看護計画テーマ「神経症(ノイローゼ)患者の標準看護計画」
今回は精神科をターゲットに「神経症」をテーマにしてみました。
最近では神経症と呼ばれますが、ノイローゼという言葉のほうが浸透しているかもしれないですね。
精神疾患は、トリガーになる原因が幅広いためしっかりと患者様を観察する技術が看護師には求められます。
非常に難しい領域ではありますが、一番感謝される領域でもありますので、しっかり学んでいきましょう。
非常にボリュームがあるので課題がある方はちょっと覚悟してください。
神経症(ノイローゼ)患者の標準看護計画
神経症とは
器質的な病変がなく、患者をとりまく環境や患者自身の性格からおこる心因性または反応性の精神障害である。身体的機能障害のみられることもあるが、それは患者の持つ不安や心的葛藤などから二次的に派生したものであり心的症状の消退とともに消失するものである。心因としては、過労、対人葛藤、離別、死別、試験、遭難、転勤、昇進、転居、身体疾患の罹患などがある。防衛機制による葛藤の処理に失敗したり、異常な防衛が働いた時に神経症が発症すると考えられる。また、身体疾患の罹患がなく、このような心因が作用して(本人が気づいていない場合もある)発症することもある。
主なものに、不安神経症、強迫神経症、恐怖神経症、心気症、ヒステリーなどがある。
アセスメントの視点
神経症の治療は、殆どが外来通院で行われているが、外来治療で困難な事例、家族との分離が適切と考えられる場合などに入院治療が選択される。看護の基本的なことは、受容的、共感的態度で接し、患者をあるがままに受け入れ、理解しようとする姿勢であり、支持的、感情表現を助ける、洞察を促す、訓練を助ける看護が必要となる。
治療
神経症の治療の中軸は、精神療法および心理療法である。精神療法の補助手段として、患者の心的葛藤の軽減のために緩和安定剤を中心とした薬物療法も行われる。個人精神療法と同時に集団精神療法、森田療法、催眠療法、行動療法、自律訓練法も有効である。
1.不安神経症
過度の不安を主徴とする神経症である。内的葛藤や欲求不満によって、自我が危機的な状態に陥ると強い不安が出現する。不安はすべての神経症の根底にあるが、不安神経症は内的葛藤に基づく不安が十分に防衛されないで症状として現れてきたものである。
人格特性
・強迫および依存パーソナリティースタイルが全面に出ている。
・真面目で仕事はできるが完全に自立はしていない。常に誰かに依存している。
・自尊心が強く野心家であるが、失敗を恐れる。
・緊張感が強く、周囲の刺激に対して敏感である。
・見捨てられ不安が強く、依存欲求はあっても依存できない。
・自我の経営能力が低く、超自我は懲罰的である。
症状の特徴
1)不安発作
突然強い不安に襲われパニックに陥り、苦悶感や死の恐怖に襲われると共に、自律神経系の異常興奮による身体症状(心悸亢進、頻脈、呼吸困難、発汗、震え、胸部絞扼感、心臓痛、不整脈、過呼吸、意識混濁、下痢、嘔吐など)が出現する。発作は夜間に多く、激しい不安と苦痛を訴えて騒いだ後、数十分で睡眠に移行する。
不安発作を起こす患者は、一人の時や乗り物の中で発作を起こすことが心配で、外出や乗り物に乗ることができず、家に閉じこもることが多い。また、呼吸促迫の結果として、過呼吸症候群を呈することが多い。
2)持続性の不安
現実不安:
その個人に脅威をもたらす、現実的で具体的な(期日の明確な)外界のストレスに対して生じる不安。
予期不安:
自分の起きて欲しくないことが起きるのではないかという危険の予感。
浮動性不安:
個人にとって原因不明の不安が、常に身のまわりに漂っている状態。したがって、明確な恐れの対象を欠き、何であれ身近な対象に結び付いて気持ちが浮き沈みする。自律神経系の過敏状態や心気症状、集中力の低下、易疲労性、睡眠障害などが出現する。
検査
身体症状の注意深い精査:身体症状に関する明確な所見を提示して、身体症状に対する不安を解消する。
(ルーチン検査で身体症状の鑑別を行う。)
心理検査:STAI、MMPI、MAS、CMI、ロールシャッハ等
治療
1)薬物療法
心の緊張を緩和する目的で抗不安薬を使用する。薬物依存を予防するために効果の強い薬は使用しない。
2)個人精神療法
・信頼関係を築き、健康に依存できる対象を明確にする。
・現実吟味を援助する: 浮動性不安によって現実状況の認識がゆがむ。現実を吟味する手助けをしながら、現実と現実状況認識の歪みを区別する助けをする。同時に懲罰的超自我を軟らかくする。
・患者のペースで不安が出現したプロセスを逆にたどり、不安が出現した直接的な原因と不安が出現するに至った心の緊張状態の原因を明確にする作業を助ける。
3)集団精神療法
・浮動性不安は、自分だけでない仲間の体験を聞くことによって大きく支えられる。
・不安を集団の中で、間接的に扱われることで、不安を暴くことより上手に抑制すること、さらには抑圧すべきものは抑圧することを学習する。
看護
1)強迫と依存以外のパーソナリティースタイルを刺激して、患者の性格特性の偏りを調整する。
2)症状を観察して身体的なアセスメントを行い、必要なケアは実施するが、不必要なケアはしない。
3)患者の能力を活用する。できることはできるだけさせて、自我自律性を高める。不必要な世話はしない。
4)患者の不安や苦痛を理解する。心理学的には共感が重要だが、同情とは区別しておく必要がある。不安神経症の患者は不安に耐えることには慣れているので、同情すると薬や看護者への依存が起きる。
5)現実を吟味して、現実と現実状況の認識のゆがみを区別する助けをする。看護者は患者の安らぎの助けをすると同時に、現実検討のできるモデルでもある。
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