看護記録テーマ「歯肉癌患者の外来看護」
今回は歯肉癌をテーマとさせていただきました。
早速まとめていきましょう。
歯肉癌患者の外来看護
.アセスメントの視点
歯肉癌は高悪性度の癌腫であり、手術による十分な腫瘍切除がされた場合でも、再発の有無、早期発見が予後に重大な影響を与える。そのため、定期外来受診は非常に大切になる。顎下・頚部リンパ節への転移を認める場合も早期の適切な処置であれば再び社会復帰は可能であり、家族と共に闘病意欲を高める働きがけを行っていかなければならない。
また、ターミナル期になっても患者が在宅療養を望み、それを可能にする条件が整うならば、患者および家族との十分なコミュニケーションをとり、患者が苦痛のない日常生活を維持できるよう支援が必要である。
.問題リスト
#1.継続療養に関連した不安
[要因]・疾患の予後、再発に対する恐れ
・日常生活の変化
#2.疾患による苦痛
[要因]・腫瘍そのものの痛み
・口内炎
・症状からくる精神的苦痛
#3.食事摂取困難に関連した栄養状態の低下
[要因]・腫瘍による歯肉の腫張、歯牙の動揺
・嚥下時の疼痛の増強
・口内炎による味覚異常
・不安、ストレスによる食欲不振
#4.言語的コミュニケーションの障害
[要因]・口腔機能の損傷
・痛みによる開口障害
・不明瞭な発音
・経管栄養チューブの挿入
#5.容貌の変化によるボディイメージの障害
[要因]・手術による変形
・疾患過程に伴う組織の破壊
.看護目標
不安がなく定期外来通院ができ、苦痛のない日常生活が送れる
異常時の対処が出来る
.看護問題
#1.継続療養に関連した不安
[要因]・疾患の予後、再発に対する恐れ
・日常生活の変化
・患者の思いや不安を言葉で表現できる
O−1.在宅での日常生活状況、通院時間、通院方法
2.患者の疾患に関する認識、心理状態
3.家族の疾患に関する認識、支援状態
4.社会的背景
5.患者の家庭での役割と占める位置
T−1.外来での継続治療の内容を把握し、必要物品を準備する
2.診察や検査結果について、医師から十分説明を受けることができるよう配慮する
3.キーパーソンを中心に家族とコミュニケーションをとり、在宅療養上の不安や心配事を表出しやすいよう援助する
4.生活過程の問題点を把握し、患者にあった援助をする
E−1.定期的な外来通院の必要性、重要性を確認する
2.出血などの緊急時の対応について(平日の日中は外来受診、夜間や休日は当直医に連絡をし救急外来受診)確認する
3.舌や顔面筋、上肢の機能障害のリハビリテーションの継続の指導をする
4.口腔内ケアの方法を確認、または口腔内に合わせたケア方法を指導する
1)食物残渣がないよう毎食後の歯磨きや含嗽の励行
2)歯や歯肉だけでなく舌や頬粘膜もブラッシング
3)口内炎症状が軽度の場合、小さめ・軟らかめの歯ブラシを用い、力を入れすぎないようにし、動きの小さい方法でブラッシング
4)口内炎症状が強度の場合、患部に注意しながら綿棒や綿球で、食物残渣や分泌物を拭き取る
5)義歯を使用している場合は毎食後必ず洗浄し、夜間は外して水の入った容器に保管し、歯肉を休める
5.家族の協力をえて、嚥下機能に合わせた食品の性状で、バランスの取れた食事が摂取できているか確認し、再指導する
1)軟食、きざみ食、つぶし食にするなど、経口摂取できるように工夫する
2)粘着性のもの、しみるもの、刺激物は避ける
3)患者の味覚に合った食事で高カロリー、高蛋白、消化のよいもの
4)盛り付けの工夫や温度(熱くないもの)
5)嚥下困難時は水分を含んだ軟らかいもの
6)日常生活上の注意(服薬、上気道感染の予防、禁酒禁煙、過労を避けるなど)が守られているか確認し、不足分の再指導をする
#2.疾患による苦痛
[要因]・腫瘍そのものの痛み
・口内炎
・症状からくる精神的苦痛
・身体的・精神的苦痛を最小限にとどめることができる
O−1.疼痛の部位、程度、性質
2.鎮痛・鎮静剤の有効性、持続時間
3.疼痛の訴え、表情
4.疼痛パターン
5.疼痛による不眠の程度
6.疼痛による生活行動の制約の程度
7.過去に体験した痛みの強さとの比較
8.口腔粘膜の状態
9.口内炎の程度
10.腫瘍の大きさ・色
12.口臭の有無
13.感染の有無
T−1.疼痛による苦痛や不安を表出できるような雰囲気をつくり接する
2.効果的な鎮痛剤の使用方法を患者と話し合う
3.患者の疼痛に関する情報を医師に提供し、鎮痛・鎮静剤の投与について検討してもらう
E−1.鎮痛・鎮静剤の指示内容を確認し、効果的な内服方法を指導する
2.鎮痛効果を高めるために、入浴や温罨法、気分転換、リラクゼーションなどで患者の気持ちをリラックスさせるよう指導する
3.口腔内ケアの必要性を説明し、口腔内に合わせたケア方法を指導する。患者ができない場合は家族の協力を得る
1)食物残渣がないよう毎食後の歯磨きや含嗽の励行
2)歯や歯肉だけでなく舌や頬粘膜もブラッシング
3)口内炎症状が軽度の場合、小さめ・軟らかめの歯ブラシを用い、力を入れすぎないようにし、動きの小さい方法でブラッシング
4)口内炎症状が強度の場合、患部に注意しながら綿棒や綿球で、食物残渣や分泌物を拭き取る
5)義歯を使用している場合は毎食後必ず洗浄し、夜間は外して水の入った容器に保管し、歯肉を休める
4.出血などの緊急時の対応について確認する
#3.食事摂取困難に関連した栄養状態の低下
[要因]・腫瘍による歯肉の腫張、歯牙の動揺
・嚥下時の疼痛の増強
・口内炎による味覚異常
・不安、ストレスによる食欲不振
・適切な栄養が摂取でき、身体の機能が維持できる
O−1.開口状態
2.食事内容、食事摂取量
3.食事摂取に要する時間
4.嚥下困難の有無
5.悪心、嘔吐の有無と程度
6.血液データ
7.体重の増減
8.経管栄養の場合、腹部症状、便の性状
9.食べられないことに対する焦り、ストレス
T−1.経管栄養チューブの定期的交換
E−1.食事は時間をかけて、リラックスした状態で摂取するよう指導する
2.栄養状態改善のために、食事摂取方法を指導する
3.食事前に鎮痛剤の使用、鎮痛剤入り含嗽の使用、キシロカインビスカスの塗布など患者に合わせた工夫の指導
4.経管栄養の場合の管理方法の確認
5.口腔ケアの必要性を説明し、その方法を指導する
#4.言語的コミュニケーションの障害
[要因]・口腔機能の損傷
・痛みによる開口障害
・不明瞭な発音
・経管栄養チューブの挿入
・残された機能を生かし、日常の会話ができる
O−1.会話の状態
2.声の大きさ、発音の明瞭度
3.意志の疎通がはかれないことによるストレスの程度
T−1.表情、口の動きから言いたいこと、要求したいことを推測して、Yes,Noで答えられるように尋ねる
2.必要に応じて筆談を取り入れる
3.家族の協力を得ながら、時間をかけて会話し、患者が自分の欲求が正確に伝わることへの安心感、満足感を持てるようにする
4.痛みの軽減について医師に相談する
5.舌や顔面筋の強ばりは徐々に取れることを説明する
E−1.舌や顔面筋の運動練習を続けるよう指導する
#5.容貌の変化によるボディイメージの障害
[要因]・手術による変形
・疾患過程に伴う組織の破壊
・容貌の変化を受け入れ、ボディイメージと自己概念を統合する
口腔内の清潔が保てる
O−1.容貌の変化に対する認識の程度
2.容貌の変化の受けとめ方
3.コミュニケーションパターン
4.家族のサポート状態
5.社会参加の変化
6.口腔内、頚部の状態
7.腫瘍の大きさ、色
8.口臭の有無
9.血液検査データ
T−1.容貌の変化に伴う心配、怒り、不安を言葉に出して表現できるように配慮する
2.容貌の変化に対する患者の認識や感情を拒否したり、批判したり、無視したりしないて、共感的な態度で接する
3.自分の目で見たり、手で触れてみたりするように勇気づける
E−1.積極的な社会参加に到るまでは、マスク・スカーフ等を勧める
2.家族と患者が感情を分かち合えるよう家族を支援する
3.口腔内ケアの必要性を説明し、その方法を指導する
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