関連図「肺がん」
今回のテーマも以前に看護計画として記事にしたことのある肺がんになります。
こちらも関連図とセットで課題が出される場合や、国家試験対策などでも役に立つので両方まとめておくとよいです。
[ポイント1]
肺の中にできる悪性の腫瘍を肺がんという。
気管支や肺の内面をおおう細胞を、上皮細胞という。
悪性細胞の種類による名前でいうと、この上皮細胞から発生した悪性の腫瘍を肺がんと呼び、結合組織から発生した悪性腫瘍は肺肉腫と呼ぶ。
しかし、肺肉腫ができることは非常に まれで、通常は気管から気管支、肺に至る部分に発生した悪性腫瘍を肺がんと呼ぶ。
[ポイント2]
原発性肺がんと転移性肺がん ここまでに説明した肺がんは、発生した場所が呼吸器であることから、原発性肺がんといい、上皮性の悪性腫瘍のことである。 しかし、骨肉腫や子宮がん、乳がん、胃がん、腎がんなど、からだの各所にできた悪性腫瘍から飛び火(転移)して、肺に悪性腫瘍ができることがある。
この悪性腫瘍には、骨肉腫のように、上皮細胞から発生したものではないものも、子宮がんなどのように、上皮細胞から発生したものもある。これらをすべてまとめて、転移性肺腫 瘍、あるいは転移性肺がんと呼ぶ。
[ポイント3]
小細胞がんと非小細胞がん 肺がんのがん細胞は悪性の上皮細胞であるが、この細胞のなかで、とくに悪性度が高いがん細胞がある。それが小細胞がんで、ほかのがん細胞に比べて細胞が小さいため、小細胞がんと呼ばれている。
これは驚くほど早く大きくなり、転移するのも早いという特徴がある。 もう 1 つの特徴は、化学療法や放射線治療が比較的よく効くことである。そのため、腫瘍が 3cm 以上の大きさになっていたり、大きさが 3cm 以下でも、リンパ節が腫れていて小細 胞がんと診断がついた場合は、手術よりも化学療法や放射線治療を行なうのがふつうである。
そのため肺がんを、がん細胞の種類によって、小細胞がんと小細胞がん以外のがん(非小細胞がん=扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんなど)に分け、小細胞がんか、非小細胞がん かによって治療方針を決定している。
[ポイント4]
肺がんは、早期がんと進行がんに分けられる。
早期がんというのは、Ⅰ期とⅡ期、進行がんはⅢA期からⅣ期をいう。早期がんとⅢA期までが手術の対象となる。
ⅢB期では、リンパ節転移が進んでいたり、重要な臓器ががんでおかされているため、手術が困難で、たとえ切除できても、これで完全に治ったと納得できる手術は困難である。
[症状]
肺がんの三大症状として、せき、たん、血たんがある。これらは、比較的肺がんが小さいときから自覚される症状である。
肺がんそのものによる症状としては、胸や背中が痛む、食 事が飲み込めない、顔や上半身が腫れるなどの症状が出てくる。このほかに、リンパ節転移の症状として、声がかすれる、くびやわきの下にグリグリが触れるという症状が現われる。 遠隔転移の典型的な症状は、頭痛である。この場合、肺がんの脳への転移が起こっていることもある。
[治療]
①原発性肺がんの治療
肺がんでも、胃がんの場合と同じく、すっかり切り取って(切除)しまうのが最も良い。しかし、肺は呼吸機能を担う、もっとも重要な臓器の 1 つであるため、いくらでも切除して いいというものではない。
そこで、安全に切除できるかできないかを判断するため、手術前に検査(術前検査)を行なう。一般的な検査のほかに、肺の物理的な能力をみる肺機能検 査と、動脈血ガス分析(血液に酸素や二酸化炭素がどのくらいあるかをみて肺の生理学的能力をみる)が重要となる。 また、肺がんだけ全部切除できたとしても、がん細胞が脳や骨など、からだの各所に転移している場合がある。そのため、アイソトープを使ったRI検査や磁気を使ったMRI検査 によって、転移していないか、がん細胞の追跡を行なう。
②非小細胞がんの治療
最初に選択する治療法は手術である。手術ができないと判断された場合は、放射線を当ててがん細胞を攻撃する放射線療法か、薬剤によってがん細胞を攻撃する化学療法になる。これらをさまざまに組み合わせることもある。
肺がんの病期がⅠ期およびⅡ期の早期肺がんは、手術の対象となる。
進行がんのⅢA期の肺がんでも、縦隔リンパ節と脂肪をすべて切除する手術を行なう。しかし、巨大な縦隔リンパ節転移がある場合は切除できない。 ⅢB期で問題になるのは、がんが食道、気管、大動脈にまで広がり、あるいは反対側の縦隔リンパ節にまで転移しているため、右側の肺がんでも、左の胸も開けなければならないこ とがあり、手術が困難になる。
Ⅳ期は血行性転移がある場合で、肺がんから肺に転移がある場合でも、その転移の数が 1 個なら両方を切除すると、意外と手術の成績がよいことがわかっている。
③小細胞がんの治療
肺の小細胞がんは、あっという間に大きくなる。そのため、小細胞がんとわかれば、病期がⅠ期でリンパ節転移がなければ手術をするが、それ以外の病期の場合、まず化学療法を行 なうのがふつうである。 非小細胞がんに対する化学療法とちがい、化学療法が非常に著効であることが多く、放射線治療も著効することがしばしばある。直接的な診断法でⅠ期以外の小細胞がんということ が確定すれば、まず化学療法を行なうのが一般的で、効果を確認した後に手術で切除することもある。
[その他]
看護としては、安楽な体位を援助し、咳嗽・喀痰の緩和をする。
心身の適度な安静により、酸素の消費量を最小限にする。 安静に寝てばかりいると、徐々に食欲もなくなり、体力の低下を引き起こすため、手術後は創部痛があるが、ゆっくりと腕を動かし、また、ゆっくり歩くように心がけて生活するこ とが大切である。歩くことで、少なくなった肺活量の回復も早まり、傷の痛みは、温めると軽くなるといわれている
[関連図]
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