関連図「関節リウマチ」
今回のテーマは関節リウマチの関連図についてです。
まずはポイントからまとめていきましょう。
[ポイント]
関節リウマチとは、全身の免疫の異常にともなって関節に炎症がおこり、関節の腫れや痛みが生じるとともに、徐々に進行して、関節が変形して機能障害を引きおこ す病気である。
[関節周囲の構造]
関節リウマチは、全身の関節が侵される病気である。
関節は 2 つの骨を連結する部分であるが、骨と骨の間には軟骨と関節液があって、クッションの役目を果たしている。この関節は、関節包という膜のようなものでつつまれていて、その内側は滑膜という線維性の組織になっている。
[関節リウマチの成り立ち]
関節リウマチは次の4ステップで進行する。
①滑膜は、洋服の裏地のような組織で、関節リウマチになるとこの滑膜が侵される。
②滑膜炎が生じると、白血球などの細胞が集まり、滑膜の細胞そのものも増えて、滑膜はヒダ状に増殖し、パンヌスという組織を形成する。
③このパンヌスが、さまざまな物質を分泌しながら周囲の組織を溶かし、侵食する。
④軟骨を溶かし、骨を侵食し、ついには関節を変形させる。これが関節リウマチである。
[症状:関節]
初めは関節の痛みや腫れがみられる。手や指の小さな関節からおこって、手首、肩、膝、足首などの関節に痛みや腫れが現われてくる。
指の関節は、PIP関節、MP関節という、指先から 2 番目と 3 番目の関節が侵されやすく、紡錘状(ぼうすいじょう)に腫れてくる。 また、「朝のこわばり」と呼ばれる症状が現われる。これは朝、目がさめたときなど手を握ろうとしても、手指の関節がこわばっていて曲げるために力がいるが、 しばらく動かしていると治ってしまう症状である。
関節の腫れと痛みは、慢性的に続いて、治療しないと、徐々に変形して関節の機能が失われていく。関節の周囲の筋肉は、関節が動かしにくい結果として、萎縮して しまい、機能低下を引き起こす。
[症状:関節以外]
病気の進行が激しい関節リウマチでは、リウマトイド結節というかたまりが、皮膚の下にできることがある。肘の突端(肘頭)から 3~4cm 先の、伸ばす方の側によ くみられるが、痛みはなく、処置は不要である。寝たきり状態の患者では、後頭部や仙骨のあたりにできることがある。
関節以外にも、肺、腎、心臓、神経、目などが侵されることがある。肺の病変としては、間質性肺炎や肺線維症が、5~10%の患者に現われる。 とくに、比較的高齢の男性で、リウマトイド因子が高い関節リウマチの患者に多くみられる。 リウマトイド因子(リウマチ因子)とは、免疫グロブリンという抗体をつくる蛋白質の一部を抗原として攻撃する抗体のことである。 この肺の病変は、胸膜の肥厚や胸膜炎を起こすこともある。
腎臓に生じる病変としては、蛋白尿や血尿がよくみられるが、リウマチの薬によって生じる障害が多い。 発病して長い関節リウマチの患者では、アミロイドという物質が腎臓に蓄積して、腎不全になることもある。 そのほか、多発性神経炎、心外膜炎、上強膜炎、皮膚の血管炎などをおこすことがあり、悪性関節リウマチと呼ばれる。
[治療]
①薬物治療
非ステロイド抗炎症薬:「消炎鎮痛薬」と呼ばれる薬のこと。
これらは、関節の痛み、腫れ、朝のこわばりを軽くすることができるが、あくまで症状を抑える対症療 法であり、関節が変形するのを防止することはできない。関節リウマチと診断された場合には、抗リウマチ薬の併用が必要である。 非ステロイド抗炎症薬に共通して生じる副作用として、胃腸障害、むくみや発疹、光線過敏症などがある。
ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬):強力な抗炎症作用のある薬のこと。
代表的なものにプレドニゾロン(商品名プレドニン)、デキサメサゾン(商品名リンデロン) がある。
関節炎を劇的に軽快させる薬で、発病の早期で関節炎が激しい場合には、ステロイド薬を用いて炎症を有効に抑えると、骨の破壊を抑えることも可能である。 発熱や体重減少などにも効くため、全身症状や、間質性肺炎、血管炎など、関節以外の症状をともなう場合にも、ステロイド薬が必要である。ステロイド薬も、あくまで炎症を抑える薬であって、原因から治すわけではない。ステロイド薬の副作用としては、ムーンフェイス、骨粗鬆症、胃潰瘍、糖尿病などがある。
②手術療法
手術には、病気の治療として行なわれる関節滑膜切除術と、病気により破壊された骨関節機能の再建をはかる手術がある。
滑膜切除術
関節で増殖した滑膜を、手術でとりのぞくことによって、関節が破壊されるのを防ぐことを目的とする手術である。
骨関節機能の再建術
関節の破壊や、腱の損傷などによって、日常の動作にも困るようになった身体機能を再建するために行なわる。 代表的なものに、人工関節形成術、関節形成術、頸椎固定術がある。
[その他]
関節リウマチは、体力を消耗する病気の 1 つであり、病気を抑えて生活していくには、体力の低下を防ぐ努力が必要である。それには、過労を避けること、心身両面 のリラクゼーションをはかること、偏食を避けることなどが重要となる。しかし、関節が腫れて熱をもっている場合には、その関節の安静も必要である。 ただし、痛い関節を長期間放置しておくと、関節が動かなくなりますので、運動療法も大切である。 安静と運動のバランスが難しいが、通常は午後になるとこわばりもとれ、関節痛も軽くなるため、このときに適切な運動を行なうようにするとよい。
[関連図]
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