【中小企業向けAppSheet DX #2】フツーの人でもアプリ開発ができる「AppSheet」で、中小企業のDXの爆発的な推進を!
前回記事
まだお読みでない方は#1からお読みいただくと理解が深まります。
本シリーズの概要
AppSheetでDXシリーズでは、Googleのノーコードアプリ開発ツール「AppSheet」で各企業に本当に適合したDXを推進されることを目的としています。
このシリーズを読むとわかること・できること
AppSheetとは?がわかる
なぜAppSheetはDXが推進するのかがわかる
そもそもDXとはなにかがわかる(わかった気になっていませんか?)
実際のアプリ開発画面がわかる
AppSheet導入のハードル感がわかる
AppSheetを開発できるようになる
本当に自分の会社にあったDX施策が明確になる
サンプルアプリを使用できる
みなさま、こんにちは!
滋賀県でIT・DXコンサルタントをしています、むらやまです。
中小企業のDXが叫ばれはじめて5年以上。実際"DXって何?"という方もいれば、"やった気になってるけど効果がイマイチ実感できない"なんて方もいると思います。
本記事ではDX化に向けての1つの手段、「AppSheet」を使ったDXを解説します。
この記事でわかること
デジタル化とDXの違いとは?
Excelやスプレッドシートは実は小さなデータベースであること
それでは本編に参ります。
ちょっとだけ解説、
DXとは?
DXをわかった気になっているそこのあなた!
ちょっと待ってください。
これはWikipediaからの引用です。
ここで勘違いしてはいけないのは、
デジタル化=DXではないということ。
単純なデジタル化は、デジタイゼーション(Digitization)という別の言葉があります。
デジタイゼーションとは、
例えばフィルムカメラがデジタルカメラになったり、アナログ放送からデジタル放送になったり、紙の書籍から電子書籍になったりすること。
つまりアナログ→デジタルになったことだけを指した言葉です。
対して命題のDXとは、デジタライゼーション(Digitalization)
デジタルテクノロジーを用いて、経営や人のあり方を変革していこう、という取り組みです。
具体的に言うと、Zoomの普及で離れたところでもオンラインで会議ができるようになり、リモートワークという新しい働き方ができるようになったり。
もともとはレンタカーが主流だったものが、スマホと電子決済の普及でカーシェアが主流になっていたり。
つまり、DXとは、「人の在り方」が絡んだデジタル化です。
まずは紙からPCやタブレットにする単純なデジタル化からはじめて、
その後、経営や人のあり方も改革していくのがDXの本来の流れなのです。
「デジタル化したのに逆に業務効率下がってない・・・?」と感じている社長もいることでしょう。
これは、会社の文化や人の在り方にフォーカスせず「手段」をすげ替えただけでは当然効果が出るどころか、生産性が低下していきます。
そこで、導入しやすいところから始めてみませんか?というご提案です。
かんたんなデジタル化から。
Excelってみなさんお使いですよね?
Excel、Googleスプレッドシート。
ほとんどの企業が規模は違えど活用していると思います。
受注管理をしていたり、在庫や備品を管理していたり、財務を計算したり。
Googleから提供されているクラウド版のエクセル”Googleスプレッドシート”を使っている企業もあると思います。
どちらもできることは一緒なのですが、
実はこのエクセルやスプレッドシートで皆さんが作っている表は・・・
ちょっとしたデータベースというものなのです。
”ちょっとした”というのがミソで、後述しますが、厳密に言うとデータベースではありません。
データベースと
リレーショナルデータベース
難しくなってまいりました。
わかりやすく説明しますので、もう少し読んでください。
では仮に以下のようなデータを表計算ソフトで管理するとします。
アップシート工務店の各拠点の材料在庫の管理
在庫拠点は3拠点
管理する在庫品目は500品目
仕入先は40件
商品の情報は3つ
商品名
仕入先
単価
このようなシートになります。
(これは悪い例であることを念頭に置いて読み進めてください。)
これがいわゆるデータベースです。
ではここに以下のデータを追加します。
仕入先住所
仕入先電話番号
仕入先の締め日と支払日
在庫管理には直接関係はないですが、管理しておくべき項目です。
以下が追加したシートです。
少し横に長くなってきました。
しかし管理したいデータによってはさらに項目を増やしたいところもあると思います。
ここで重要なのは、動的なデータと静的なデータを分けてあげることです。
わかりやすく言い換えると入力をしていくデータと、そうでないデータです。
先述した通り上記のシートは、悪い例なので動的なデータと静的なデータが一緒になってしまっています。
どういうことかというと、
住所や社名はそうそう変わるものではありませんが、
在庫数は常に変動します。単価も会社や商品ごとに上下があるものですので
別のシートにして管理すべきです。
また、これでは1業者から複数商品を仕入れている場合、1業者ごとの仕入れ品目を確認することが困難です。
また仮に住所や仕入先に変更があった場合、全データを1つ1つ手直ししていかなければならず、その作業工数=品目数となりますから二重入力どころではない手間です。
これらの問題を解決してくれるのが、「リレーショナルデータベース」です。
リレーショナルデータベースとは?
リレーションとは、英語でrelation:関連、つながり を意味する言葉です。
文字通りデータベース同士をつなげたデータベース=リレーショナルデータベースとなります。
データベース同士をつなげたリレーショナルデータベースの何が良いの?
というと大きなメリットとして、
二重入力がなくなるというところにあります。
そして、このデータをつなげてくれるツールこそ「AppSheet」なのです。
再度になりますが、データ設計をする上でまず大事なのが
静的なデータと動的なデータを分けてあげることです。
静的なデータの例(入力しないマスタデータ)
仕入先データ
仕入先ID
仕入先名
電話番号
住所
担当者名
締め日支払日
商品一覧データ
商品ID
商品名
★仕入先ID
単価
動的なデータの例(入力が続くデータ)
入出庫データ
入出庫ID
入出庫日
★商品ID
入出庫数
倉庫
発注データ
★仕入先ID(発注先)
★商品ID
発注数
発注金額
このようにわけてあげることでデータの管理をしていきます。
具体的に先ほどの悪い例を良いものにしていきましょう。
★がついた〜IDという項目は、データ1つ1つに一意のIDを振って、
そのIDにデータを格納し別のデータにリレーションしていきます。
実際にリレーショナルデータベースにするとどうなる?
こちらが、上記にも基づいた「仕入先データ」です。
仕入先に関連するデータのみをまとめ、一意のIDをつけました(青色部分)
次は商品データです。こちらも商品に関連するデータのみにし、一意のIDをつけています。
商品そのものに関係のあるデータのみがまとめてあります。
ここで緑色の枠の部分に注目してください。
仕入先が仕入先IDになって、青色同様8桁のランダムな文字列が挿入されています。
これはどういうことかというと、仕入先IDの列には先述した仕入先データと同様のIDが振られています。
商品データの仕入先ID「y2agoxor」は仕入先データのID「y2agoxor」を呼び出します。
つまり、y2agorxorは
ゴールデン建設資材株式会社
福岡市上野9-90-27
担当者は◯◯さんで、電話番号は090-1234-5678
締め日は31日で支払日も31日
というデータが格納されています。
y2agorxorというIDは変わりませんので、仮に仕入先の担当者が変わっても、商品データの仕入先を変更する必要がありません。
リレーショナルデータベースは二重入力がなくなり、データを更新していくデータ管理には必須の考え方です。
そして、このIDを呼び出すような動きをAppSheetでは「レファレンス」と呼びます。本来のデータベースではこのレファレンスが大きな壁となっていましたが、AppSheetで2クリックほどで実現できます。
まとめ
今回は、デジタル化とDX化の違い。そしてみなさんお使いのエクセルやスプレッドシートを使ったデータベースの作りと、リレーショナルデータベースの違いを解説しました。
次回は前項の続きから、入出庫と発注データを完成させAppSheetに流し込む工程を解説していきます。
それではみなさん良いGWを!