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自分の想いを形にしていく┃(株)WORLDESIGN 中西 景子氏
お話をお聞きした方
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㈱WORLDESIGN 中西 景子 氏
東京都出身。学生時代より将来バイヤーとなり独立することを志す。
大学卒業を前に海外のアパレルの卸を行う企業へとアルバイトとして入社した後、正社員として採用され念願のバイヤーとなりバイヤーの業務以外にも海外にて事務所を設置など、様々な事業を経験。
2006年に独立し東京都調布市にて「makiras」を立ち上げ、2018年より法人化し(株)WORLDESIGNを設立。
現在、台東区浅草橋に実店舗を構え、手芸資材を中心にフェアトレードに関連する商品を多く取り扱い、小売及び日本全国に卸をしている。
2023年春に三重県大台町に2015年からプロデュースしているネパールオーガニックコーヒー「雪男スペシャルコーヒー」のテイクアウトを併設した2店舗目「bistarai」を開店予定。
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バイタリティの塊
将来バイヤーとなることを志す
ーどのような学生時代を過ごされたのでしょうか?
中西 景子さん(以下、中西) :大学は自由な校風でどの学部にいても他の全て学部の授業を専攻し、単位としてカウントできました。様々な学部があって迷っていたので学費の安いところに入って他の受けたい授業を取ろうと思い、ビジネスマネジメント学部を選びました。
その時からバイヤーっぽい気質があったのかもしれません。笑
アルバイトはありとあらゆるものを経験しました。自分が何をやりたいか、何に向いてるかを知りたくて。
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学生時代からバイタリティ溢れる生活をしていた。
アルバイトながら様々な経験をしていく中で、20歳くらいの頃には自分で事業を立ち上げようと決めていました。
大学4年生の時、馬喰町の問屋街に海外から輸入したアパレルの卸をしている会社を見つけ、お電話したところ、「今日までで面接が終わり候補者が決まっている」と言われたのですが、「明日の朝イチで伺うので、面接だけでいいのでお願いします!」とお伝えして翌日面接していただき、採用していただくことができました。それ以降、いつでもタイミングや行動力だけは人一倍大事にしています。
海外に事務所立ち上げを経験
ーバイヤーとしてどのような仕事をされていたのですか?
中西:アルバイトで入社し半年で正社員となり、その後女性初のバイヤーに昇格しました。
実際にはバイヤーとしてだけでなく、企画やデザインを行なったり、さらには取引を行なっているインドやネパールなどの海外に事務所の立ち上げを行うなど、他のスタッフはしていないような業務など、なぜかなんでもやらせていただきました。
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その会社で3年間働いて独立しようと元々決めていたので、3年後に退社をしました。
makirasの立ち上げ
ー実際に雇用から自営業者として働き始めていかがでしたか?
中西:2006年、当時25歳の時に独立し「makiras」を立ち上げました。
顧客ゼロからのスタートだったので、スーツケースにサンプルを入れて下北沢など中心に商品を扱ってくれそうなお店に片っ端から営業をしていました。
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小さな頃から人一倍言うことも聞かず、自己主張が強かった自身を育ててくれたことへの感謝もあった。
徐々に卸先も増え事業が少しずつ軌道に乗り始めましたが、卸のみで常設店による小売はしていなかったので「自分の商品は消費者までしっかり届いているのか?」というtoCの部分について考えるようになりました。
消費者まで商品が届いているかや実際の声を確認するため、全国のルミネやパルコなどの大型デパートに2〜3ヵ月の短期出店を行いました。
その後、2008年にリーマンショック後にじわじわと卸先が廃業してしまうというトラブルや3年後、ユニクロが出てきたことをきっかけに、このままアパレルをメイン商材としていくのは難しいかもしれないと感じ、思い切って商材を服飾雑貨に少しずつ切り替えることにしました。
小物が増えたことで、ますますフェアトレードの工場との付き合いも増やすことができました。
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私の母は”第3世界ショップ”が好きだったので、昔から家にフェアトレードのものがある環境で育ってきたんです。そのため、以前の会社で働いていた時から現地でのアンフェアな雇用の仕方などにも疑問がありました。
今も商品は自身でデザインし海外での買付も行い、以前の会社の元同僚の現地スタッフの会社などとも取引しています。
自営業者として働くことの厳しさを体感
ー結婚・出産もされていますが、並行して仕事をするのは並大抵のことではないと思います。
中西:実は短期で大手デパート3カ所に同時に催事出店をしていた時、第一子を妊娠していて本当に忙しかったのを覚えています。
自営業は産休や育休がないため、何もしないと収入も0となってしまうので、生まれる直前までと退院後すぐPCを駆使するなどして、できる限り仕事をしていました。
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毎日売上を気にしながら子育てをするのが中途半端な感じがして嫌だったのですが、保育園に預けたくても自営業だと優先順位が低く待機児童で入園することもできませんでした。
どうにかしないとと困り果てていた時、ちょうど友人に保育園の運営を始めたいという方がいたので、そこに週2で子供を預け、週5は夜子供が寝てから仕事・週2は日中に仕事という生活を送っていました。
オンラインショップへ出店する
ーオンラインショップを始めたきっかけを教えてください。
中西:テナント出店するよりも子供との時間を効率的に使うことができるため、メインをオンラインショップでの販売に切り替えました。
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東日本大震災を経験して三重県へ移住
ーその後も引き続き東京で仕事をされていたのですか?
中西:2011年に東日本大震災を経験し、小さい子供がいる中で東京で生活をしていくことに不安を感じていたことや、元夫も私も昔から地方での生活に憧れもあったため、思い切って転居することにしました。
元夫の仕事の兼ね合いもあり、お互いの首都圏の実家を訪問しやすい三重県に住むことに決めました。
2人目を妊娠していたため、住まいとなった三重県菰野町のファミリーサポートサービスを利用し、仕事と子育てを両立させてました。
オンラインショップでの販売に加え、土日は近隣のマルシェや日本全国の音楽フェスの物販出店も始めました。
毎年3月〜11月は土日に全国各地でフェスが開催されているので、平日は自宅で仕事して土日はフェスに出店するという生活を4年程していました。
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ネパールで起きた震災で、公的な支援やサポートも低カーストには届いていない現状を目の当たりにし、低カーストの人々が夢を持って生きていけるシステムを今後築いていくため設立。 一時的な支援ではなく、長く続けられるプロジェクトにしようということで、ビスタレイ(ネパール語で「ゆっくり」)と名前を付けられた。
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コーヒーのテイクアウトと手芸用品などの販売を行う。
(株)WORLDESIGNを立ち上げる
以前より計画していた(株)WORLDESIGN
ー(株)WORLDESIGNを設立したきっかけを教えてください
中西:結婚10年目にして元夫とは離婚をすることになりました。
結婚生活をする中で、女性ということもあり家事の負担をすることも多く、正直事業においては自分のやりたいことを全てやりきれていませんでした。またシングルマザーとして子供を育てていくためにも当然借入などが必要だったので、思い切って個人事業主から法人成りし、2018年10月に(株)WORLDESIGNを登記しました。
仕事用の事業計画書を創業時からずっとつけているのですが、社名とロゴも将来法人成りした時のためにとだいぶ前からデザインしてありました。
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東南アジア諸国・ヨーロッパ中東を含めた12ヵ国からフェアトレードをスタンダードに掲げ、各種手芸用品とネパールオーガニックコーヒーの輸入・小売・卸販売をオンラインと浅草橋の実店舗にて行う
浅草橋の店舗について
ー浅草橋に出店された理由を教えてください。
中西:お店は台東区の浅草橋に構えました。
この場所を選んだ理由としては主に3つです。
卸とオンラインショップでの販売を行うため、地下1階があり倉庫の役割としても使用できること
浅草橋は問屋街も近いので、卸のお取引先が仕入れで立ち寄りやすいこと
駅から程よい距離があったこと
駅前だと集客力はありますが実際の購買率は低く、本当に当店を目指してきてくださる方にスタッフが濃い接客をできるような店にしたいと思いました。”効率”のことを考えるのは、実は趣味の一つです。
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可愛いに包まれた空間となっている🎗
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当店をわざわざ目指してご足労いただいたお客様には必ず満足してお帰りいただきたいので、店舗限定サービス商品(ハギレ詰め放題¥1,000)やオリジナルデザインしたクレーンゲームなど、企画の中に常に遊び心を忘れないようにしています。
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これはオリジナルBAG🛍
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どことなく懐かしさを感じる可愛い缶ケース
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このような体験ができるのはお店ならでは。
見た目だけじゃなく動きも可愛いので、ぜひお試しあれ。
コロナ禍での事業
オープンして2年目で起きたロックダウン
ーコロナ禍はどのように営業していたのでしょうか?
中西:浅草橋に来てから2年目の時にコロナが流行し始めました。
初期の頃は世界中でロックダウンが起き主要取引国で生産も物流も止まってしまうという緊急事態が起きました。
しかし、運が良かったことに同時には起こらず、どこかしらは動いてる状況だったので、中国がロックダウンの時はタイに飛んで製品の生産をお願いしたり、タイがロックダウンした時はインドか仕入れたりなど臨機応変に対応し飛び回っていました。
初期はみなさんの記憶にもあるようにマスクの売り切れが続出していたので、マスクの生地やその付属品が売上の8割程度を占めるという状況が半年ほど続いていました。
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ビジネスアドバイザーを活用した、中小企業診断士との相談
ー事業団では定期的に相談事業をご利用いただいています。
中西:コロナが始まった頃に、当社は立ち上げたばかりだったので、コロナ関連の助成金が全く使えず起業して13年目にして初めて一度きちんとした知識のある方に相談してみようとGoogleで近所の専門家をググり台東区の中小企業診断士さんにお話を聞いていただきました。
助成金や補助金の活用など一切してこなかったのですが、フェアトレードを行なっているならたくさん使える仕組みがあると知り、会社としての取り組みをきちんとPRすることも始めました。
雪男スペシャルをお取り扱いいただいている葉もれ日さんに台東区で事業の無料相談があると伺い、当時の事業団さんのビジネスアドバイザーさんと繋がり、1年間無料の企業診断を受けました。
自身の計画や目標を声に出して話すことで、さらに今後のことが明確になり、自分の知らない分野のたくさんのアドバイスもいただけたのでモチベーションも上がりました。
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無料の相談事業や助成金、セミナーなどにより区内中小企業を支援している。
スタッフが増える
ー先日お店にお伺いしたところ、従業員の方が複数いらっしゃいました
中西:以前より雇用に関する相談をしていたのですが、半年くらい前に今のスタッフが揃いはじめました。今は社員が2人、パートが2人です。
スタッフ自身がお店の物を買って自分で製作したりするくらいハンドメイドが好きで働いてくれているスタッフも多いので、ものすごい量の入荷があっても「かわいい!」と楽しんでくれたり、お客さんとの接客も前向きに楽しんでくれています。
スタッフからも「これやりたい!」と意見を出してくれることも増えてきて、インスタライブやワークショップを任せるなど、私だけではできなかった新しいことにもチャレンジできるようになっています。
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(↑スタッフによるinstagram上での商品紹介動画)
人事的な部分についてはスタッフ一人一人と月1回でランチミーティングをしたり、全体でのミーティング会も開いたりして、全てのスタッフが話しにくいことなど、誰かしらに相談できるように風通しをよくすることを意識しています。
また、社員には3カ年計画(自身の目標とお店の目標)を書いてもらい、働く中で自身のなりたい姿も思い描いてもらっています。
ー中西さんの主な業務や業務に当たって意識していることを教えてください
中西:現在の私の主な業務は、外注を含む全スタッフや12ヵ国50工場とのやりとり、製品やロゴやイベント企画のデザイン、買い付けとサプライチェーンマネジメント全般、他にもオンラインショップへの商品アップロード、広告PR&SEO対策と会社の経理などやることは本当盛り沢山です。
また、”どんなに良い製品を扱っていても、広告とPR力、それに繋がるデザイン力がなければ、どんなにいい製品でも売れない=事業展開ができず、いい製品を認知してもらえない”ということを創業時より常に意識してきたので、昔からずっと私の抽象的なデッサンをデータ化してくれるyuj designと二人三脚でバナーやロゴデザインに力を入れています。
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今後について
三重県でコーヒーのテイクアウト事業を始める
ー今後、新しい取り組みはありますか?
中西:以前よりデザイナーとしてウチの事業に外注で関わってくれているyuj designを当社のスタッフとして迎えることになり、三重に拠点を作って新しい事業をしよう!ということで、三重県多気郡大台町で築74年の古民家を借りて、コーヒーのテイクアウトと手芸用品などの販売を行う2店舗目をオープンすることになりました。
2023年春までにオープン予定で、そこで販売するコーヒーはネパールの小さな農園で栽培された無農薬コーヒー『雪男スペシャル』です。
ぜひ入れたてのコーヒーを楽しんでもらいたいですね。
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ネパールのガンダギ県のカスキという町にある、無農薬で珈琲を栽培している小さな農園の豆だけを使用している。売り上げはNGOビスタレイの活動費として、ネパールので低カースト層の生活復旧の支援および今後の就労作業所設立費用として使用される。
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人が来るのか半信半疑でプレッシャーだらけの部分がありますが、新しい地元の人々とも繋がって地域活性化にも繋げられたら嬉しいですね。
越境EC用のオンラインショップを作成
ー越境ECにも挑戦されると聞きました
中西:事業団さんの新販路開拓支援事業を活用させていただいて、越境EC用のオンラインショップを作成中でして、これから海外出荷を始める予定です。
きっかけとしてはコロナですが、日本でオリジナルリボンを生産することも自分の事業計画に記載していたのと円安などのタイミングもありました。
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makirasのinstagramのアカウントは国内用として運営し、新しく始めたworldesigntokyoは海外用として越境EC用のサイトと連動させたり、現在リモートで参加しているウクライナ人のスタッフに英語で発信してもらいます。
台東区との繋がりを
ー昨年(当時2022年)10月は台東区産業フェアに参加されてました
中西:スタッフが増えたことで徐々にイベントにも出展できるようになりました。
今までは余裕がなくて浅草橋でも知り合いがおらず、台東区産業フェアに出店した時にも「浅草橋にこんな企業さんあったんだ!」と初めて知ることも多かったです。
今年はスタッフも揃っているので、2023年5月に開催する「モノマチ」にも応募しました。
今後は台東区の企業と繋がりを作れるように(株)WORLDESIGNだけではできない新しいこともしていきたいです。今後やりたいこともたくさん計画しているので、スタッフと和気藹々としながらも1つ1つ実現できるよう取り組んでいきます。
編集後記
中西さん、インタビューにご協力いただきありがとうございました。
フェアトレードという商品を取り扱っているところから、てっきり「学生時代に海外を放浪して」や「ネパールでの現状に衝撃を受けて」などのきっかけやそこに対する強い想いから事業を始められたものだと思っていましたが、事業への姿勢や想いは、今までお会いした中で1番ビジネスマンな方でした。
地元にユニクロが出店した際やコロナをきっかけになど、予期せぬ事態に対して商材や販売方法も臨機応変に変化させていくことで、どの時代の変化にも負けない企業づくりをされており、そのようにビジネスをしっかりと構築した上で、ご自身の想いを届けようとしています。
強く芯を持った中西さんの想いがスタッフやお客さんにも広がっていくことで、フェアトレードなどの考えが日本だけでなく世界でもスタンダードなものとなってくれることでしょう。
この記事は台東区産業振興事業団 額田・北川が担当いたしました。
店舗情報
(株)WORLDESIGN
東京都台東区浅草橋3丁目34-3 102
TEL:03-6883-8329
WEB:https://worldesign.co.jp
EC:https://www.rakuten.ne.jp/gold/makiras/
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