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看護計画テーマ「胆嚢癌患者の標準看護計画」

今回も専門的なテーマで胆嚢癌になります。
早速まとめていきましょう。


嚢癌患者の標準看護計画
 
胆嚢癌とは
 胆嚢粘膜に原発する癌で統計的に女性に多く、胆石に合併する例が約60%にみられる。腺癌がもっとも多く、胆嚢粘膜より発生し、内腔を拡大して胆管内に進展する方向と、胆嚢壁深部方向に進展して胆嚢壁外から周囲組織(肝、胆管、肝十二指腸間膜、十二指腸、横行結腸など)に進展する方向がある。リンパ行性、血行性あるいは直接浸潤により、肝臓、胆管、隣接臓器、腹膜に転移する。
 
アセスメントの視点
 癌は胆道のいたるところに生じうるが、現在まだ腹部臓器の癌を早期にたやすく診断する方法がない。腹痛、黄疸、体重減少が主兆候であり、それは胆汁の流れが障害されるほどに進行していることを示す。症状に伴う苦痛や減黄のために行われるPTCドレナ−ジがADLを制限する。また、手術や病名への不安も大きいため、精神面のフォロ−が大切となる。
 
症状
 進行するまで無症状のことも多い。

  1. 疼痛: 右季肋部の鈍痛で最も高頻度にみられる。

  2. 黄疸: 胆管に狭窄がくると黄疸がでる。

  3. 腹部腫瘤: 腫大した胆嚢を触れる。

 
検査

  • 腹部単純撮影

  • 超音波検査

  • CTスキャン

  • PTC

  • ERCP

  • 血管造影

  • 細胞診

  • 生化学検査および血液一般検査

 
治療
1.手術療法
胆嚢摘出術、リンパ節郭清、胆管切除術、肝切除術、膵頭十二指腸切除術、肝内胆管空腸吻合術、内外胆汁瘻造設術
2.化学療法
3.放射線療法
4.減黄処置  PTCD
 
術後の経過と管理
 Moreは、手術後の回復過程を4つの段階に分けている。それによれば、
 第1相は、障害期で、手術後2〜3日続く。
 第2相は、変換期で1〜3日続く。これら第1、第2の2つの相は、手術侵襲に続いておこる異化相であり、その後の同化相とは異なった生体の反応過程を示すと考えられている。この急性反応期間中は、生体反応が刻一刻と変化するので、注意深い観察と適切な管理は必要である。
 第3相は、筋力回復期で手術後7日目頃から始まり2〜5週間持続する。この時期は、神経・内分泌・代謝系の機能が手術前の状態まで回復しており体蛋白の合成の亢進に伴い体力がついてくる。
 第4相は、脂肪蓄積期で、手術後1か月頃より始まり2〜5か月間持続する。この時期は体蛋白の合成は停止し、脂肪の合成が開始され、体重増加がみられる。
 1.精神的サポ−ト
 手術そのものへの不安、手術後や退院後の予期的不安がある。不安の内容や程度、表出の仕方など個人によって異なるが、精神的・身体的・社会的側面から統合した情報で、患者各人の訴えを判断することが大切である。手術のみならず、手術後の長期間にわたる治療に対してしっかりとしたサポ−トシステムをつくっておく必要がある。
 2.疼痛の管理
 手術後の疼痛は、手術形式、麻酔法によって異なり、また、個人差が大きいが、患者に我慢させず、十分に疼痛をやわらげるべきである。とくに高齢者の場合、疼痛は心血管系に負担をかけ、血圧の上昇や不整脈を誘発することもあり、十分な除痛が望まれる。最近では、手術時に硬膜外カテ−テルを留置し、術後に持続的に麻酔薬を注入することによって、よい結果が得られている。
 3.呼吸管理
 上腹部手術の場合、疼痛による呼吸運動の抑制、痰の喀出不良が原因で術後無気肺になりやすい。
 4.循環器系の管理
 心血管系に負担がかからないように十分な除痛が望まれる。
 5.輸液・輸血の管理
 手術侵襲による体液変動は、1)水分とNaイオンの貯留傾向、2)循環血液量の低下、3)細胞内Kイオンの低下が特徴である。また、手術操作によって腹腔内に浮腫が起こり、いわゆるthirdspaceに水分が移行するので、術直後は尿量は減少する。特に術前から軽度の脱水が慢性的に存在している場合、手術という大きな侵襲の後、代償しきれなくなって血圧が低下したり、尿量が減少することがある。術後3〜4日で、利尿期に入るが、この際輸液オ−バ−となり高齢者では、肺水腫や心不全になりやすい。
 6.栄養管理
 術直後は糖質コルチコイドの産生が亢進し、肝グリコ−ゲンの分解、糖新生や脂肪分解の亢進が起こり、相対的なインスリンの作用不足から耐糖能が低下し、いわゆる外科的糖尿の状態となる。この際、浸透圧利尿により多尿となるため、その後の脱水に注意を要する。回復期に入ると耐糖能が改善し、必要なインスリン量が減少してくるので、低血糖にならないように注意が必要である。
 7.腹腔内ドレ−ンの処置
 ドレ−ンからの排液は、通常自然流出で十分であるが、ドレ−ン内腔の閉塞を防止したり、貯留液の有無やその性状の確認のために、二重管で低圧持続吸引することもある。
 8.創の処置
 手術創をよく観察する。(発赤、し開の有無等)
 9.胃管の処置
 術前、あるいは術中に留置された経鼻胃管を、術後、留置開放し、消化液の胃内貯留を防ぎ、または、吻合部の減圧を図る。胃管は消化管運動が再開し、排液量が減少したら抜去する。
 10.中心静脈栄養法(IVH)の管理
 術後は栄養、体液のバランスを保持するため、一般輸液療法やIVHが併用される。
IVHは高濃度で高浸透圧のため、血糖コントロ−ルが必要となってくる。また、IVHは発熱の原因となりやすいので清潔な操作が必要である。
 11.経口摂取の開始
 胃管抜去後、胸やけ、吃逆などがなく、腸蠕動が聴取され排ガスがあり、また透視で通過良好であると確認してから、水分を与え、異常がなければ流動食から開始する。
 
術後合併症
 1.肺合併症
 手術創が上腹部に多いことから、呼吸時の創痛が強度となり、浅い呼吸を続け十分な肺の拡張がみられないことや、長時間の麻酔の影響で気道分泌物が増加する一方、喀痰の粘稠度が増し、創痛のために十分に痰の喀出ができないことで痰が貯留し、無気肺から肺炎を併発しやすい。
 2.術後出血
 術後出血は殆ど48時間以内に起こる。腹腔内にドレ−ンを留置してあればドレ−ンからの排液の性状がインフォメ−ションとなる。
 3.縫合不全
 縫合不全の発生のピ−クは、術後3〜10日間である。発熱、白血球増多、頻脈、腹膜炎症状などの臨床症状が術後1週間前後に出現したらまず第一に縫合不全を疑う。
 
看護計画(術前)
.アセスメントの視点(術前)

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