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台湾有事は近いとか煽る人いるけど、本当にそうなの?

学者や政治家が言うならまだわかるけど、ろくに中共と台湾の知識もないSNSのインフルエンサーまでもが台湾有事を煽っているのを見かけます。

中共が台湾を取り囲むように軍事演習を行う様子を見て、ウクライナの戦争前と同じだとか言い出す始末。

世界中の国々が全て同じような行動を取るとでも思っているのでしょうか。ロシアとウクライナの状況が他国にも当てはまると言うのはちょっと乱暴な解釈だし、軽薄な発言のような気がします。

とは言え、私も台湾関係の学者でもないし、軍事専門家でもないし、政治家でもない、ただの台湾好きなおっさんですが、私は台湾有事はまずありえないと思っていますし、少なくても今のような状況が続く限り直近にそれが起こるとは思っていません。

以下に書くことは、単なる私の台湾有事に対する感想であり、同意を求めるわけでもないですし、素人の妄想であると思ってもらって構いません。素人なので現状の認識不足などもあるかもしれませんので、読み流してもらえれば嬉しいです。

中共は政治的・経済的・そして軍事的威嚇によって台湾を降伏させたいだけ

中共は台湾独立を阻止する!と叫んでいますが、これは単純に中共のプロパガンダであり、中共の勝手な思想なだけです。

独立というからには前提として「台湾は今は中国の一部である」と言うことを世界に喧伝しているだけです。

そして世界がそれを信じてしまい、「台湾が勝手に独立しようとしている」と言う思考になると、「台湾は勝手なことをしていて、おかしいのではないか」と言う思考になります。

こうなれば中共の思う壺です。世界を味方につけて、台湾を悪者にすることができます。

台湾は既に独立している

台湾は民進党、そして国民党が二大政党ですが、国民党は知っての通りかつては大陸から台湾に逃げ延びてきた人たちがメインであり、今でも中共寄りの考え方で、習近平と会談したりもしますし、仲良しです。

一方、中共に言わせると「民進党は独立を目論んでいる」というようなことを言っていますが、民進党のスタンスは1999年の台湾前途決議文で表明している通り「台湾は既に独立している」と言う考え方です。

でも実は台湾にとって、台湾独立の意味は上記とは違う意味があるのです。

台湾共和国の設立

台湾共和国国旗(画像:Wikimedia Commons)

前述の通り、日本統治時代が終わり、タイミング良く大陸の国共内戦で敗れた蒋介石率いる中華民国が台湾にやってきました。大陸は毛沢東の中華人民共和国が支配してしまったからです。

これ以降台湾に渡ってきた人たちのことを外省人と呼び、日本統治以前から台湾にいた人たちを本省人と呼びます。

台湾人の言う台湾独立とは、勝手にやってきた中華民国を追い出して台湾共和国を設立することです。つまり台湾国内のことであり、中国は何も関係ありません。

台湾共和国設立運動をしている人たちは一概には言えませんが台湾人の一部の人たちであり、主に本省人で、外省人はこれに反対で、一部の外省人は「台湾は中国の一部だ」と言うことを言ったりもしています。

しかし、そもそも台湾人の多くは現状維持を望んでいます

頼清徳総統も民進党も現状維持の考え方ですし、国民党も中共寄りではありますが、基本的には現状維持の考え方です。

つまり、台湾独立の意味は中共と台湾で大きく異なるという認識がまず前提です。

戦争は起こらなくても政治的、経済的圧力は続く

中共はあらゆる手段で台湾に圧力をかけています。

例えば、台湾と国交のある国は年々減っています。これは「台湾と国交を切って、私たちと国交を結べば、美味しい思いをさせてあげるよ」と言う中共の甘い囁きがあり、多くの国で国交を断交する事態になっています。

オリンピックなどの国際的なイベントでは「台湾」を名乗ることができないのもそうですし、各種関税優遇措置の撤廃、水産物や農産物の輸入規制、観光客の受け入れ制限など経済的制裁はずっと続いています。

また日本も危機感を持った方が良いですが、台湾も多くの土地を中国資本に購入されてもいます。

更に台湾の周辺での軍事訓練などで、圧力をかけている状態であり、中共としては、これらを厳しくしていくことで、台湾が根をあげて中共に擦り寄ってくることが最善の結果でしょう。

中共だってわざわざ時間と労力と莫大なお金をかけて、戦争をしたいわけがなく、可能なら無傷のままで台湾を手に入れたいのです。

戦争は現実的ではない

台湾の国民党は中共と仲良しであり、国民党の支持者はおよそ20〜30%程度いると言われていることから、有権者の人数で言うと500万人前後はいるはずです。

また、そもそも中国国籍の人たちも台湾にたくさん住んでおり、一説によると30万人以上いるとも言います。

戦争を仕掛けてくると言うことは、こういった仲間や同胞を攻撃することと等しく、更に言えば今は台湾は同じ民主主義国家である日本や米国、韓国、オーストラリアなどによっても守られている状態であり、いざ戦争ともなれば中共は台湾だけでなく、これらの国を相手にすることにもなり、それは第三次世界対戦レベルの話になってしまいます

チベットやウイグル、香港のように強引に進めれば何とかなるという話ではないのです。

それは当然中共も理解しているので、手は出せないのです。手は出せない代わりに上述の政治的、経済的な圧力などで台湾をいじめ、軍事演習を行なって脅しているのです。

もし、武力による戦争があるとしたら、金門や馬祖列島など台湾本島から外れ、中国に近い離島での制圧くらいではないでしょうか。それすらそう簡単にはできないとは思いますが・・・。

台湾有事まとめ

上記のような理由で、台湾が武力制圧される可能性は限りなく低いと私は思っています。

最悪の事態は想定しておくべきなので、台湾有事になったら日本はどうなる?と言うことは想定しておくべきかもしれませんが、それより前に台湾有事をどうやって防ぐかという点に重点を置くべきだと思っています。

そのためには日本は、中国の脅しにも毅然とした態度をとっていくことも必要だと思います。いつも遺憾砲ばかりでは完全に舐められます。

中共に「日本は結構怖いぞ」と言う思いを抱かせるだけでも違うと思います。そういう言動は日本を守るだけでなく、台湾を守り、アジアの平和と民主主義を守るのです。

これを読んでくれた皆様に言いたいのは、こんな中共の威嚇くらいで台湾有事を心配し、台湾旅行を取りやめるなんて言うことはしないでほしいことです。

国同士の争いですから、全く予想外のことが起こることもあり、ロシアのウクライナ侵攻時のように、多くの専門家たちが「それはない」と言っていたことがあっさり現実になってしまうこともあるかもしれません。その可能性はゼロとは言いません。

それでも現時点で台湾有事を間近に迫っているように煽るのは、どうかなと思ったので、こんな記事を書いてみました。


政治的な話はしていませんが台湾情報ブログをやってます。
台湾に興味のある人はぜひ読んでみてください。





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