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時間軸を味方にする。

今から3年前の5月17日。いまの会社に初出社した日。どきどきしながら、ちょっぴり年季の入ったオフィスの引き戸を開けた。

「よ、よろしくお願いします……」
「……ぉ〜う」

ひとり中央のデスクに座って、Macbookとにらめっこしながら僕のために初期設定をしてくれている代表。何を話せばいいかわかんなくて、ちょっと気まずい微妙な間があった……。

そんな日からちょうど3年。
社会人人生で初めてひとつの会社に3年間在籍した。新卒からほぼ1年に1回のペースで転職を繰り返してきたジョブホッパー、社会不適合者の自分にとってみたら、なかなかの快挙だよなぁと思っている。

というか、きっとこの会社じゃなかったら、シャチョさんはじめメンバーの懐がこんなに広くなかったら、素敵なパートナーさん・クライアントさんに恵まれていなかったら……またジョブホッピングしてたかもしれない。ほんとうに頭が上がらん。

よく「3年働いて、やっとその会社のことがわかる」とか、「石の上にも3年」とか言われるけど、初めて「3年間」というよく言われるひとつの節目に到達してみて、ちょっと感じるところがあったので、noteに書いてみようかなと思う。
昔の自分に届け〜〜

***

うちの会社は、「コピーライター事務所」と名乗っているけれど、世間一般的な「コピーライター」とはちょっと違う。

現場によっては「ライター」と呼ばれることもあるし、「編集」的な役割を求められることもある。ときには「広報」のような顔をすることもあれば、もちろんズバン!と一言キャッチコピーが求められる場面もある。“広義の”「コピーライター」なのだ。

だけど、最初は、幅広い業務に対応する仕事の進め方に全く慣れなかった。

もともと、自分は、いちどイシューをセットして、そこにひたすら張って取り組み続けていくタイプ。どんなマーケットの、どんな課題に取り組むか、自分のテーマを固定して取り組む方が力を発揮できる。まぁ要は「融通が利かない」のだ。だからこそ、毎回、課題感や取り組むことが変わる会社の仕事のやり方には、なかなか戸惑いもあった。

もともと採用事業会社のバックオフィスからコピーライターに転身した自分は、採用とか組織づくりの文脈での言葉に関心がある。狭義のコピーライターでは果たせない、そんな仕事を求めて今の会社に転職したんだけど、その話は長くなるのでまた今後。

結局、1社目も、2社目も、自分を環境に順化していくのができなくて、組織から逃げてきた。でも、もう3社目だ。これ以上あとはない。今回はなんとしてもしがみつこう……そう思っていた。
でも、頑張ろうと思っても、融通が利かない系脳みそは「あ、自分のタイプと違う」と認識するとなかなか言うことを聞いてくれない。その結果、何度もなんども直しをもらう。正直、納品レベルまで達することができなくて、上司に頭を下げてもらって、納期を伸ばしてもらうなんて最低なことをしたことすらある。
もう文章が書けなさすぎて、情けなさ過ぎてリアル泣いていたし、メンタルくたびれて一定期間お休みをもらったこともある。
それでも今、やっと、クライアントさんやパートナーさんから直接「小林さんにお願いしようと思って……」という、本当にありがたい声をいただけるようになってきた。

何も持たないまま組織から逃げ続けて、年齢と社数だけ重ねて、理想だけ膨らんでいた自分にとっては、そうやって相談やオーダーをいただけること、そして、それに自分なりに解を出せるようになっていることが何よりもうれしい。自己効力感が0に等しかったから、指名を頂くたびに沁みる。もちろんまだまだシャチョさんに頼ったり、研鑽しないといけない部分は腐るほどあるけれど。

***

新卒で入社したリクルートでは「wii・can・must」という枠組みでキャリアを語ることがよくある。3年前までの自分は、canがほぼなくて、willとmustも噛み合ってない。その結果、「自分のやりたいことはこうじゃない!」とwillが肥大化して手に負えなくなっていた。でも、今は一握りでも「言葉」というcanがある。この、ひとつのcanを持てたこと、いや持とうとし続けてきたことで景色は随分変わった。

どれだけ悪戦苦闘していても、言葉というフィールドに張って、3年もそこに居つづけると自他ともに認識が変わってくる。「自分はコピーライターです」と掲げるだけじゃ足りない、その期間とにかく掲げ“続け”る。そうすると時間軸が味方になってくれる。点よりも線、1回の衝撃的な事件よりも、3年間の地道な継続。苦しみながらも、活動し続けた3年分のおびただしい出来事の束、その歴史が自分を「言葉の人」という認識をかたちづくってくれた。

今では、大好きな地元で仕事もできるようになった。最近では、僕がコピーライターになったことを知って15年振りに連絡をくれて、仕事をした友達もいる。求めていた採用や組織づくりに関われる機会も得られるようになってきた。

まだまだ思い描いていたキャリアには遠いこともままあるけど、積み上げてきた「言葉」というcanを携えたことは少し胸をはってもいいかもしれない、いや胸を張ってもいいぞ、自分!
次のキャリアをどうするか、まだ決めてはないけれど、このcanが、今この地点と、新しい境地とを繋いでくれる媒介になるはずだと確信している。

あぁ〜〜久しぶりに自分の文章書いたら死ぬほどまとまらんな……。まぁ何が言いたかったというと、こんな社会不適合者だけど、お付き合いし続けてくださっている会社のみなさん、そしてクライアントさん、パートナーさん、お友達、家族、本当にありがとうございます!ということ。


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