を意識していて、男性は親しい友達を意識しているから……」

「確かに男性の「ダサいと思われる」と、女性の「ダサいと思われる」の対象って違いますよね」

「いつも絡んでる相手にダサいと言われるか、クラスの誰かにダサいと思われるか」

「特定の誰というわけではない中距離の人たちを意識しているってことは、たぶん男性はわかってない」
「女性も、そこまで言語化してわかってないかもしれない」

「中距離の概念が今日よく出てきましたけど、この中距離の中身って、人によってかなり違うと思いますか? それともだいたい同じものを意識していると思いますか?」

「私はみんなほぼ同じだと思います」

「ドーナツの真ん中の芯があって、芯はだいたい同じで、ドーナツの幅は人によって差がある、みたいな」

「そうですね、そんな感じだと思います」

「あとは個人によって、そこを認知してるかしていないかの幅もあると思います」

このあたりで時間いっぱいとなりました。

ファシリテーターの思うこと

対話を通して、いろいろ生きづらさが見てきました。

女性は誰かから常に監視されていると感じていて、さまざな圧力をかけられている。

監視しているのは「中距離の人たち」で、特定の個人ではない。
男性は違う層を気にしている。

発見の多い対話でした。

では、どうすれば生きづらさを減らしていけるのか……というあたりを、もっと掘り下げたいと感じました。

参加してくださった皆様、ありがとうございました。

次回の開催案内

次回は2024年10月26日(土)開催。
テーマは「恋愛したい?」です。
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