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関連図「悪性リンパ腫」

今回のテーマは悪性リンパ腫になります。
簡単ではございますが、ポイントに関してもまとめていきましょう。

[ポイント]
リンパ組織は、感染などからからだを守る、重要な働きをしています。 悪性リンパ腫は、このリンパ組織を構成するリンパ節、脾臓、扁桃どの細胞が悪性化して、無制限に増殖する病気で、白血病とならぶ代表的な血液のが んです。

①種類
大きくホジキン病と非ホジキンリンパ腫の2つがありますが、悪性化した細胞の種類によって、さらに細かく分類されます。 また、種類によって、病気の経過や治療に対する反応の仕方などが異なります。 ホジキン病は、リンパ球優位型、結節硬化型、混合細胞型、リンパ球減少型の4つに分類されます。 非ホジキンリンパ腫には、濾胞性リンパ腫とびまん性リンパ腫に大別する分類や、予後を考慮した国際分類などの分け方があります。 原因はまだわかっていませんが、一部のものは、ウイルスの感染が原因と考えられています。また、免疫不全や遺伝子の異常も深くかかわっていると みられています。 レトロウイルスの 1 つであるHTLV‐Ⅰ が原因となって、リンパ球のT細胞に異常をおこすものは、成人T細胞白血病のリンパ腫型として扱われ ています。

②頻度
日本でのリンパ系悪性腫瘍による死亡率は、人口 10 万人に対し男性は 4 人、女性は 2 人程度です。 ホジキン病の発症は、20~30 歳代の若い人と高齢者に多くみられます。非ホジキンリンパ腫は、50~60 歳に多い傾向があります。 また、日本ではホジキン病は少なく、非ホジキンリンパ腫が多くなっていますが、なかでも悪性度の高いT細胞性のリンパ腫の頻度が高くなっています。

[症状]
からだの表面近くのリンパ節が腫れてきて、いわゆるコブのようなぐりぐりしたものができますが、押しても痛くなく、周囲に傷口や化膿も見あたりません。このコブの発生しやすい部位は、くび、わきの下、足のつけ根などです。 押しても痛くないコブに気づいたときは、血液専門の医師の診察を受けるべきです。 病気が進行すると、何か所ものリンパ節が腫れてきて、発熱、体重減少、寝汗なども現われてきます。 また、からだの奥の、外からは触れることのできないリンパ節が腫れたり、扁桃や脾臓が腫れたりすることもあります。

[検査・診断]

腫れたリンパ節の組織の一部を採取し、顕微鏡で見て細胞の種類を調べるリンパ節生検を行なわないと、確実な診断はだせません。 1 回のリンパ節生検では診断をくだすことができず、経過をみながらくり返しリンパ節生検を行なって、初めて診断がつくこともあります。 血液の専門医がこの検査を行なって初めて診断が可能になるのですが、ときには専門医でも診断が困難なこともあります。 リンパ節生検で診断が確定したら、血液・骨髄検査、各種のX線検査、CTスキャン、MRIなどを行なって、病気の広がりを調べます。 これらの検査結果は、治療の方法を選ぶのに大切な指標となります。 病気の初期は、血液検査で特徴的な異常はみられませんが、病気が進行していろいろな臓器に広がってくると、病巣ができている臓器に応じて肝障害、 貧血などの異常が現われてきます。

[治療]
ある部位に病気が限局していて、進行していない場合は、放射線療法を主体にして治療します。病気が全体に広がっている場合は、いろいろな抗腫瘍剤 を組み合わせて使用する多剤併用化学療法を主体にして治療するのが原則です。 また、場合によって、骨髄移植が行なわれることもあります。 悪性リンパ腫が、胃や腸などの臓器に発生した場合には、手術をして切除するのが普通です。

[予後]
ホジキン病は、多剤併用化学療法によって、10 年生存率は約 70%に達し、初期の段階で診断できた場合は、治る可能性もあると考えられています。 非ホジキンリンパ腫は、ホジキン病に比べると予後が悪いのですが、型によっては、生存期間が 5~7 年と長い場合もあります

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