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「国の借金」を増やすことに反対するのは、日本が発展し日本人が幸福になることに反対するのと同じ


基本的に世の中の借金を減らせば世の中のお金は減り経済は衰退する

 基本的に銀行への借金によって世の中のお金が生まれます(つまりお金と借金が同時に生まれる)。借金を返すために集めたお金も誰かの借金によって生み出されたお金になります。そして銀行に借金を返せばその分のお金と借金が世の中から消えます。

 なので、政府が「国の借金」(ここでは自国通貨建て国債を「借金」として扱います)を減らすことに力を入れたり、企業が「無借金経営」を目指したりして、みんなが借金を返すことに一生懸命になれば世の中のお金はどんどん減っていき、それに伴って経済は縮小していき、最終的には国が滅びると思います。

 ちなみに消費者金融への借金は消費者金融が持っているお金を貸すので、借金したり返済したりすることで世の中のお金が増えたり減ったりしません。しかし消費者金融が持っているお金も元を辿れば銀行への借金によって生まれたお金なので、みんなが世の中の借金を返すことに一生懸命になれば消費者金融が貸すためのお金も無くなっていき、経済は縮小していくことになります。

GDPが生まれる元は新たな借金と貯蓄の取り崩し

 逆に、借金をすることは経済成長(経済規模の拡大)に繋がります。
 そもそも人は何のために借金をするかというと、お金を使うためです。借金して得たお金を使わずにとっておく人はまずいません。そしてお金が使われるということは、需要が生まれてそれが満たされるということです。これはGDPを増やします。つまり経済成長に繋がります。

 念のため書いておきますと、土地や株や中古品の売買などの場合は(取引手数料等を除くと)GDPを増やしませんし、輸入はGDPを減らします。このように、お金を使えば必ずGDPが増えるとは限りません。
 しかしGDPを増やすことにも当然お金は使われますし、輸入の減少分を考慮してもプラスの方が大きいので、マクロ(全体)で見れば「お金を使えばGDPが増える」と言うことができます。

 そして使われたお金は世の中から消えるのではなく、移動して誰かの給料になったりするので、その人がまたお金を使うことでまたGDPが増えます。そうやってお金は移動し続け、GDPを増やし続けるのですが、多くの人は所得を得るとその一部を貯金したり年金の積み立てなどに回したりするため、それらのお金はGDPを増やさなくなるお金(ここではこれを「貯蓄」と呼ぶことにします)に変わります。また借金返済に使われてお金が消えたりもします。このようにお金が移動するにつれてGDPを増やすお金は減っていき、最終的にはゼロになることになります。
 つまり、(貯蓄の取り崩しを無視すれば)借金によって得たお金が増やすGDPの額には限度があることになります。

 また貯蓄が取り崩された場合も同様で、お金が移動するにつれてGDPを増やすお金が減っていくのでこの場合も増やすGDPの額には限度があることになります。

 以上より、GDPと借金に影響を与える要素は以下のようにまとめることができると思います。
・誰かが借金して得たお金を使うことでGDPが増える
・貯蓄が取り崩されて使われると世の中の借金が増えることなくGDPが増える
・借金返済にお金が使われれば世の中の借金が減る
・借金には利息があるので時間とともに世の中の借金は増えていく

 さらにまとめるとこうなります。
・GDPが生まれる元は新たな借金と貯蓄の取り崩し
・世の中の借金は、借金の利息と新たな借金で増加し、借金の返済で減少する

GDPと借金の関係

 ここでGDPと借金の関係についてわかりやすく説明するために以下の仮定を置きます。

・借金の返済や借金の利息がなく貯蓄の取り崩しもない
・新しく生まれる借金と増えるGDPの比は一定
・その年に生まれた借金が増やすGDPは全てその年のGDPに反映される。お金の移動に時間がかかって一部が翌年以降のGDPに反映されたりはしない

 まず、GDPというのは1年間で生まれた付加価値の合計であり、ここで言っている「世の中の借金」というのは現在の政府、企業、家計の全ての借金の合計のことです。

 なので例えば、ある年に借金が10生まれた結果GDPが20になったとすると、翌年も借金を10生まないとGDP20を保つことはできません。これを10年続ければ借金は合計100増えますが、GDPは20のままです。また、翌年生まれた借金が5ならGDPは10になったりします。
 つまり経済規模を維持するだけでも世の中の借金を増やし続ける必要があり、そして増やし方が不十分なら経済は衰退することになります。

 そして、ある年に借金が10生まれてGDPが20になり、翌年に借金が20生まれるとGDPが40などになって経済成長することになります。しかしその次の年に借金が20しか生まれなければGDPは40のままとなり成長が止まってしまいますので、さらに経済成長するにはより多くの借金が生まれないといけません。
 つまり経済成長させ続けるには1年間で生まれる借金の量を増やし続ける必要があることになります。

 また経済成長率を一定に保つには毎年生まれる借金の増加率も一定に保たなければならないことになります。つまり「一定の経済成長を続けるには毎年生まれる借金を指数関数的に増やし続ける必要がある」ことになります。
 例えば新しく生まれる借金と増えるGDPの比が1:2のとき、経済成長率4%を維持するには、新しく生まれる借金を前年比で1.02倍ずつ増やし続ける必要があることになります。

 これらのことは、「世の中の借金=これまでの食事量の合計」、「GDP=体重」と置き換えて考えると理解しやすいと思います。
 私たちは毎日同じくらいの量の食事をとっていて、そして体重はあまり変わらないと思います。また食べる量を減らせば痩せますし、食べる量を増やせば太ります。しかしいずれの場合も、これまでに食べた量の合計は増え続けています。
 これと同じ感じでイメージするといいと思います。

世の中の借金を増やし続けない限り経済成長し続けることはできない。ただし、増やし方が不十分なら経済成長しないどころか衰退することもある

 今の説明は3つの仮定を置いた場合でのことで、現実とは違います。
 人々の行動は一定ではなく経済状況などによって変化しますので、(普通はこういうことはないと思いますが)例えば以下のようなことも理屈の上では成り立ちます。

・去年よりも新たな借金がたくさん生まれる一方でそれ以上に借金の返済が活発になれば、世の中の借金が増えることなく経済成長することになる
・貯蓄の取り崩しがすごく活発になれば新たに生まれる借金が減っても経済成長することになる

 このように、先ほど書いた以下3つは常に正しいとは言い切れません。

(1) 経済規模を維持するだけでも世の中の借金を増やし続ける必要があり、増やし方が不十分なら経済は衰退する
(2) 経済成長させ続けるには1年間で生まれる借金の量を増やし続ける必要がある
(3) 一定の経済成長を続けるには毎年生まれる借金を指数関数的に増やし続ける必要がある

 とはいえ、例えば世の中の借金が増えも減りもしない状態が続いたとしても、銀行はお金を貸してその利息分の銀行預金を消すことで主に利益を得ていますので、世の中の借金が変わらなくても世の中のお金が減っていってることになります。
 世の中のお金が減っていってるのに経済規模を維持し続けるというのは普通に考えて無理がありますので、「世の中の借金を増やさずに経済規模を維持するのは普通は無理、増やさなければ衰退する」ということになります。

 また、世の中のお金の量はそのままで経済規模のみ拡大させ続ける(GDPを増やし続ける)ことも普通に考えて無理があります。なので、GDPが増える=世の中のお金の量が増える=世の中の借金の量が増える、というのが現実的な見方になります(念のため書いておきますと実際の順番は「世の中の借金やお金の量が増える → GDPが増える」です。逆ではありません)。

 つまり上記3点は常に正しいとは言えませんが、(1),(2)については基本的に正しいと言えると思います。

 そして経済成長率が一定であれば、借金の利息や貯蓄の取り崩しの影響もあまり変わらないと思いますので、(3)についても大体正しいと言えるのではないかと思います。

 以上より、少なくとも以下のことは断言できると思います。

 基本的に世の中の借金を増やし続けない限り経済成長し続けることはできない。ただし、増やし方が不十分なら経済成長しないどころか衰退することもある。

 「国の借金」を増やし続けることがいかに重要であるか、デフォルトがあり得ない日本がPB黒字化を目指すことがいかに狂っているか、なぜ日本は「失われた30年」になったのか、これらのことがよく分かるのではないかと思います。

 これに対して、「世の中の借金を増やし続ける重要性はわかったが、だったら国の借金を増やさずに民間の借金を増やすことで経済成長を目指せばいい」と思う方がいるかもしれません。
 それに対して私はこう思います。「そもそもデフォルトがあり得ない日本が「国の借金」を増やさないことにこだわる意味がありません。無意味な縛りは財政政策を歪めて日本経済に悪影響を及ぼし、国民を不幸にします。いい加減こういう考えは捨てるべきです」と。
 また、あとで説明しますが、景気変動があるので民間の借金だけで経済成長を続けるのは現実的に不可能だと思います。

「国の借金」が増え続けるのは当たり前。むしろ減る方が問題

 どこまでも借金が増えていく世界というのはなんだか恐ろしい感じがしますが、人間社会はずーっとこれでやってきてますし、それで経済は発展しています。
 またどうやっても世の中の借金を無くせないのかというとそうでもなく、例えば政府が1京円玉を発行して国債を償還したり民間の借金を肩代わりしたりすれば世の中のお金を減らすことなく世の中の借金を無くすことができます。でもそんなことをしても世の中にはお金を借りたい人は常にいますので、また借金は生まれて増えていきます。

 ちなみに以下の動画の4:05~4:35と4:50~5:07での説明によれば、日本政府の債務残高(2015年時点)は名目の金額で1872年の3740万倍、実質でも1885年の546倍になっています。また1970年度と比べると2020年度は166倍になっています。


 「国の借金がこれからも増えていって2000兆円を超えたら日本は一体どうなってしまうのだろうか?」といった心配をしている人がいるかもしれませんが、そんな心配は不要です。たったの2倍以下です。どうもなりません。
 これまでの説明から分かると思いますが、「国の借金」はこれからも何十倍、何百倍と増やし続ける必要があります。そしてそれで問題ないどころか、経済成長して人々の生活は豊かになっていきます。
 もちろんいきなり何十倍にも増やすのではなく経済状況に合わせて適切に増やしていく必要があります。また言うまでもなく国民の幸福に繋がるようなお金の使い方をする必要があります。その結果何万倍になろうと全く気にする必要はありません。

 例えば1日の摂取カロリーを気にする人はいても、生まれてからこれまでの摂取カロリーの合計を気にする人はいません。重要なのは毎日きちんと食事をとることで、生まれてからの合計は全く重要ではありません。「国の借金」を気にするのは生まれてからの合計を気にするようなものです。

 「国の借金が増え続けるのは当たり前。むしろ減る方が問題」と考えるべきです。

 もっと言うなら、そもそも重要なことは「必要な財がきちんと生産されて分配されているかどうか」です。これに比べれば「国の借金」が多いか少ないかなんてどうでもいいことです。

借金は悪ではない。それどころか人々の幸福にとって必要不可欠

 多くの人は「借金はよくない事だ」と考えていると思います。家計においてはそれでいいと思いますが、その考えを全てに当てはめるのは間違いです。
 今の世の中の仕組みでは、基本的に銀行への借金によってお金が生まれ、それが流通することで経済が回り、発展していくわけですから、人々の幸福にとって借金は必要不可欠なものと考えるべきです。

 基本的に、家計は将来のことを考えて貯蓄をし、企業は景気がいい時は投資のために借金を増やし、景気が悪くなったら借金を減らして貯蓄をするものだと思います。
 なので景気が悪化して民間があまり借金をしなくなっているときに、「財政再建待ったなし!」などと考えて政府が借金を減らそうとすれば景気はさらに悪化し、景気が悪い状態がずっと続くことになります。
 だから景気が悪い時は政府は「国の借金」を思いっきり増やして景気を良くし、企業が投資を活発化させて実質賃金がどんどん上がっていく状態まで持って行かなくてはなりません。日本はデフォルトがあり得ないのだからケチる必要はありません。

頑なに「国の借金」を増やすことに反対している人たちは「反日カルト勢力」と認識するのがいい

 先ほど以下のことを書きました。

 「基本的に世の中の借金を増やし続けない限り経済成長し続けることはできない。ただし、増やし方が不十分なら経済成長しないどころか衰退することもある。」

 経済成長を目的として闇雲に借金を増やすのはよくないですが、政府が国民一人一人を幸福にするために国債を発行してお金を調達した結果「国の借金」が増えたり、企業が設備投資などをするために借金を増やすのは、全く問題ないどころかむしろ積極的にやるべきだと思います。

 今の日本が「国の借金」を増やすことに反対するのは、日本が発展することに反対するのと同じ、日本人が幸福になることに反対するのと同じ、そう言っても過言ではないと思います。
 そして日本の「国の借金」が問題ないことを受け入れるのを頑なに拒否し、あるいは問題ないことをわかっていながら、「国の借金」を増やすことに反対している人たち(特に財務省とその御用学者、マスコミ、緊縮派の議員)は、反日カルト勢力(日本と日本人の敵)と認識するのがよいと思います。

おまけ1 財政の「規模ありき」は正しい

 例えば、「穴を掘って埋めるだけ」という全く無意味なことのために「国の借金」を10兆円増やして支出するのと何もしないのとでは、今の日本にとってどちらがいいかというと、私は前者だと思います。
 なぜなら、単に穴を掘って埋めるのは無意味な行為ですが、その結果国民の所得が10兆円増え、そのお金が世の中を移動することでより多くの財の生産と分配が行われ、人々をより幸福にするからです。
 さらに付け加えれば、この無意味な行為が人手不足の度合いを高め、それが賃上げや生産性向上の投資に繋がる可能性があるからです。
 それに10兆円程度であればそれが原因で凄いインフレになって社会が大変なことになるといったこともないと思います。
 だから何もしないよりいいと思うわけです(言うまでもないことですが、単に給付金を配って需要を増やして人手不足の度合いを高める方がもっといいです)。

 積極財政を訴える人たちに対する批判で「規模ありきだ。重要なのは規模ではなく中身だ。「本当に必要なこと」にだけお金を使うべきだ」みたいなものがあります(正直言って「規模を大きくしたくないからケチつけてるだけでしょ。(小)規模ありきなのはあんたらでしょ」と思います)。
 しかしこの批判は間違いです。中身が重要なのはもちろんですが、それ以上に規模が重要です。
 「本当に必要なこと」だけにお金を使ってもトータルでの規模が不十分であればデフレ(需要不足)になって経済は成長しません。それどころか衰退する可能性すらあります。これは国民を不幸にします。逆に穴を掘って埋めるだけという無意味なことにお金を使っても規模が十分であれば経済は成長し、国民をより幸福にできます。
 お金は「使ったらそこで終わり」ではありません。最初の支出先が無意味なものであっても、そのお金が世の中を移動することで人々を幸福にします。

 これも食事にたとえると、まず大事なのは十分な食事をとることであって、たんぱく質と脂質と炭水化物の割合がそれぞれどうなってるかなどはその後の話です。どれだけバランスが完璧であっても食事量が少なすぎれば餓死します。これと同じ感じで考えるといいと思います。(2024/11/17 追加)

 ベストとは言いませんが、「本当に必要なことを積み上げていった結果規模が不十分であれば、あとは国民に給付金を配って十分な規模に膨らませる」というのが、結構良いやり方ではないかと思います。

おまけ2 失われた30年はわざと? (2024/11/17 追加)

 ここまで述べたことを踏まえると、日本は「一生懸命「無駄の削減」に取り組み、その結果規模が不十分になって経済成長できない」ということを延々続けて「失われた30年」になっている大バカ国だということになります。
 しかしここでちょっと不思議なことがあります。以下のグラフが示す通り日本のGDPはずっと右肩上がりだったのが突然横ばいになっています。下がり続けるわけでもなくほぼ横ばいという絶妙なバランスを20年以上保っています。

 日本の名目GDPの推移(兆円) 1955年度~2019年度
 http://mtdata.jp/data_76.html#meimoku

 このような国はおそらく世界でも日本だけだと思います。偶然こうなるなんてことがあるのでしょうか?GDPを増やす仕組みの簡単さを考えると、政府は本当は全てわかっててわざとやってるのではないかという気がします。




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