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詩「わたしはすでに知っている」

あなたを知らない わたしは出逢う
わたしを知らない あなたに出逢う
あなたを知りたい わたしは出逢う
わたしを知りたい あなたに出逢う

わたしを知らない あなたに話す
あなたの知らない わたしのこと
あなたを知らない わたしは聞く
わたしの知らない あなたのこと

わたしを知った あなたは気付く
わたしも知らない わたしのこと
あなたを知った わたしは気付く
あなたも知らない あなたのこと

あなたがわたしを 教えてくれる
そうしてわたしは わたしを知る
わたしがあなたに 教えてあげる
そうしてあなたは あなたを知る

わたしもあなたも 知らないわたし
あなたもわたしも 知らないあなた
わたしはあなたと 変わっていく
あなたはわたしと 変わっていく

そうしてわたしは 何度でも
知らないあなたと 出逢いなおす
そうしてあなたは 何度でも
知らないわたしと 出逢いなおす

あなたのことを知りたいと
わたしは願い続けると
わたしはすでに知っている
それがわたしを強くする


memo

他者理解と、他者を通じた自己理解、他者を通じた自己理解を経て、再度他者理解に至る過程。その原動力が「知りたい」願う気持ちにあることをシンプルな反復で表現する。

この詩は、宇宙物理学者であるイト・ナガ氏の詩集『私は知っている』を読んで書いたもの。こちらは「私は知っている」から始まる469篇の短詩が収録された詩集で、科学者ならではの宇宙的感性が素晴らしい。ぜひ読んでほしい。


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勝俣 泰斗
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