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不正受給に対する「あるべきマインド」
「これでは公金の垂れ流しじゃないか!」課長の怒鳴り声が響いた。
黙って話を聞く元同僚ら。
話は今から3年以上前に遡る。
ある生活保護受給者Dに対し、通院交通費を過剰に支給していたことが今回判明した。なんと総額は150万円以上。
もちろんこのような支給は過去に例がない。
その当時のケースワーカーEとその上司、査察指導員Fは、過剰に支給している事実に気づきながら、カスハラ気質なDの過度な要求に屈服し、言われるがままに支給していたのだった。
今年度にケースワーカーがGに、査察指導員が俺に変更となり、事態が発覚。過剰支給を直ちに停止し、適切な支給に切り替えたが、過去3年分の過支給分は現時点で回収の目処が立たない。
同僚とはいえ流石に庇う余地がないと判断し、課長に経緯や被害総額を調査し、報告した。即座に元担当Eらを課長席を呼びつけ、冒頭の一喝に至った。
Eらは当時どのような認識だったのかヒアリングしても曖昧な返答で、要領をえない。忘れてしまっているのだ。俺はEらに心底失望した。もし自分のお金ならば、絶対にこのような支出はしないはずなのに。
この案件は今後、何らかの懲戒処分が該当者に下るだろう。
心配していたのは、現担当のGだ。
担当変更直後の年度当初、Gは事情が分からず支給決定してしまっていた。だからこの問題が明るみに出れば、Gにも何らかの処分の影響が出るのではと心配していた。だが、この話は内々に済ませられるレベルではない。Gにはあるべき組織として適切に判断し、事実を詳らかにすべきと方向性を示した。
正しい倫理観で毅然と仕事に向き合う。俺はこのスタンスは絶対に曲げない。
今後、人の人生に影響を与えるコーチとなると決めた以上、一層正しいマインドで日々の仕事に向き合っていく。