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「やりがいとは?」対話カフェそもそも レポート#27

【開催日時】
2023年12月9日(土)
12:00~14:00

第27回のテーマは「やりがいとは?」です。

やりがいを感じたことはありますか。
感じたとしたら、それは何からでしょうか。
勉強? 趣味? 仕事?

やりがいは仕事と繋げて語られることが多いものです。
仕事にやりがいが無くて悩む人もいます。
「やりがい搾取」という言葉も生まれました。
やりがいと仕事の関係性は?

よく使われるけど、改めて考えるとよくわからない。
そんなやりがいについて対話したレポートです。

はじめの問い

まずはテーマについて、抱いている問いや、モヤモヤと思うことを挙げていきました。

「とりあえず、仕事に関連したイメージが強い」

「やりがいはどんなときに感じるのか?」

「仕事で、後輩がOBで来てくれたときに、やりがいはなんですか?と聞かれたんですが、思いつかなかった」

「それって仕事にやりがいがあること前提の質問ですね」

「仕事にやりがいって必要なんでしょうか?」

「やりがい搾取ってあるけど何が搾取されてるの?」

「やりがいの定義とは?」

「やりがいを言い換えると、仕事の楽しい部分、面白い部分のこと?」

これらが挙がりました。
言葉の定義があいまいなので、こちらの問いから。

やりがいの定義とは?

まずは皆さんが思う「やりがい」の定義を挙げてみることにしました。

「仕事関連で使うけど、趣味でも感じる」

「絵を描いていると、苦しくても楽しいと感じる。何かに対する努力とか、どうしたらもっと上手くなる探究心があると感じると思う」

「絵を描いているときにやりがいは感じますか?」

「感じます」

「食事や歯磨きとかの、日常的なことではやりがいは感じない。自分がこれをやりたいと、自分で選んだ理由があるものにやりがいを感じる」

「確かに歯磨きしていてやりがいは特にないですね」

「自分は、一般的に言われているお金とは昇格とかには感じない」

「100%楽しいことだと、やりがいがあるとは言わないのでは? ある程度の苦しみが伴うことにやりがいが生まれそう」

「アニメとかは見てるだけなので、楽しいけどやりがいはないですね」

「楽しいだけじゃなくて、『これどういうこと?』って思うような難しい作品ならやりがいみたいなことがあるかも?」

「それを聞いて思ったんですが、ミステリ系がヒットするのはそれが理由かも。海外ドラマのミステリーものを見ているけど、難しいのが楽しいみたいなところがある」

「別の視点からですが、仕事を通して『ありがとう』と言われたり感謝をもらえたりすると、充実感がある。これもやりがいに近いと思います」

「確かに、感謝されるのはやりがいですね」

「さっき出た、食事や歯磨きにやりがいがないのは、強い刺激がないからかも」

「ドーパミンとかの報酬系のホルモンが出る行動とか出来事は体感として強いですよね。例えば『鳥肌が出る』とかはわかりやすい」

「例えば、登山って苦しいことが多い。疲れるし、お金も時間もかかる。下手したら死ぬかもしれないし。それなのに趣味にしている人が多いのは、それだけやりがいがあるからかも」

「頂上まで何も苦しくなかったらそこまで楽しくないですものね」

「ロープウェイで登ったとしても、やりがいはないですね」

「すべて自分の思い通りになることにはやりがいが生まれないと思います」

「自分の絵を描く話だと、作品を作り上げた感覚は『出し切った!』という感じがして、これはやりがいだなと思っています」

達成感としてのやりがいと、充実感としてのやりがいと、二通りのやりがいがありそう?

仕事にやりがいは必要?

「やりがいがない仕事、目的がない仕事って、続けていけるんでしょうか?」

「すごく忙しくて、残業が続いたりしてくると、とにかく仕事をこなすことが目的になって、やりがいとかまでは考えられなくなるときがあります」

「学生のアルバイトでもやりがいはあったほうがよさそうですか?」

「アルバイトでもあったほうがいいと思います」

「自分の経験だと以前に教育系の仕事をしていたとき、相手からとても感謝される仕事だったから、やりがいは感じていました。感謝されるとうれしかった。でも、サービス残業が多かったし、仕事の大変さに対して給与が安すぎると思って辞めました」

「営業の仕事をしているときは、お客様とお酒を飲まなきゃいけないときとあって大変だった。お酒を飲むのは好きだし、経費で飲めるからタダだけど、楽しくはないし、契約に繋げなきゃいけないというプレッシャーがきつかった」

あったほうがいいけれど、現実はなかなか難しい?

どんな仕事ならやりがいを感じられる?

「やりたいこと、好きなことができれば、それがやりがいのある仕事だと思います」

「仕事に人間味を感じられる。感謝を得られる。事務作業だけだと、自分はやりがいない」

「私も同じ理由で、事務をやりたいと思えない。事務作業が苦手ということもあるけど」

「自分が自分である必要を感じられること。自分がいないと回らないだろうな、と思えるチームだと、やりがいがある」

「となると、自分がいなくても回る仕事はやりがいが薄いのかも?」

「フリーランスの場合は、お金が稼げることも、やりがいのうちに入る。自分のスキルで稼いで生活を回しているという実感」

「向上心とか、仕事の成果の指標として、お金はわかりやすいですよね」

「フリーだと、自分のスキルが広がる、増えることもやりがいだと思える。自分の成長はやりがい」

「燃え尽き症候群になった若い世代の話を聞くと、最低限の生活さえできればいい、みたいなことを言っていて。向上心とかがないんですよね。そういう考えだとやりがいは全くないのかもしれない」

好きなこと、自分が必要とされること、感謝されること、成長を感じられること。
いろいろな要素がありそうです。

やりがい搾取は何を搾取されている?

「やりがい搾取と聞いて、ぱっと思いつくのはブラック企業。求人に『若手で管理職になれます』とか『圧倒的成長』といった言葉が並んでそうな」

「昇格とか成長できることを餌にして、個人の向上心を安く買い叩いている、ってことなのかな」

「あとは『感謝されるから給料安くてもいいでしょ?』な仕事」

「がんばっても非正規のままだったり、昇給もなかったり」

「自分が以前勤めていた会社がまさにそうでした。感謝はされるけど、給与が低い」

「質問です。その仕事で感謝以外のやりがいはなかったですか?」

「少しはあったように思うけど……精神的な疲労も多くて、一人で現場に行くので孤独な仕事だったと思います」

「その仕事に、もしやりがいが足されたらバランスが取れて続けられたと思いますか?」

「最終的には、仕事内容に対して給与の安さが辞める決め手になったので、たぶんやりがいが増えても辞めたと思います」

「その仕事は教育系だったんですけど、社会福祉系の業種は元からサービス残業が多い業界ですよね」

「ボランティア精神を利用されているんでしょうか」

「教育とか介護は、社会の役に立っているとはっきりわかる仕事だから、そこの満足感がある分給与や待遇が低めなのかも」

「やりがい搾取って言葉が広まったきっかけは『逃げるは恥だが役に立つ』ってドラマで、ガッキーが言ってたからだと思います。ボランティアなのにたくさんの仕事を押し付けられて、その言葉を使った」

「例えばワンピースの魚人島編は、ルフィのおかげで魚人島の人たちの考えが変わった。でもそれはルフィが考え方を変えようととしたわけじゃなくて、ルフィはルフィの目的があって、それを目指した結果、偶然が重なって人々の考えが変わった。人々は、ルフィを見て意識が変わったわけです。ボランティアとかも、目標を持つ人に共感してやるのか、ただなんとなくやらされてるのではがんばれるがんばれないが違う」

「この人のためにがんばる、という思いがあるからやっていける、ってことはありますね」

「自分の息子たちが可愛いからがんばる、という母親とか、弟にかっこいいところ見せたいからがんばるとか。これらはやりがい搾取とは違いますよね」

「やりがい搾取は『しかたなくやっている仕事』であって、その場合は他で満たされるものがないと続かないと思う」

「『しかたない』って考え方は、世界的に見ると珍しいらしいですね」

「英語の教師も、日本語の『しかたない』は面白い言葉だって言っていました」

「じゃあ、やりがい搾取も日本ならではなのかも」

「外国人はすぐ転職するって言いますけど、日本人は一度辛抱する人が多い」

「辛抱、忍耐、耐える……こういうのが美しいとされる文化はありますよね」

「それと似ているのが長時間働いた方がえらい、すごい、みたいな空気」

「こういう空気、文化がやりがい搾取を引き起こしているのかも?」

「何を我慢するのかは、文化でかなり違いますよね」

やりがい搾取は、日本人ならではのこと?

やりがいは悪いイメージ?

「やりがい搾取という言葉が広まったからか、悪い印象がついてしまったかも」

「自分にとっては、やりがいは自分を窮地から助けてくれる言葉です。まだまだやりがいがあるんだからがんばれる、そう思わせてくれる」

「そのがんばらせ方が、間違った使われ方だとまずいわけですね」

「他人に悪用されるやりがいだと、本当の自分じゃなくなってしまうと思う」

「やりがいは自分のためのもの、他人が押し付けるものじゃない」

「だから、やりがい搾取はやりがいの押し付けになる」

「他人が用意したやりがいに乗っかると、やりがいを悪用されやすいのかも?」

「やりがい搾取って、アメとムチの原理をうまく利用しているなと思います」

「アメを自分で選んでいるか、他人からもらっているかの違いってことですね」

用意されたやりがいには注意?

将来の夢は何でしたか?

参加者からの質問で、みなさんに回答をいただきました。
それぞれ語ったあとで……

「なんで聞いたかというと、将来の夢からあてはめていくとやりがいも見つかりやすいかも?と思ったからです。子どものころにやりたかったことが、今のやりがいに繋がっているんじゃないかな」

「確かに、自分の仕事にはつながってなくても、好きなことにはつながってます」

このあたりで時間いっぱいとなりました。

ファシリテーターの思うこと

「やりがい」は、思っていた以上に広い意味を持った言葉だと感じました。
充実感、達成感、自分のいる意味、向上心、自分を支えるもの、などなど……。
それぞれが確かにやりがいとつながっています。

また、やりがいには少々の苦しみが伴う、ということも再認識させられました。

他人が用意してくれた「良さそうなやりがい」には要注意ですね。

参加してくださった皆様、ありがとうございました。

次回の開催案内

次回は2023年12月23日(土)開催。
テーマは「さみしさとは?」です。
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