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経済産業大臣賞受賞の商品は妻の一言がきっかけ?┃大野屋氷室本店さん インタビュー

創業76年の老舗氷屋 大野屋氷室本店の四代目代表 大野 勇さん、妻の大野 夕希さん、工場長の中村 彩音さんにインタビューさせていただきました。

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創業当初は中央区で経営。現在の台東区松が谷の店舗となってから13年営業。

かき氷を始めたきっかけ

—かき氷の販売はいつから始められたのですか?

勇さん)かき氷を本格的に始めたのは2017年からです。

夕希さん)元々私がかき氷が好きで専門店を色々と回っていたんです。
夫と出会ったころは、どういうお仕事をしているのかよくわかってなかったんですけど、夫が氷の卸売りをしているということを知って「あなたの氷を使って、かき氷を作ってみてよ」って思いつきでお願いしました。
 そしたら「なんだこの美味さは!?お店で食べるより全然美味いじゃん!」ってビックリしちゃって。笑
私が毎日食べたいからもういっそお店も作っちゃおうって。笑

勇さん)「氷屋は裏方で飲食業を支えるものだ。むやみに表に出てはいけない」という先代からの教えもあったので、創業より本業である飲食店等への氷の卸売りのみを続けていました。夕希さんに言われて試しにで作ったかき氷だったんですが、その後、2016年にお得意様のイベント会社からかき氷販売のイベントの依頼がありまして、そこで初めてかき氷の販売をしました。
イベントは大好評で、食べてくださった皆様の喜ぶ姿に私も大変感動し、それをきっかけに上野にお店を出店することとなりました。

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専用の「生氷」を使用したこだわりのかき氷。

—かき氷の特徴を教えてください

勇さん)そんなことがきっかけではありますが、かき氷は本気で作っており、専用の「生氷」を使用しています。
生氷は、その日その時の氷の状態を見極めてかき氷に一番最適な部分を目利きし、特別に切り出した氷です。
フワッとトロける新食感の生氷に、添加物を一切使っていない素材そのままの味を活かした特性手作りシロップを組み合わせた、
大野屋氷室 上野本店でしか食べられないかき氷となってます。

夕希さん)シロップはその日の氷のコンディションに併せて夫が手作りで作っています。皆でこんなものが食べたい!あったらいいな!を続けていたら800種類以上にまでなってました。笑
牛丼味・海老のドリア味・カルボナーラ味とかもあったかな。笑

勇さん)上野店は、夜にBARとして営業している店舗を12時~16時で間借りして営業しています。一般のお客様に購入してもらうためというのもありますが、バイヤーさんに実際の商品を体験してもらう場所という位置づけにもなっています。
他では歌舞伎座などでも販売しており、今後百貨店でも取り扱いが始まる予定です。

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インスタ映えするようなかき氷も取り扱う中、意外と男性のお客さんも多いのだそう。
四代目大野屋氷室 上野本店 (東京都台東区上野6丁目14-1  1F)

勇さん)先代からの教えもあるため、正直かき氷の販売をすること自体にはまだ反対の気持ちがあります。
しかし、喜んでくれるお客様もいるので、氷の卸売が本業であることは忘れず、今後も続けていきたいですね。

飲むかき氷「Chururu Shaved Ice」

—2021年に経済産業大臣賞を受賞された、飲むかき氷「Chururu Shaved Ice」について聞かせてください。きっかけは何だったのでしょうか?

夕希さん)かき氷の時と同じですが、私が「いつでも気軽にかき氷を食べたい」と言ったのがきっかけです。笑

勇さん)開発当初はカップの容器で作ってみましたが、それだとカップとスプーンで両手がふさがってしまう。
何とか片手で食べられないものかと現在の形を思いつきましたが、実際に商品化するにあたって構想から3年程かかりました。

―開発から完成まで3年。新商品開発にはやはり長い時間がかかるんですね。

勇さん)当初は2020年の秋くらいに販売できればいいかなと思っていしました。しかし、思いもよらないことにコロナが蔓延し始め、緊急事態宣言で店がまともに営業できなくなり、他の飲食店等も同様に営業できないため、本業である氷の卸の売上が大幅に減少しました。
従業員や会社を守るためという理由もありましたが、不安が蔓延している世の中に安心できるものを届けたいという想いがありました。
そのため、急ピッチで製作を進め、2020年の5月より通信販売できるようになりました。

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定期的に通信販売を行っているが、毎回販売開始とともに即日完売。無印良品店でも取り扱われた。Chururuは通販または入谷工場(店頭販売)にて販売している

勇さん)2021年には、氷業界・かき氷業界では初となる「経済産業大臣賞」を2021年に受賞させていただきました。
また、販売を開始してから現在までに30回以上セット販売やバラ販売を実施しておりますが、ありがたいことに毎回完売となっております。
多くの方々から「美味しい」とのご感想をいただくと励みになります。

大野屋氷室の四代目代表 大野 勇さん と 氷

—勇さんは、最初からお店を継ぐ予定だったんですか?

勇さん)いえ、全くです。笑
元々サラリーマンをしていて、次男という立場でもあったため、特に会社を継ぐということなんて考えていませんでした。
ある時、父からゴールデンウィークの期間だけお店の手伝いをしてくれと頼まれたのですが、その後、また手伝ってくれと。
そのあと急に父が亡くなってしまい、私が継ぐということになりました。

—お話を聞いてると、氷屋に対する熱量をすごく感じます

勇さん)氷屋に対して情熱を持って働いているのは、「氷のことがまだ分からない」からです。
氷屋を引き継いでから16年になりますが、氷に触れれば触れる程、氷の奥深さを感じますね。凝り性な性格もあり、どうやったら良い氷切り出せるのか、日々氷のことばかり考えています。
氷が好きなんでしょうね。笑

『生氷』とは一切冷凍しない独自の昔ながらの保存方法と、 徹底した温度管理によりできる氷のこと。
簡単に言うと『冷凍しない氷』。
氷はその日の天気や温度・湿度によって 全く別物になってしまうほど繊細。

勇さん)同業者で40年以上働かれている方に氷のことを聞いたらと「俺もまだ分からない」とじゃあ僕はいつになったら分かるんだろう。笑
氷のことをもっと知りたいので、氷を抱きしめながら寝たいです。

工場長中村さんが入社したきっかけ

—工場長の中村さんにもお話をお伺いします。
 このお店で働くことになったきっかけを教えてください。

工場長 中村さん)実は私、元々大野屋氷室さんのかき氷のお客さんだったんです。笑
甘いものが好きで色々なかき氷を食べ歩いていましたが、大野屋氷室さんのかき氷だけは感動食感の氷に加えて無添加で素材を活かしたシロップにこだわっており、初めて「このお店また来たい!」と思いました。
何度もお店に通ううちに、他のかき氷店では類を見ない「飲むかき氷 Chururu」や「あたたかいかき氷」などの挑戦的な取り組みに惹かれ、社員の募集もしていないのに、飛び込みで面接のお願いをしました。笑
入社してからは、やりたい仕事ができているだけでなく、社長たちが忙しい時でも楽しく働いており、「毎日が幸せ」です。

中村さんはChururuではマンゴー味がおすすめ

最後に

—最後に今後の取り組みなどを聞かせてください。

夕希さん)昨年は、台東区の浅草病院などの医療関係者にChururuを寄附する活動をしました。引き続き、コロナ患者を受け入れている台東区の中核病院や保健所などにChururuを寄附して、少しでも癒しと幸せを感じてもらいたいです。

勇さん)2020年の冬に販売しましたが、引き続き冬にはあたたかいかき氷「HOT氷」を販売する予定です。
また、新商品として、お風呂上りに食べられる「甘すぎない体に優しい商品」を作ろうかと思っています。
まぁこれも妻からの要望なんですけどね。笑

夕希さん)(苦笑い)

勇さん)どうしてもかき氷が目立ってしまいますが、あくまで本業は氷の卸売りです。コロナの状況で難しい部分もあるとは思いますが、飲食店に限らず、イベントやお祭りなど氷が必要な場合はいつでも弊社へご相談下さい。


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勇さん、夕希さん、中村さん、お忙しいところ、インタビューにご協力いただきありがとうございました。

「飲むかき氷」や「あたたかいかき氷」と新しい挑戦をし続ける大野屋氷室さんですが、かき氷に反対の気持ちがあるという勇さんの発言はとても意外でした。
先代の魂をしっかりと受け継つぎ、プライドを持って働かれる勇さんの一言一言には、氷も溶けてしまうような情熱を感じましたし、心から「氷を好き」と言う姿はとても格好良かったです。

また、「上野店のペルソナ(自社の製品・サービスを利用する典型的なユーザー像)は夕希さんなんです」などと恥ずかしそうに言う勇さんからは、夕希さんへの情熱が所々で漏れ出ていました。
お二人の仲の良さに、何か御馳走様です。笑

ちなみに私は工場長おすすめのChururuマンゴー味を食べましたが、余計なものが入ってない分、ストレートにマンゴーの味とかき氷の食感を楽しむことができ、頭がキーンとなってしまうくらい一気に食べてしまいました。
本当に美味しかったです。こちらも御馳走様でした。

次は上野店でかき氷を食べに行きたいです。

皆様も台東区を訪れる際は、大野屋氷室さんへ行ってみてはいかがですか?

この記事は台東区産業振興事業団 商工相談担当 額田が担当いたしました。

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後日購入した「生しぼりレモン味」

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店舗情報について

●大野屋氷室本店(入谷工場)
住所:東京都台東区松が谷4-27-2 庄末ビル1階 
TEL:03-6802-7660
HP:https://www.oonoya-ice.com/

●四代目大野屋氷室 上野本店
東京都台東区上野6丁目14-1  1F 
TEL:03-6802-7660
HP:https://www.yondaimeoonoya.com/

●Twitter:https://twitter.com/yondaime2017722?s=20&t=K-0SR1-BQx2de9H2Ms9U_w

●Instagram:https://www.instagram.com/yondaime.2017.7.22/

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