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【エンタメ横断ニュース】スタジオメイフラワーに中山竜氏参画、アニメ・玩具市場規模(24/8/30)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

今週のエンタメ横断ニュースを5つ紹介します。


スタジオメイフラワーのCCOに中山竜氏が就任

ニュースサマリ

AnotherBallのグループ会社である株式会社スタジオメイフラワーのCCO(Chief Creative Officer)に中山竜氏が新たに就任。中山氏はアニメ「チェンソーマン」の監督で知られている。

分析、所感

スタジオメイフラワーは2023年設立。キャラクター「しゅわっちぃ」等をプロデュースした立野大晟氏と東映アニメーション出身の甲斐睦氏が設立したテックアニメスタジオ。アニメ『忘却バッテリー』などに制作協力として参加しています。

シリアルアントレプレナーで知られる大湯俊介氏がCEOを務めるAnotherBall社が2024年5月にスタジオメイフラワーを買収、グループ入りしました。

スタジオメイフラワーの求人を見ていると、機械学習エンジニアを募集しており、アニメ制作プロセスで使用する機械学習を用いたツールの開発に挑戦していることが伺えます。

そんなテック×アニメで挑戦するスタートアップに中山竜氏が参画。クリエイティブ力のトップラインが上がった印象です。

スタジオメイフラワーは制作費の高騰やアニメーター不足の課題にテックの力に挑むスタートアップですが、中山さんも労働環境に課題感を持っているポストをされていましたので、目指す方向やビジョンが合致したものと思われます。

注目したいのがスタジオメイフラワーの今後のビジネス展開。ソニーは制作ソフトウェア「AnimeCanvas」の開発を行い、外販も視野に入れていますが、スタジオメイフラワーがアニメ制作ツールの販売をする可能性が考えられます。また、立野さんは「しゅわっちぃ」というキャラIPで起業されていた方なので、商品化ビジネスの知見があると思うので、製作委員会ビジネスでも商品化権をきっちり抑える動きをするのでは?と予想します。

国内のアニメ制作業界の市場規模が2023年に過去最高の3390億2千万円

ニュースサマリ

帝国データバンクの「アニメ制作市場」動向調査2024によると、2023年(1~12月期決算)におけるアニメ制作業界の市場規模(事業者売上高ベース)は、前年(2757億8300万円)を22.9%上回る3390億2000万円となった。

分析、所感

詳しくは詳細レポートをご覧になるのがよいかと思いますが、市場規模は伸び続けているものの、制作会社の現実を引き続き目を向け、アクションが必要なことが分かるレポートかと思いました。

具体的には売上が伸びているスタジオ、そうではないスタジオの二極化が進んでいるということです。

平均売上高は「元請・グロス請」で増加が顕著な一方、下請となる「専門スタジオ」では小幅の伸びにとどまるなど、制作態様によって差がみられた。
(中略)
グッズなどのアニメ市場が活性化する一方で、こうした恩恵を享受できない中小アニメ制作会社が一定数存在するなど、二極化が進んでいる。

アニメーターは業界全体で足りておらず、雇用化を図るスタジオもあります。そうなると当然人件費が増えますが、 製作委員会に出資をすることで委員会収益によって増益になっているケースもあります。ただ、増収ながらも赤字のスタジオもあります。

現状のアニメスタジオ業界は下記のような大きな流れがあるかと思います。

・東宝、バンナムなどエンタメコングロマリット企業がアニメスタジオを買収する動き
・Production I.Gが版権ビジネスで売上を伸ばしているように製作委員会ビジネスを上手く使う動き
・スタジオメイフラワーのように新興アニメスタジオが出てくる動き

アニメスタジオ業界はいま過渡期にあります。

玩具市場規模が初めて1兆円を超える

ニュースサマリ

日本玩具協会は市場規模が初めて1兆円を超えたことを発表。上代価格(希望小売価格)ベースで1兆193億円となった。最大の要因は、前年より425億円売り上げを伸ばして、2774億円市場となったカードゲーム・トレーディングカードで、市場全体の27.2%を占めている。

分析、所感

日本玩具協会がpdfでもデータを公開していますのでご確認頂ければと思いますが、 ハイテク系トレンドトイが前年比121.5%で成長(分類別で1番の伸び)していることは抑えておきたいと思いました。たまごっちの新機種シリーズが大きな要因だったとのことです。

ハイテク系トレンドトイも前年度に続いて大きく伸ばしましたが、その要因として大きかったのが、たまごっちの新機種「Tamagotchi Uni」の発売や「Original Tamagotchi」のヒット、そして「ぷにるんず」シリーズにあります。

一般社団法人 日本玩具協会 (toys.or.jp)

バンダイナムコのIRを見に行くと、年末年始商戦で仕込んでたのがたまごっち新機種でした。ちいかわのパソコン型知育玩具も販売していたりしてました。

https://www.bandainamco.co.jp/files/ir/financialstatements/pdf/20231107_Presentation2.pdf

カードゲーム関連では、タカラトミーがディズニーおよびドイツのゲーム会社・ラベンズバーガー(Ravensburger)が展開するトレーディングカードゲーム『Disney Lorcana(ロルカナ)』の国内展開を担当するというニュースがありました。

海外では大会が開かれているので、日本でもいずれやりそうですね。日本でどれだけ流行るのか、どのように流行らせるのか注目ですね。

HYBE JAPAN、LINEヤフーと包括パートナー契約を締結

ニュースサマリ

株式会社HYBE JAPANが、LINEヤフー株式会社と包括パートナー契約を締結。今回の包括パートナー契約では、HYBE MUSIC GROUPアーティストの日本活動において、LINEヤフーが持つ様々なサービスと単発的ではなく、複合的に連携・協業し、中長期的にシナジーを最大化させることを目指している。

分析、所感

HYBE JAPANとLINEヤフーの関係強化のニュースです。最初の取り組みとして、既存のSEVENTEENのLINEエンタメアカウントに加えて、BTS、LE SSERAFIM、NewJeansなどのLINEエンタメアカウントも開設するとのこと。

LINEは日本ではほぼ誰でも使っているサービスなので、そこの面を取りに行くHYBE JAPANの動きは当然かなと思いました。Weverseという自社ファンクラブサービスがあるのでコンテンツの切り分け方は気になりますが、そこまでの熱量じゃないファンへのタッチポイントになるのだろうと予想します。

また、私はあまり詳しくなかったのですが、LINEエンタメアカウントは下記の機能があって、クリエイターにとっては収益アップのよさげなツールの印象です。

・メッセージ配信機能
・タレントとファンが1対1でメッセージできる「1to1メッセージ」
・トークルーム上に広告を表示でき広告収入を得られる「トークルーム広告」
・月額課金をしたユーザーに特典を提供するサブスクプラン「LINE公式アカウントメンバーシップ」

新カテゴリ!あなたの推しからメッセージが届く! (line.me)

ランキング(そもそも何の順位付け?)の顔ぶれが特殊で1位がケイティ・ペリー、2位から3位はLINEスタンプのクリエイター、4位にちいかわ作者のナガノ、少し飛んで7位にMrs. GREEN APPLE、10位に佐藤健さん、11位がTWICEなんですよね・・・。

2.5次元IPのウタイテ、20億円の資金調達を実施

ニュースサマリ

ウタイテは、既存投資家および既存の取引金融機関より、シリーズAエクステンションラウンド2ndクローズを実施し20億円の資金調達を実施。
累計資金調達額は、今回の資金調達を含めて約49億円。

分析、所感

8月7日に10億円資金調達完了して、1か月経たずにさらに20億円調達のニュース。イラスト・動画投稿プラットフォーム「Pi9-cel 」を運営するCynraを完全子会社化し、ファイナンスとM&Aの打ち手が連続起業家感あるなぁという印象です。

また、YouTubeチャンネル59万人越え・bilibili登録者数39万人越えの『こはならむ』さんの所属も決定してまして、アーティスト採用も活発

事業責任者のインタビューもWantedlyで公開していて、採用広報もしっかりやっています。

2.5次元の領域では、すとぷりのSTPR、いれいすのVOISINGが先行している印象ですが、ウタイテでそこに割って入ろうとしているイメージです。

STPR、VOISINGは男性アイドル・アーティストのみですが、ウタイテは「こはならむ」さん所属するなど女性アーティストもマネジメントしてく方針の違いがあります。強いて既存のアイドル事務所に当て込むなら、STPR、VOISINGがジャニーズ系(男性のみ)なら、ウタイテはLDH系(男女どちらも)の路線でしょうか。

今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!

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村田泰祐
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