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未承認国家「沿ドニエストル」ティラスポリ - キシナウから日帰り

キシナウの2日目はモルドバ内にある未承認国家沿ドニエストル共和国に行くことにした。
モルドバは基本的に人種としてはルーマニア人の国家なのだが、沿ドニエストル共和国はモルドバ内に存在するが内部は完璧にロシアであり、独自の統治体制を構築している。そのため他国からは未承認ながら一つの国として成立している。

キシナウからは頻繁に沿ドニエストル共和国行きのバスが出ているため、今回は日帰りで沿ドニエストル共和国の首都ティラスポリを訪れた。

ちなみに、ウクライナ-ロシアの問題で沿ドニエストル共和国内も何が起こるかわからない。未承認国家であり何かあった場合に日本政府が介入できないとして、外務省が出している危険度MAPでは2023年12月時点でレベル3に位置するので、行く場合は基本自己責任。


バスでティラスポリへ

バスはキシナウの中央バスターミナルから出発する。ターミナル内部のチケットオフィスでティラスポリに行きたいと言うと、プラットフォーム番号を告げられる。プラットフォームにいたおっちゃんにティラスポリに行きたいというと、チケットをここで買えと案内される。

チケットを買ってさっきのおっちゃんのところに戻ると、ミニバンタイプのバスに乗り込むことができた。30分に一本くらいは出ているはずなので、好きな時間に行って大丈夫そうだ。

出発したバスは途中で現地民を乗降させながらティラスポリへと向う。
程なくして沿ドニエストル共和国との所謂国境と思わしきところに辿り着く。そこにはプレハブ小屋的な建物があり、乗客はIDチェックを受けるようだ。

パスポートを見せ、行き先といつまでいるかを聞かれ、日帰りと答えると12時間の滞在期間が示された紙を手渡された。これがVISA的な役割を果たすようだ。帰りに回収されるという話を聞いたので、無くさないようにしよう。(結局回収はされなかった)

そういえば、宿のオーナーにティラスポリに行くと言ったら、カメラは置いていけと言われた。理由は、カメラを持っているとジャーナリストだと思われ、彼らはジャーナリストにあること無いこと報道されるのを嫌がるからだと言うことだった。(スマホとかは別に良いらしい)

結局荷物検査とかは無かったからよっぽどのことなければ大丈夫だと思うが、昨今の情勢もあるし念には念を入れといたほうが良いだろう。
私はそう言われたもののカメラを持ち込んだが、やはり何かあったら嫌だなと思い直しiPhoneで写真を撮るにとどめた。

バスは国境を越えて進み続ける。街の中心部にほど近いグリーンマーケットを通り過ぎ、終点のバスステーションに到着。2時間かからなかった程度だろうか。

私は帰りのためにバスステーションを見ておこうと思ってそのまま乗っていたが、中心部に近いところでも停まるのでそこで降りても良いと思う。バスステーションから中心部までは1.5kmくらいあったと思う。

ティラスポリバスステーション

ティラスポリ散策

ティラスポリの見どころ的なものは中心を走るメイン道路の脇に固まっているらしい。
その他は、一応身の安全には気をつけながら、今のロシアよりも旧ソ連っぽいと言われる街並みを散策するのがおすすめ。
また、独自通貨が採用されているので、買い物とかしたい場合は手持ちのキャッシュを換金する必要がある。換金所は中心部にたくさんあるし、モルドバレイからも変えれる。


まず中心地に向うと目につくのが、公園にあるロシア正教会。

その後、詳しくは知らないけれども共産主義っぽいなぁという建物が立ち並ぶ通りを抜けていく。

メイン通りに到達すると、ティラスポリのシンボル的なものがお目見え。

このマークの奥にある大きな建物にはカフェとかお店とかが色々入っている。換金所もあった。

西側に通りを渡ると映画館が。

映画館から北側の公園ちっくなところを通り抜けると、クリスマスイルミネーションと銃を持った兵隊が。なんともアンバランス…

公園の北側には先程バスを降りるか迷ったグリーンマーケット

中は生鮮食品の店が立ち並ぶ

少し引き返し公園を南側に進んでいくと、ロシア帝国の軍人スヴォーロフ像が。不敗の指揮官とかかっこよい。

西側に更に歩みを進めると、政府建物が。正面に悠然と立つレーニン像がここがロシアだと教えてくれる。

政府の建物とメイン通りを挟んだ反対側には、ロシアが歩んだ近代の戦争の記憶的なものが。

メイン通りをずっと東側に歩いていくと、きれいな建物が。州長官オフィスみたいなとこみたい。

こちらはシティホール。これも少しカラフルでおしゃれ。

髪を切る

レストランにでも行こうと思って少し多めに換金していたが、ちょっとタイミングやらを逃してしまった。再換金するのもなんだな…
そこで、時間もまだあったので前から切りたいと思っていた髪を切りに行こうと思い立つ。

2023年に沿ドニエストル共和国で髪を切った日本人はもしかしたら私一人かも知れない。そんなどうでも良いOnly Oneを手に入れたいという下心もある。

とりあえず見かけた理髪店に突入してみる。受付の女性は英語を理解してくれたが、どうやら予約がいっぱいで次は明日になってしまうらしい。残念。

次に、バスステーションよりの理髪店に突入する。こちらでは英語が通用しなかったが、Google翻訳を使用しながらなんとか意思疎通を図る。すると、30分後なら切れるというのでお願いする。

髪を切ってくれるのは若い青年。頑張ってGoogle翻訳でロシア語に変換して伝える。日本でも髪型伝えるの苦手だし、それがさらにうまく伝わっているかは全くわからない。
海外でよくある7割バリカンを利用したヘアカット。メガネを外した私では途中経過がどうなっているのかあまり把握できない。
もう少し短くと言い続けたが、最終結果思った程短くしてくれたわけではなかった。
でもとても丁寧にやってくれたイメージがあるし気がするし、皆さん笑顔で対応してくれたのが心地よかった。

値段は140沿ドニエストルルーブルで、1,000円くらいか??
何より、沿ドニエストル共和国で髪を切るという経験をできたことにとりあえず満足した。
今度海外で髪切るときはちゃんとサンプル画像を用意しよう。

バスでキシナウへ帰還

バスステーションから帰りのバスに乗ることにする。
窓口でキシナウ行きのチケットを購入することができる。ここではモルドバレイでも支払うことができた。レートはよくわからないけど。
乗り込んだらすぐに出発。ほとんど寝てたのであまり書くことはないが、国境地点にてバス車内でIDの確認があった。先述したが、VISAチケットの回収は特にされなかった。

あとがき

際立ったものがあるわけではないが、多くの人が言うように「未承認国家」に行くという経験を味わうのが醍醐味だったと思う。
あとは、住んでいる人についてはみんな優しそうだった。スーパーの店員も理容室の従業員もみんな笑顔で接してくれた。
国と国とで考えるといつもどこかで問題が起きているが、人と人とではそういうことは大きな問題にはならない(というか問題が別になるか)

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