[社長交代] リクルートの経営は黒船indeedから何を学んだのか?
9年ぶりにリクルートの社長が交代。新社長は出木場さん。
出木場さんと言えば「indeed買収を成功させた張本人」であり、リクルートが掲げてきた「2020年には人材領域でグローバルNo.1」を、テクノロジーの面で実現させた立役者です。
個人的には、もしリクルートがindeedを買収してそのエッセンスを取り込んでなければ、今頃は企業としてかなり弱体化していたと思うんですよ。なので、本当にすごい実績と貢献だと思うんですよね。
ただ、indeedのようなシリコンバレー流エンジニア中心カルチャーを、当時まだ営業主体のリクルートが取り込むには、様々な苦労があったようで。
そこで今日は、僕が知る限りの情報から、当時のリクルートがindeedのようなエンジニア中心のカルチャーをどう捉え、そこから学び、自社に取り入れたのかにスポットを当ててみたいと思います。
古巣リクルートを離れ、直近はメルカリやスマートニュースといったネット企業で開発やサービス改善の仕事をしてきた視点から説明しますね。
リクルートのお家芸「リボン図」
リクルートのビジネスモデルと言えば、企業(クライアント)と個人(カスタマー/ユーザー)を結びつける「リボン図」が有名です。
リクルートはクライアントから案件を受注し、コンテンツとして紙媒体やWebサイトに広告を掲載。それをマーケティングで集めてきたユーザーとマッチさせることで、行動(トランザクション)を促します。
この事業構造は、業界や生活シーンは違ってもまったく同じ。
・人材募集(新卒/中途/アルバイト)
・住まい
・結婚
・旅行
・中古車
・グルメ
・美容
こういったあらゆる領域で圧倒的知名度を誇り、ユーザーを集客することで高い広告料や紹介料を頂く強いモデルでした。
しかし、この最強の「リボン図」が、ネットの普及とエンジニアの力によって破壊され始めたのです。
それを読み解くキーワードは2つ。「3つの"量"の増大」と「3方向からの脅威」です。
ネットと技術革新による「3つの量の増大」
当時のリクルートは、自分たちが置かれた危うい状況について楽観せず、かなり冷静に分析していたようです。
それは下記の3つ。
1. クライアント側のコンテンツ量の増大
・自社HPをつくる企業の増加
・他社の求人メディアの増加(ジョブセンス、ビズリーチなど)
・求人メディアを束ねるアグリゲーターの台頭
2. ユーザー側の情報量の増大
・メッセージサービスの出現(LINE)
・SNSの普及(facebook、twitter、instagram、linkedin)
・SNS連携したマッチングサービスの出現(Wantedly)
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