見出し画像

【エンタメ横断ニュース】宇宙戦艦ヤマトの新アニメ、エイベックスと博報堂のAR音声サービス、任天堂の目覚まし時計(24/10/12)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

今週は下記の6つのニュースを紹介します。


カラー、宇宙戦艦ヤマトの新作劇場アニメを製作

ニュースサマリ

株式会社カラーは「宇宙戦艦ヤマト」の権利関係を管理するボイジャーホールディングスから新作アニメ映像を製作する権利を付与され、東北新社から著作権の利用許諾を得た。
2025年からのプロダクション開始を目標に新作劇場作品を現在企画進行中。

分析、所感

プレスリリースに記載ありますが、庵野監督の意気込みを感じます。

新旧織り交ぜた面白い作品群を残りの人生を費やして可能な限り作り、『宇宙戦艦ヤマト』を後世に遺していけたら、と思っています。

【お知らせ】 | 株式会社カラー (khara.co.jp)

ここ近年はシン・ゴジラ、シン・ウルトラマン、シン・仮面ライダーと実写作品に携わっていたので、アニメ作品の製作することは嬉しいニュースですよね。「シン」シリーズになるのか気になります。

この件で知ったのですが「宇宙戦艦ヤマト」の知的財産権は、トラブルや訴訟が起きるなどかつては複雑だったことを知りました。綺麗にまとまっている、なおかつ情報の信憑性のあるサイトがなかったのですが、wikipediaが比較的よくまとまっていると思いました。(簡単に言うと西崎義展プロデューサーと漫画家・松本零士さんの争いになります)

現在は権利関係は整理され、庵野監督が新作アニメを製作できるようになったということで楽しみです。

CoeFont、野沢雅子さんら所属の青二プロダクションとパートナーシップ

ニュースサマリ

CoeFontは、声優事務所・青二プロダクションとのパートナーシップを発表。野沢雅子さんや銀河万丈さんなど、青二プロ所属声優の声を模したAI音声を作成。多言語対応の上、AIアシスタント・ナビゲーション用の音声などとして提供する。

分析、所感

CoeFontは、当時東京工業大学2年生19歳の早川尚吾さんが2020年に設立したAIベンチャー。Web上で音声合成が可能な音声合成サービス『CoeFont STUDIO』(コエフォントスタジオ)をリリース、リリース3日で登録ユーザー5万人を突破しています。

「おしゃべりひろゆきメーカー」を手掛けており、当時SNS上でもバズりました。

アメトーークの制作チームからの依頼で、宮迫博之さんに許可をとったうえで「AI宮迫」も共同開発。

このようにインフルエンサーや芸能人などのAI音声化をしていましたが、日本初の声優専門のプロダクションの老舗である青二プロダクションとパートナーシップ締結したことは、同社にとって喜ばしいことではないのでしょうか。

一方で、声優とAIの関係については不安視する声が挙がり、問題も起きています。

ハリウッドではゲーム声優、モーションキャプチャーの演者がAI声優の規制求めています。

国内でもアニメ・ゲームなど少なくとも46作品、267人の声優の声が、無断でAI生成コンテンツに利用されていることが確認されています。

そんな中、逆にビジネス利用に打って出るケースもあります。梶裕貴さんは音声合成ソフト『梵そよぎ(そよぎそよぎ)』を軸に展開するキャラクタープロジェクトを開始。自分自身とAIキャラクターの梵そよぎとのコラボカフェを実施しています。(なかなか斬新な"画"です笑)

https://www.princehotels.co.jp/sunshine/restaurant/contents/soyogi-fractal/

AIにそもそも使用させないという規制、自らAI化してのビジネス拡大と方向性の違いが声優業界で分かれている気がします。

梶裕貴さんのような若手、アイドル性ある声優さんは自身をIP化する動きが今後増えていくのではないでしょうか?また、今野沢雅子さんのようなベテラン声優さんも、ナビゲーション音声への使用などでビジネス化を進める流れが増えることでしょう。

声優のIP化、声優のAIビジネスはここ数年でホットなビジネストレンドになると予想します。

エイベックス、博報堂と音声ARサービスを提供

ニュースサマリ

エイベックス・アライアンス&パートナーズは、音声AR事業で博報堂と連携し、コンテンツの企画制作からマネタイズまでを一気通貫で提供するサービス「SARF+」(サーフプラス)の本格的な提供を開始。
IPを保有し、プラットフォーム開発や運用ノウハウをもつエイベックスと、営業・企画やマーケティングに強みをもつ博報堂が互いの強みを組み合わせ、一気通貫で運用できる、マネタイズを含めた仕組みの構築を目指す。

分析、所感

エイベックスは「SARF」という音声ARアプリをリリースしています。現実世界にビジュアルを重ねるのはスマートグラスの普及など技術的な問題があるので、音声でARができていかチャレンジしているそうです。

アニメ「さんかく窓の外側は夜」では、新しいアニメの聖地巡礼の形として、現地でしか聴けない特別な音声コンテンツを制作した実績があります。

歩きスマホにならない配慮もされており、景観を壊すことなく音声で新しい体験ができるという説明は説得力があるように思います。

今回発表した新サービス「SARF+」はアプリ内課金機能に対応し、コンテンツを開発・提供する企業は直接的な収益化が可能とのこと。さらに、従来より詳細なユーザーの情報分析が可能で、プロモーション連動機能も備えるそうです。

美術館などで音声ガイドなどがありますが、エイベックスと博報堂が本気出したらそれなりのビジネスになりそうです。企画次第で話題コンテンツも出そうなのでチェックです。

任天堂、部門横断プロジェクトで目覚まし時計を発売

ニュースサマリ

任天堂が「ニンテンドーサウンドクロック Alarmo(アラーモ)」を発売。利用者の動きを感知する「うごきセンサー」を内蔵し、動きに合わせてアラーム音を変化させる機能がある。ゲーム「スーパーマリオ オデッセイ」や「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」など、複数のゲームタイトルの音を収録。
多くの注文が集まり、一瞬で品切れ。抽選販売へと移行すると発表。

分析、所感

一瞬で品切れ、メルカリでも転売祭りになっているAlarmo。体の動きに合わせて反応するとのことで、動画を見ると分かりますが、寝返りなどに反応してコインの音がしたり、ベッドから出るとファンファーレが鳴ります。

任天堂としては変わり種の商品ですが、開発者の方曰く「うごきセンサー」の技術を研究しており、プロジェクト化したとのこと。

社内にあったプロジェクトのひとつに、「うごきセンサー」という技術を研究しているものがありました。
このセンサーなら、カメラを使わないためプライバシーに配慮することができ、寝室と非常に相性がいい、というアイデアがあったのですが、実際に
「このアイデアを活かして何かできないか」と新たに立ち上がったのが今回のプロジェクトになります。

開発者に訊きました : ニンテンドーサウンドクロック Alarmo|任天堂 (nintendo.com)

また、任天堂でゲームソフトをつくる開発者とゲーム機や周辺機器などハードをつくる開発者、部門の違う人が作った商品です。開発者インタビューでは苦労した点、プロトタイプなど出てきて非常に面白かったです。ぜひ。

元バンダイナムコ社長の尾崎さん、ショートアニメの会社設立

ニュースサマリ

元サンライズ取締役、元バンダイナムコピクチャーズ代表取締役、アニメ『TIGER & BUNNY』のプロデューサーでも知られる尾崎雅之さんが、ショートアニメおよびキャラクターの企画・プロデュースを中心にした新会社「Creadom8(クリエイダムエイト)」を設立。

分析、所感

個人的に大好きな『TIGER & BUNNY』のプロデューサーの尾崎雅之さん。YouTubeも開設され、第1回は尾崎さんの経歴を自己紹介されています。住友銀行→ギャガ→サンライズ・・・という面白いキャリアを歩まれた方です。

第2回は事業内容について話されており、まずはショートアニメをプロデュースするそうです。それ以外にも機会があれば、アーティストのMV、企業CMを手掛けたいとのことで、通常のアニメ、劇場アニメもプロデュースしたいとのこと。

ショートドラマが盛り上がりを見せつつある中、ショートアニメも出てくるだろうという流れは予想できたものですが、大ベテランの参入でどう盛り上がるか期待されます。

ソラジマ、インドネシアのWebtoonスタジオに1億円出資

ニュースサマリ

ソラジマは、インドネシアのWebtoonスタジオKisai Entertainment社に総額1億円を出資し、資本業務提携契約を締結した。
Kisai Entertainment社は、ソラジマ作品の線画や着彩、背景、仕上げ工程を担当している。

分析、所感

国内Webtoonの雄であるソラジマの大胆な一手。海外かつ同業他社に1億円の出資は衝撃的なニュースですね。

プレスリリースの業務提携な主な内容を見ていて思ったのが、Webtoon業界でもアニメ業界と同じようなことが起きている・増えていくのでは?ということ。

(1) 漫画制作における業務提携
ソラジマが培ってきた作家や漫画原作者とのネットワークや漫画制作知見と、Kisai Entertainment社の強みであるプロジェクト進行能力、そしてインドネシアの優秀なクリエイターたちの力を掛け合わせることで、よりハイクオリティな作品を次々とリリースしてまいります。
(2)出資による提携
ソラジマは、 Kisai Entertainment社へ1億円の出資を実施しました。これによりKisai Entertainment社は事業を拡大し、確保したリソースをソラジマの作品制作に還元することで、両社が互いに成長しあう関係を築いてまいります。
(3) クリエイターリストの共有による提携
「ファーストルック契約」によって、Kisai Entertainment社が抱えるクリエイターを優先的に指名できる権利を獲得しました。優秀なクリエイターとマッチする企画を選定し、作品化することで、クリエイターの才能を最大限に活かした魅力的なコンテンツの創出を目指します。

アニメ業界ではアニメスタジオの買収、資本業務提携の流れが加速していますが、アニメーターの人材不足により、ライン確保の競争激化のため、優先的に抑えられるようにしているのものと考えられます。

Webtoonも複数のアニメのように複数の工程にまたがって制作するわけですが、Webtoon制作スタジオや人材が不足しているのではないでしょうか?そのため、ソラジマがKisai Entertainment社に出資することでリソースを確保しているのだと思います。

今後はWebtoonスタジオの買収、資本業務提携も増えるかもしれません。

今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!


いいなと思ったら応援しよう!

村田泰祐
いただいたサポートは書籍購入費に充てます!