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【エンタメ横断ニュース】大根仁氏とNetflix専属契約、東映の自社ロゴIP展開、集英社新サービス(24/10/6)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

今週のエンタメ横断ニュースを4つ紹介します。


大根仁氏、Netflixと5年間の専属契約

ニュースサマリ

Netflixで一挙配信された「地面師たち」の監督を務めた大根仁氏がNetflixと5年間の独占契約。

分析、所感

テレビ局の有名プロデューサーを続々と社員として吸収しているブラックホールのようなNetflixですが、クリエイターとの独占契約にも積極的です。

映画『怪物』の脚本家・坂元裕二氏もNetflixと5年契約を結んでおり、映画『クレイジークルーズ』は既に2023年に配信済みです。また、直近ではテレビ・映画プロデューサーの磯山晶氏とも同じく5年契約を結んでいます。

坂元氏はカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞後、磯山氏は話題となった「不適切にもほどがある!」の直後、大根氏は「地面師たち」が話題後など、作品とクリエイターが最大限注目を浴びているタイミングでリリースを打出すNetflixの宣伝戦略も注目です。

ただ、各クリエイターがNetflixが独占することは、作家性にとって良いことなのか、視聴者にとって喜ばしいことかどうかは別かもしれません。例えば、Real Soundでは坂元氏はライブ感が特徴あるのに、Netflixは切り捨てる可能性があることを指摘しています。

坂元が書くテレビドラマの面白さは、その執筆手法にある。坂元は各登場人物の履歴書を精密に作った後、プロットを作らず、はじめから順番に結末を決めずに書き進めていく。そして、放送されたドラマを観て役者の芝居や視聴者の反響から感じ取ったことを作品内にフィードバックしていく。
つまり、連続ドラマのライブ感こそが坂元のドラマを独自のものとしてきたのだが、基本的に全話一括納品が求められるであろうNetflixでは、この武器を活かせない。
そのため、Netflixの坂元作品は『花束みたいな恋をした』や『怪物』のような映画に近い作品となるのではないかと思う。それはそれで楽しみだが、日本の連ドラが培ってきたライブ感をNetflixが切り捨てるのなら、逆に地上波のテレビドラマの勝機はそこにあるのかもしれない。

坂元裕二の“ライブ感”は地上波ドラマだからこそ|Real Sound|リアルサウンド 映画部

ただ、配信サービスの競争は引き続き続いている中で、作品の拡充ではなく、そもそも作品を創るクリエイターと独自契約してしまうNetflixの戦略は正しいものと思えます。

東映、自社ロゴのグッズブランド開始

ニュースサマリ

東映は「We’ll Be Eternallly Bonded With Our Heroes.」のコピーのもと、世界市場を視野に創立73年にして初めて自社のロゴや“荒波”をグッズ化してブランド発信していく「東映荒波計画」を始動。

分析、所感

引用記事内に担当者の方のコメントがあるのですが、外国人観光客の方が東映本社でロゴを撮影、国内外問わずロゴを使っての商品化の問い合わせが増えたことをうけて、企業ロゴをIPとして捉えたとのこと。

海外の方にとって東映ロゴが実際どれぐらいクールかは分かりませんが、自社のブランド化戦略に積極的なA24のような展開ができそうです。

NetflixもBEAMSとコラボレーションアパレルを展開するなど、自社ロゴを使ってのグッズ展開に積極的です。

かくいう私もA24、NetflixのTシャツなど持っているのですが、カルチャーに敏感であるように見られたいという気持ちがあります(笑)。

A24のTシャツは作品に合わせてロゴの色を変えたり、 DEATH STRANDINGとのコラボでは、デススト感あるアレンジがされています。

企業ロゴはその企業を代表する重要なツールの1つですが、汎用性高い面もあり、多様な展開ができる商業ツールになる可能性もあります。東映が自社ロゴにそのような可能性があるかも、と気づけたのは個人的に素晴らしい事のように思います。

海外の方が漢字の東映ロゴをクールと思ってTシャツを着ている日がくる未来はそう遠くないでしょう。

集英社とワントゥーテン、「CHARA&ME(キャラミー)」の共同企画

ニュースサマリ

集英社とワントゥーテンは、キャラクターをきっかけに新旧さまざまなマンガと出会える新サービス「CHARA&ME(キャラミー)」の共同企画を行った。

マッチングアプリから着想を得たUX設計となっており、体験画面に表示されるキャラクターを右 (いいね!)にスワイプすることでキャラクターを選択。気に入ったキャラクターはその場でプロフィールを確認したり、登場する作品を無料で試し読みできる。

分析、所感

TinderライクなUIも面白ですが、下記機能も面白いですね。レコメンド学習機能、マッチングアプリのようにキャラからのいいね通知、ランキング機能。

(1) ユーザーの嗜好性を学習するレコメンド機能
ユーザーのいいね!履歴から嗜好性を学習し、好みに近しいキャラクターをレコメンドする機能を搭載しています。コンテンツをやり込むほど、自分好みのキャラクターが登場する作品と出会う確率が向上します。

(2) キャラクターからのいいね!通知
キャラクターからいいね!通知が届く機能を搭載しています。これまで接点のなかった作品との新たな出会いを創出します。

(3) ユーザーランク機能
キャラクターをきっかけに、どれほど多くのマンガと出会えたかの証となるユーザーランク機能を搭載しています。各キャラクターが登場するマンガを読むことでユーザーランクが上がっていきますので、是非最高ランクを目指しながら、本サービスをお楽しみください。

ワントゥーテン、集英社が提供する“キャラクターをきっかけに新旧さまざまなマンガと出会えるサービス”を共同企画 10月1日(火)から配信開始 | 株式会社ワントゥーテンのプレスリリース (prtimes.jp)

集英社は、AI対話型マンガレコメンドサービス「DEAIBOOKS」もリリースしています。こちらは電通デジタルがパートナーです。

このように集英社はここ最近、マンガレコメンドサービス、マンガと読者を繋げることに力を入れている印象です。エンタメコンテンツが溢れている中で、まずマンガを選んでもらう、さらに自社のマンガを読んでもらうという消費者の流れがあるわけですが、消費者を引き込むための周辺サービスを出すのは納得できます。

また、マンガを探す方法はいくつかありますが、マンガ大賞で気になった作品を読んでみる、SNSや知人のレコメンドから情報を仕入れるなど能動的な必要がありました。そこで、TinderUI、AIとの会話で自分の嗜好に合うマンガを受動的に勧められるサービスのニーズもありそうです。

ラノベ出版のBookBase、3億円調達

ニュースサマリ

BookBaseはWorld Innovation Lab(WiL)をリード投資家としたプレシリーズAラウンドのファーストクローズを実施。
本ラウンドにおいては、最大2.94億円の資金調達を目指しており、セカンドクローズに向けた調達を実施中。

分析、所感

IPビジネスの源流、タネというのは出版IPであると個人的に考えます。出版IPからアニメなどメディア化、グッズ化などIPビジネスは広がるので、まずは出版IPを作れるようにすることはエンタメ企業として優先度高い(ただし難易度高い)ことだと思います。

スタートアップの文脈だと、Webtoonという新しいフォーマットでのIPのタネを作ろとしている企業が複数ありますが、ライトノベル事業が軸のスタートアップも出てきました。BookBaseは電子書籍の直販サイトであり、編集部もあるとのことで、紙の出版をしない出版会社ということでしょう。

個人的にはKADOKAWAとはてなのカクヨム、アルファポリスのような投稿サイトに+αで差別化したスタートアップが登場するのでは?と思っています。

今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!

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村田泰祐
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