ポルターガイストみたいなことがあったので。

ポルターガイストみたいなことがあったので、ちょっと探してて、面白いものを見つけた

上記文抜粋・・・・・・・・・

苫牧地英人著 『スピリチュアリズム』を読んで

平成20年4月

織田隆深


 先日、 ある中年の婦人から電話があった。 彼女は長い間熱心な阿含宗信者であり、 不成仏霊の供養のためと信じて、 教団に億に近いお金を納めた。 親からもらった財産をすべて貢いで、 すっからかんになった。 不成仏霊の浄霊が一体十万円なので、 中には一人の幸せのために二百数体も不成仏霊を供養させられたこともあり、 積もり積もって数千万になってしまったという。

 彼女は、 『阿含宗の研究』 (広野隆憲著) を読んで、 これはおかしいと疑問を持ち始めたものの、 二十数年間も信じて来たのでなかなか踏ん切りがつかず悩んできたが、 私の話しや隆弘先生の本を読みやっと目が覚めた。 どうしてそんなに長い間、 気づかなかったのかと聞いたら、 田舎に住んでいるので、 地方の本部にお参りして教団の話を聴くばかりだったし、 阿含宗の行事には、 いつも高野山の偉いお坊さん (O元教学部長) が来賓席に座り、 K先生と親しくしていたのを見ていたので、 天下の高野山も認めたまともな宗教だとすっかり信じ込んでいたという。 高野山真言宗は大いに責任を感ずべきである。

 阿含宗批判は先代隆弘先生が昭和五十八年頃から、 『密教宝庫を開く』 を上梓し、 おりにふれ警告を発してきたので、 私にすれば今更という感じだったが、 今回のことから、 まだまだ因縁切りとか、 浄霊しないと不幸に成ると脅され 「浄財」 を貢がされている人がたくさんいるという事実を知らされた。 真言宗各本山が協力して世に警報を出さない限り、 このような被害者は後を絶たないだろう。

 オウム真理教事件以来、 マスコミもカルトには敏感になり、 しばらくテレビも放送を控えてきたが、 最近、 宗教色を表に出さない形で、 自己開発セミナーやスピリチュアリズムという看板で、 マスコミに頻繁に出てきている。

 この傾向を憂える苫米地英人とまべちひでと氏が 『スピリチュアリズム』 (にんげん出版) という好著を昨年出してくれたので、 遅ればせながら紹介したい。 スピリチュアリズムといえば横文字なので何か気高く柔らかいイメージを与えがちだが、 日本語に訳せば、 「心霊主義、 霊媒主義」 と言う意味である。 強姦をレイプと言い換えたり、 洗脳をマインドコントロールという類である。

 内容は、 読んでもらうのが一番早いが、 目次を拾ってみるだけでも要旨はご理解いただけると思う。

 スピリチュアリズムは 「霊的真理教」 /催眠現象のメカニズム/ユリ・ゲラーの超能力ブーム/UFO教と宇宙霊/エセ科学と科学者/江原啓之氏の 「霊視」 /ファンタジーとしての 「生まれ変わり」 思想/細木数子氏―占いが当る心理/エハラー現象とテレビ/宗教かカルトか  カルト認定について/究極のスピリチュアルはオウム/チベット密教とスピリチュアリズム・洗脳のメカニズム/オウムの A級戦犯 中沢新一/死とスピリチュアル/輪廻はあるのか等々。

 苫米地氏は脳機能学者、 認知心理学者、 計算言語学者等、 数々の肩書きがあるように、 人間の心理をさまざまな角度から考究している。 特にオウム真理教信者の脱洗脳をした学者として有名である。

 本書では、 先ずスピリチュアリズムの歴史から説く。 十九世紀アメリカのニューヨーク州でポルターガイスト (騒ぐ幽霊)現象がおきて以来、 交霊術が全米に広まる。 英国では心霊現象研究協会が設立され、 更にその後、 英国スピリチュアリスト協会という団体もできる。 E氏もこれに所属している。 日本では福来友吉博士の千里眼が有名である。 どれもたわいのない 「変性意識状態」 がもたらす心理を利用した催眠テクニックによるものであることが、 脳科学の進歩で分かってきた。 思い込みの強い人の中には、 聖痕現象のように物理的力が加わっていないのに関わらず、 手のひらなどから出血する現象もありうる。 想像妊娠で腹が大きくなるのもその類である。 別に驚く程のものではない。

 スピリチュアリズムの典型的な例として、 E氏、 H氏、 N氏らの考え方をとりあげている。 特にN氏のオウムにおける貢献度は忘れてはならず、 氏はオウムの教義を作ったと言っても過言でないと批判されている。 オウム事件以降、 N氏はしばらく沈黙していたが、 最近またぞろNHKに出演したり、 大手出版社から次々本を出している。 苫米地氏でなければ彼の正体を暴くことはできないと思う。

 苫米地氏は、 テレビが洗脳に大いに効果があることを警告している。 アメリカのデモス財団 (アメリカの極右プロテスタント福音派原理主義を応援している組織) が、 昨年日本のテレビを利用して宣伝をしていることをいち早く指摘し警告したのも苫米地氏である。 NHKや民放でオウム真理教の浅原教祖や上祐氏の映像を流すだけで信者たちは洗脳状態に帰るという仕組みを、 マスコミは知らない。 特定の宗教の宣伝を決して公共の電波に載せてはならないのである。

 スピリチュアリズムの強みというか危険な所は、 ヨーガの運動と身体性を利用した実践法を組み入れているので、 瞑想時に脳から多量のホルモンが出て気持ちよい体感を得ることができることから不滅の霊魂を得たと錯覚することにある。

 苫米地氏によると、 スピリチュアリズムは、 つきつめれば、 釈尊の批判したアートマンの永続性 (霊魂不滅)、 生まれ変わり(輪廻転生)、 本人の業 (カルマ) による霊的ステージの階級性の三つが基本的教義である。 これらは、 二千五百年前に、 釈尊が否定した当時のバラモン教の教義の核心であり、 その後はインドでの仏教衰退と共に後期密教以降のインド仏教で復活し、 そしてチベット密教に引き継がれた教義であると説く。 正に当を得た指摘である。

 仏教は縁起による無我の教えに立っている。 アートマンも縁起により仮に成り立っているものであれば変化消滅していく。 生死に支配される有限なる人間が考える 「霊」 が不滅であるわけがない。 この世は縁起によって成り立っているのだから、 肉体も心も空に帰する。 だからチベット密教でいう、 ダライラマやパンチエンラマの生まれ変わり説や、 霊魂が身体から離脱して駆け巡るとか、 霊魂が死後も生きつづける 「死者の書」 などは釈尊の教えに根本的に反するものである。

 バラモン教では、 アートマンという永遠不滅の霊魂をたてるが、 不滅の霊魂とは仏教の言葉で言えば 「我」 である。 「我」というのは 「常・一・主・宰さい」 のことで、 常住、 単一で分けることはできない。 主は自在であり、 自分以外のものを支配する主体的なものである。 宰は即ち、 主を助け物事を実行するものである。 だから、 我という時、 個々の人の霊魂は相対有限であるにもかかわらず、 不滅の霊魂と言ってしまえば、 絶対無限のように感じてしまう。

 一方、 仏教では、 実体のある霊魂というものを立てない。 業をたてる。 業というのは一言で説明するのは難しいが、 「無明むみょう・煩悩から生み出される行為・行動」 と言い換えれば解りやすいだろうか。 人間には無明という煩悩があるから一度業を作ったら、 必ずその結果が生み出される。 人間の迷いから業はどこまでも連続して止まない。 それを人間は不滅の霊魂と誤解している。 本当は業が連続しているのである。 だから霊魂など立てなくとも、 業に対しては、 我々はその責任を負っていかざるを得ない。 不滅の霊魂などというものは、 われわれの迷いから立てているに過ぎない。 さらに言えば、 神様と言うのは、 その霊魂にたいして立てたものである。 バラモン教では、 人間の固体には霊魂 (アートマン) と言うものがある。 それに対して人類全体、 宇宙全体を支配している根本の大霊 (ブラフマン) つまり全知全能の神がいると考える。 そういうところから神や霊の実在を要望し、 また神の実在を想定しているのである。 だから神と霊魂は相対応している。 どちらか一つ立てれば他の一つも立てねばならぬ。 バラモン教では梵我一如 (ブラフマンとアートマンが一体になる) を目指すが、 一神教では神は人間をあくまで支配しようとする。

 巻頭にあげた婦人が、 阿含宗に入れ込み浄霊をし続ける心理も、 多くのカルト (独善的狂信教団) やオカルト (心霊現象をはじめ科学的合理主義信仰に反するすべてのもの) に影響されるのも、 霊魂は不滅だ、 あの世はあると信じているからである。 そういう地盤があるが故に、 新興宗教やスピリチュアリズム(心霊主義)が形を変えていつの時代にも出現するのである。 仏教徒として、 諸行無常、 諸法無我、 一切皆苦、 涅槃寂静の四法印(仏教の四つの旗印)を忘れてはならない。 これこそ釈尊が悟られた真理の法で、 霊魂、 輪廻転生、 業による霊性の階級制度を否定する教えの根幹である。

 苫米地氏のデビュー作は 『洗脳原論』 (春秋社) だが、 洗脳に関心のある方には必読の書であると共に、 本書はスピリチュアリズムを語る上で基本書となるものである。

 又最新刊では 『洗脳支配』 (ビジネス社) がある。 これは、 個人の洗脳というより、 日本人全体、 今世界を震撼させているサブプライム問題など世界的な規模の洗脳について書いてある。 是非読んでもらいたい本である。


・・・・・・・・・・抜粋終わり


へ~。また伝習録でも見るか・・

荘子のセンスで言うと、「ポルターガイスト?なにそれ」

で、孫悟空でいくと

「それ旨いか?強いか?」

だな。




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