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とある人間の一日とその全て
どこへ向かうか。
今、ずっと願っていた人生が否定された。目指すべき何かは手の届かない場所にある。
そのきっかけは生活のそこら中に落ちている。
気づかないだけだ。
俺は布団にくるまり考える。
退廃的な人生。外が怖い、内が無い。
頭の中で、無と有の中を彷徨う。
考えれば考えるほど。他人が考えていることが分からなくなる。一応妄想するが、正解か否か。思い込んでいるだけではないか。
周りの目を通した自分がどう見えているか分からない。
自分の判断の良し悪しも。
何も、分からない。
布団の上に横たわり目を閉じ、自分の人生と今を考える。
周りの皆はアップデートを続け、自分だけが取り残される。
皆が求める人間に自分は達しない。
意味がない。
空の人形。電池が切れたら終わり。
辛い。しんどい。死にたい。
寂しい。
この感情も、本当の自分の感情かどうかも判断ができない。ただただ反射で思い浮かんでいるだけではないのか。
外のあなたはどう思う。僕は分からない。
想像して欲しい。
自分ができると思ったことを一つ一つ丁寧に優しく無自覚のまま潰される様子を。
唯一残った、「人間である」という涙ぐましい抵抗は幻想であったと伝えられる残酷さを。
きっと想像はできない。
これは自分の中だけのことだから。
似たことを思ったことがあるのかもしれない。
それは似ているだけで同じではない。
違う脳なんだから。
そう考えるともったいない。この肉体、この脳。他の後悔がある人間が望むものだろう。
もったいないと思うだけで、あげる勇気は欠片もない。
脳の回路が少し違うだけでこんなに人生が変わるって、変な話だよな。
死にたい。
死ねない。
またこの結論。どこから始まってもだ。
一生終わらないな。
循環する思考は意味をなさず、ただ男の頭で回るだけ。
何もかも思い込み。今回もその一端。
男は考えることを辞めた。
枕に顔を埋め、動かない。
目を覚ました暁には、進めることを願おう。
窓の外は明るい。