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世界にひとつ!月経博物館が台北にある
台湾は近年、アジア初の同性婚合法化などジェンダー平等推進に目ざましい進歩が見られます。
そして、台北にはアジア初、現在は世界で唯一の月経博物館「小紅厝月經博物館」があります。
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写真撮影2024年10月25日
月経博物館創設の経緯
2019年、月経に関する偏見や差別をなくすことを目的として非営利団体「With Red(小紅帽)」が設立され、2022年6月「小紅厝月經博物館」を開館させました。
With Red創設者ヴィヴィ・リン氏は台湾のZ世代を代表する女性で、生理に関する強い問題意識を持つアクティビストです。
2021年には世界を変える人道的活動・社会貢献する次世代リーダーに贈られるグローバルな「ダイアナ・アワード(Diana Awards)」を彼女は受賞しています。
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月経博物館の展示物
博物館はとても小さいながらも、生理の仕組みや生理用品の歴史、生理の貧困、偏見、不平等などに関するパネル展示があります。
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若いアーティストによるジェンダーをテーマにしたアート作品の展示や、販売も行われています。
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生理用品の無償提供や月経教育講演など、自治体への働きかけ等の活動をされているのがわかります。
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世界では月経がどのように扱われているのか?などの報告もあります。
たとえば、生理用品の無償提供や免税購入などの国や地域があるようです。
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一方で、経済的理由、つまり貧困のために生理用品が購入できない。
生理用品を節約するため、過度な長時間使用し、不衛生な状況から感染症を引き起こす。
というようなことが問題になっています。
台湾でも日本でも、現実にあります。
これらを受けて、徐々に学校のトイレや保健室で生理用品の常備が進みはじめたようです。
台湾では「With Red(小紅帽)」がリーダー的存在なのでしょう。
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月経は不浄であると信じられていた時代、世界には女性が月経期間中、月経小屋に隔離された地域もあったとは驚きました。
また、生理用品を購入するとき、紙袋に入れて、生理用品を隠すことはいまもありますよね。
これは月経を秘密にしなければならない、月経は不浄だという意識が残っているのでしょう。
女性の身体に生まれてきただけで、このようなストレスにさらされるのはいかがなものか?
そもそも生理現象であり、普通のこととして、受けとめたいものです。
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「げっけいのはなし、いのちのはなし」 おおいしまな著・ふかいあずさ著
現役保健師さんの絵本です。
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来館者に期待すること
台湾はながらく男尊女卑の時代を経て、いま世界に向けてジェンダー意識の高さを発揮していると感じました。
とはいえ、どの世代も意識が変ったとはいえません。
私が結婚した30年ほど前に、家族から言われたことを思い出します。
”月経は不浄だから、月経中は廟に参拝してはいけません!”
当時、ものすごくカルチャーショックを受けましたが、なぜか、そうなんだと納得しました。
いま思えば、私も小学生の高学年になったとき、女子だけ集められて、月経の話を聞いた世代です。
もちろん、生理用品を購入するときは紙袋に包んでもらいました。
どれもこれもそういうもんだと、すり込まれていましたから。
でも、いま考えれば、おかしいと気づくはず。
月経があるから、いのち(子孫)が繋がっていくのです。
みんなの意識がアップデートされることを期待しています。
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私が昨年訪問したとき、若いカップルが熱心に展示を見て回っており、明るい未来を感じました。
私の友人知人も興味を持って、次々に来館しています。
中には初潮を迎えた娘さんと一緒に、この博物館へ来ることをメインに台湾旅行を計画したパパも!
オープンな親子関係が素晴らしいですね。
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私も某メディアに月経博物館について寄稿させてもらいました。
また、母校の高校で、先輩の社会経験を後輩に伝える講義というのがあり
「日台交流で生き方が変った~台湾の多様性社会やEQの高さについて」というテーマで話をした中で、月経博物館を取り上げました。
それくらい台湾が世界に誇るべきものだと、自信を持ってお伝えしたいからです。
講義後のアンケートでは、月経博物館の反応が良かったです。
高校生と年の近いヴィヴィさんの活動は大変刺激的だったようです。
もし、台北旅行でお時間があれば、訪問してみてください。
通り過ぎそうになるくらい、小さなお店のような博物館です。
それと、開館時間は限られているので、事前にSNSなどで確認されることをオススメします。
台北市大同区重慶北路三段335巷40号
毎週金曜〜日曜 11:00〜18:00
(月曜〜木曜・祝日は休業)