冷たいキョウキにみちびかれ
話、聞いてました?
そうですか。
それでですね。あれは一週間ほど前のことでしたか。慣れない仕事でヘトヘトになりながら家へ帰る途中でしたね。仕事? コンビニのバイトです(笑)あ、コーヒーもらえます? 砂糖とミルクはいりません。それでですね、そのときいつもと違う道で自宅に帰ろうとしたんですよ。え? ああ、特に意味はなかったです。なんかこう、いつもと違うことがしてみたくなったりすることありません? ない? そうですか(笑)まあ、とにかくそのときはそんな気分だったんです。そうしたらですね、落ちてたんですよ。ええ、そうです。これ。拳銃。いやー、そりゃ見つけたときはびっくりしましたよ(笑)初めて本物見ましたし。え? いやいや本物ですよ。だってちゃんと弾出ますし(笑)撃ったのかって、そりゃ撃つでしょ(笑)拳銃ですし。ええと、最初はですね、確か近所の犬だったと思います。猫だったかな? カラスかも。まあその辺ですよ。あー、やっぱり犬ですね。思い出しました。お、このコーヒー、良い豆使ってますね……使ってますよね? なんか普段飲んでるのと、明らかに味が違いますもん。あ、そうだ知ってます? 犬の脳みそ、結構綺麗なんですよ。ピンク(笑)え? いや、ほら。うるさいじゃないですか、犬。うるさいんですよ、犬。うるさい。犬。うるさい。かわいいんですけどね(笑)で、拳銃なんですけども、これ結構でかいでしょ。どこにしまおうかって悩んだんですよ。コーヒーおかわりもらえます? これ美味しいんでガブガブいけちゃいますね(笑)それで、冷蔵庫に入れておくことにしたんですよ。何って、拳銃ですよ拳銃。犬じゃないですよ(笑)
話、
聞いてました?
そうですか。
家の冷蔵庫、水とめんつゆしか入ってないんで、ちょうどいい感じだったんですよ。あ、水は切らさないようにしているんです。ミネラルウォーター。私のこだわり(笑)十本は常備(笑)で、次に撃ったのはですね。
【続】
そんな…旦那悪いっすよアタシなんかに…え、「柄にもなく遠慮するな」ですって? エヘヘ、まあ、そうなんですがネェ…んじゃ、お言葉に甘えて遠慮なくっと…ヘヘ