予防業務の仕事内容について②審査・検査編
消防の仕事といえば、消火活動や救急・救助といった現場活動をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし、消防には影の立役者ともいえる「予防業務」という仕事があるんです。一般の方からすれば、印象が薄い仕事かもしれませんが、私は予防系消防士として、この仕事を世に広めていきたい。
ということで、シリーズ第2弾「審査・検査編」です。
今回は一般の方からすれば、「そうな仕事があるんだ」と意外な印象を与えるかもしれないマニアックな仕事である審査・検査業務についてお伝えします。
そもそも審査・検査とは?
「消防士が審査や検査⁈なにそれ。」といった声も聞こえてきそうな感じがしますが、これも消防士の重要な仕事の一つです。
そもそも何を審査・検査するのというところですが、これはズバリ「消防用設備」です。建物には消火器やスプリンクラーをはじめとした消防のための様々な設備が設置されています。これらの設備のことを総称して消防用設備といいます。
この消防用設備は消防法という法律に基づいて設置されており、設備が必要な建物にちゃんと設置されているか、さらにその設置方法は適正かどうかを消防が書類審査と完成検査を通して確認していくことになります。
ザックリですが、消防士が行う審査・検査業務とは消防用設備を適正に設置してもらうために行う確認作業のようなイメージで考えて頂ければよいかと思います。
具体的には何をしているのか?
これがなかなかイメージが湧かないかと思います。
まず考えていただきたいのが、建物には面積や使い方に応じて、消火器やスプリンクラーをはじめとした消防用設備を設置しなければならないということです。
これは消防法で決まっていて、これができていなければ建物を建てることが出来ません。
そもそも建物を建てる際には建築確認機関と呼ばれる建築基準法が適正かどうかを審査する機関の許可を受けなければなりません。
そして、この建築確認機関が審査を行う中で消防法については消防法の専門家である消防士に聞いてオッケイを貰おうという制度があります。
これを専門用語で消防同意といいます。
私たち消防士は建築確認機関から消防同意を求められるため、新しく建てる建物にちゃんと必要な消防用設備が設置されているかを設計図面等の書類で確認していきます。
建物がどのような目的で使用されるか
利用者や従業員の数はどのぐらいか
建物の延べ面積は何平米か
何階建ての建物か
様々な要件を基に必要な設備が基準どおりに設計されているか図面で確認し、検査では実際に設備が作動するか機能確認を行います。
審査・検査の魅力
私が感じる事として、
「インフラ構築に関われること」が挙げれます。
消防用設備は防災におけるインフラです。
なくてはならないもの。
ここに設計段階から関わり、設計事務所や消防設備士の方々とともに形にしていく仕事は非常にやりがいがあります。
自分が審査した物件には思い入れがありますし、「絶対にこの建物で火災を起こさせない!」といった気持ちが生まれます。
また、消防士の仕事の中でも高い専門性が必要な分野でもあり、消防本部によっては予防分野の花形業務と位置づけられている仕事でもあります。
私の所属する本部では消防用設備の審査・検査にあたる消防士は自分の仕事に誇りを持ち取り組む方が多い印象です。
まとめ
今回はあまり知られていないけど、実はとても重要な仕事である「審査・検査業務」について書かせていただきました。
皆さんが日頃、ショッピングモール等で目にする天井のスプリンクラーも実は消防士がしっかり審査・検査した上で設置されているんですね。
現役の消防士の方々も興味を持たれた方は一度やってみることをおすすめします。
これから消防士を目指す方もキャリアの参考にしていただければ幸いです。
最後まで記事を読んでくださりありがとうございました。