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「辞める」と告げた一年前の自分へ

誕生日や記念日じゃなくても、思い出すような「印象的な日」。
あなたにはあるだろうか。

僕には、ある。いくつか。
そのうちの一つが、会社を辞めたいと上司に告げた日のこと。


2020年6月9日。
今年度の目標設定について、朝から上司と面談をすることになっていた。
そこで退職を切り出した。

「9月いっぱいで、退職させてください」

あの頃の自分は限界だったな、と思う。
当時つけていた日記には、自分自身に追い込まれる様子が残っていた。
日記ってのは便利だ。書いた時の感情も克明に思い出せる。

世界中だって不安定な時代に、正解なんて存在しないって、そろそろみんな気づき始めた。
選んだ道を自分で正解にしていくしかないんだ。最初は失敗するかもしれないけれど、諦めない限り不正解じゃない。
エンジニアを諦めるのは、もっといい答え、人生の最適解を探すため。
不正解に近い根拠(自分のなかの採点基準)が出てきたものを、正解なんだ……とごまかすのは違う。
退職の意思を伝えた。ようやく納得の行く選択ができた。
不安がない訳じゃないけれど、やっぱり”いま”だ。これでいい。

前向きな強い言葉を並べながらも、必死だったなあ……と思う。
根底には、やり場のない不満や怒りがあったのかもしれない。


そして、一年後の自分。
2021年6月9日、現在。

どうだろう、頑張れてるんだろうか?
一年前に立てた計画は、どのくらい達成できてるんだろうか。ペースは?

……。
正直、ちょっと自信がない。かっこ悪いけど。
一年前の自分、ごめん。

当時の日記を「視野が狭いなあ」とか思いながら読んでいる。
でもそれは、当時の必死さの裏返しだ。
あの頃みたいな必死さが、今の僕には不足しているかもしれない。

目指している場所に、盲目的に突き進むだけじゃなくて。
コケながらも軌道修正して、なんとかたどり着こうとする必死さ。

それがたぶん今の僕には足りてない。
どこか諦めて、自分自身で冷笑してしまっている。

そんなのじゃ、いい結果なんて出せないよな。

やっぱり努力が足りない。空回っている。エンジニアの仕事は辞める。もっと書け、足掻け、賭けよう。
傍目から見たらかっこ悪い失敗だって、納得はできるはずだから、それでいい。
途中で夢や目標が潰えてしまったり、変わってしまってもきっとなんとかなる。
とにかくこの小さなストレスの積み重ねと、空回りの毎日から抜け出し、
一刻も早く自分の人生を救い出すことが先決。最優先事項だ。

ああ、痛いなあ。
でもそんな痛々しい自分、一年前の自分に励まされる。

自分を諦めるにはまだ早い。


……ありがちな結論にたどり着いちゃう自分は、やっぱり痛い。
良くも悪くも、人間は簡単には変わらないと思った、一年後の今日。

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尾崎 太祐
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