走り続ける理由
9月17日、4年ぶりトラックに戻ってきました。
前回最後に試合で走ったのは学生時代。
その頃はただ、
『タイムを出したい。表彰台に乗りたい。』
ひたすらそんな思いで走っていました。
ただそれには限界がありました。
何を目標に走るのか、何のために走るのか。
スプリントコーチとして活動し始めて1年半が経ちました。
プロアスリートの指導、子どもたちのスクール、全国での走り方教室など、指導の回数が増えていく中で疑問に思う点も出てきました。
「しっくりこない」「コーチングに迷いがある」
やはり自分の感覚で確かめないといけない部分もあるんだと感じました。
もう一つは子どもたちです。
指導をしている姿だけでなく、走っている姿を見て何かを感じてもらいたい。
こう思った瞬間、もう一度試合で走ることを目標としてチャレンジしようと思いました。
でも、今までと同じような感覚やトレーニングをやることは通用しません。
4年前と比べて歳を重ねるだけでなく、体にも変化が出てきているはずです。
練習内容、トレーニングの質、量、全てを見直しました。
練習時間も学生のときほど取れるわけではありませんが、それは言い訳になります。
全ての時間を有効活用しようと思いました。
そうやってトレーニングを続けていく中で失敗も怪我も何度も繰り返しました。
その中での試行錯誤が必ず全てにつながると思いチャレンジし続けました。
4年ぶりの試合
試合当日に近づくにつれ、試合に対しての緊張感がよみがえってきました。
今回は普段指導をしている子どもたちも一緒に出場しました。
子どもたちには試合の際、
「いいタイムを出そう」「決勝に行って1位を目指そう」
こんなことは一度も思ったことはないですし、一度も言ったことはありません。
「楽しんでおいで」
毎回この一言です。
今回は僕の番です。
普段子どもたちに伝えているのと同じ、全力で楽しもう。
そう思って試合に挑みました。
出場種目は100m、場所は国立競技場。
自分がここで走るなんて夢にも思わなかった場所です。
競技場に入ったとき、アップをしているとき、スタートラインに立ったとき、またこの楽しみが込み上げてきました。
子どもたちの前でいいタイムを出そうとか、決勝に行こうとか、一切思わなかったです。
僕が走っている姿を見て、何かを感じてもらいたいと思い走りました。
11"12(+0.0) 組1着
残り10mで肉離れをするアクシデントがありましたが、子どもたちの前で走り切ることができてよかったです。
正直結果はどうでもよかったです。
今回は結果を出すことではなく、出場することに意味がありました。
試合に向けてトレーニングを行い、感覚を研ぎ澄まし、指導に繋げることはもちろん。
僕が走ることによって誰かに何かを感じてもらう、そんな存在になりたいです。
僕には走る理由があります。
この仕事を辞めない限り走り続けます。