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【エンタメ横断ニュース】博報堂がアニメ広告会社立ち上げ、三菱商事と吉本が提携、楽天と東映が共同でIP開発(24/11/10)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

今週は下記の3つのニュースを紹介します。


博報堂グループ、アニメ広告の会社立ち上げ

ニュースサマリ

株式会社博報堂DYホールディングス傘下の特別目的子会社、Ventures of Creativity株式会社(以下VoC)は、アニメーションを使用した広告の制作プロセスを自動化し、クオリティを担保しながら制作期間の大幅な短縮を実現するソリューションの提供を行う「株式会社ZETTAI WORKS」を設立した。

分析、所感

博報堂ですが、社内ベンチャープログラム「Ventures of Creativity」を2023年度より開始しています。マーケティング領域のイノベーティブな事業案を募集し、ビジネスコンテストを通じて選出されたチームに対してスタートアップ投資とアクセラレーションを行うプログラムです。

そのビジコンで出たアイデアが「アニメーションの広告活用における課題に対して、アニメーション制作の過程を一部自動化し、制作費用・期間を大幅に軽減するソリューションを提供」。アイデアをもとに設立されたのがZETTAI WORKSです。

アイデアの起案者3名はHakuhodo DY ONEの方で、VoC社と共同出資の上、同社を設立。VoC社は、本年11月までに8.4千万円規模のシード投資も行うそうです。取り組みとしては社員の独立起業を支援もしているDeNAのデライトベンチャーズに近いです。

ZETTAI WORKSのサイトを見たのですが、まだ具体的なことは分かりません。プレスで気になるのは以下の一文。

ソリューション開発においては国内の複数の既存アニメ制作スタジオと連携。著作権をクリアしている状態の豊富な教師データを取得の上、それらを活用することでクオリティの担保に繋げていきます。

博報堂DYグループ、アニメーション広告の普及と革新をめざし制作効率化ソリューションを提供する「株式会社ZETTAI WORKS」を設立 | 博報堂DYホールディングスのプレスリリース

まず、国内の複数の既存アニメスタジオはどこか?次に、著作権をクリアしているというのはどういった意味か?最後に、アニメスタジオは原画などのデータを本来外に出したがらないはずですが、どうやって突破したのか?

など、個人的には謎が多く、なおかつ興味深い取り組みです。

同じ広告系ですと、少し先にサイバーエージェントも同様の取り組み「アニメーションAI Lab」をリリースしています。

生成AIで作られたアニメ広告が世の中に出回る日が来るのはそう遠くはないでしょう。

三菱商事、吉本が新規事業の為の業務提携

ニュースサマリ

三菱商事株式会社および吉本興業ホールディングス株式会社は、「笑い」による生活者の健康課題解決、「お笑いコンテンツ」の海外展開、DXを活用したコンテンツ制作等を含む、事業共創の検討について合意し、業務提携契約を締結した。

分析、所感

まさかの組み合わせという第一印象、そして伊藤忠がアニメやキャラビジネスに力を入れていますが、他の商社のエンタメビジネスへの関心度も高くなっていることが分かるニュースです。

業務提携の理由ですが、まず冒頭で書かれているのは笑いで健康をもたらすというもの。日本は超高齢社会ですから、シルバー層へのビジネスは今後チャンスがありますし、「笑いで健康を!」という触れ込みは世間に対して印象が良い気がします。

日本では超高齢社会の到来を見据え、認知症や脳の老化等の予防、ウェルビーイングの実現等が求められているなか、笑いが健康にもたらす効果が改めて注目されています。吉本興業と三菱商事は、笑い×ヘルスケアで生活者の健康課題解決に取り組みます。

でも、個人的には本音は「お笑いコンテンツ×海外」がやりたいんでしょ、と思っています(笑)

また、三菱商事は日本の優れた無形資産をブランドとして広く海外へ展開していく方針であり、吉本興業が有する日本のお笑いコンテンツを魅力ある無形資産として、共同で海外へも届けることを構想していきます。生活者の健康データの捕捉やモニタリング、お笑いコンテンツの制作等にあたっては、三菱商事のもつDXの知見を活用し、お笑い×デジタルによる新しい付加価値共創を目指します。

吉本は松本人志さん考案の「ドキュメンタル」のローカライズ版を展開しています。

また、こちはTBSですが、海外番販に力を入れており、ビートたけしさんの『風雲!たけし城』は今も売れているフォーマットと述べています。

とにかく明るい安村さんがゴッド・タレントで話題になったお笑い芸人の海外進出の事例もありますが、上記のようなバラエティ番組のフォーマットの海外ローカライズ化もチャンスはありそうです。

楽天、東映と共同でIP開発

ニュースサマリ

楽天でIP開発からコンテンツの包括的なプロデュースまでを行うコンテンツレーベル「Rakuten Content Central」(楽天コンテンツセントラル)は、忍者をモチーフにした初のオリジナルキャラクターである『NINNIN』(ニンニン)を東映株式会社と共同で開発した。

分析、所感

横断ニュースで取り上げ忘れたのですが、楽天のIPチームの楽天コンテンツセントラルは、最近「ディズニー ツイステッドテール」を原作とするWebtoon5作品の制作を行うことになったなど、動きが活発です。

今回の東映とのキャラIP開発、ディズニーのIPを別メディアで展開する以外にもHYBEアーティストのグッズサイトを作るなど祖業のECとも絡めたりしています。

よく考えると、楽天は楽天市場のECサイト、Rakuten TVの配信サイト、楽天ブックスの書籍サービス、楽天NFTなどIP事業の出口を幾つか持っています。楽天イーグルスはヒロアカとコラボしていましたし、楽天モバイル、楽天銀行などIPをマスに広げる手段を複数持っています。

つまり、ABEMAやグッズ機能を持つサイバーエージェント的な攻め方、キャリアやdアニメという配信サービスがある通信会社のドコモ的な攻め方、球団を持つDeNA的な攻め方、推し活口座を作ろうとしているソニー銀行的な攻め方など、実はありとあらゆる企業のアプローチを楽天1社で出来てしまう稀有な会社なんです。

だから、IPビジネスに力を入れたら結構すごいことができる会社の1つなんですよね。個人的には眠れる獅子が起きた、という感覚です。

楽天コンテンツセントラルの第1弾が集英社の『僕とロボコ』なのですが、集英社、東映、ディズニー、HYBEなど国内外有数のコンテンツホルダーと組めてしまう営業力もあると思います。

あと、楽天社員はTOEICスコアも義務付けられていますし、楽天モバイルの営業のやり切り力を見ていると、海外での営業もしっかりやりそう。今後の楽天のIPビジネスに大注目です!


今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!


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村田泰祐
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