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児童文学者の企画展を鑑賞して

一昨日、神奈川近代文学館の企画展『古田足日のぼうけん』を鑑賞してきました。

たまたま招待券を頂いたのがきっかけで、それまでは恥ずかしながら古田さんの名前は存じ上げませんでした。しかも児童文学は普段から接点が全くないジャンル。招待券を頂くことがなければ足を運ばなかったはずです。しかしせっかく頂いたし、これも何かの縁だと思って足を運びました。未知の世界に対する好奇心の強さは私自身の特徴の1つかなと改めて自覚しました。

古田さんの代表作は『おしいれのぼうけん』。今年で刊行50年ということで、私自身が子どもの時にはすでに作品としてありましたが、読んだ記憶はありません。他の作品も読んだ記憶がなく、幼少期は全く本を読まずに過ごしたのかなと振り返りました。思い出すのはアニメやまんがのキャラクターがほとんどです。

しかしながら今回、『おしいれのぼうけん』をはじめとした作品が生まれるまでの展示を見て、児童文学出版までの苦労を知ることができたのが有意義でした。大人になってしまうと、子どもが見えている風景や考えていることがわからなくなってしまいますよね。これは人間の発達からくるものなのですが、児童文学は発達を抗って、大人が子どもの居る世界に合うように作るという側面があるので制作には多大な労力がかかるはずです。今回の古田さんは未完の作品が多かったのですが、それは作品を仕上げる難しさがあったのかなと思います。

先ほど私自身はアニメやまんがのキャラクターばかり思い出すと書きましたが、古田さんの作品はSFに影響を受けた作品も数多く発表しているのが印象的でした。またロボットをテーマにしている作品も多く、これは令和から照らし合わせると、人間と機械(=IT・AI人工知能)の関係性を暗示しているように思われ、社会問題や平和運動にも携わっていただけに、先見性があったのだと感じます。展示を鑑賞していても、人間と機械の関係について大人でも考えさせられるシーンがあり、児童を対象にしていますが、「文学」だなと感じました。

私がそうだったように、昭和後半以降の子どもはアニメ・まんが・ゲームといったポップカルチャーが日常からあって当たり前のように消費しています。だからこそ児童文学に接することの大切さというのが改めて再発見できたのが今回の展示でした。

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