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休み方は、上手くなった?

働き方を変え、3年が経とうとしています。
あっという間でしたが、振り返るとしっかりと時間のあった3年間だったように思います。

会社員を辞めて、最初に何を考えていたっけ…と思って思い出したことは、独立して最初の3か月のテーマを「休み方が上手くなる」としたことでした。

当時の私は、未就学児のこどもとパートナーとの3人暮らし。
育休後、時短勤務とフルタイムを行ったり来たりしながら、途中管理職をしたことや転職をしたことなども含めて約4年を走り切ったぞ、と思った頃でした。

走り切ったというよりも、これ以上走るとちょっとマズイかもしれないというような想いや状況もあったかもしれません。

深刻に体調を崩したとか、うつっぽくなったとか、そういった心身の状況があったわけではありません。ただ、どこか「長い時間をかけて蓄積していた、慢性的な疲れ」のようなものがありました。

子育てをしながら働くという側面だけではなく、

ソーシャルワーカーという仕事をし続ける中で今後どうしていこうか/どうしていきたいかということや、

共働きが一般的になっているとはいえ家族というチームのバランスはどうあるのがちょうどいいのか、

シンプルに自分自身はどんなふうに生きていきたいのか。

そういったいくつかの問いが同じタイミングで交わり合ったことで「働き方を変えてみよう」ということに至ったのでした。

そうして変えたのは「働き方」でしたが、大きく変わったのは「休み方」でした。

最初の1か月、時間が自分の采配で使えるようになっても、私は上手に休んで自分をリラックスさせたり解放することができませんでした。

有難いことにお仕事がいっぱいいただけたから忙しかった、といえば聞こえはいいですが、自分を縛る制限が少なくなり、時間に余裕ができても自動的に十分に癒されるということはなかったのです。

そのことに気づき、テーマとしたのが「休み方が上手くなる」でした。

「休み方が上手い」って、どういうことでしょう?
ゆっくり休んでね。よく使う言葉だけれど、何をどうしたら自分を癒し休めることができるのか、習ってもいないし、よく分からないのです。

それまでも自分の趣味としていた、ゆっくりお茶を飲んでみるとか、時間がなくてできていなかったお散歩をすること、日にあたること、オンラインヨガをコンスタントにやってみること。どれもほっとしたり、多少気分も身体もよくなった、と感じるのだけど、なんだかまだ足りません。

私は独立してからオンラインの相談をお受けするようになりました。
それまで関わっていたクライエントの方よりももっと幅の広い層の方からのお話を聴かせていただくことが増えたことであることに気づきました。

「みんな、自分の休ませ方が分からないんだ!」と。
現代人、子どもも大人もとても忙しいです。
物理的にも、思考回路も、忙しいんです。

情報だけがありすぎて、頭や身体、時間のキャパシティを奪っていく。
どこかの側面で「キャパオーバー」になりかけながら、ある時「なんだか、上手くいっていない」ことに気づきます。

頭や肩が痛い、すっきり起きれない、閉塞感や不足感、不安感がある、などなど。

おかしな話ですが、私自身、メンタルヘルスにまつわる仕事をしているので知識は既にあるのです。睡眠がとても大切。心と身体はつながっている。ほどよいリラックスやリフレッシュが大切ー。

でも、「それってどうするのか」は、書いてある教科書があったとしても、自分自身の実体験を通してしか人は身に付けることができません。

私を緩ませることができた最初の気づきは、「そもそも、忙しかった。これまでは生活も考えも目指すところも、多くが仕事中心だったんだ」ということに「ちゃんと」気づいたことでした。

もちろん、仕事に時間がとられる、育児との両立は大変だった、その事実は最初から認識しているんです。でも、その大変さのせいで自分自身が何を見失っていたのか、大切にする余裕がなくなっていたのかまでは言葉になっていなかった。自分自身で言葉になっていなかった想いや気づきを「言葉」として出すこと。話すこと、書くこと。これがとても大切でした。

そうすると、自分自身の考えや身体のどこに力が入っているのかが分かってきました。肩こりがする、だからマッサージしてもらう。これも対症療法の1つですが、もっとさかのぼって何故体に力が入るのかを理解できたことがありました。

公認心理師の国家試験の勉強をしていた時、ものすごく肩が凝ったんです。これは姿勢が悪いからだと思って、整骨院に通っていました。そこで体の仕組みもおしえてもらいながら、なぜ勉強中に肩が凝るのか考えてみました。もちろん姿勢が悪いから、もあるのですが、どうにも勉強中はついつい前かがみになったり、歯をくいしばりがちだったり、呼吸が浅くなっているなと思いました。

私はその時、資格に受かりたいとか、このままの勉強時間ではマズイかもなどの想いを持って取り組んでいました。その想いが知らず知らずのうちに「気負い」となって、身体に力が入っているんだな、ということに気づきました。

なので、勉強中にも深呼吸をするようにしたり、「受かっても落ちても死なないし」などあっけらかんと考えるようにすることで、ずいぶんと身体も心もラクに勉強に取り組めるようになった気がします。

私を、多くの人を休めなくさせているひとつの要因が、自分に設定している「ハードル」です。

こうしたい、こうしなきゃ。
そういった思い描く、または思い込んでいる理想やイメージ、駆り立てられるものが、ぐっと力を込めさせています。

本当にそうだっけ?ほかの方法は?100%じゃなくて70%くらいじゃだめ?なんなら120%を目指してない?

ぐ~っと頑張って、ハッと気づく。気づいたら頑張り続けるんだけど力は入れない。相談の場でいつもクライエントさんに伝えていることです。でも支援者自身も、自分が十分にそれができているのかというと、この修行は延々に続くようにも感じます。

なんとかなる、くらいがちょうどいい。

そうやって、ちょっとずつ力を抜くことが上手くなっていく中で、より日々を豊かにしてくれるものにたくさん出会うことができました。

エンターテインメントです。
大それたものではなく、生活の中にエッセンスを取り入れることです。

思い切って旅行!とか、買い物!とか時間やお金が必要なものではなくても、日々に楽しみを取り入れることがこんなに心豊かにしてくれるものなんだと気づけるきっかけになりました。

友人がおススメしてくれた音楽を普段聞かないジャンルだけと聴いてみる。夫がおすすめの映画やドラマをみてみる。昼間からビールを飲んでみる。お酒を飲みながら料理をする。

新商品とコンビニで出ているものを「わざと面白がって」買ってみる。食べログの評価の高いお店に行ってみる。

街のイベントに顔を出す、流行りにのっかってみる、作ったことのないレシピの料理をつくる、前は好きだったけど最近やっていなかったことをやってみる。

忙しかったり、心が疲れすぎていると、こうしたことをする時間や余裕がなかったり、思いつかなかったり、思いついても気力が湧きません。もちろん、やってみてハズレもあります。でもそれも含めて面白い、と思うようにするのです。

ちょっと前から、小学生ぶりにマリオカートをやっています。何の生産性もないです。超おもしろいです。笑います。本気になります。たまに悔しくてイライラします。色々な方向に気持ちが振れることが、豊かだなと思います。

3年経って、休み方は、上手くなったと思います。
趣味とはいえないレベルの小さな楽しみがたくさんあることで、日々はいくらでも楽しくもラクにもなるし、辛い時には癒しになることを知りました。

休み方は上手くなったけど、まだまだたくさん増やしていきたいです。私は仕事が好きですが、仕事を深めるのと同じくらい、私自身の暮らしや日常の豊かさも、深めていきたいし、それがどれだけ人間の幸福に重要なことなのか理解できたような気がする3年間でした。


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かずみ|Mental Health Socialworker
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