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【エンタメ横断ニュース】任天堂とポケモンがパルワールド運営を提訴、HYBEのIPがアニメ化、ReelShortが日本参入(24/9/22)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

今週は下記の3つのニュースを紹介します。


任天堂とポケモン、パルワールド運営のポケットペアを提訴

ニュースサマリ

任天堂株式会社は、株式会社ポケモンと共同で株式会社ポケットペアに対する特許権の侵害訴訟を東京地方裁判所に提起した。ポケットペアが開発・販売するゲーム「Palworld / パルワールド」が複数の特許権を侵害しているとして、侵害行為の差止及び損害賠償を求めるものである。
ポケットペアも声明を発表しており、訴状を受領しておらず、任天堂・ポケモンの主張や侵害したとする特許権の内容等について確認できていない。

分析、所感

今週の1番のニュースでしたね・・・。「パルワールド」は以前からポケモンのキャラクターデザインをパクッているのでは?という一部の声があがっていました。

Xを見ていると、このニュースに対する反応は様々。個人的に同意できる意見もありましたが、両社のリリース以外に事実の情報はありません。

「ポケモンのデザインをパクっているから任天堂がキレた」みたいな意見がありますが、任天堂とポケモンは複数の特許権を侵害しているとのことで提訴していることはきちんと理解しておきたいところ。

ということで、任天堂とポケモンの特許を特許情報プラットフォームで見ていきたいと思います。記事執筆の現在、有効なもの・審査中のもの・取り下げなど含めて35件の発明が確認できます。

ここからは推測ですが、いくつかパルワールドが侵害しているとされていそうな任天堂とポケモンの特許を見ていきましょう。

例えば、パルワールドはキャラメイクができますが、任天堂とポケモンは「キャラクタについて複数種類のモデルが用いられる場合において、装着されるアイテムに応じてキャラクタの見た目を変更することが可能なゲームプログラム、情報処理装置、情報処理システム、および、ゲーム処理方法を提供する」の発明の特許を持っています。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-027583/11/ja

パルワールドはキャラクターであるパル(ポケモンでいうところのモンスターであるポケモン)に乗れますが、任天堂は「プレイヤキャラクタをオブジェクトに搭乗させて移動させるゲームにおいて、複数の搭乗オブジェクトの切り替えをスムーズに行うことが可能なゲームプログラム、ゲームシステム、情報処理装置、および情報処理方法」の発明の特許を持っています。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2024-098000/11/ja

パルワールドはパルスフィアと呼ばれる、ポケモンでいうモンスターボールのようなもので捕獲できますが、「第1のモードにおいて、第2の操作入力に基づいて、仮想空間内における照準方向を決定させるとともに、第3の操作入力に基づいて、仮想空間内のフィールド上に配置されたフィールドキャラクタに影響を与えるアイテムを照準方向に向けてプレイヤキャラクタに放たせ、第2のモードにおいて、第2の操作入力に基づいて、照準方向を決定させるとともに、第3の操作入力に基づいて、戦闘を行う戦闘キャラクタを照準方向に向けてプレイヤキャラクタに放たせる発明の特許を持っています。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7545191/15/ja

このように任天堂とポケモンはゲーム内のキャラデザ、プレイヤーが乗るキャラクターをスムーズに変えられる発明、捕獲する発明などの特許を持っていまして、パラメータなど他のゲームシステムの特許も持っています。

どのような特許を侵害したと任天堂とポケモンは考えているのか?そこの詳しい情報をウォッチしたいと思います。

HYBEのIPが初のアニメ化。アニプレックスが公開

ニュースサマリ

『黒の月: 月の祭壇』(作:HYBE)が、「DARK MOON -黒の月: 月の祭壇- Original By DARK MOON : THE BLOOD ALTAR WITH ENHYPEN-」としてアニメ化することが決定。
『黒の月: 月の祭壇』はENHYPENとコラボレーションした、HYBEオリジナルストーリーに基づいたWebtoon。
アニプレックスがティザービジュアルとアニメ化プロジェクト解禁PVを解禁した。

分析、所感

BTSなどを擁する芸能事務所HYBEですが、所属アイドルグループとコラボしたWebtoonでIP展開しています。BTS、TOMORROW X TOGETHER、今回アニメ化決定したENHYPENなどです。

HYBEはNFT、ゲーム、ミニキャラクターなどアイドルタレントのIP化に積極的でして、芸能人というのは生きている人間である以上は体は1つなので、キャラ化することでIPとして稼げるようにしたい意図があると思われます。

そして、今回のアニメ化プロジェクトを発表したのがアニプレックス。先週の記事ではアジア圏のGL展開事業に参入したと紹介しましたが、bilibiliとのコラボアニメ化も進行しています。

アニプレックスは中国、韓国などの企業、IPとのアニメ化などに積極的、アジア圏から企画のタネがないか視野を広げていると言えるでしょう。

アジアのエンタメ企業も日本の市場、アニメ化に参入したい思惑があり、国内ではジャンプ作品など人気IPのアニメ化の争奪戦が行われる中、海外に目を向けているアニプレックスの狙いが一致しています。

今後もWebtoon原作はますます増えるはずなので注目、Crunchyroll擁するアニプレックスの海外回りの展開も引き続きウォッチですね。

中国のショートドラマアプリ『ReelShort』の中文在線が日本に参入

ニュースサマリ

中国ショートドラマのトップランナー、北米でヒットしたアプリ『ReelShort』の親会社の中文在線の日本法人、株式会社COL JAPANは縦型ショートドラマプラットフォーム『UniReel』をリリースする。
LINEヤフー株式会社、株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ、株式会社HUUMと縦型ショートドラマの製作委員会を設立した。

分析、所感

ReelShortは縦型ショートドラマの火付け役ともいえる中国発のショートドラマプラットフォーム。中文在線(COL Group)が運営しているサービスで、COLは2000年に北京の清華大学で設立、2015年に深セン証券取引所に上場した企業です。

2022年にReelShortはリリースされ、COLが49.16%を出資するアメリカの会社Crazy Maple Studioが制作会社として知名度を上げています。2023年11月にアメリカのApp StoreからReelShortのダウンロードが急増、COLの株価は2週間で2倍以上に上昇するなどかなりの人気ぶり。

調査会社SensorTowerによると、2024年4月までの広告収入を除く売上高は約10億元(約220億円)で、アメリカが売上高の7割近くを占めるとのこと。ただ、Crazy Maple Studioの2023年の売上高は6億8600万元(約150億円)にも関わらず、純利益はわずか24万4200元(約540万円)。

1カ月あたりの広告費は約600万ドル(約9億7000万円)、ショートドラマ1本にかける制作予算もは20万ドル(約3200万円)と同業他社の2倍などコストがかなりかかっているそうです。

そんなCOLは2024年に日本法人のCOL Japanを設立していたみたいで、代表取締役社副社長は、2022年から親会社COL Gruopで日本業務の責任者である武川さんという方です。

COL Japanは11月に日本用のショートドラマアプリ「UniReel(ユニリール)」をリリース予定で、日本テレビ初のショートドラマの配信が決定しています。

概要情報は下記の通りなのですが、製作委員会名が「日本オリジナルショートドラマ」というのが、作品名ではないところが気になります。

脚本鈴木努(日本テレビ)
監督: 松永洋一(R.I.S Enterprise)
監修:鈴木勇馬(日本テレビ)
プロデューサー:原浩生(日本テレビ) 久保真一郎(日本テレビ) 鈴木努(日本テレビ)松永洋一(R.I.S Enterprise) 坪ノ内俊也(R.I.S Enterprise)
制作:吉田絵(日本テレビ)
製作著作:「日本オリジナルショートドラマ」製作委員会

日本テレビ、同局初の縦型課金ショートドラマ『最期の授業-生き残った者だけが卒業-』生徒役が発表|Screens|映像メディアの価値を映す (screens-lab.jp)

また、LINEヤフーは製作委員会メンバーであることが判明。

本ドラマの製作委員会に参加しているLINEヤフーの協力により、UniReelのLINE公式アカウント(https://lin.ee/Uv8GIlk)を開設。

日本テレビ、同局初の縦型課金ショートドラマ『最期の授業-生き残った者だけが卒業-』生徒役が発表|Screens|映像メディアの価値を映す (screens-lab.jp)

COL JapanはLINEヤフー、博報堂、HUUM(博報堂とUUUMの合弁)とも製作委員会を組成しているとのことで、博報堂、HUUMが残り委員会メンバーと考えてよいのでしょうか?

ちなみに、LINEヤフーはごっこ倶楽部とショートドラマを共同製作しており、日本テレビはごっこ俱楽部(株式会社GOKKO)に出資していますが、そのあたりの関係性はどうなのでしょうか?

アドテック東京2024では「ショート動画・ドラマにおけるテクノロジー×クリエイティブ」というテーマ、電通がダイアモンドスポンサーでセッションを実施します。そこは製作委員会メンバーの博報堂じゃないのか・・・。

などなど、日本のショートドラマ業界のプレイヤーや勢力図が複雑化している印象です。気になるのはショートドラマアプリのプラットフォームは配信プラットフォームのようにある程度共存しえるのか?という点です。BUMPがショートドラマアプリとして、国内ではトップを走っている印象ですが、他サービスが追いつくのか?

「2024年はショートドラマアプリ元年だった」と呼ばれる日がくるかもしれません。

今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!

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村田泰祐
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