Mr.オヤジ

中学生のお金も移動手段もない僕らにとって
休みの日って地元で遊ぶしかなかった

そして遊ぶといったら

屋内でゲームとかじゃなくて
屋外でバスケすることが多かった

屋外でバスケするといっても
公園とかにコートなんかないので
小学校とか中学校に行って
グラウンドにある砂のコートで遊んでた

中学校は問題ないんだけど
小学校は遅くまで遊んでると
警備員のおじさんが注意しに来た

めちゃくちゃ理不尽なんだけど

その頃の僕らにとって
注意しにくる警備員は敵だった

今考えたら100%
忍び込んで遅くまで
遊んでる方が悪いんだけどね

僕達はその警備員を
Mr.オヤジと呼んで嫌っていた

Mr.オヤジが来ると
みんな奇声を上げながら走って逃げた

それも楽しかったのかもしれない


ある日

帰るタイミングが良かったのか
校門を出る際にMr.オヤジの原付が止まってた

「入れ違いだったんだね」

誰かが言った

Mr.オヤジはおそらく校内を巡回中だろう

「あれ?これ鍵もついてるじゃん」

原付を触ってたヤツが言った

不用心だなって思った

じゃんけんで負けたヤツが靴下を脱いで
それをハンドルカバーにして走って逃げた


Mr.オヤジびっくりしただろうな

今更だけどごめんね


つづく

いいなと思ったら応援しよう!