常滑市議会での井上議員の発言に対し猛省と撤回を求める決議は地方議員の質問権・意見表明権への侵害であり民主主義に対する暴挙
井上恭子議員の発言と決議の経緯
令和5年第3回市議会定例会一般質問において、新風クラブ井上恭子議員は、オーガニック給食の導入に向けた来年度の予算化を求めました。
その際、井上恭子議員は、「子供たちのためになる予算の必要性を唱えた上で、将来的に子供たちの精神、体 、心が病んでいるようでは、儲けることも生きることもできない子供もできる。食べ物はとても重要なことだ」と発言しました。
これに対して、常滑市教育委員会は、オーガニック食材の提供について特に否定しないが、原材料高騰の折、質や量を落とさずに、栄養の確保を維持することを最重要として優先したいと答弁しました。
しかし、井上恭子議員は、その答弁に納得せず、オーガニック食材の提供について来年度予算で検討するよう再度求めました。
そのやり取りの中で、教育委員会は、「決して子供たちが病むような給食は提供していない」と再答弁しましたが、井上恭子議員は、「病むとは言っていない。病む人もある。いろいろそれぞれで、病む人もある」と発言しました。
この発言に対して、常滑市議会は、令和5年9月29日の本会議において、井上恭子議員に対する発言の猛省と撤回を求める決議を可決しました。
令和5年第3回市議会定例会一般質問における井上恭子議員の発言に対し、猛省と発言の撤回を求める決議 (PDF 173.7KB)
この決議では常滑市議会は、井上恭子議員の発言は、「学校給食に食材を提供している生産者や納入業者。子供たちの栄養確保を考えている栄養士や共同調理場で働く職員に対し、失礼な発言であり、常滑市の学校給食そのものへの不信を招く発言である。 また、保護者に対し不安をあおるとともに、現在、発達障害による不登校や病気で苦しんでいる児童生徒、献身的に努力している保護者に対しも、無礼であり、許されるものではない」と批判しました。
決議の問題点
「常滑市議会定例会一般質問における井上恭子議員の発言への猛省と撤回を求める決議」には、以下のような問題点があります。
1. 発言は学校給食に対する批判や不満を表現したものであり、教育委員会や関係者に対する侮辱や中傷ではない
井上恭子議員は、オーガニック給食の予算化を求めた。また、教育委員会がオーガニック食材の提供について否定しないと答弁したにもかかわらず、再度同じ要望を繰り返した。さらに、教育委員会が「決して子供たちが病むような給食は提供していない」と再答弁したところ、井上恭子議員は、「病むとは言っていない。病む人もある。いろいろそれぞれで、病む人もある」と発言した。
井上恭子議員の発言は、現在の学校給食に対する批判や不満を表現したものであり、教育委員会や関係者に対する侮辱や中傷ではない。
2.決議は憲法第二十一条・憲法第九十三条、市議会議員の質問権・意見表明権を侵害
常滑市議会の決議は、井上恭子議員の発言の猛省と撤回を求めるものであるが、これは市議会議員の表現の自由(憲法第二十一条)を侵害する憲法違反であり、民主主義に反する。
憲法第二十一条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と規定している。
また、憲法第九十三条は、「地方公共団体の議会は、その地方公共団体の行政に関する事務について審議し、議決する」と規定している。
これらの規定により、市議会議員は、市民の代表として、市政に関する事務について自由に質問や意見を表明する権利を有している。
井上恭子議員の発言は、市政に関する事務の一つである学校給食についての質問や意見であり、その内容については、教育委員会や関係者、保護者などが反論や批判をすることはできるが、市議会が発言の猛省と撤回を求めることは、市議会議員の表現の自由、市政に関する事務について自由に質問や意見を表明する権利を侵害するものである。
3.市議会が市議会議員の発言を制限することは、市民の利益や福祉を損なう
また、市議会が決議を可決したことは、市民の多様な意見や声を代表するという市議会の役割に反するものである。
市議会は、市民の利益や福祉を守るために、市政に関する事務について審議し、議決するべきであるが、市議会議員の発言を制限することは、市民の利益や福祉を損なうことになる。
まとめ:決議の問題点
「常滑市議会定例会一般質問における井上恭子議員の発言への猛省と撤回を求める決議」には、以下のような問題点があります。
学校給食に対する批判や不満を表現したものであり、教育委員会や関係者に対する侮辱や中傷ではない
決議は憲法第二十一条・憲法第九十三条、市民の代表として、市政に関する事務について自由に質問や意見を表明する権利を侵害
市議会が市議会議員の発言を制限することは、市民の利益や福祉を損なう
市議会は、井上恭子議員の発言に対する決議を撤回し、市議会議員の表現の自由を尊重し、市民の多様な意見や声を代表するという市議会の役割を果たすべきです。
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