
看護計画テーマ「小児科 クループ患児」
今回から小児系に焦点を当てていきます。
まずはクループです。
早速まとめていきましょう。
クループ患児の標準看護計画
クループとは
喉頭および気管の感染による急性喉頭炎の中で、声門下浮腫から濃い分泌物による上気道閉塞を伴う呼吸困難の著明なもの、すなわち閉塞性喉頭炎である。喉頭および気管のジフテリア菌感染によるものを真性クループ、パラインフルエンザなどその他の病原体感染によるものを仮性クループと呼ぶ。ウイルス性クループの大多数は3ヶ月〜3歳の間に罹患する。一方、インフルエンザ(H.infuruenzae)やジフテリア(C.diphteria)によるものは3〜7歳に最も多い。そして発生率には季節性があり、晩秋と初冬に高く、約4分の1の患児には軽い上気道感染が先行している。発生年齢は3か月〜3歳の範囲で、ピークは9〜18か月、患児の5%に再発がみられる。重大な気道閉塞は20人に1人の患児にみられる。
アセスメントの視点
治療は対症的なものとなるが、重症の場合は、呼吸停止を引き起こす可能性があり、気管内挿管、気管切開の準備も怠ってはいけない。
症状
クループは感冒様の症状に続いて、嗄声、遠吠え様咳嗽(動物の吠える声のような深い咳)、吸気性の喘鳴がみられる。呼吸困難のため陥没呼吸や鼻翼呼吸がみられ、特に夜間になると呼吸困難が増悪する傾向がある。
検査
血液一般検査、動脈血ガス分析、咽頭培養、頚部正面・側面2方向X線、胸部X線
治療
1.吸入療法
気道の浮腫の軽減を目的として30分〜4時間ごとに吸入する。吸入の際には低酸素血症の増悪、吸入後の呼吸困難の再燃などに注意し、低酸素血症が認められる場合には、酸素を用いて吸入する。
2.加湿
気道に十分な湿度を与えるため、超音波ネプライザーやインスピロン等による加湿を行う。
3.補液
脱水状態の改善と急激な気道狭窄の悪化に備えるため補液を行う。
4.ステロイドの投与
気道の浮腫軽減の目的で投与
5.酸素療法
臨床的にチアノーゼを認める場合はもちろんのこと、低酸素血症が認められる場合には十分な酸素投与を行う。
6.抗生剤の投与
7.気管内挿管や気管切開
気道の浮腫がなく、重症の場合に行う。
経過と管理
進行度によって異なるが、通常は3〜4日で軽快し、多くの予後は良好である。しかし、適切な治療が行わなければ、急激に気道閉塞が進行し、低酸素脳症による後遺症を残すことがある。治療は対症的なものとなるが、重症の場合は呼吸停止を引き起こすことを考え、気管内挿管、気管切開の準備も怠ってはいけない。適切な治療の開始が予後を左右するため、注意深い観察が必要である。
看護計画
アセスメントの視点
クループは、しばしば乳幼児の呼吸困難の原因になる。呼吸困難は、吸気性で喘鳴を伴っており、エピネフリンの吸入にて軽快することもあるが、呼吸困難の強い時は気管内挿管や気管切開が必要となる場合があるため、患児の状態を適確に把握する必要がある。そのような呼吸困難という生命に危険をもたらす状態は、看護において最大の問題となってくるため、危機的状態にある患児とその家族の心理的側面や社会的側面に配慮した援助が必要である。
問題リスト
#1.呼吸困難
[要因]・喉頭および気管支粘膜の浮腫
・気道内分泌物の貯留
#2.喉頭の炎症からくる体力の消耗
[要因]・咽頭痛からくる経口摂取困難
・嘔吐
・不感蒸泄
#3.呼吸困難による疲労
[要因]・睡眠不足
・低酸素状態からくる頻脈
#4.患児、家族の不安
[要因]・疾患に対する知識不足
・予後および、症状の反復への不安
看護目標
呼吸状態の異常の早期発見を行い、体力の消耗を最小にする
家族が患児の状態について理解し入院生活に適応できる
看護問題
#1.呼吸困難
[要因]・喉頭および気管支粘膜の浮腫
・気道内分泌物の貯留
・呼吸苦がなく児らしい表情となる
>1〜2日まで
O−1.呼吸状態 犬吠様咳嗽、吸気性喘鳴、嗄声、鼻翼呼吸、陥没性呼吸、多呼吸、チアノーゼ、SpO2の低下
2.活気、機嫌、不穏状態、無表情
3.検査データ 動脈血ガス分析、CBC、X線
4.バイタルサイン
T−1.医師の指示に従い、年齢に応じた方法での吸入、酸素療法、加湿の施行
2.上体を挙上した安楽体位の工夫
3.心拍・呼吸・SpO2モニターの管理
4.輸液や抗生剤の確実な投与と管理
5 処置やケアは、なるべく啼泣させないように手早く行う
E−1.呼吸困難発作について説明し、啼泣させない方法について指導する
2.異常があればすぐに知らせるよう話す
#2.喉頭の炎症からくる体力の消耗
[要因]・咽頭痛からくる経口摂取困難
・嘔吐
・不感蒸泄
・経口摂取が行える
>3〜4日
O−1.呼吸状態
2.熱型、四肢冷感
3.水分出納バランス
4.咽頭痛の程度
5.活気、不機嫌
6.食欲、食事摂取状況
T−1.発熱時には医師の指示のもと解熱処置を行う
2.食事形態の工夫 危険のないように流動物を選択し、少量ずつ与える
3.輸液の管理
4.処置やケアは、なるべく啼泣させないように手早く行う
E−1.食事の形態や与え方について説明する
2.安静の必要性について説明する
3.嘔吐などの異常があればすぐに知らせるよう話す
#3.呼吸困難による疲労
[要因]・睡眠不足
・低酸素状態からくる頻脈
・夜間睡眠が確保できる
>3〜4日
O−1.呼吸状態
2.睡眠状態
3.活気、機嫌
T−1.上体の挙上などをし、安楽体位の工夫をする
2.保温に努め、体内循環を維持する
3.睡眠が確保できるように、処置やケアの時間を考慮する
4.吸入や酸素の確実な投与
#4.患児、家族の不安
[要因]・入院生活という環境の変化
・疾患に対する知識不足
・予後および、症状反復への不安
・落ち着いて、患児を支えることができる
>退院まで
O−1.患児の表情、機嫌、思い、言動
2.家族の言動、表情
3.家族の疾患や予後に対する思いや理解度
T−1.患児の好きなおもちゃなど傍に置き、やさしく声かける
2.家族と接する機会を多くもち、話しやすい雰囲気を作る
3.家族の理解が不十分な時は、医師から説明をしてもらうよう配慮する
E−1.年齢に応じた患児への処置、ケアの説明を行う
2.症状出現時の対処方法について指導する