台湾で働くなら知っておきたい公的退職金制度(勞工退休金)について
今回の記事では、台湾の公的退職金制度を紹介します。
「私には関係ないよ」という人もいらっしゃるかもしれませんが、特に以下の条件にあてはまる人は、老後の生活保障を考える上で是非とも知っておきたい制度です。
1)台湾人と国際結婚をした
2)現在台湾で仕事をしている/今後台湾で仕事をすることを検討している
3)台湾の永久居留資格を所持している/今後取得する予定である
それでは以下に解説していきます。
台湾の公的退職金制度の概要
台湾の会社員には、公的退職金制度(勞工退休金、通称:勞退)が準備されています。
これは確定拠出型の年金制度で、毎月雇用主の負担で報酬月額の6%が拠出されます。拠出された資金は基金によって一括で運用され、最終的には拠出額と運用収益を合わせて受け取ることができます。
運用には当然リスクもあるわけですが、最低保証として2年定期預金の利率が保証されています。このため、運用成績によって元本割れすることはありません。
2022年現在、原則として受取年齢は60歳となっています。
「勞退」の拠出額と受給について
勞退の計算に使われる報酬月額の上限は150,000TWDとなっています。
これは、労工保険の各種給付(出産育児一時金や育児休業給付金など)の計算に使われる報酬月額の上限(45,800TWD)と比べて高い設定となっています。
このため、勞退は収入によって将来の受給額に差がつきやすい制度と言えます。
また、この勞退は雇用主負担(6%)に上乗せして、自己負担で6%の金額を上乗せすることも可能です。
この場合、自己拠出額分は所得控除が可能となります。
例えば報酬月額が最大の150,000TWDの人が6%分の金額を上乗せして自己拠出した場合、1年間で150,000 × 6% × 12 = 108,000TWD分の所得控除を受けることができ、節税効果を得ることができます。
節税目的以外にも、例えば児童手当の所得制限にかかる人は、上乗せ拠出で控除額を増やすことで、所得制限を回避することもできるかもしれません。
さて、このように勞退は台湾で働く人にとって、非常に大きな福利厚生となっていますが、外国人は拠出対象外となっています。一方で例外として、外国人であっても台湾人の配偶者である場合、もしくは永久居留資格がある場合は拠出対象になります。
このため、台湾人と国際結婚して台湾に生活拠点を置いている人や、台湾で長く働いて永久居留資格の取得を視野に入れている人にとっては、よく知っておくべき制度と言えるでしょう。
<参考資料>
1)労工保険局のウェブサイト
勞退の受給資格者に関する一次情報はこちらから確認できます。
「勞退條例之適用對象為適用勞基法之勞工(含本國籍、外籍配偶、陸港澳地區配偶、永久居留之外籍人士)」と記載のあるように、外国籍の配偶者、永久居留資格を持った外国人も制度対象内となります。