見出し画像

関連図「乳がん」

今回のテーマは乳がんになります。
以前別で乳がんの看護計画について記事にしましたが、関連図に関してもセットで覚えておくとよいでしょう。
では早速ポイントからまとめていきましょう。

[ポイント]
乳がんは、乳房にできる悪性腫瘍である。
乳房の中には乳腺といわれる組織がある。乳腺は、乳汁をつくる腺胞という小さな腺組織の集まりで、ブドウの房のようになっていて、そ れぞれが乳管(乳汁を集め乳頭へ送る管)で連絡されている。乳がんの約 90%は、乳管から発生する乳管がんで、ほかに腺胞から発生する小葉がんや、乳頭に発生するパジェット病 などがある。

[症状]
乳がんは、乳房にできたしこりを触れて発見されることがもっとも多く、ほかに乳頭からの血性分泌や、乳頭やその周囲のただれ、乳房・乳頭の変形などがきっかけで発見されることもある。また、乳がんの最好発部位は上部外側である。

①しこりの特徴
乳がんは、乳房の中に固いしこりとして触れるが、その性状はまちまちで、表面が凸凹(でこぼこ)で周囲との境界がはっきりせず、動きにくいものから、クリッとしてよく動くも のまである。とくに、表面がツルツルで、丸くよく動くものは、良性腫瘍(乳腺線維腺腫)との鑑別が必要である。 乳がんの場合は一般に、ややかための乳腺の中に、境界がはっきりしないしこりを触れることが多い。しこりを押したときの痛みはほとんどなく、あってもあまり強くはない。

②しこり以外の特徴
>乳頭の血性分泌
がんからの出血が乳管を通って乳頭に出てくるもので、乳頭直下の早期がんの場合が比較的多く、しこりを触れないことがある。

>乳頭の変形
乳頭直下やその近くにがんができると、がんのまわりの組織がひきつけられ、乳頭がへこんだり(陥没乳頭)、変形したりする。

>皮膚の陥没
乳がんが、皮下組織やクーパー靱帯(皮下組織と乳腺をつないで乳腺を支えている)に浸潤(根を張るように入り込む)すると、その真上の皮膚がひきつれ、へこむ。

>えくぼ現象
親指と人さし指でしこりをつまむと、しこりの真上の皮膚がへこみ、えくぼのようになることがある。これは、乳がんにみられる特徴的な現象で、えくぼ現象といわれ ている。

③乳房以外の特徴
>腋窩(わきの下)のリンパ節腫脹
乳がんが進行すると、周囲の血管やリンパ管に波及し、転移をおこす。 乳房のリンパ管は、腋窩を通り鎖骨の下の静脈に合流している。がん細胞がそのリンパ液の流れにのり、途中のリンパ節にひっかかると、リンパ節転移をおこすが、さらに静脈にま で流されると、肺や肝臓などの離れた臓器にまで転移する。転移したリンパ節内でがん細胞が増えると、そのリンパ節は腫れて触れるようになる。

[治療]
乳がんに対する基本的な治療法は手術であるが、その補助療法として、抗がん剤による化学療法や免疫療法、ホルモン剤による内分泌療法、局所治療の放射線療法などがある。

①手術
乳房全部と胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)および、わきの下のリンパ節を全部とってしまう胸筋合併乳房切除術という手術が、かつてはもっとも多く行なわれてきた。しかし、術後の 胸の変形や、腕のむくみ、しびれ、運動機能の低下などが問題となり、今では胸の筋肉を切除しないか、一部だけ切除する胸筋温存乳房切除術がもっとも多く行なわれるようになった。
現在では、胸筋合併乳房切除術は、よほど進行した乳がんでないかぎり行なわれない。 早期の乳がんであれば、乳房の一部や 4 分の 1 を切りとる扇状乳腺切除などの乳房温存手術が行なわれるが、その場合、術後に残った乳腺に対し、放射線治療などの補助療法が追加 される。これにより、乳房切除術と比べても遜色のない治療成績が得られるようになった。
以上のように、最近では乳がんの手術の縮小化が進んでいるが、まだまだ乳房切除術のほうが多いのが現状である。 また一方では、乳がんの手術と同時に、切除手術により欠損した部分に、自分の背中や腹部の脂肪と筋肉を移植し、乳房を復元する即時乳房再建術も積極的に行なわれるようになってきた。このような即時乳房再建術を行なうことにより、術後の精神面・肉体面での落ちこみを最小限にくいとめ、生活の質の向上が得られるようになった。

②手術後の補助療法
乳房温存手術の場合、残った乳腺の中に、手術前の検査ではわからなかった目に見えないわずかながん細胞が残されていることが考えられる。そのがん細胞を撲滅するために、術後 の放射線療法が多く行なわれている。
そのほか、閉経の前と後で使用薬剤が異なるが、ホルモン分泌を抑える内分泌療法がある。 さらに、進行した乳がんの場合は、化学療法(抗がん剤)を中心に、免疫療法を組み合わせた治療が行なわれる。

[その他]
乳がんは女性ホルモンと関係が深く、とくにエストロゲンの影響を受けるといわれている。妊娠すると、このエストロゲンが急激に増加し、がん再発の危険度が高くなる。そのため、 再発の危険がなくなったと判断されないかぎり、妊娠は避けたほうがよい。
看護としては、乳房は女性の象徴であり、乳房喪失に対して、ボディイメージの変容の影響は大きい。悲しみや失望に寄り添うことが必要。今後の性生活に対する不安やパートナー との時間を大切にしたいという思いが強いため、感情や気持ちが表出していけるよう援助する

[関連図]

ここから先は

0字 / 1画像

¥ 250

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?