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【ペット市場 2023年度】コロナを経て拡大する国内海外の市場規模内訳や今後の動向をサービス紹介とともに解説。

こんにちは。ペットウェルネスカンパニー「PETOKOTO」代表の大久保です。

弊社は「ペットを家族として愛せる世界へ」をミッションに掲げ、ペットがモノとして扱われてきたペット産業に疑問提起し、デジタルのDXと家族品質のFX(Family Transformation)を通してペットを家族として愛せる世界をつくることを目指しているスタートアップです。

獣医師やエンジニアなど、さまざまなバックグラウンドを持つ愛犬家・愛猫家集団で構成されています。

私自身、起業する3年前まで犬や猫が苦手な立場でした。しかし、とあるきっかけ一つで大好きになり、デジタル化の遅れや殺処分問題など、ペット産業がまだまだサステナブルではないと大きな負を感じ、2015年に起業しました。現在は「足が内股」という理由だけで保護犬になっていたコーギーのコルクと暮らしています。詳しいストーリーはぜひNewsPicksさまの記事をご覧ください。

ミッションを実現するための事業軸として、クオリティ・オブ・ペットライフを掲げ、ペットライフのQOLを最大化するための3つの事業を現在は展開しています。

シンプルに、ペットが家族とした場合に、現在のサービスやモノを再定義した価値の提供です。

まず、出逢いの体験の再定義として、保護犬猫と新しい家族をむすぶ場所「OMUSUBI(お結び)」を展開しています。2023年1月時点で審査を通過した270団体が登録・募集し、6万人の会員とマッチングしています。

小売形態のペットショップというビジネスモデルでは、売れるか、売れないかで命を判断せざるを得ないため、在庫という概念が生まれ、気軽に迎えてしまうことができ、ミスマッチから飼育放棄するリスクがあります。そこで、迎えたい方と届けたい方を直接結ぶD2Cモデルに価値を転換することで、適切でサステナブルな迎え方を実現したいと考えています(詳しくはYoutubeをご覧ください)。

次に、学ぶ体験の再定義として、ペットの一生によりそう情報メディア「PETOKOTO(ペトコト)」を展開しています。2023年1月時点で日本最大の130万人の犬や猫の飼い主が来訪するメディアです。

2016年リリース当初、多くのペットメディアがある中、匿名で信頼性の低いコンテンツが散見されました。飼い主が間違った情報を得ることで、犬や猫に適切でない健康管理がされるリスクがあるため、PETOKOTOは専門医獣医師など犬や猫のスペシャリストが担当分野を執筆監修することを目指し、100名以上の専門家に登録いただいています。

また、可愛いだけのコンテンツはなく、犬や猫との暮らしが豊かになる学びのコンテンツにフォーカスしていることも特徴です。

そして、2020年に再定義した体験が食事です。家族クオリティのフレッシュペットフード「PETOKOTO FOODS(ペトコトフーズ)」を運営しています。私自身が茶色い豆粒であるドライフードに疑問を持ち、愛犬のコルクにこのごはんを食べさせてて良いのか、自信を持って安心できる栄養満点の美味しいごはんを食べさせたいという想いから始まりました。

ドライフードは、ミキサーで原材料を全て粉状にし、超高温加熱・加圧処理をした上で成形されます。この工程により、原材料が本来持っていた栄養素が破壊されてしまったり、嗜好性が失われてしまいます。そこで多くのメーカーでは、食いつきを良くするために油脂や甘味料、香料を添加し、それらはアレルギーや涙やけ、肥満の原因となる可能性があります。

ベルギーのジェラルド・リッパー獣医師ら研究チームによれば市販フードを食べている犬より、手作りごはんを食べている犬のほうが3年近く長生きしていることも発表されています。

そこで、PETOKOTO FOODSは、私たちが食べるのと同じ品質の国産食材をメインに使用し、スチーム加熱・急速冷凍で保存料無添加のごはんをつくりました。売上の1%はOMUSUBIの保護犬や保護猫たちに還元され、循環型の経済を生み出したいと考えています。

これらの点と点を大きくしつつ、一生に寄り添うためには、医療、介護、住まい、旅行などまだまだカバーできていない点があります。

それらを提供しながら、全てをデータを通して線で結び、ペットライフ一つ一つに寄り添うコンシェルジュのようなインフラプラットフォームを目指しています。

と、前置きが長くなり、大変申し訳ございません(汗)

今回は2022年のペット市場レポートに続いて、2023年のペット市場を統計レポートを元に、スタートアップとして実際に2015年からビジネスを展開する当事者の目線で解説したいと思います。

引用レポート
矢野経済研究所 2022年版 ペットビジネスマーケティング総覧
Passport The World Market for Pet Care
一般社団法人ペットフード協会 令和4年(2022年)全国犬猫飼育実態調査
アニコム損害保険株式会社 2021ペットにかける年間支出調査
アニコム損害保険株式会社 2022家庭どうぶつ白書

1. グローバルのペット市場(読了10分)

グローバルのペットケア市場は2021年でUSD 150.67billion(1,507億ドル / 19兆円ほど ※2023年1月3日の為替レート)の規模となり、2022年から2030年までCAGR(年平均成長率)5.1%で成長が予測されています。

ホットトレンドとして、
・Pet Humanizaion(ペットの人間化・家族化)の続伸
・上記に伴い、ペットにかける支出額の増加
・小型犬や猫といった小さな動物を迎えるニーズの増加

が挙げられます。

⬛︎ 1-A. グローバルのペット市場規模内訳

内訳別に見ると、ペットフードが最も大きなカテゴリで全体の43%の645億ドルの規模です。CAGR5.3%で成長しており、2024年には980億ドルまで成長すると見込まれています。

背景として、飼い主の愛犬、愛猫に対する健康意識の向上、ウェルビーングへの意識の変化により、高品質のペットフードが求められています

⬛︎ 1-B. グローバルの地域別市場規模

地域別にはアジアが最も高い成長率で中東、南米のマーケットも成長しており、その中でもドッグフードの成長率はCAGR(年平均成長率)13%となっています。

ペット市場の成長はマクロ経済と大きく関連しており、成長ドライバは、
経済が成長

中間層が拡大

可処分所得が増加

ペットの飼育数が増加

ペットの家族化

ペットにかける年間支出額が増加

するという流れです。

日本は高度経済成長期からペット市場が拡大し、成熟市場となり飼育数は天井になりましたが、家族化が進むことで年間支出額が増加し、市場は堅調に増加しています。その点からアメリカやヨーロッパは日本と同じフェーズであり、中国やベトナムなどの東南アジア、インドなどは飼育数が急増することで市場規模が急成長しているフェーズになります。

一方で現代の発展途上国ではアーバン化(都市型開発)が進むため、中国などではアメリカとは違い、大型犬ではなく、猫や小型犬中心の飼育が増加しています。その意味で、日本の市場と似ており、今後発展する市場では日本発でグローバルなサービスが生まれる可能性はあります。

⬛︎ 1-C. 世界の犬猫飼育頭数
Dog and cat pet population worldwide 2018 | Statistaによると、全世界の犬の飼育頭数は4.7億頭、猫の飼育頭数は3.7億頭と言われています。アメリカは8,500万世帯で飼育され、双方ともにトップですが、中国の飼育数が急成長しており、人口比率から見て中国がトップになる日も近いと言えます。

COVID-19(コロナ)で自宅勤務やハイブリッド勤務になったことで、迎えられる環境が整い、飼育数が増加しました。ただし、変化の大部分は文化の変化によるものとも言われています。ミレニアル世代とZ世代が成人期になるにつれて、以前の世代よりもはるかにペットを迎えたいと考えています。 2020年には、若い世代が世帯主である世帯がペットを所有する世帯の約60%を占め、団塊の世代が世帯主である世帯がペットを所有する世帯の約30%を占めています。

⬛︎ 1-D. 世界の犬猫にかける年間支出額
獣医療の進化に伴い寿命が続伸し、ペットが家族同然に育てられる「Pet Humanization=ペットの家族化」により年間平均支出額が増加しています。要因に関しては日本のペット市場でお話します。

さらに、ペットの健康意識の拡大により、予防ケアの需要が拡大したことで、ペットケア製品の販売を促進し、その結果、ペットケア業界を牽引する重要な傾向でもあります。

⬛︎ 1-E. 世界のトレンド
◇ 1-E-1. トレンド:Pet Humanization(ペットの人間化)

ペットの家族化により、犬や猫への健康意識が高まり、人間基準のサービスが求められています。従来の市場に疑問提起し、サステナブルに配慮されたサービスやプロダクトにニーズを見出しています。

例えば、ペットフードにおいて、従来のドライフードは原材料や製造過程がブラックボックスで、ドライフードがメインで常温保存できるジャーキーのような乾物食が一般的でした。下の動画はドライフードの製造過程ですが、この動画を見て愛犬や愛猫にドライフードを食べさせたいと思うでしょうか?

最近では、人間と同じ品質の食材を使用し、低温加熱・急速冷凍したフレッシュペットフードの需要が急増し、6,000億円の市場が10年間でシェア20%まで拡大しています。「エサという価値観」から「ごはんという価値観」へ変わっているのです。

上の画像は、D2Cフレッシュペットフードブランド「Just Food for Dogs」の店舗の様子です。その場でごはんをつくり、ここで試食ができたり、オンラインで購入ができます。オンオフラインでペットライフの体験を向上している事例です。フレッシュペットフードはFarmer's DogOllieNOMNOM、PetPlateなど、スタートアップが多く参入しています。

また、FreshPetは2014年にIPOを果たし、TargetやWholefoods、Walmartなど2万店舗に専用冷凍庫を導入し、販路を拡大しました。

一方でネスレや、ロイヤルカナンなどのドッグフードブランドを持つMarsのようなジャイアントメーカーは参入できてきませんでしたが、MarsがNOMNOMを1,000億円で買収しました。今後ジャイアントメーカーが参入のために、フレッシュペットフード分野においてスタートアップのM&Aが増加するでしょう。

◇ 1-C-2. トレンド:DX(デジタルトランスフォーメーション)

従来のペット産業は、メーカー>卸売>小売のモデルが一般的でした。しかし、インターネットの隆盛からソーシャルメディアへと進化し、誰でもいつでもどこでも、直接的に消費者と関係性を構築することが可能となりました。

Amazonを筆頭とした通販モールや、Shopifyなどのネットショップサービスの登場より、ペット産業のEC化比率は成長を続け、ニッチな製品を個人で販売することが可能となってきたことも特徴です。グローバルでのペットEC化率は2023年までに26%まで成長すると見込まれています。(一方でオフラインがまだまだ強いことも事実です)テクノロジーが産業全体を包括するペットテック市場が成長しています。

ペットテック分野では、2019年にペット専門ECモールであるChewyがIPOを果たしました。24時間CS対応など、犬猫の飼い主ならではのニーズに応え、Amazonにできないポイントで勝負したことで成長を続けています。

また、D2C領域では、おもちゃのサブスクリプションサービスであるBarkがSPACでIPOを果たしました。SNSを起点に飼い主とのコミュニケーション接点を持ち、データを介して最適な提案をすることでLTVの高いビジネスモデルが構築できます。また、オンラインにフォーカスすることなく、Targetなどとアライアンスを組み、オフラインを攻略した点もD2Cサービスとして参考になります。

これらの企業に共通して言えることは、無理に海外展開を急いでいないことです。この点がペット市場のポイントです。なぜなら犬や猫との暮らしは人間の一生を15年ほどに集約した体験だからです。食事、美容、健康管理、医療、保険、介護など、迎えてから最期まで、さまざまな体験をします。

そのため、強固なコミュニティができれば、海外で顧客開拓をするよりも、新たな体験を拡大することで効率的にLTVが最大化できるのです(特にアメリカは巨大なマーケットが存在するため)。

Chewyは直近でCareplusという遠隔診療・医薬品配送サービスを開始しました。

BarkもBark Eatsというドッグフードサービスを開始しています。今後はドッグフードメーカー、ペット保険会社など、カテゴリに縛られた企業形態ではなくなるでしょう。

◇ 1-C-3. トレンド:Personalization(パーソナライズ)

P2P保険サービスのLemonadeがペット保険を展開しています。従来の犬か猫のカバー範囲ではなく、誤飲や避妊去勢など特化型のサービスになります。
このように、家族化に伴い、自分の犬や猫、ひいてはペットライフ1つ1つに最適なサービスが求められる細分化の時代になっています。犬種や猫種は何百とあり、それぞれ育て方が異なります。しかし、今まではマス化された商品のみだったため、本来のニーズを満たすことはできてきませんでした。

ペットの家族化により、ペットのデータの可視化と最適化=AIによるパーソナライズのニーズが増加しています。この点がペットテックと言われるポイントです。犬や猫のGPS/生体トラッキングIoTデバイスや遠隔診断サービスによって行動量やバイタルデータがインプットできます。また、ECの発展により属性データ別に購入・閲覧データがインプットできます。

OMO/遠隔診療分野では、One Medicalの動物病院版である「Modern Animal」「Small Door」など多くのスタートアップが参入しています。

また、DNAテストのembarkは、ソフトバンクから資金調達し7億ドルまで企業価値が増加しています。

このようなサービスのように、取得したインプットデータをユーザー別に管理し、最適なタイミングで最適なサービスをテクノロジーと人間のタッチでアウトプットする、これがペットライフの未来です。

この意味で、全てのペット企業は初めこそカテゴリはフォーカスすれど、最終的には面を取りに行く時代になるのです。

◇ 1-C-4. トレンド:サステナビリティ

2004年創業でフレッシュペットフードでIPOを果たしたFreshpetは、サステナビリティを軸にサプライチェーンを構築しています。脱炭素化などのサステナビリティに関する要請の高まりを含め、企業は「社会的な利益」を「財務的な利益」の上位概念として追求することが求められています。
ペット業界においてもこのような動きは加速していくでしょう。

PETOKOTOも、人間の流通で廃棄されてしまうサツマイモの規格外品を活用し、フードロス削減に取り組んでいます。生産農家の廃棄コストを売上に変えること、国産国消することで、日本の食農ビジネスを活性化することもフレッシュペットフードの責務だと考えています。

ここまでグローバルのペット市場の流れを紹介しました。続いて日本のペット市場についてお話していきます。

2. 日本国内のペット市場(読了10分)

⬛︎ 2. 日本国内のペット市場規模(内訳)

矢野経済研究所

ペット関連総市場の市場は前年比102%で堅調な伸びを続けており、2018年 約1.54兆円の規模から2022年には約1.75兆円に増加(期間比113%)すると見込まれています。2024年には1.83兆円まで拡大すると予測されています。

内訳別に成長を牽引しているのはペットフードで、2018年に約5,212億円の規模から2022年には約6,379億円(期間比122%)まで成長しています。

市場規模は計算式にすると、
「市場規模=(A)飼育頭数 × (B)年間平均支出額(ARPU)」
に当てはまりますので、まずは飼育頭数について見ていきましょう。

⬛︎ 2-A. 飼育頭数の推移:微減トレンドもコロナで変化

犬猫合計飼育頭数推移ですが、2013年の1,712万頭から2021年時点では約1,605万頭と6.3%減少しています。この原因は内訳にあり、犬が減少し、猫が増加しています。(※2021年報告書より、拡大推計の計算式を改定している)2013年当初は犬が猫の数を上回っていましたが、2017年に逆転し、猫が犬を上回っています。

犬の飼育頭数ですが、2013年は約871万頭で2022年は約705万頭と、19.1%も減少していることが分かります。また世帯飼育率も12.85%から9.69%まで減少しています。

では新規飼育数はどうなっているのでしょうか?

犬の新規飼育数は、2017年以来、増加トレンドとなっており、コロナ禍の2020年に41.6万頭、2022年は42.6万頭と直近10年間で最高となりました。世界のトレンドと同じく、ニューノーマル時代に犬を迎える人が増えたことが伺えます。

前提事項:1年前(1年以内も含む)から飼い始めた人を新規者とみなし、新規者と既存者(1年以上前から飼い始めた人)とわけて飼育頭数の動きを確認した(出所:日本ペットフード協会 令和2年 全国犬猫飼育実態調査)

対して、猫の飼育頭数ですが、2013年は約840万頭で2022年は約883万頭と、5.1%増加していることが分かります。一方で世帯飼育率は8.99%から8.63%まで減少しています。

猫の新規飼育数は、2018年に一気に下振れしましたが、コロナ禍の2020年に46.0万頭、2021年に48.9万頭と増加し、2022年は43.2万頭と若干減少しました。

犬と猫どちらもコロナを機に迎える需要が変化したことが分かります。

◇ 2-A-1. 迎え方の変化

上の画像は、「保護犬」「保護猫」のGoogleトレンドの検索ボリューム推移です。年々マスメディアでの配信が増えることで認知が拡大し、2010年から2020年の間に検索回数は30倍まで拡大しました。一方で、2021年をピークに減少・停滞傾向であり、「保護犬」「保護猫」という存在が一定数認知されたことが分かります。

上の画像は、ペットの入手先のグラフです。犬の場合、まだまだペットショップで迎えるが一番多いですが、OMUSUBIのようにマッチングサイトから保護犬猫を迎える比率も増加しています。一方で、猫の場合は野良猫を拾って迎えることが最も多く、ペットショップとマッチングサイトではほぼ同じくらいです。

弊社が提供するOMUSUBIも、2022年は900匹近くのマッチングを達成し、新しい迎え方が広がりつつあります。

昨年のトピックで、フランスで2024年から犬や猫の店舗での販売が禁止される法律が可決されました。

迎え方を見直す時期に来ていることは間違いありませんが、俯瞰的に整理をしていく必要があるとも感じています。

今回は保護犬猫に関する問題に関して少しだけ触れましたが、OMUSUBIの事業責任者を務める井島の記事をぜひご覧ください。

◇ 2-A-2. 犬猫種類別飼育頭数

犬の種類は、トイプードル、チワワ、柴犬、雑種と続き、小型中型犬が人気であることが分かります。

一方で、猫の場合は最も雑種が多く、野良猫から迎える場合が多いためであることが分かります。

◇ 2-A-3. 年代別飼育状況の推移:全年代で飼育率は減少トレンド

犬はいずれの年代も減少傾向が続いていますが、トピックとしては、2020年までは50-60代の飼育状況が最も多かったのですが、2021年から20代の飼育状況が2021年から最も多くなったことです。コロナ以降、働き方の変化を機に、仕事をしながら迎える選択肢が増えたことが考えられます。

一方で、猫は2021年に飼育状況が全年代で増加し、2022年は減少に転じています。

◇ 2-A-4. 飼育意向の推移:全年代で飼育意向は減少トレンド

犬猫飼育意向率の推移ですが、全年代で見て犬猫ともに18年から減少しています。犬に関しては新規飼育数が増加しているため、飼育したくてもできなかった層はコロナを機に迎えたのに対し、全体を見ると飼育しない意向が増加していることが分かります。アフターコロナの生活が一巡したら長期的に減少傾向に転じる可能性があります。

今後、日本の人口減少が確実な中で、私たちPETOKOTOも含め、品質の高いサービスを犬や猫たちのために提供し続け、持続可能なペット市場の発展のためには、飼育率の改善が必要です。

国土交通省

現在国内の人口は1億2,650万人ですが、2060年には8,674万人まで減少すると言われています。年齢別の人口構成も2005年のピラミッド型から砲弾型になり、2060年には壺型になろうとしています。

後期老齢人口が増加し、労働力である20-64歳の比率が下がり続けます。また、少子化により若年齢の人口は減少し続けます。世界の高度経済成長を経験した各国も日本と同様に少子化対策の政策を実施していますが、なかなか成果に結びつきづらいように、今後人口ピラミッドが大きく変わることは考えられないでしょう。

となると、短中期的なアプローチとしては、ペット飼育の阻害要因であるハード面・ソフト面の課題を解決することで飼育率の改善を図る必要があります。そして、長期的には飼育可能人口数は減少することは避けられないため、相対的な飼育意向率の向上を目指す必要があります。

では、ペットの飼育意向を阻害している要因は何なのでしょうか?

◇ 2-A-5. ペットの飼育阻害要因:ペット可賃貸のハード面が最も多い

犬猫ともに飼育していない最大理由が「ペット不可物件」という環境面でした。以前までは「旅行などの外出がしづらくなる」という時間の制限が最も多かったため、ペットツーリズムの増加により旅行面などソフトの課題は減少しているのかもしれません。今後は、不動産業界との連携など、ハード面の整備が非常に重要であることが分かります。

実際、イングランドでは、イングランドで、賃貸の借主がペットと暮らすことを希望した際に、家主が不当に拒否することができない法案が可決されました。「ペットを家族として愛せる世界」に向けて大きな一歩な一方で、アレルギーなどを気にする方、苦手な方への配慮も欠かせません。PETOKOTOの行動指針の一つである「輪の外を想像しよう」が体現できるかが重要です。

一例として、PETOKOTOは昨年、JR東日本様と共同で日本初のペット専用新幹線ツアーを運行しました。苦手な方にも配慮された空間を目指してパナソニック様と定量実験を行い、国内・海外多くのメディアの皆様に紹介いただきました。

他にも、星野リゾート様がマイクロツーリズムの戦略の一つにペットを入れたり、スターフライヤー様がペットOKの飛行機を走らせたりと、交通機関や旅行分野でペットフレンドリーが加速しています。

ペットが家族同然の存在となったことで、お出かけも「ペットを預けていく」のではなく、「一緒に行く」が主流になっています。インバウンドがまだ停滞している日本で、ペットツーリズムが注目されています。その上で大事なことは、交通機関、宿、周辺施設がペットフレンドリーとなり、線で結ばれることです。PETOKOTOとしても、この領域をメディアを通して企業の皆様と連携することで、活性化していきたいと考えています。

では、阻害要因とは逆に、どのようなきっかけが増えれば迎える需要が増加するのでしょうか?

犬猫どちらも「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」「過去に飼育経験があり、また迎えたくなったから」が多くなりました。

今後、超高齢化社会になり一人暮らし高齢者は増加します。

孤独感40~50代で顕著 リモートなじめず生産性に影響も: 日本経済新聞

また、晩婚化やコロナを機に、40-50代の孤独感が高まっている事実もあります。

犬や猫が幸せである前提で、人間が動物と暮らすことが、今後キーになってくる可能性もあります。実際に、海外ではアニマルセラピーとして、動物が私たち人間にもたらす力がエビデンスとして研究されています。

Int J Environ Res Public Healthの研究によれば、以下の事柄が分かっています。

・孤独を感じるケースが増える中、ペットの飼い主は20%軽減
・精神科の患者のモチベーションと自尊心を高め、行動上の問題を減らす
・飼育有無で14ポンドも体重に差、肥満を抑制
・死亡リスクのある疾患リスクが飼い主だと24%減少

以上が日本における犬猫の飼育数の現状と今後の展望でした。

⬛︎ 2-B. 年間平均支出額の推移

アニコム損保株式会社:【2021最新版】ペットにかける年間支出調査

市場規模のドライバの前者である飼育頭数は上記で説明した通りでした。次に後者の計算年間支出額の推移を説明します。

アニコム損害保険株式会社が毎年発表している「ペットにかける年間支出調査 2021」によると、年間支出額は犬が約34.5万円(前年比102.1%)、猫が約16.9万円(前年比102.7%)と、犬猫ともに前年比で増加しました。ペットの家族化、コロナによる触れ合う時間の増加に伴い、支出額が増加していることが考えられます。

また、犬猫の平均寿命は年々増加しており、犬は14.1歳、猫は14.4歳と、いずれも過去最長の結果となりました。予防意識の増加、獣医療の高度化、高品質な食事への変化など、さまざまな要因が考えられます。

3. 今後のキートレンド/まとめ(読了1分)

世界(アメリカやヨーロッパ)の市場トレンドと同じように、日本でもDX、人間化、パーソナライズが進んでいます。

その中でペットテック市場の成長が注目されています。矢野経済研究所のレポートによれば、2018年度7.4億円の規模から2023年度では50.3億円まで拡大するとされています。(ただしペットテックの定義がIoTなどの狭義のため、弊社が定義するテクノロジーを通してサービス向上に寄与する企業と定義すれば、比較にならない経済規模が存在しています)

少しずつですがペットテックスタートアップも増加しており、初めは細分化された市場でシェアを取りつつ、最終的にはペットライフ全般の体験をいかに抑えるかが勝負の一つになるでしょう。日本・海外の注目スタートアップを紹介していますので、ぜひ下の記事もご覧ください!

記事を読んでいただき、ありがとうございました!

0. ミッション実現に向け、仲間募集中です!

PETOKOTOは、「ペットを家族として愛せる世界へ」をミッションに掲げるペットウェルネスカンパニーです。

メンバー全員が犬猫の飼育経験者であり、獣医師からIT企業出身者まで幅広いバックグラウンドが集まる、愛に溢れた組織です。

PETOKOTOはOMUSUBIで命と出逢い、PETOKOTO FOODSで最後の一食まで寄り添います。まさに一生に寄り添います。だからこそ、喜びや悲しみなどの声をお客様からいただき、自然と涙が流れるシーンが多々あります。

僕はスポーツが大好きで、スポーツを通して人の行動で感動し涙を流すように、僕たちの仕事ではそういったことが多々起きます。
こんなにも愛で溢れ、涙を流せる仕事はなかなかないのではと思います。

また、オフィス出社とリモートのバランスを取ったハイブリッドワークを推進し、「働く」ことに関してもミッション起点で取り組んでいます。

一生に寄り添うためには、まだまだやるべきことがたくさんあります。

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大久保泰介|ペットウェルネスカンパニー PETOKOTO代表
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