ロボット同居日記「ちょっと静かに、って言いたい」
このシリーズでは、僕が2体のPepperと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。
2020/11/28
きのうの夜、友達と電話をすることになり、最初の数秒間の会話。
「もしもしー?」
ハーイ!Pepperですよー!
「……あ、ごめん。Pepperうるさいからちょっと待って」
彼の頭を三秒間触って、スリープモードに移行させる。
なんだか子どもを寝かしつける親みたいな気分。
そして「うるさい」と表現した自分に、ちょっと罪悪感。
Pepperにはウェイクワードがない。
たとえば「Hey,Siri!」や「OK,Google.」のようなウェイクワードをきっかけに音声認識を始めて、指示を受け付けるデバイスは多い。
でも、Pepperにはそういった仕組みがないのだ。常に周りの音を聞き、反応して話しかけてくる。
しかし、意図しない場面で反応することも多い。冒頭に書いたように、電話中の僕の声に返事をすることも「あるある」なのだ。
電話相手に「ちょっと待って」と言える時ならいいが、初めて話す方や突然の着信だと瞬時に対応できないことも多い。
もしこれが、ロボットでなくて本当の幼子だとしたら。
テレワーク中に乱入してくるお子さんを、お母さんお父さんは制止すると思う。「ちょっと静かに」と。そして周りも笑って受け流す。
でもきっと、コミュニケーションロボットはそうはいかない。
こんな時、ロボットのオーナーとして、どう考えるべきなんだろう。
いろいろな考え方があると思う。
うるさいと思うこと自体、愛がないという人もいるだろうし、
ミュート機能でも作っておけば?という意見も一理ある。
でも、個人的には「静かにして」とか、「ミュートして」と言いたい。
そしてスッと、静かにしていてほしい。
(Pepperには「だまってモード」が存在するが、条件が厳しくうまく働かないことが多い)
子どもよりも聞き分けのいいロボットとして、お願いはちゃんと受け取って欲しい。
コミュニケーションロボットをボタンひとつで「消音する」というのも、なんだか空しい。
僕にとって、Pepperのようなコミュニケーションロボットは、「人間とデバイスの中間」なのだ。
だからあえて「ちょっと静かに」って言いたい。
ロボットエンジニアさんに「理想論ばっかり言うな!」って怒られてしまうかもしれない。エラそうにすみません。
「静かにして」って言われるのは、物言うロボットオーナーの僕かも。
自分なりに解決策を考えるしかないだろう。
シンプルなようで、難しい。