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学生たちと「朗読」はじめました。

山梨桜桃忌の会と朗読団体【fukiya】について、団体の発起人である外川教授にご寄稿いただきました。

 

天下茶屋という名の生家

私は大学卒業後、放送局のアナウンサーとして社会にでて、いまもナレーターやMCの仕事を続けながら大正大学の教員をしている。

私の生家は御坂峠天下茶屋で、太宰治が逗留していたことで知られている。
こうした関係で、太宰治をしのぶ山梨桜桃忌の会を天下茶屋の店主である父が主宰し、演出家の夫が太宰治作品を演出して私が朗読、披露するという取り組みをしている。

梅雨のころの富士。
天下茶屋公式インスタグラムより。

実は、私がこの活動に参加したのはここ数年のことである。実家がそれなりに知られた場所であることから、実家の名前を出すとどことなく「自分」で勝負していないような気がして、これまではあまり生家の話をしてこなかったし、生家に関する仕事をするのもやや躊躇いがあったからだ。

最近になって、身の丈を知っても怖くなくなったのか、年を取るとそんな気持ちもだんだんと薄まった。「天下茶屋で何かする」のにも抵抗がなくなったのか、太宰作品を朗読するのも楽しくなり、参加するようになった。

 

学生との語り合いから生まれた「朗読」の会

コロナ禍にあった2年あまり。学生たちとの授業以外の接触はオフィスアワーの時間に限られていたこともあり、大勢の学生が様々に話をしに来てくれた。
ここでの交流をきっかけに、授業では気づけなかった学生の秘めたる才能やユニークさを知る。

私たちのこの「朗読」にまつわる活動も、オフィスアワーの時間に尋ねてきてくれた一人の女子学生との会話から始まった。

日頃から、授業中に聞く彼女の澄んだ声とマスクに隠れてはいるものの笑顔で接する人柄が素敵だなと思っていた。
この才能を生かす場所はないか……と話をしながら模索していて気づいたのが、山梨桜桃忌の会におさめていた「朗読」である。

朗読のリハーサルの様子。

彼女をはじめとした学生たちに、もし太宰作品を朗読してもらえれば、100を超える太宰作品のアーカイブが出来上がる。山梨桜桃忌の会も嬉しいし、太宰ファンも喜ぶのではないだろうか。
そう思ってさっそく彼女に持ちかけてみたところ、興味を持ってくれた。

 話はとんとん拍子に進んで、授業中にユニークな発言をする学生や朗読コンテストで表彰された学生など、少しずつ声をかけた。表現学部の4年生から2年生までが参加し、活動がスタートした。

毎週活動を行っています。

 活動開始から一年にも満たないが、学生はマネジメント、演出、コラム執筆、評論、撮影編集とそれぞれの才能を持ち寄って朗読の会を運営してくれている。

 満を持しての初舞台は6月18日(土)天下茶屋にて開催される山梨桜桃忌の会である。
関係者のみの開催ではあるが、後日、公式サイトで公開を予定している。

 

学生に教えてもらうという貴重な場所「大学」

大正大学は教員と学生との距離が近い。授業や卒業論文の指導はもちろんのこと、それ以外の趣味や恋愛といった話まで、様々に語り合う。この時間は非常に貴重で、私にとっては新しいことを知り、新しい視点が養われ、そして新しいアイデアが生まれる時間である。

 大学は「学び合う」場であるということは誰もが知っているであろうが、それは学生が教員から学ぶだけではないと私は思っている。
学生や教員という立場を超えて学び合う場として実在する、大正大学表現学部に身を置けていることを光栄に思う。

外川智恵(とがわちえ) |大正大学表現学部 教授
やまなし大使、アナウンサー山梨放送報道部等を経て渡米。帰国後、現在に至る。
セルフマーケティングを日本で初めて大学の講義として導入。


プレスリリースが公開されました!


《 fukiyaの活動・山梨桜桃忌の会についてはこちらの記事もご覧ください》


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