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諸葛亮兵書 心書 戦道

守屋洋訳 諸葛孔明の兵法 {徳間書店} より

{戦道}

地勢に応じた戦法 

 林のなかでの戦いは、昼は、セイ旗{旗指物}を押し立てて、夜は金鼓を鳴らす。武器は刀剣を使用し、伏兵をおいて、前面から攻撃をかけ、同時に後尾を攪乱する。

 草原での戦いは、武器として剣と盾を使用する。出撃に先立って、まず道路を調査し、十里ごとに宿営、五里ごとに物見をおいてセイ旗を林立させ、金鼓を乱打して気勢をあげ、敵の度肝を抜く。

 渓谷での戦いは、伏兵に適している。勇敢に戦うことによって活路を見出す。すなわち、足に自信のある兵卒を選んで岩場にとりつかせ、そのあとから決死隊を繰り出す。いっせいに強弩を射かけてから刀剣を帯びた兵を続かせ、白兵戦をいどむ。

 水上での戦いは、舟を利用する。そのためには士卒に水戦用の訓練をほどこさないとならない。旗指物や幟を張りめぐらして敵を惑わせ、いっせいに矢を射かけながら、流れにそって攻めたてる。堅固な柵をつくって敵の反撃に備える。敵の攻撃には刀剣をもって迎え撃つ。

 夜戦では、敵に作戦行動を気どられてはならない。隠密に部隊を繰り出して、敵の不意を衝く。場合によっては、一面に松明をともし鼓を乱打して敵兵の耳目を乱し、どっと襲いかかる。これが勝利の秘訣だ。

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