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「コミュ力とは?」対話カフェそもそも レポート#51
【開催日時】
2025年1月11日(土)
13:30~15:30
話し方、雑談力、アサーションなど……。
コミュ力を伸ばすための本がよく売れています。
コミュ力が気になる人は多いようです。
一方で、コミュ力を身につけないといけない、という圧力も感じたり。
それが重荷に感じたり。
コミュ力について気になること、
10代20代で対話したレポートです。
はじめの問い、テーマに思うこと
テーマについて抱いている問いや、思うことを挙げていきます。
「私は、生き様単位での友達、シンプルにいいやつだから仲良くなりたい友達を探しているんですけど……そこのコミュ力と、ビジネスのコミュ力との違いがあるのかな、と最近考えています」
「土台は同じだと思うんですが、どこで分かれるのか」
「コミュ力は生まれつきのパラメータだと思う。そこを伸ばせるか伸ばせないかは気になる」
「コミュ力は高い低いがあるってなるけど、実際は場合によって違う。結婚できる人、いっぱい彼氏彼女ができる人、友達がいっぱいいる人、友達となんとなくつきあえる人、それぞれ別じゃないですか」
「コミュニケーションに関してはリズムゲームだと思うことがある。ポンポンって話が弾む場合はリズムが合って、太鼓の達人で言えば「ドン」と「カッ」を上手にできれば話っぽくなりませんか?」
「話の内容が全然おもしろくなくても、タイミングさえよければ会話っぽくなる」
「リズムゲーって話聞いて、本当にそうだと思う」
「相手によって、話せる話せないってすごくあって。話せる人は一個の話題でどんどん違うことを話せて、2時間3時間ずっと話し続けられる」
「うまくいかない相手だと一言話してすぐ終わっちゃう。次どうしよう、何話そう、ってなることが多い。相手次第というか……それがコミュ力かと言うと、また別の話だなと思う」
「ビジネスと友達でも、話せる話せないが違う。私は販売のバイトをしていたことがあって、そのときはお客さんとスラスラ話せるけど、学校で初めて話す人とかはしゃべれなかったり」
「ちなみにその場合、自認してるコミュ力は高い低いどちらになりますか?」
「すっごく低いと思います」
「バイトで話せてるけど、それを含めても、ってことですね」
「低いですね、あくまでマニュアル通りにしゃべって、世間話する程度なので……深い話をしてないという点で、違うのかなって思います」
「コミュ力は相手次第なのか自分次第なのか、気になります」
「コミュ力がある人と話せば、うまく話せる?」
「相手との相性もあるし……私とすごく話せる友人も、他の相手だとしゃべれなかったりするけど、私とはすごく話しやすいって言っていただいてて」
「そう思うと、個人の能力もあるけど、相性も大きいのかな」
「今の流れだと、こちらのスキルによるリズムゲーになっちゃってるという話を聞いて……コミュニケーションはどっちに重きがあるのか? 相手か、自分か」
「問いとしては、コミュ力は何のために使うのか?」
「同じコミュ力って言われても、ビジネスや友人とか、使うシーンによって形が違う」
「私は、仕事をしているときと、友達と話しているときのコミュ力って違う気がするので、それをうまく言語化できたらいいな、と」
「文章とかも同じだと思っていて、記事とコラムは違うじゃないですか。伝えたいことが違えば、能力も変わってくるんじゃないかな、って」
「皆さんに「コミュニケーションは苦手ですか?」を聞きたいです」
「それを受けて、コミュニケーションの苦手意識はどこから来るのか?」
これらの問い、思うことが挙がりました。
コミュニケーション、苦手ですか?
ひとまず、率直に聞いてみました。
苦手だと思う……2名
得意だと思う……0名
他の方はどちらにも手が挙がりませんでした。
「私は調子いいときと悪いときが、年3回周期くらいで来るタイプです」
「調子のいい悪いはどう違うんですか?」
「言葉が思いつくか、思いつかないか」
「なるほど。調子いいときは、言葉が思いつく。それは相手によらずですか?」
「相手によらず、です」
「思いつかないときは、うわべの質問ばかりになっちゃって、マニュアル接客みたいになっちゃうときがあります」
「苦手と答えたお二人に質問です。苦手だと思う理由とかエピソードは何かありますか?」
「私は、しゃべるくせにコミュ障なんです。初対面の人と普通にしゃべれるんですけど、なんとなくぼやっとしゃべってるだけで下手なんですよ」
「緊張してしゃべれないとかじゃないのに、コミュ障なんですよ。不思議だなあ」
「言葉は出るんだけど、ぼやっとしてる?」
「ぼやっとしているというより、リズムが下手で。わかりやすい例だと、しゃべるのが速い。速いわりに、適切なリズムで相槌を打てない。さっきの例えだと「ドン」と「カッ」のミスが多い。しゃべるくせにミスが多いイメージ」
「適切なリズムで相槌が打てないというのは、誰かから指摘されたんですか? それとも自覚した?」
「自覚です」
「誰かからリズムが悪いよって言われたわけではないんですね」
「そんなラッパーみたいなこと言ってくれる人いるんですか?」
(一同笑)
「いや、友達からズバッと指摘されて引っかかったのかな、と」
「なるほど、そんなことはないですね。なんとなく相槌が下手だなって思ってるって感じです」
「でも、今の「ラッパーみたいな」って返し面白かったです」
「ありがとうございます(笑)。自発的にしゃべるのはなんとなくできるんですよ」
「間に入っていけない、みたいな。自分でそう思ってるだけで、違うかもしれないですけど」
「まとめると、しゃべるのが早い、相槌がうまく打てない、リズムにうまく入っていけない、など」
「苦手に手を挙げたもう一人の方はいかがですか?」
「今のとかなり近くて……私もしゃべるし、仲いい友人だと8割私がしゃべってるんじゃないかってくらいしゃべるんですけど、なんかテンポが合わなかったり、話しすぎちゃったかな?とか考えたり」
「それこそ初対面の人とはよく話せるんですけど、2回目3回目ってなると「ちょっとやだな、何話せばいいかな」ってわかんなくなったり」
「アルバイト先でも、仲間たちがよく飲み会に行ってて誘われるんですけど、その輪に入っていけないというか……自分一人だけ離れて見てる、疎外感がある」
「話に乗っていけないし、冗談でからかわれてもうまく返せなかったりしちゃって「ああ、今乗れてないし、気を使わせちゃってるな」って思う。そういうのがコミュニケーション能力無いなって思う理由です。私も自覚しているタイプです」
「相手によっては、うまく乗れますか?」
「友達でサシ飲みとか、仲いい友人4人とかだったら、ついていけてるし輪に入ってるなって感覚があります」
「苦手と思う理由を教えていただいてありがとうございます」
「他に、苦手意識がどこから来るのかという問いも含めて、いかがですか?」
「いつ、そう感じるのか? 聞いてみたいです」
「自分の中ではやっぱり相手と仲良くしたいという気持ちがあって……うまく話せないと、これはうまくいかないな、って思って。そこで感じることが多いです」
「仲良くしたいけど、うまく回っていかないときに、ですね」
「うまく回っているときと、回っていないときの違いを掘っていけばいいのかな?」
「相手次第、って言ったら終わりですかね?」
「話せるときは話せるし、話せないときは話せないんですけど、それって状況でも違って……」
「例えば、ある友人と飲みに行ったときはしゃべれなかったんですけど、ドライブに行ったら話せたので……二人だけの環境で落ち着いてしゃべるとか、状況もあるのかなと思いました」
「私もコミュニケーション苦手です。それぞれの人に心地よいコミュニケーションの仕方があると思う」
「例えば、大学時代に友人に言われたのが、悩みを話されたときに「こうすればいいじゃない?」って言ったら、友人は「いや、まずは話聞いてほしかった」と」
「人が求めてるコミュニケーションはそれぞれで、その仕方も一見判別がしづらい。相談したいと言われても、実は話したいだけだったり」
「相手がどういうコミュニケーションをしたいのか、そこの見極めが難しいです」
「前に読んだ本で、人は自分と似てる人を友達に選びやすい、というのがあって。実体験としても納得できる話だったんですけど……」
「人間関係って相性ゲームだよね、って友人が話していたことがあって、なるほどな、と」
「しょっちゅうLINEとか送ってくる人と、そうでもない人って、たぶんあんまり仲良くなれない。そういう相性はあると思う」
「求めるコミュニケーションは人それぞれだけど、似た傾向の人がいっぱいいるから、その中でできるスキルがコミュニケーション能力なんじゃないかな」
「大多数向けコミュニケーション能力、みたいなのがあって、それがコミュ力って言われてるのかな」
「今の話の流れで、コミュ力ってなんだろう?っていうのが引っかかっていて。仲良くなることが、コミュ力の目的なのかな、って思うんです」
「大多数向けは、コミュ力って言うんですかね?……同じような人に対して伝えたいことを伝えるって、能力を使ってるって感覚があまりない」
「むしろ、自分とは違う考え方の人に対して自分の考えを適切に伝えられる。そういうところにコミュ力の本質というか、核があるのかなと思う」
「似たような人に伝えられることは、私は当たり前のことだと思う」
コミュ力の定義とは?
皆さんはどのように捉えているのか。
「コミュ力の定義についての話が出てきました」
「大多数の似た人に向けて話す場合は、そもそもハードルが低いから、コミュ力はあまり必要なくて……ハードルが高いコミュニケーションを乗り越えていくのがコミュ力」
「……という定義がひとつ出ましたが、コミュ力の定義について、違う捉え方の方はぜひ教えてください」
「私は、コミュ力って、聞く力とイコールかなと。結局人間って承認欲求の塊じゃないですか。自分がうまく話せるか話せないか、自分が心地よい、話しやすいことに重きがある」
「じゃあ目の前の人と仲良くなるために、必要なのは相手を承認することだなと思ったとき、話せる力っているのかな?って思いました」
「上手にしゃべる力じゃなくて、うまく聞く力、ということですか?」
「上手に話させる力、です」
「なるほど、わかりやすいです」
「そのひとつして、聞く力とかがある、と」
「私は、自分の考えとか価値観とか、伝えたい内容があって、それがしっかりと伝わる、すり合わせができる、ズレをなくすためのツールとしてコミュニケーションがあると思う」
「友人の「仕事たいへんだよね」とかも、たいへんの度合いは人によって絶対違いがある。話すことによってズレを修正して、お互いの認識を合わせていく。それによって、伝えたいことを伝えたり、相手の内容を正しく捉えたり。そういったことがコミュ力だと思います」
「私は、自分と似ていない人に「あなたと同じような人ですよ、敵じゃないですよ」って嘘をつく能力なんじゃないかな、と思う」
「似てる人に言葉を伝えるのはたぶん簡単なんですよ。そもそもコミュ力って、苦手な人向けの言葉じゃないかと思っていて」
「できる人にはコミュ力って言わないじゃないですか。歩くことができる人に「歩き力」とか言わないじゃない。歩くことが全人類にとって難しいことだったら「歩き力」って言葉ができると思う」
「コミュ力はできない人向けの言葉で、難しいからその言葉がある。伝える能力か聞く能力かは、どっちもあると思う」
「「私は敵対してませんよ」って全身で出せることは大事ですよね」
「TPOによるとは思いますけど、適切なことを、適切な場で、適切に出せる、みたいな」
「私は皆さんのお話聞いていて、これもそうだ、これもだ、って思って。適切なときに適切な言葉を出すこともそうだし、ボディランゲージとかで相手にコミュニケーション取りやすいですよって意思表示するのもそうだし」
「そもそもコミュニケーションって対話だと思うので、相手の話を噛み砕いて理解するところから始まる。理解していないと話のズレができてうまくいかない」
「さきほど仰ったように、ズレを無くすとかがコミュニケーション能力として必要なんじゃないかと思います」
「私は、伝える力も聞く力も、最初の段階って想像だと思うんです。相手のことを想像できなければ、相手のことがわからない。考え方が違う人間だと認識するのも想像がいる」
「たとえば相手の価値観は自分に近いか遠いか?想像してから聞いたりすると思う。最初の想像が大事だなと思いました」
「想像、となると、前に出た「見極め」にもつながってるように思います」
「相手のことを想像するっていう話、面白いなと思って。たとえば、ムッとした顔をしている人と話したら、この人怒ってるのかな?とか思いながら話すじゃないですか、そういうのがズレてない人」
「文化圏によってはボディランゲージが違ったりはするんですけど、自分の体験や相手の文化に合わせて、想像して、友好的だなとか判断する。そこがズレちゃうと難しいんだな、って思いました」
「ちょっと怒っているのか、すごく怒っているのか、顔だけだとわかりづらい。上手い人なら、そこの想像が得意なんじゃないかなと」
「相手を察する力みたいなのに近い感じですね。でも、察するだけじゃだめなんですよね?」
「ある程度はそうですね、察するのが得意ならフィードバックもしやすいとは思います」
「文化圏とか、そういった前提条件を知っている上での想像ですか?」
「そうですね、前提を知っていれば想像しやすいとは思うので、あとは臨機応変かなと」
「日本とヨーロッパで握手をするしないとか、そういうのも想像力が試されるなと思いました」
「相手に対する想像力はキーワードのひとつになりそうですね」
「今のお話を聞いていて、想像っていうところで……ズレるところの感度みたいなのが重要なのかな、と」
「ここはズレると大変だから修正していこうとか、ズレへの感度の高さがあって、そこから想像してコミュニケーションしていく力なのかなと」
「センサーの感度と、修正力もセットで、ですね」
「どのタイミングで想像するんでしょうか? 初対面から始まって、想像はどのタイミングで入れるのかな?」
「私は、常に想像してるんですよね。それこそ、話し方とか、観点とか、いろんな情報を受けるなかで、この人はこういう人かなっていうのを常に想像しつつ、修正しつつ、みたいな」
「じゃあ、重きは修正力みたいな感じですか?」
「そうですね、私の中では」
「ずっとアンテナは立ってて、ゆるく受信し続けてる、みたいなイメージ。オンオフがあるわけではなく、うっすら想像し続けている」
「たしかに、友人だったらずっと一緒にいるなかで「こういう人だな」ってわかってくる」
「その子が相談してきたときに、この子はアドバイスを求めているのか、共感を求めているのかを考えて、例えば共感を求めてるだけだったら変なこと言わずにただ聞いてあげようとか」
「そういう情報を知っていくなかで、想像力が身について、言葉を発せられるのかなと思いました」
「逆に、妄想はしないことも大事だと思っていて。相手が共感したがってるとわかっても、100%共感したらOKだとは思わない」
「実際に想像したうえで、偏見を持ったりしないような、フラットな目線を持ち続けることも大事」
「考え方が違う人間同士ほど、妄想や偏見を持たないことが大切だなと思います」
「たしかに、偏見があったらズレっぱなしになるし、傷つけちゃったりしますよね」
「妄想しないってすごく大事だと思いました。妄想と想像の違いってすごく難しいんですけど、そこの舵取りが上手い人が、コミュニケーション上手いのかなって」
「でも、相手は自分に対して不快には思っていないだろう、ってしゃべるの大事じゃないですか。それってちょっと妄想入ってません?」
「実際どうかじゃなくて、自分の目線から見ると、想像できる範囲じゃない」
「それって自分に対する妄想ですか?」
「それもありますけど、相手に対して「そんなに不快にはさせてないだろう」という経験則による安心感と、妄想をトッピングして、しゃべってる」
「マイナスの妄想が膨らむと、「苦手って思われてないか、このままいって大丈夫だろうか」ってなったり」
「妄想と想像の違いは難しいですね」
「相手に心があることすら妄想っぽくないですか。相手に心がある前提で話してますけど、それさえ妄想かもしれないって思うときもうっすらあります」
「自分の想像と、現実の反応の一致が大事なのかなと思いました」
「想像の精度が高い、事実との一致が多いと、コミュニケーションが上手いのかも」
コミュ力は何のために使うのか?
コミュニケーションの目的は? コミュ力は何のために使うのか?
「コミュニケーションの目的が何か、そこの前提がズレていると、コミュ力の定義も変わってくると思います」
「コミュニケーションの目的は何か? コミュ力は何のために使うのか?」
「知らない人と仲良くなるためなのか、友人と楽しむためなのか、など、どう思いますか?」
「さっき、聞く力という話が出ましたけど、何のために聞くのか。伝える力は、何のために伝えるのか、ですね」
「コミュニケーションのゴールと言ってもいいかもしれない」
「私は、2度目3度目、仲良くなるためのコミュニケーション。想像とか妄想とかって、初手失敗したらその先がないかもしれない。はじめまして、のあとに「あ、違う」って思い込んでしまうとか」
「なので、親睦を深めるためのコミュニケーションということで、聞く力だと。まずは相手を知らないと。ほんとに合わないかもしれないし、共通点があるかもしれないし。という意味での聞く力」
「関係が継続するための、聞く力。わかりやすいです」
「何のためって問いで、パッと思いついたのが、孤独を避けるためなんじゃないか、って」
「究極、月に一人で行ったらコミュ力っていらないですよね。周りに人がいるからこそ、やりとりが発生して、伝える力とか、受け取る力が必要だと思う」
「孤独じゃなくて、二人以上で何かをやるための、意思疎通なのかな」
「究極的には孤独を避けたい、と」
「前提にはたしかに、孤独にならないようにとか、仲良くなりたいがあるんですけど……私が友達に対してのコミュ力って考えたときに想像するのは、やっぱり友達を傷つけたくないなって思いがあって」
「友達のことをよく知るほど、その子の背景がわかって、この言葉を使ったらこの子は傷つくとか思うので、そういう言葉を使わないとか」
「想像力を持って、その子に合った返し方ができるように、コミュニケーション能力がありたいなと思います」
「孤独を避けるのは遠くにあるゴールだけど、近いゴールとしては傷つけないもあるわけですね。わかります」
「孤独を避けたい、という気持ちはやっぱりありますか?」
「そうですね、あります」
「でも、パッと思いつくのは「傷つけたくない」ってことなんですね」
「やっぱりずっと仲良くしていたいなって気持ちがあるからこそ、ここで関係を終わらせたくないなと思うので」
「私は、皆さんの話を聞いていて、皆さんが自分でどこでつまずいているかの体験によって意見が違うのかな、って思って面白い」
「それで言うと私は、コミュニケーションのもっと前段階のことを話していて。初対面のときや、人と話すときに、上手にしゃべれるか。それが前提になってる」
「何のためにするかと言われると、人間関係って新陳代謝があると思っていて、コミュニケーションはそれを円滑に回すためのツールだと思う」
「自分がいかに人間関係で立ち回れるか、というツール」
「うまく立ち回るための、ですね」
「私は、人間関係に運命ってあんまり無いと思っていて。そこでどう立ち回って、どううまく人としゃべって、やっていくのが大事だと思うんで」
「質問です。うまく立ち回ると、何が得られるのか、どうなるのか?」
「友達になるならないもそう。自分が無理をしないことが、うまく立ち回る前提。無理してできた友達って嫌じゃないですか」
「自分が無理をせずとも、人間関係が回っている状態と思ってます」
「立ち回るって単語を聞いて思ったのは……私はコミュニケーションを使う場面はプライベートと仕事で分けていて。会社で働いているときのコミュニケーションって、部署の一人として立ち回る力。自分の立場を踏まえて人と話す能力が問われるところ」
「例えば、個人的にはなんとかしてあげたいけど、会社としてはできない、というのがある。その立ち回りは大切だと思う」
「でもプライベートのコミュニケーション能力って、立ち回るとかじゃなくて、その人を知っていくことに目を向けていきたい」
「その人を知っていくことは、伝えたり、聞いたり、想像したりの総合判断。それと仕事のコミュニケーションでは頭の使うところが違う」
「コミュ力をどうやって使っていけばいいのかって問いをあげたのはそういう意図があります」
「ちなみに、ビジネスのときよりも、プライベートのコミュニケーションについて話したいですか?」
「私はそっちのほうが楽しいなと思います。いい悪いはわからないですけども」
「やっぱり、ビジネスだと役割を全うする、という側面がありますものね」
「自分よりも会社や組織に目がいっちゃいます」
「ここまで聞いてみて、皆さんコミュニケーション能力の目的がかなり違いますね」
「男子と女子でも、ちょっと差があるような気がします。女子は地雷を避けないといけないから、目先の危険を避けるという女子独特の文化があるのかも」
「仕事とプライベートの分類について質問です。仕事でも2種類あると思っていて、組織の中で求められることと、お客様に対する営業的な面もある」
「ビジネスとプライベートで、根底としては同じところに行き着くのかな?と感じました」
「営業とかで人と関わるとなったときには、コミュニケーション能力ってワードがあるからこそ、どんなときでも使えるひとつの武器みたいな感覚なのかな?って感じました」
「どのカテゴリにも共通した、汎用的な何かがあるのでは?という問いかけですね」
「私は、仕事とプライベートを分けたい。確かに使っている根本の能力は同じところかもしれない」
「例えば何かを説明するのって、お客様でも仕事仲間でも発生する。その分野は、自分の友達とか家庭とかには持ち込みたくないんです」
「同じ能力を使ってるけど、使う部分を分けたほうが私はやりやすい」
「質問です。例えば、ビジネスのときはこういうところを重視してる、プライベートではこういうことを重視してる、みたいな例はありますか?」
「あるプロジェクトのリーダーを任されたとしたら、プロジェクトの成功が目的ですよね。自分の、仲間に対する嫌いとか話したくないとかは通用しない。そういうのをするのは仕事だけでいい、って思ってて」
「ああ、なるほど」
「プライベートという自分の役割がない場所でコミュニケーションを取るのが、私は楽しい。最終的には説明する力や聞く力になっちゃうんですけど、それをどのように出力するか」
「役割が発生すると面倒なのはすごくわかります。プライベートにそういうものを持ち込みたくないのもわかります」
「という話を聞いていて、プライベートでも何かの役割を演じちゃってるかも?みたいに思った人がいるかもしれない」
(一同笑)
「いや、プライベートもプライベートで、このときの私、あの人といるときの私、家族に見せる私、とかがあるかなと」
「たぶん見せる顔がそれぞれ違うかもしれない」
「聞いていて思ったのは、目的がどっちにあるか。本当はみんな出力したいのはプライベートのコミュニケーションで、それが自分の幸福感につながるんだな、と」
「プライベートだと取捨選択できるじゃないですか。この人と関わりたい、関わりたくない、みたいな。というところでフィーリングチェックをして、2回目合うか、その場限りにするか、見極めるために使うものなのかな、って思いました」
「能力としてはビジネスでも同じなんですけど、目的意識がどこにあるかで、意味が変わってくる」
「ビジネスとプライベートでは明確な違いがありますね」
「根底は一緒なんでしょうけど、出力が違う、と」
コミュ力は自分と相手、どちらに重きがあるのか?
どちらに主導権があるのか、決定するのはどちらなのか。
「コミュ力は、自分と相手、どちらに比重があるのか?という問いに進みます。たとえば、10:0なのか、5:5なのか、とか」
「皆さんはどう考えていますか?」
「私は、コミュ力を使うのは相手のため。でも、その先にあるゴールは、自分が孤独じゃないようにとか、自分が満たされたい、とかがある」
「ということは、自分のコンフォートを作るために、相手が自分のコンフォートゾーンに入るのかジャッジするのがコミュニケーション能力だと思いました」
「なので、コミュニケーション能力自体は、相手に10あると思います。ただ、目的は自分に10」
「相手のために使うんだけど、最終的には自分のため、と」
「そうです。そして人間はみんな満たされたい生き物なんだな、というのが前提にあるな、と」
「私は、自分・相手っていうくくりじゃなくて、伝えたいことがあるほうだと思います」
「思ったことがある方、伝えたいことがある方が、立つ。上に、というわけじゃないけど」
「そうなると「聞いてください」って言ってきたほうに、重きがあることになるわけですね」
「聞いていくうちに自分が言いたいことが出てきたら、そのときはスイッチされて、というのが繰り返されてく関係が、健全なコミュニケーションだと思います」
「コンフォートっていう言葉が出たので、そこから質問です」
「2回目くらいに会うことになった人が、明らかに「自分の話、聞いてもらえますか?」って感じで来たとします。それを察して、1時間聞いてあげて、相手はスッキリしました。自分はどっしり疲れました。この場合、その人とはもう関係を切りますか?」
「そこは役割によります。そもそも、自分が聞いてあげたい相手かどうか。会っていく中でわかってくる」
「なるほど、聞いてあげたいと思う相手なら、ある程度自分を削っても聞いてあげる」
「だってそれは、その人との人生のベクトルを合わせる行為だから。それがたぶん、傷つけたくないにもなってる」
「さきほどの傷つけたくない、っていうのはわかるんですけど、フルタイムでそんな感じですか? 逆にこの人傷つけてもいいや、って気持ちでコミュニケーションとることってあります?」
「そこまではないです(笑)」
「傷つけたくない、地雷踏まないコミュニケーションって結構疲れる印象があって、それで聞いてみました」
「疲れるは疲れますけど、大切にしたい相手だからこそ踏みたくないというのがあって、逆に「もう別れるか」とか、例えば「もうこのアルバイトやめるのでそこまで気を使わない」というのは正直あります」
「傷つけたくないのは、あくまで本当に大切だと思うからこそだし、さきほどの仰っていたように人生のベクトルを合わせたいから、自分を削っても不快には思わないかな」
「傷つけたくないって思ったときって、スイッチを入れるというか、ひとつギアを上げる感じなのかな、って思ったんです。上げないほうがたぶん楽。上げない関係もある?」
「そうですね、正直ありますね」
「それが、最初の方に出た「接客だったらいける」とかみたいなところとつながってますよね。この場限りだからいい、とか」
「だからこそ、目の前の人に「この人と仲良くなりたい」って思ったときに、負荷がかかったり、話せなくなったりするのがあるのかな、と思いました」
「私は、本当は5:5の関係だと思うんですけど、自分からしか物事は捉えられないので、自分が7で相手が3だと思います」
「だって、自分からしかじゃないと判定できない。他人からフィードバックを受けても、考えるのは自分。だから自分の目線からしか世界は見れないから、そういう意味では7:3だと思います」
「この問いは、冒頭で出た「コミュニケーションは相手次第か?」という問いにも触れていると思います」
「質問です。相手がどうであれ汎用性のあるコミュ力って、存在すると思いますか?」
「汎用性のあるコミュ力」ってある?
どんな状況、どんな相手でも使えるコミュ力はあるのか?
「宇宙人とか、あまりにも文化圏が違う相手はちょっと無しで。どんな相手にでも使える汎用性の高いコミュ力ってあると思いますか?」
「私はあると思います。ただ、人対人で、やりとりしながらズレを修正していくのは、たとえ地球の反対側の人でも使えると思います」
「私も、あると思っていて、一番汎用性の高いコミュ力は挨拶。どんな人にも会ったときに会釈したりするのって、コミュニケーションの入口だと思う。それはどんな環境でも通じるコミュニケーション能力だと思います」
「私は、あるとは思っているんですけど……あいさつとか、相手を想像して話すとかも、誰でも使える。でもそれは、人間の大多数は同じような感じだから、って前提に立つから言えることだと思います」
「全然違う人もやっぱりいるので、それを置いて考えるなら、あると思います」
「私はさっきも言ったんですけど、コミュニケーション能力という言葉は苦手な人のための言葉だと思う。やっぱり全員同じではない。各々、微妙にズレがある。ズレがある上でのコミュニケーションが前提だと思う」
「コミュ力が高いとズレを埋めやすい?」
「それよりも、そもそも似てるかどうかのほうが大きいと思います」
「コミュ力でもある程度はあるんですけど、あまりズレてないことのほうが大切」
「人脈多いタイプの人っているじゃないですか、あれはコミュ力のおかげっていうことではなく?」
「ある程度似てる人とつながってるんじゃないでしょうか。それと、共通点を探り当てるのが上手な人」
「なるほど、似てるところを見つけるのが上手いんですね」
「TPOに合わせて話を出せることもそうですし、共通点をうまく押し出せるという強みもあるかな、と」
「だから、話題が豊富な人や、物知りな人が人脈広いのも納得できます」
コミュニケーションってリズムゲーム?
タイミングが命だドン!?
「コミュニケーションはリズムゲーム、という話について……」
「同じような感覚の方は?」
(半数が頷く)
「結構多いですね」
「思いますね。間が空きすぎると、「あっ」ってなったり」
(一同笑)
「間以外にもあって、話す順番、何を出していくか。このテンポで、このタイミングで、この言葉を言う、みたいなのが結構伝えるには重要」
「そこはセンスが必要」
「そのセンスって磨けそうですかね……」
「磨けたらいいなって思います。生まれつき決まってるって、あんまり好きじゃないから」
「でも、こういう場で話していると、だんだん自分の話し方が身につくというのはあると思います」
「話すたびに、順番こうしたらいいかな、とか試行錯誤ができるから」
「私は仕事で営業をやっているんですけど、フィードバックでよく受けるのが、「お客さんと同じくらいのスピードで話すことが大事」ということ」
「なぜかと言うと、お客さんにとって聞きやすいスピード感って、お客さんの話してるスピード感なんですよね」
「自分は早口なのに相手はめっちゃ遅いとかだと、合わないなってなる。そこをチューニングしていくのは大事だなと思います」
「なるほど、営業テクニックですね」
「友人間でも、自分はゆっくりなのに相手が速いと急かされてる感じがあったりします」
「仕事だけじゃなくて、プライベートでも大切な気がします」
「仕事ではかなり意識はしています。信頼される印象になるように」
「信頼を勝ち取るためのコミュニケーション・チューニングみたいな。話し方以外にもあったりするんですか? ミラーリングとかも聞いたことありますけど」
「相手のタイプに合わせるとかですね。結論を先に聞きたいタイプには結論から、とか。雑談してから和みたい人、話を全部聞いてから質問したい人、相手のコミュニケーションのスタイルを見て、ですね」
「相手の快適なコミュニケーションを探るんですね。でも営業だからゴールは販売で、それだと主導権がどっちにあるのかは難しいような」
「結論から先に聞きたいタイプの場合は、ちゃんと相手の聞きたいことを答えないと怒らせちゃったりするので……まずは相手に応えながら、自分に主導権を少しずつ持ってくる、みたいな」
「綱引きみたいですね」
「そのとおりですね、なのでまずは相手に合わせてから、ですね」
「ビジネスだとチューニングしていく力がかなり重要そう」
「相手が悩みを話してきたときの、自分が返すスピード感は遅いほうがいいと思います。速いと詰めてる感じになるので」
「残り10分なので、何か話したいことがある人はどうぞ」
「逆に、コミュ力が低い人って、どういうことなのか?を聞いてみたいです」
コミュ力が低い人ってどんな人?
どんな定義になるのでしょうか。
「例えば、初対面なら名前を言ったほうがいいとか、相手との前提条件の段階を踏むのが下手な人」
「客観視ができるかどうか、とかですね」
「前提条件の例えをもう少しいただいてもいいですか?」
「名前を言うかどうかもそうですし、例えば電車で席を譲るときは名乗らないですよね。相手がどれだけ理解しているかを把握しながら話せるか、とか」
「客観視できるかどうかが大切だと思います。そこは想像になるので、より客観視が重要だと思います」
「私は、相手目線が持てない人だと思います。相手の心地いいのがどうなのかとか、どれだけ相手の立場に立とうと思えるか、それが苦手な人」
「私はわりとコミュ力無いんですけど、相手のことを考えられないより、相手のことを考えすぎちゃうくせがあって、勝手に妄想しちゃうんです。「こう思ってるかもしれない」「だからこれは言わないほうがいいかもしれない」「逆にこれは言ったほうがいいかもしれない」とか。それで言ってしまった結果、言っちゃいけなかったかも……とか」
「そういう判断を苦手な人がコミュ力ないんだと思います」
「相手目線には立とうとしてるんですよね?」
「立とうとする意識はあるんですけど、ですね」
「さっきの妄想と想像の違い、ですよね」
「そうそう、まさにそこです」
「私は、責任の無さだと思います。悪いとかじゃないんですけど、対話とかコミュニケーションをしているという自覚がない」
「壁打ちしてるの?っていう人はいますね」
「あと、リズムも、リズムがすべてじゃないなと思います」
「そう、そこがひっかかってまして……コミュ力低いという問いではリズムについて挙がらなかったんですよね」
「例えば、ある会話のリズムが良かったとしても、会話が噛み合ってないこともありますよね。相手の目線で何話しているのかを噛み砕けるかになってくると思います」
「相手が好きな心地ってものがって、リズムはそのうちのひとつだとは思います」
「リズムが合えばコミュニケーションが克服できるか?っていうと違うな、と」
「すごくいい例えだと思います。噛み合ってなかったら意味がないですものね」
残り時間わずかとなりました。
対話を振り返って、ひとこと感想
簡単な感想をいただきました。
「人間みんな、前提は誰かと仲良くなりたいし、そこのすり合わせをする2時間だったのかなと。ここまでやって、仲良くなりたいかどうか、やっとわかる。簡単に一朝一夕でわかるものではないんだなと思いました。楽しかったです」
「普段こんなに「コミュ力とは?」というテーマでずっとしゃべらないので、こういう機会に自分の中で話したいなと思っていたことを話せて楽しかったです。いろんな方の意見を聞いて「そういう考え方もあるんだ」って新たな知見を得たと思いました」
「私は自分の出した問いが自分の中に返ってきてよかったと思っていて……何のためにコミュ力を使うのかっていうのは自分の中のテーマとして大きかった。仕事とプライベートで自分は分けたかったんだな、って気づきました。その根源が、コミュ力って同じものだとしても、違う部分を使って仕事とプライベートでコミュニケーションをとってるんだな、ってわかってよかったです」
「今日話していて、「相手のためにコミュ力がある」という話がすごく印象に残っていまして……私は「自分の伝えたいこと」という観点でコミュ力を考えてしまっていたんですけど、相手のためのコミュ力もあるんだな、と気づけました。ズレを調整するとか、相手との共通点を見つけるとかも、これから磨いていけたら、自分のためにも相手のためにもなるかなと思いました」
「相手のことを想像できる人がコミュ力ある、というのはなるほどなあと思いました。今日は、皆さんのお話を聞いていて、なるほどと思うポイントがいっぱいあって楽しかったです。あと、説明もうちょっと上手になろうと思いました」
ここで時間いっぱいとなりました。
ファシリテーターの思うこと
今回、「コミュ力」とは何か?を掘り下げるつもりでテーマを設定しました。
実際に対話が始まってみると、コミュ力を考えていくうち、「私たちは何を目的に他人とコミュニケーショをとるのか?」など、コミュニケーションそのものに焦点が移っていきました。
コミュニケーションをして、私たちは何を得たいのか?
当然、目的によって、コミュ力の定義も変わってくる。
そして、コミュニケーションは他者との関わりである以上、相手の立場に立つこと、相手を思いやることの重要さが際立ったように思います。
参加してくださった皆様、ありがとうございました。
次回の開催案内
次回は2025年1月25日(土)開催。
テーマは「自己肯定感とは?」です。
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