そもそも「天皇制日本人」に民主主義は無い。
上記文抜粋
・・・・・・・・・・
なぜ我々は選挙に負けるのか?① 日本人の7割は改革派
遅ればせながらですが、皆さま、都知事選お疲れ様でした。
各野党系ネットメディアで都知事選の分析、特に石丸の躍進に関する分析が進んでいるようですが、選挙シロウトの私もやってみたいと思いました。
実は私の選挙分析は、この頃からあまり変わっていません。
・・・・・中略・・・・・
今回の記事では、上記3本の記事の総まとめと、新たに感じたことを追加しブラッシュアップを試みたいと思います。
結論から言うと、先般の都知事選を経て自分のロジックの正しさに確証を持った次第です。素人ながらに。
私の選挙分析・対策は「〇〇の得票率が高いエリアはこうで…」とか「〇〇の選挙戦術はこうなっていて…」みたいなことはあまりやりません。
無党派票に関してが主軸となり、「無党派とは誰なのか?」「無党派票を得るにはどうすればいいのか?」ということに的を絞っています。
お気に入りの異性にアプローチする時、その人が何が好きなのか、どういうプレゼントをしたら喜ぶかなんてことを懸命に考えますが、それと同じです。
彼らに好かれたいのなら、彼らを研究しなければなりません。
今回の記事は、特に前半は「まとめ」的なので、もっと詳細にデータやソースを知りたいと言うかたは上記の3記事を確認ください。
1・東京都民の6~7割は改革派
まず、これが私のおおざっぱな分析です。
・・・・中略・・・・・
小池や石丸、維新に投票したのが改革派です。
私は彼らを「改革派・ネオリベ・B層・意識高い系」と定義し、これらを同種のトライブ(部族)として認識しています
「B層」と聞くと、「一般人をバカにしてるのか!?」と怒り出す人がいますが、B層はB級市民とか2級市民という意味じゃありません。
小泉政権時に自民党と広告代理店とが作った概念で、有権者の階層を四つに区分したうちの一つです。
小泉時代以降、自民党はB層をターゲットに仕掛けを講じてきましたが、B層対策ばかりするのでマスコミやネット上にも対B層情報があふれ、いつしかインフルエンサーを含むその宣伝効果により国民がB層だらけになってしまいました。
その結果生まれたのが安倍、橋下、維新、小池百合子、ひろゆき、成田悠輔、そして今回の石丸だと思います。
私がB層の概念を好んで使うのは、この層こそが自民党や維新がターゲットとし、拡大してきた層であるからで、この層から票を得ない限り、我々に勝てるすべはないからです。
② 内面化されるネオリベラリズム
成蹊大学教授・伊藤昌亮氏は7月7日のポリタスTVでこう表現していました。
石丸と投票者はネオリベラリズムの「自己責任論」が内面化されていて当たり前になっている。労働者や生活者という視点がなくマイノリティや障碍者などが関心領域の外にあり、公共の役割にシンパシーがなく意識が及ばない。
こんな感じでしょうか。
伊藤氏の言う「弱者救済の政策に逆に反発する」ということに関しては、私も上掲した3つの記事で触れています。これは暇空なんかも同じですが、政治家が素晴らしい福祉政策を掲げても逆に「公金チューチュー」とされて一切刺さらないのはこのためです。
「財源が有限である」と考えるのもネオリベの教義の一部です。
③ 政策なんてどうでもいい改革派トライブ
内田樹教授も、10日のArc Timesで良い分析をしてくれていました。
彼は薔薇マークの呼びかけ人にもなってくれていますが、さすが、もやっとした事象を言語化する能力がズバ抜けています。
内田氏が指すのは、言うなれば緩い「改革派トライブ」ですが、私が言った6~7割の改革派とも合致するはずです。
そして事実として、ほとんどの国民は政策なんか理解していないし、政策で投票先を選びません。
政策と党名をシャッフルしてヒアリングした複数のブラインドテスト調査のデータがあり、このことから上記はほぼ確実となります。
彼らにあるのは「なんとなく現状を改革してくれそうなイメージの候補を選好する」といった程度の感覚です。
ですので、小池の公約がゼロ達成でも、石丸の公約が中身すっからかんでも彼らにはあまり気になりません。
政策のブラインドテスト調査については、上述の23年の記事でも触れていますので見てみてください。
さて、ここまでで都民の多くが「改革派トライブ」で、とくに政策の細部は気にしていないことがわかりました。
ここからは「改革派トライブ」が2派に分けられるという話をしたいと思います。
④ 改革派トライブは自己責任ネオりべ
その前にもう少し「日本人とは、そして無党派層とは何者なのか」に焦点を当てます。
世界中の国々の政治意識を調査したデータがあり、以下はそこから得た結果です。
*注)ここでの「世界〇〇位」は世界約45~115カ国に対する調査が前提。詳細は上述の記事21年版で確認を。
・日本人は年収300万円以下の人が4割近くもいるのに、9割もの人が「自分は中間層」だと誤った自己認識をもっている
・低所得層が4割もいるのに、世界でもっとも弱者に厳しく、寄付もボランティアもしない。2位のポルトガルに8pt差で断トツ1位
・「医療の無償化」に断トツ世界一で反対(47%:2位の米国との差は25%)
・「教育の無償化」に断トツ世界一で反対(64%:2位の米国との差は13%)
・「富裕層にもっと税を課し貧困層支援をすべき」には反対。世界4位(70%)
・「民営化を進めるべき」は世界3位(75%)
・「企業や産業の国営化を進めるべき」は断トツでワースト世界1位(9.4%:2位の米国と8.8%差)
・「インフラ投資をすべきではない」は世界2位
・「マスコミは信頼できる」は世界4位(65%)
・「節約が大事だ」は世界8位
・「コロナ禍で所得を失った飲食店に補償をしなくてもいい」とする人が約50%
*「2021年の結果だから今は違うんじゃないの?」と思った人はご自分で最新版を調べてみてください。結果はあまり変わりません。
特に「世界人助け指数」は21年以降は若干順位が上がりますが、これはコロナ禍で世論調査を実施できなかった戦争・紛争地域が再び調査に載るからです。つまり「戦争・紛争地域以外では世界最悪レベルの自己責任国家」だということになります。
一目瞭然ですが、日本人というのは、世界でもっとも極端な、やべえ奴らです。
4割が低所得層なのに9割が「自分は中流」と考え、世界一「社会保障の無償化」に反対し、世界一「弱者に冷酷」な日本人に対して、候補者が弱者救済を強調して訴えてもあまり刺ささらないだろうことがわかります。
そして、これこそがネオリベ気質の「改革派トライブ」の内面であることもわかります。
多くの人が小池や石丸、維新に投票してしまう理由は、多くの日本人がリアルにネオリベ改革派だからです。
6~7割の東京人の頭のなかは上記のアンケート結果の通りの状態ではないでしょうか。
(東京の人達は地方の人達より意識高い系なので、日本全体では改革派の率はこれより少し下がると思います)
逆に山本太郎や、宇都宮、蓮舫に投票した人たちは上記アンケート結果からだいぶ遠い存在だと思いますし、この結果に恐怖すら感じるでしょう。
こんなやべえ奴らがわんさかいる街なかで、一人スタンディングした人には頭が下がります。
⑤ 社会の役に立ちたいが社会活動はしない!
さて、ここからは今回の選挙で感じたことをもとに考えた新しい分析になります。
以下も21年の調査結果からですが、相反する選択行動をとってるように思える答えがあります。
「政治に関心がある」:世界8位(60%)
「安全な暮らしに政府が責任を持つべき」:世界5位(76.6%)
「生活に政治は重要」:世界6位(65%)
「民主主義に為政者への従順さは必要ない」:世界5位(67%)
上記からは日本人は正義感にあふれ、政治は大事だと考えていることがわかります。ところが以下調査では相反する行動を示しています。
日本人は頑なに政治・社会参加しないのです。
「人助けの頻度、寄付した金額、ボランティアにかけた時間」:世界ワースト1位(それぞれ12pt)
「政治的な電子請願書への署名経験はあるか」:世界ワースト7位(2.9%)
「政治的な抗議活動に参加したことはあるか」:世界ワースト4位(0.8%)
「他の人に政治的行動を促したことがあるか」:世界ワースト7位(2.5%)
「平和的なデモに参加したことはあるか」:世界ワースト9位(5.8%)
上記調査で最下位付近に位置するのは、いずれも専制主義的な国です。
また、上記とは別の調査を関西大学法学部教授の坂本治也氏が行っていますが、上記調査結果を補完してくれる圧倒的な偏りを見せています。
https://gendai.media/articles/-/67142
「社会の役にたちたい」と70%ほどの日本人が考えているのに、選挙の手伝いもパブコメもデモもNPOもボランティアも寄付も一切やらず(10%前後)、投票だけしてれば世の中は変わる(65%程度)と考えているようなのです。
まるでファンタジー世界の住人です。
もう一つダメ押しさせてください。
内閣府の「社会意識に関する世論調査(令和5年11月)」からです。
「何か社会のために役立ちたいと思っているか」には、「思っている」と答えた者が61.4%、「あまり考えていない」と答えた者が35.8%でした。
その社会貢献の内容についてはこんな風に考えています。
1位の「仕事を通じて社会貢献」って銀行とか企業のTVコマーシャルのお題目なんかを真に受けてるんでしょうか。
そういうこともあるとは思うけど、この調査における選択肢では「公共」の概念がだいぶ偏っていて、ほとんどやりもしないボランティア活動ばかり強調されるうえ、政治活動が一切ないことがわかります。
防災活動やチャリティ・バザーも大事ですけど、上掲してきた国際比較調査の内容は社会活動のメインは陳情やパブコメ、抗議活動でしたよ。
この「意識高い系」的な傾向は年々進んできたこともわかります。
10年前、20年前は「自分の職業を通じて社会貢献」は4番目か5番目でした。
そして心底驚くのは次の答えです。
75.7%が「国の政策に民意が反映されていない!」と怒っています。
およそ半数が投票にも行かず、9割が政治・社会活動もしないのに、「民意が反映されてない!」と怒っているのですから言行不一致はなはだしいです(笑)
では彼らが考える「民意の反映方法」は何でしょう?
国民側の自発的行動に関する「国民が国の政策に関心を持つ」は16.8%しかおらず、あとは「国や政治家、マスコミのがどうにかするものだ」との答え(合計60.2%)です。
そして「投票する」が13.7%となっています。(無回答9.4%)
やばすぎませんかね。
日本人の6割以上が、民主主義は天から降ってくるものだとでも考えているのでしょう。
以上のことから、日本人とは、建前や口先だけは立派だけど、社会・政治活動もせず他人任せで、唯一の民主主義的行動が投票だとする、欺瞞に満ちた人たちだと言えます。
主権者教育がなされてなかったり、マスコミによるB層化洗脳が苛烈であったとしてもちょっと酷いです。
私は無党派や改革派トライブが、上述してきた傾向の人達にだいたい合致するのではないかと考えています。
政治や公共政策が世の中を変えると思っていないからやたらと民営化に賛成するし、社会保障の無償化にも世界一反対し弱者にやたらと厳しいのだということになりませんか。
上述した、何も社会活動をしないのに「なんで民意が反映されないんだ!」と考えている点は後述しますが、とても重要です。
私は改革派の分裂面を「事大主義者」と「懲罰主義者」に分けて考えました。
次の項では、その説明をします。
長くなってきたのでまた次回に続けます。
では!
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抜粋終わり
上記文抜粋
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【目次】
① 石丸選対(自民党)も私と同じロジックだった
② 改革派の分裂面の一つは「事大主義者」
③ 成功者は正しいから成功した
④ 改革派の分裂面の二つ目は「懲罰主義者」
⑤ 結論:エンパワーメントと産業政策
前回の記事では、日本人の6~7割、特に無党派は改革派マインドにあると定義しました。
日本人は、4割が年収300万円以下の低所得層なのに9割が「自分は中流」と考え、世界一「医療・教育の無償化」に反対し、8割近くが「公共の民営化」に賛成し、世界一「弱者に冷酷」です。
この点に関して、私は、候補者が弱者救済や社会保障の拡大を強調して訴えてもあまり刺ささらないと予想しました。
また、「社会の役に立ちたい」、「生活に政治は重要」、「民主主義に為政者への従順さは必要ない」と世界トップレベルで考える正義感の強い人達なのに、それは建前や口先だけであり、実際には社会・政治活動やボランティアにもほとんど参加せず、他人任せで、唯一の民主主義的行動が投票行為だと考える、欺瞞に満ちた人たちだとする調査結果も紹介しました。
さらには多くの人々が、候補者の政策なんか見ておらず、「この人は改革してくれそうだ」というイメージのみで投票していること、加えて、人々は社会・政治活動などを一切しないのに「なんで民意が反映されないんだ!」と怒ってさえいることをお伝えしました。
上記すべては世論調査の結果から導き出しました。
私は、経済学で言う「代表的個人」として、上記のような人物像を無党派層の代表的人格「改革派トライブ」と設定しました。
改革派トライブとは「改革派・ネオリベ・B層・意識高い系」とほぼ同種です。
今回の記事のまとめを最初に示しておきます。
概略図って感じです。
日本人とはこんな人たち、また無党派や改革派はこんな傾向があるってことをまとめました。
① 石丸選対(自民党)も私と同じロジックだった
今回、2本の記事を5日間くらいかけて書いているのですが、つい一昨日興味深い記事を見つけました。
石丸陣営で選対事務局長を務めた藤川晋之助氏(自民党)が、「有権者は政策なんか見ていないので、石丸の演説の中身がなくても関係ない」、そして「規制緩和はやらなければいけない」ことで、「こういう候補者こそが政策を見ない無党派層にアプローチできる」と語っています。
藤川氏の方針は、私の立てた仮説そのまんまではないでしょうか。
彼は優秀な選挙のプロ、いえ、「B層対策のプロ」と言えますので、私は自分のロジックとの類似に驚きました(笑)
ちなみに「B層対策のプロ」はすなわち「国民B層化プロパガンダ」の使い手であることも意味します。
今回はこのB層、つまり「改革派トライブ」が、どうやら二手に分かれるようだという仮説を綴っていきます。
私は、改革派の分裂面の一つは「事大主義者」で、もう一つは「懲罰主義者」(反逆者)と設定しました。
事大主義者と反逆者では相反するように感じるでしょうが、この二つはどちらにしても改革派なので似たようなものだし、両方を兼ね備える人たちも多いだろうとも思います。
石丸や小池百合子の話を聞けばわかるように、まるで一貫性のない、相反する政策を訴えています。
例えば石丸は先日の「言って委員会」で、「少子化で東京都は15年しかもたない。一夫多妻制を導入するとか、100年200年300年かけてSFみたいに遺伝子的に子供を作り出す!」と発しました。 https://x.com/izumi_akashi/status/1812459346682581474
「15年しか持たない」はずなのに「100年以上かけて遺伝子操作する」との矛盾した意見を言っても、本人も支持者も特に気にしません。
② 改革派の分裂面の一つは事大主義者
私は、以前から「『政治に為政者への従順さは必要ない』と考えながら、実際には社会・政治活動もボランティアもしない」人々の分裂傾向を、政治に対する無知や、政治は難しいし面倒だからとする逃避、または建前や上っ面を重視することから社会階層上位の者には「事なかれ」の姿勢で対峙する「事大主義」なのだと位置づけていました。
そこには丸山眞男による「勝ち馬に乗ったもん勝ち」を重視する日本人像も重ね合わせていました。
改革派の分裂面の一つは「事大主義者」だと思います。
改革派のうち「事大主義者」は、自民党や公明党、小池百合子に投票します。
日本人は学校でちゃんと主権者教育をされていないため、「『民主主義とは投票に行くこと』であり、投票に行きさえすれば民主主義に対する原罪は洗い流される」程度の感覚でいる人が多いのだろうと考えていますが、こういった人たちのなかでも特に為政者を「お上」と捉えて歯向かうこともなければ意見も言わないタイプの人達が「事大主義者系の改革派」なのだろうと思います。
「詳しくはわからないけど、お偉いさんの言ってるカイカクや規制緩和、民営化は良いことなんだ」くらいにしか政治を認識していません。
社会階層上位の者に対する畏怖や過剰な尊敬は経済的側面を見ても顕著です。
「経済的な安定こそが幸せ」と答えた日本人が、英独加中香の中で断トツ1位(73%:2位ドイツとの差28%)だったという調査があります。
https://www.fidelity.co.jp/static/japan/pdf/whatsnew/20210218.pdf
経済的な勝ち組こそが多くの日本人の価値基準体系の上位に位置づけられるのです。
少し古い調査(2007と2002)ですが、内閣府が「高い地位と多くの報酬を得る望ましい人は?」と聞いたところ、「努力し、実績のある人」と答えた人が86~89%を占めています。
この調査は2002年から2007年のわずか5年しか実施されていませんが、どの年も圧倒的偏りを見せているので、調査する必要がないと判断してやめたのかもしれません。
③ 成功者は正しいから成功した
石丸は都知事選最後の最終演説を、「大銀行に勤めてニューヨークに赴任した。丸ビルの上層階のフレンチレストランで上司と食事をした」などと、自分は仕事のできる奴だ、経済に詳しい、勝ち組だ、成功者だという自慢話だけで終わらせました(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=-HYsUB2EYKw
https://www.youtube.com/live/cAwpbSHy2cs
リベラル左派からは「中身なし」と批判されていましたが、実はこれは重要で、多くの日本人は「金持ちや成功者は正しいから成功した」と思っています。
これが、堀江や成田、ひろゆきのような醜悪なネオリベの人気がある理由です。
彼らのファンはこのような話が100年も前にアントニオ・グラムシに完全論破されていることなど知る由もないでしょう。
彼らが知るのは自己啓発本の内容くらいで、サンデルのメリトクラシーの議論も知らないと思います。
グラムシは、支配階級による支配は、支配的グループの支配に同意するように人々を社会化する社会制度により成立しているのだとしています。
「成功者は正しく努力したから成功したんだ」という話は、現在の社会が「正しい状態」であることを前提としていますが、汚いことをしてでも勝ち上がった者が自分に都合の良いシステムを構築するのだから、正しいもへったくれもありません。
この「文化ヘゲモニー」と彼に呼ばれる虚構のシステムに従順である者こそが優先的に成功者となり、システムの正当化へ寄与し、強靭化し、また再生産するのです。
マルクスの「“資本家にとって都合のいい”メンタリティを、労働者が自ら内面化することで、資本の論理に取り込まれていく」の拡大版ですね。
https://president.jp/articles/-/66298?page=5
先日「政治的発言、特に為政者に逆らう発言をした芸能人はメディアから排除される」とラサール石井氏が証言していました。
https://youtu.be/x9QA2ybucCs?t=6461
同様のことは山本太郎氏も繰り返し発言していますし、そもそも業界では常識で、芸能界に接点のある私も身をもって知るところです。
支配グループとそこに連なる信奉者は、逆らう者を業界からドロップアウトさせます。そうならないようにその業界にいる者たちはルールに従順になるのです。
下記ポストは石丸支持者による投稿です。
「コスパを重視した勝ち組の一流ビジネスマンこそが正しいのだから民衆の代弁者になるべきで、その論理に従うべきだ」との意志がにじみ出ています。
文化的ヘゲモニーに取り込まれています。
日本社会において高い地位にある「勝ち組」の経団連や新浪の経済同友会なんかも典型的な改革派であることを思い出してください。
マスコミは彼らの飼い犬であり彼らを批判することはしませんので、マスコミのスタンスに影響された多くの人達が経団連や金持ちを尊敬すべき人達であり、彼らが発するカイカクは正しいことなんだと勘違いしても仕方ありません。
これこそ「文化ヘゲモニー」の構造そのものではないでしょうか。
社会全体がネオリベ的価値観で染められてしまっているから、成功者もまたネオリベなのです。
下記の三春氏の分析データは、暖色系で石丸、寒色系で蓮舫の得票率の高さを示しています。
ここからわかることは、石丸は東京都区外では人気がないということです。
大田区・世田谷区から以西、江戸川区・葛飾区までを含む地域では人気が高く、東京都区でもわりと北部(杉並・練馬・足立・荒川)は比較的反応が薄いですね。
所得階層で考えると高めの地域が石丸に反応(江戸川区・葛飾区はタワマン族?)していると言えそうです。
ここからも石丸ファンには「勝ち馬に乗ったもんが勝ち論」が好きそうな人たちが多そうだと推測できます。
私なんかは職業柄この手の人達とも接するので、彼らの政治的傾向はなんとなく知ってるつもりですが、彼らは「俺たちのビジネスがやりにくいのは規制緩和しないからだ。行政のお役所仕事はドンくさい」なんて考えています。
公共の役割なんかに考えは及ばず、ひたすら「民間の俺たち」のほうが優れていると妄信しています。
④ 改革派の分裂面の二つ目は「懲罰主義者」
改革派トライブには「事大主義者」のほかに「懲罰主義者」がいると仮定しました。
私は、今回の石丸の躍進で、改革派には事大主義者だけではなく「為政者には従わんぞ!」とする反逆心も存在することに思い至っていなかった点に気づきました。
これが「懲罰主義者系の改革派」となります。
思い返せば、小泉純一郎や小池百合子、橋下徹だって、最初は「既存勢力に立ち向かうんだ!」という作り話で人気を博した経緯がありました。
先述したように、日本人の75.7%が「国の政策に民意が反映されていない!」と怒っています。
彼らは社会・政治活動はほとんどしませんが、65%は投票行動のみで政治が変えられるかもしれないと考えている(もしくはただの惰性的行動)ので、わりと投票には行きます。
反逆心は懲罰感情にも言い換えることができると考えられます。
為政者への反逆心や懲罰感情は、わりとそこかしこで遭遇しますよね。
例えば、やっぱり自民党の裏金問題/脱税容疑には多くが腹を立てていますし、多くが罰したいと思っているはずです。
あまり政治に興味のない人でもこの話題だけは知っていますしね。
「ルールから逸脱した者を罰したい」という感情は日本人全般に一般化できると考えられます。
たとえば、2019年の内閣府の世論調査では、「死刑もやむを得ない」と答えた人の割合が80.8%もいました。これもだいぶ偏った数字です。
https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-houseido/2-2.html
死刑制度を継続している先進国は日本とアメリカしかありません。
https://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/death_penalty/DP_2023_country_list.pdf
また、公共財へのフリーライドを罰する度合いを測るための実験で「スパイト(いじわる)実験」というものがあります。
大阪大学社会経済研究所の西條辰義教授らの研究によると、被験者に集団で公共財を作るゲームをしてもらったところ、日本人は米国人や中国人と比較して他者の足を引っ張り、罰しようとする傾向が強いとの結果が得られたそうです。
この傾向を示す結果はアメリカ人12%に対し日本人63%でした。
https://data.wingarc.com/spiteful-behavior-33866
そういえば日本人はズルをしたと認めた人をやたらと罰しようとする場面が散見されます。
不正受給をした生活保護利用者がわずかにいる(0.3%以下)だけで、受給要件自体を厳しくしようとしたり、受給金額を下げようとまでして罰を与えようとします。
先般の選挙でも、蓮舫の支持者が街中に「Rシール」を貼っただけで大騒ぎです。
「炎上」というのは、ルールを逸脱したと見受けられる者を罰しようとする人がさかんに燃やすことで起こります。
コロナ禍では「自粛警察」なんてものもありましたが、他の国でこんな事象が起こったという話を聞いたことはありません。
日本人は、「ルールから逸脱した者を罰したい」という感情が異常に強いようです。
このあたりの気質が「懲罰主義者系の改革派」の背景ではないでしょうか。
「国の政策に民意が反映されていない!(75.7%)」、「民主主義に為政者への従順さは必要ない(67%)」のだから、罰してやる!!
こんな文脈が成り立つと想像できます。
石丸に投票した人は「懲罰主義者系の改革派」に近いのではないでしょうか。
結論:「エンパワーメント」と「産業政策」
維新や国民民主の支持者の多くが石丸ないし小池に投票していました。
ご存じの通り、この2党は改革派政党です。
石丸や小池が改革派トライブの心を掴んだことは言うまでもありません。
そして最大の票田である無党派(投票者の4割ほど)も多くが同じ投票行動をとっていますので、彼らのうち多くが私の仮説「事大主義者系の改革派」か「懲罰主義者系の改革派」に属するのではないでしょうか。
さて、今回も徒然なる長話におつきあいいただきありがとうございます。
やっと結論にたどり着きました。
「改革派トライブ」対策でもっとも大事なのは「前進する改革のイメージ」です。
日本人の6~7割を占める改革派の心を掴めなければ、絶対に選挙には勝てません!
それには次のようなイメージ作りが重要になるでしょう。
①仲間! エンパワーメント! 敵を倒す! 勝利!
(週刊少年ジャンプの三原則「友情・努力・勝利」とほぼ同じ)
②儲かりそう! 得をしそう! 最先端っぽい!
(意識高い系に届き、「勝ち馬に乗ったもん勝ち」論を踏襲)
「ずいぶんと幼稚だな」と思われましたか?
大半の日本人のレベルに合わせようとすればこうなることは縷々語って来た通りです。
例えばれいわ新選組に関しては、①はできていますが、②がいまいちです。
②に関しては産業政策をもっと前面に打ち出すべきではないでしょうか。
れいわ新選組は「無党派層」や「選挙に行かない層」をターゲットにしていて、これは先述した小泉政権の「4層分類」でいうとB層とD層(政治無関心層・諦めた層)にあたると思います。
選挙に行かないD層を引っ張り出すのは極めてハードルが高いため、私は無党派と同義となるB層をもっとターゲットとして認識してもいいんじゃないかと思っています。
そして当たり前ですが、改革派のうち「事大主義者系の改革派」は為政者に従順であるため取れないと思いますので、もう半分を占める「懲罰主義者系の改革派」を狙うべきだと思います。
また、繰り返しますが、「弱者救済」や「社会保障の拡大」はメインで訴えるべきことではありますが、「人々にあまり刺さらない」のだと認識することが大事です。
人々の善意に期待して内面から変えてやろうとすることも意味のあることでしょうが、こちらから少し歩み寄るのもアリではないでしょうか。
「弱者救済」や「社会保障の拡大」を発する場合でも、例えばセットで「為政者への懲罰」を付随させることで人々の捉え方が変わるのではないでしょうか?
「自民党の裏金が野放しになっている裏で、貧困層が数百円の商品を万引きしたことで逮捕されている」など、レトリックはいろいろ考えられます。
または「弱者救済」や「社会保障の拡大」をすることで経済が活性化され、景気が良くなるだとか、そういう向きで結論をもっていくことが必要だと思います。
例えば「消費減税」を掲げるにしても、「消費者が助かる」という切り口以上に、「減税で企業がよみがえる(預かり税ではなく第二法人税であるため)」、「経済が活性化されて儲かる」という点を強調すべきです。
私が先生と慕う松尾匡教授は、2016年に「この経済政策が民主主義を救う: 安倍政権に勝てる対案」を執筆して以来、経済政策、特に反緊縮の経済政策を打ちだすことを自民党に勝つ対策として提案してきました。
山本太郎とれいわ新選組もその路線を踏襲してきたはずです。
私の今回の提案は、そこにさらに追加すべき事案となります。
下の動画はここ最近私が最も好きな山本太郎氏の街宣なのですが、エンタメとしての必須要素が全て詰まっていると思います。
山本太郎氏のこのエンパワーメントのパワーは常人にはありません。
ここに「産業政策で景気を上げろとみんなで日本政府に突きつけよう」というようなメッセージをプラスすればさらに最強になれると私は考えています。
2021年に書いた私の選挙対策の結論は以下の感じになります。
結局、今もあまり変わっていません。
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以上です。
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・・・・・・・・・・
抜粋終わり
日本人は、「天皇」有る限りに「民主主義」はあり得ない。
このような志向では、「民主主義」は困難です。
「全体が間違っている」場合に声を出して止めることが「悪」になるし、それに「少数の意見を切り捨てる」ことなくば「全体の和を維持できない」のが、「天皇日本」なのですから。
あとそもそも「長時間労働」で、社会貢献する時間も体力も無い・・そのノウハウも日本社会には無い。
あと「政治の話は、まずタブー」って社会なのですは。それを為政者・指導者が望んで政策を行っている。
なら、不可能です。
さらにいうと「天皇」は「逆らうことなきを旨とせよ」を国民に洗脳する。
なら、無理です。
その天皇が「唯一の統治権者」だった時の敗戦でも、責任を取らない。
なら、戦後も、そもそも日本には「政治」など存在しない、裕仁を斬首しても無いのからな。